【短編小説】君だよ、君なんだよ
______少女は、周りから浮かれていた。
特に天才な訳でもない。運動が苦手で、少し勉強が出来るだけのごく普通の優しい中学生2年生の少女。
しかし、極度に自分に自信がないのだ。
それ故に。自分は不要なのでは無いかと思い込み、誰にも相談する事なく1人で溜め込んで。やがて、教室から姿を消した。しかし、そんな彼女は、彼女が所属する吹奏楽部だけは、無断欠席も、退部もする事無く、続けており……。
いや、“続けていた”。そう。ある日から部活すらも来なくなり、連絡も取れなくなったのだ。
不安になった彼女の担当パートのパートリーダーである先輩は、学校や顧問の教師に相談無しに、ある日突然、1人で彼女の家に押しかけた______
「ずっと無断欠席しててすいませんでした!」
それが、少女の自宅から出て来た少女の第一声だった。
「ちょま、ちょまま!謝らないで……!事情は察せるから……今日来たのも、何にも連絡が無くて心配になったからだしさ」
彼女の先輩は、頭を下げる彼女に困惑するしかなくて。
「で、でも……先輩がこうして来るって事は、それだけ皆さんに迷惑をかけているんですよね……?それとも、さっさと退部しろって事ですか?」
「違うよ。心配だから来たの。それと……来れるならまた来てほしいなとも思って」
おどおどした様子の少女に、彼女の性格を知っている先輩は強く言う事は出来なくて。
「心配……?じ、自分の為に?そ、そんな自分なんかの心配をするなんて、勿体無いですよ……こんな迷惑をかけて、演奏もダメダメな自分なんかが、今戻っても皆さんの迷惑にしかなりませんし……」
「あーもう、そんな事ないのに……」
「で、でも……いっそ、自分より上手い人を勧誘してしまったほうが……」
ああ言えばこう言う。それも、長々とそのやり取りは繰り返される。
そして。
「いい加減にしろ!!」
先輩はついに痺れを切らしたのだった。
「ひっ……!すいませんすいません…!!」
「君は自分を見下しすぎなんだよ!
この前の演奏会、君が私のミスもカバーしてくれたから成功したし、君が周りに気を遣ってくれるから、うちのパートは気持ち良くパート練できる。それに……楽曲を悪くしない為に置く場所調整したりしてくれたり、早く来て譜面台準備もしてくれてさ。君にいつも助けられてるんだ」
「で、でも……」
怯える少女を、先輩は優しく抱き締めて囁いて。それでも少女はそれを否定しようと口を開くと、どこからか、二人にとって聞き慣れた声が聞こえて。
「やっと見つけた。なに1人で突っ走ってんの?パートリーダー」
「あんたも突っ走ってんじゃないか。ちったぁ加減しろよ……」
「みんな……!?な、なんでここに……」
声の主達は、同じパートのメンバーで。
「さっきの話聞いたけどさ。もっと自分に自信を持ちなよ。ウチらは貴方に助けられてるんだから。パートリーダーもウチらに相談しなよ?」
「おい、俺のセリフとるな!」
「……元気そうでよかったです。病気かと心配しました」
「はやく貴方の演奏、また聞かせてよ」
メンバーから発されるのは、そんな、少女を心配し待ち望む声。
「……ほら。君を思ってくれる仲間はいるじゃんか。
今の私のパートには……今のうちの中学吹部の演奏には必要なのは……君だよ、君なんだよ。だから……お願い、戻って来て、愛奈、あいな……」
メンバーに続いて、目尻に涙を浮かべながら、それでいて穏やかな笑みを浮かべながら、少女の名を呼ぶ先輩。それにつられたのか、愛奈と呼ばれた少女もまた、泣きだして。
「ホントに、本当にですか……?みなさんが、私をこんなにも思ってくれてるなんて……」
震えた事で、そう尋ねた。
「勿論だよ。だよね、みんな?」
「「「「「うん!」」」」
「っ……!
