どうして流れ星に願い事するんだろ
病室には僕と君しかいなかった。
優奈(ゆうな)は窓、夜空を流れる流星群に向かって手を合わせていた。小さなつぶやきが僕の耳に入る。
「拓真(たくま)の病気が治りますように」
ねえ、どうして流れ星に願い事をするの?宇宙の彼方に消えて行くのに、なんで?それに、祈ったって僕の病気は治らない。僕の病気には薬が無いんだから。
優奈は僕を見て悲しそうに笑った。整った顔立ち、華奢な体つき、白い肌。美人な優奈は高校の同級生。偶然、同じ大学に進学した。高校の時もそうだったけど同じ学科、学部の人から高嶺の花と言われていた。そんな優奈が僕のことを好きになってくれるなんて。僕の脳裏に優奈と過ごした日々が蘇った。
僕は立ち入り禁止の壁を飛び越えて走った。優奈が追いかけてきたけど、立ち入り禁止の壁を見て足が止まる。
「優奈、おいで」
僕と優奈は学校が嫌いだった。生徒を型にはめようとする学校が。優奈と僕は高校をサボって、あそこに行った。あれは、僕と優奈なりの学校への反抗だった。自由を手に入れたような気分だった。
「大丈夫かな」
不安がる優奈に僕は言った。
「ついておいで、秘密を作ろうよ」
優奈が微笑んだ。そして、立ち入り禁止の壁を飛び越えた。
優奈が僕の家に初めて来た夜。
君は言ったね。
「夜って恋のためにあるのかな」
あの言葉以上に僕の心を刺激したものは無かったよ。
「わがままだよね」
君は目を伏せたけど、僕は一瞬、本当だなって感じたよ。
僕の病気が分かったから、僕は優奈の大切さが分かった。僕と優奈が出会えたことが奇跡だとも分かった。具体的に言葉で説明できる訳じゃない。でも、なんとなく分かった。
そうさ、僕と優奈は銀河の中で出会った。そして、僕の優奈への愛は深い。信じるよ、いつか聞いたあの星の神話。あんなに人を愛することができるのって思ったけど、できるんだね。僕はあと少しで死ぬ。僕はあと少ししか生きられない。生きてる間も死んだ後も僕の世界で君は女神だ。本当なら生きて、君をずっと守りたい。でも、無理なんだ。だから、僕が生きてる間だけでも、君を守りたい。
「拓真っ、やだ!」
ふと、優奈の切羽詰まった声が聞こえた。
その声でふと思う。僕は今、苦しい。
「優奈……」
そう言うのが精一杯だった。僕を見て優奈が
「願い事って儚いんだ。拓真が消えてゆきそう」
と悲しそうに呟く。目に涙が溜まっている。次の瞬間、僕の意識は暗黒に飲み込まれた。
優奈。君は僕の女神だ。そして僕は死んでも君のそばにいるよ。
拓真が残した手紙の最後の文にはそう書かれてた。
拓真。たとえ、道に迷っても私は小さな光を探すよ。 拓真と過ごした日々は宝物だよ。永遠なんて言わない。永遠に好きなんて根拠のないことは言わない。でも、今、私にとって拓真くんは大切なもの。
いつか私が死んだら、私は拓真のところに行くよ。そしたらまた楽しく過ごそうね。
私にとって拓真は王子様だよ。
拓真。好きだよ。
私が思ったことは夜空の中に甘く溶けた。 坂本さん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年6月21日みんなの答え:1件
優奈(ゆうな)は窓、夜空を流れる流星群に向かって手を合わせていた。小さなつぶやきが僕の耳に入る。
「拓真(たくま)の病気が治りますように」
ねえ、どうして流れ星に願い事をするの?宇宙の彼方に消えて行くのに、なんで?それに、祈ったって僕の病気は治らない。僕の病気には薬が無いんだから。
優奈は僕を見て悲しそうに笑った。整った顔立ち、華奢な体つき、白い肌。美人な優奈は高校の同級生。偶然、同じ大学に進学した。高校の時もそうだったけど同じ学科、学部の人から高嶺の花と言われていた。そんな優奈が僕のことを好きになってくれるなんて。僕の脳裏に優奈と過ごした日々が蘇った。
僕は立ち入り禁止の壁を飛び越えて走った。優奈が追いかけてきたけど、立ち入り禁止の壁を見て足が止まる。
「優奈、おいで」
僕と優奈は学校が嫌いだった。生徒を型にはめようとする学校が。優奈と僕は高校をサボって、あそこに行った。あれは、僕と優奈なりの学校への反抗だった。自由を手に入れたような気分だった。
「大丈夫かな」
不安がる優奈に僕は言った。
「ついておいで、秘密を作ろうよ」
優奈が微笑んだ。そして、立ち入り禁止の壁を飛び越えた。
優奈が僕の家に初めて来た夜。
君は言ったね。
「夜って恋のためにあるのかな」
あの言葉以上に僕の心を刺激したものは無かったよ。
「わがままだよね」
君は目を伏せたけど、僕は一瞬、本当だなって感じたよ。
僕の病気が分かったから、僕は優奈の大切さが分かった。僕と優奈が出会えたことが奇跡だとも分かった。具体的に言葉で説明できる訳じゃない。でも、なんとなく分かった。
そうさ、僕と優奈は銀河の中で出会った。そして、僕の優奈への愛は深い。信じるよ、いつか聞いたあの星の神話。あんなに人を愛することができるのって思ったけど、できるんだね。僕はあと少しで死ぬ。僕はあと少ししか生きられない。生きてる間も死んだ後も僕の世界で君は女神だ。本当なら生きて、君をずっと守りたい。でも、無理なんだ。だから、僕が生きてる間だけでも、君を守りたい。
「拓真っ、やだ!」
ふと、優奈の切羽詰まった声が聞こえた。
その声でふと思う。僕は今、苦しい。
「優奈……」
そう言うのが精一杯だった。僕を見て優奈が
「願い事って儚いんだ。拓真が消えてゆきそう」
と悲しそうに呟く。目に涙が溜まっている。次の瞬間、僕の意識は暗黒に飲み込まれた。
優奈。君は僕の女神だ。そして僕は死んでも君のそばにいるよ。
拓真が残した手紙の最後の文にはそう書かれてた。
拓真。たとえ、道に迷っても私は小さな光を探すよ。 拓真と過ごした日々は宝物だよ。永遠なんて言わない。永遠に好きなんて根拠のないことは言わない。でも、今、私にとって拓真くんは大切なもの。
いつか私が死んだら、私は拓真のところに行くよ。そしたらまた楽しく過ごそうね。
私にとって拓真は王子様だよ。
拓真。好きだよ。
私が思ったことは夜空の中に甘く溶けた。 坂本さん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年6月21日みんなの答え:1件
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わあぁっっ! いいね!すごい!
悲しい話だけど読みやすかったです!
流れ星、間近で見てみたいな…☆ のんのんびよりさん(選択なし・10さい)からの答え
とうこう日:2020年6月22日
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