叫び
「香織さーん、診察の時間でーす。」
機械的な看護師さんの声に私は横になっていた上半身を上げた。
もう結構な年の医者がゆっくりとした歩きで病室の中へ入ってくる。無機質な病室にはここには似つかない暖かい陽の光が降り注いでいた。
「香織ちゃん、変わりないかい?」
亀のような歩みや口調と反対にハイスピードで手慣れた診察を行っていく。
「別に。」
毎日の繰り返しにイラつきぶっきらぼうに答える。看護師と医者は苦笑いを浮かべながら部屋を出る。
脳に腫瘍だかを抱えてる私はもう長くないらしい。親が手術でなんとか出来ないかと各地の名医とやらに問いかけたが複雑な場所に出来ていて取ることは出来ないの一点張りだった。「無理だ」と言われる度に逃げられない絶望の穴へじりじりと追い詰められていた。
最初にこのことを伝えられたときは意味が分からなかった。診察結果を他の人のと間違えているんだって思ってたし、そう思うしかなかった。確かに最近頻繁な頭痛に悩まされていた。だからといってこんなことになるとは...。
駄目だ、こんなことを考えていては。余計に気持ちが暗くなってしまう。お話の続きを書こう。ばれないようにマットの下に隠しているピンクのノートをとる。私の唯一の友達。ボロボロに使い古された表紙を開け、思い付いたままに文字を書きなぐる。明るいお話なのにノートには涙の跡やぐしゃぐしゃな字が書かれていた。
同年代の女の子が賑やかな青春を過ごす話。今の場面はオシャレなカフェでゆっくりと本を読むシーン。次は何を書こう。...もし病気になっていなかったら自分もこんな日々を過ごしていたのだろうか。かつての同級生らはどんな日常を持っているのだろうか。
独りになるとすぐこんなことばかり考えてしまう
明日は来るのだろうか...。自分は今いつ倒れてもおかしくない状態らしい。だから元気でも外には行けない。もう行く気もなかった。街に出ても嫉妬の渦に巻き込まれるだけだ。この世に何かを残したかった。生きた証を。悔しさと哀しみに手が震える。何も考えないように紙飛行機を折る。どこぞの誰かさんは鶴お折ってたらしいが生憎そこまでの元気はない。そうして出来上がった紙飛行機を手にゆっくりとベッドから降りる。ずっと動かしてないせいか足は鉛のように重く感じられた。なんとか窓辺まで行き、窓を開ける。秋特有の少し肌寒い乾燥した空気が髪を撫でる。やっぱり外はいいなぁ。複数の感情が詰まった溜め息をこぼし、腕を後ろにひき構える。右手を前に振るとまっすぐに紙飛行機は飛んでいった。風に舞い上げられ上に行ったり、右に行ったり右往左往している。あぁまたいんちょーに怒られるかもなぁ。ま、いいか。
...自分もあの飛行機のように身を捨てられたら。恐怖も何もかも持って空へ溶けて行けたなら。どんなに素晴らしいか。でもいずれ私もそうなるときが来るだろう。もっと無様な死に方だろうが。どうせなら苦しくないのがいいな。いや、でもやっぱ死にたくない。生きていたい。もっと世界を見つめていたい。話したい、書きたい、動きたい、笑いたい、...泣きたい。
この気持ちをどうやったら吐き出せるか全く分からなかった。全身を貫く不安に身を任せるしかなかった。恐怖にも近い衝動にさっきの窓から顔を出し、大きな声で叫ぶ。ありったけの力を込めて。もう明日なんてどうでもいいんだ。今を生きられれば。ただ、ただまたやり直せるのなら。もっと、もっと...。 涙がせきを切ったように溢れてくる。泣き声が独りコダマする。
優雅に空を翔ぶ鳥が嘲笑うように暮れかけたオレンジに照らされた山々に消えていった。 冷凍食品の文化さん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年6月23日みんなの答え:1件
機械的な看護師さんの声に私は横になっていた上半身を上げた。
もう結構な年の医者がゆっくりとした歩きで病室の中へ入ってくる。無機質な病室にはここには似つかない暖かい陽の光が降り注いでいた。
「香織ちゃん、変わりないかい?」
亀のような歩みや口調と反対にハイスピードで手慣れた診察を行っていく。
「別に。」
毎日の繰り返しにイラつきぶっきらぼうに答える。看護師と医者は苦笑いを浮かべながら部屋を出る。
脳に腫瘍だかを抱えてる私はもう長くないらしい。親が手術でなんとか出来ないかと各地の名医とやらに問いかけたが複雑な場所に出来ていて取ることは出来ないの一点張りだった。「無理だ」と言われる度に逃げられない絶望の穴へじりじりと追い詰められていた。
最初にこのことを伝えられたときは意味が分からなかった。診察結果を他の人のと間違えているんだって思ってたし、そう思うしかなかった。確かに最近頻繁な頭痛に悩まされていた。だからといってこんなことになるとは...。
駄目だ、こんなことを考えていては。余計に気持ちが暗くなってしまう。お話の続きを書こう。ばれないようにマットの下に隠しているピンクのノートをとる。私の唯一の友達。ボロボロに使い古された表紙を開け、思い付いたままに文字を書きなぐる。明るいお話なのにノートには涙の跡やぐしゃぐしゃな字が書かれていた。
同年代の女の子が賑やかな青春を過ごす話。今の場面はオシャレなカフェでゆっくりと本を読むシーン。次は何を書こう。...もし病気になっていなかったら自分もこんな日々を過ごしていたのだろうか。かつての同級生らはどんな日常を持っているのだろうか。
独りになるとすぐこんなことばかり考えてしまう
明日は来るのだろうか...。自分は今いつ倒れてもおかしくない状態らしい。だから元気でも外には行けない。もう行く気もなかった。街に出ても嫉妬の渦に巻き込まれるだけだ。この世に何かを残したかった。生きた証を。悔しさと哀しみに手が震える。何も考えないように紙飛行機を折る。どこぞの誰かさんは鶴お折ってたらしいが生憎そこまでの元気はない。そうして出来上がった紙飛行機を手にゆっくりとベッドから降りる。ずっと動かしてないせいか足は鉛のように重く感じられた。なんとか窓辺まで行き、窓を開ける。秋特有の少し肌寒い乾燥した空気が髪を撫でる。やっぱり外はいいなぁ。複数の感情が詰まった溜め息をこぼし、腕を後ろにひき構える。右手を前に振るとまっすぐに紙飛行機は飛んでいった。風に舞い上げられ上に行ったり、右に行ったり右往左往している。あぁまたいんちょーに怒られるかもなぁ。ま、いいか。
...自分もあの飛行機のように身を捨てられたら。恐怖も何もかも持って空へ溶けて行けたなら。どんなに素晴らしいか。でもいずれ私もそうなるときが来るだろう。もっと無様な死に方だろうが。どうせなら苦しくないのがいいな。いや、でもやっぱ死にたくない。生きていたい。もっと世界を見つめていたい。話したい、書きたい、動きたい、笑いたい、...泣きたい。
この気持ちをどうやったら吐き出せるか全く分からなかった。全身を貫く不安に身を任せるしかなかった。恐怖にも近い衝動にさっきの窓から顔を出し、大きな声で叫ぶ。ありったけの力を込めて。もう明日なんてどうでもいいんだ。今を生きられれば。ただ、ただまたやり直せるのなら。もっと、もっと...。 涙がせきを切ったように溢れてくる。泣き声が独りコダマする。
優雅に空を翔ぶ鳥が嘲笑うように暮れかけたオレンジに照らされた山々に消えていった。 冷凍食品の文化さん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年6月23日みんなの答え:1件
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凄い... さいたまです!
泣けますね。プロが書いたみたい...。作家向いてるんじゃないですか?凄いです! さいたまさん(愛知・12さい)からの答え
とうこう日:2020年6月25日
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