ありがとう、ございますっ……!」
認められた少女は、お礼を述べながら、ボロボロと涙を流す。そんな彼女を、先輩は優しく抱き締めたのであった______
そして翌日。朝イチの部室には、「ご迷惑をおかけしました。みなさん、ただいま」と笑みを浮かべる少女と、「おかえり、愛奈!!」と、少女の復帰を喜ぶメンバー達の姿があったとか。 蒼星さん(選択なし・15さい)からの相談
とうこう日:2020年7月1日みんなの答え:2件
______少女は、周りから浮かれていた。
特に天才な訳でもない。運動が苦手で、少し勉強が出来るだけのごく普通の優しい中学生2年生の少女。
しかし、極度に自分に自信がないのだ。
それ故に。自分は不要なのでは無いかと思い込み、誰にも相談する事なく1人で溜め込んで。やがて、教室から姿を消した。しかし、そんな彼女は、彼女が所属する吹奏楽部だけは、無断欠席も、退部もする事無く、続けており……。
いや、“続けていた”。そう。ある日から部活すらも来なくなり、連絡も取れなくなったのだ。
不安になった彼女の担当パートのパートリーダーである先輩は、学校や顧問の教師に相談無しに、ある日突然、1人で彼女の家に押しかけた______
「ずっと無断欠席しててすいませんでした!」
それが、少女の自宅から出て来た少女の第一声だった。
「ちょま、ちょまま!謝らないで……!事情は察せるから……今日来たのも、何にも連絡が無くて心配になったからだしさ」
彼女の先輩は、頭を下げる彼女に困惑するしかなくて。
「で、でも……先輩がこうして来るって事は、それだけ皆さんに迷惑をかけているんですよね……?それとも、さっさと退部しろって事ですか?」
「違うよ。心配だから来たの。それと……来れるならまた来てほしいなとも思って」
おどおどした様子の少女に、彼女の性格を知っている先輩は強く言う事は出来なくて。
「心配……?じ、自分の為に?そ、そんな自分なんかの心配をするなんて、勿体無いですよ……こんな迷惑をかけて、演奏もダメダメな自分なんかが、今戻っても皆さんの迷惑にしかなりませんし……」
「あーもう、そんな事ないのに……」
「で、でも……いっそ、自分より上手い人を勧誘してしまったほうが……」
ああ言えばこう言う。それも、長々とそのやり取りは繰り返される。
そして。
「いい加減にしろ!!」
先輩はついに痺れを切らしたのだった。
「ひっ……!すいませんすいません…!!」
「君は自分を見下しすぎなんだよ!
この前の演奏会、君が私のミスもカバーしてくれたから成功したし、君が周りに気を遣ってくれるから、うちのパートは気持ち良くパート練できる。それに……楽曲を悪くしない為に置く場所調整したりしてくれたり、早く来て譜面台準備もしてくれてさ。君にいつも助けられてるんだ」
「で、でも……」
怯える少女を、先輩は優しく抱き締めて囁いて。それでも少女はそれを否定しようと口を開くと、どこからか、二人にとって聞き慣れた声が聞こえて。
「やっと見つけた。なに1人で突っ走ってんの?パートリーダー」
「あんたも突っ走ってんじゃないか。ちったぁ加減しろよ……」
「みんな……!?な、なんでここに……」
声の主達は、同じパートのメンバーで。
「さっきの話聞いたけどさ。もっと自分に自信を持ちなよ。ウチらは貴方に助けられてるんだから。パートリーダーもウチらに相談しなよ?」
「おい、俺のセリフとるな!」
「……元気そうでよかったです。病気かと心配しました」
「はやく貴方の演奏、また聞かせてよ」
メンバーから発されるのは、そんな、少女を心配し待ち望む声。
「……ほら。君を思ってくれる仲間はいるじゃんか。
今の私のパートには……今のうちの中学吹部の演奏には必要なのは……君だよ、君なんだよ。だから……お願い、戻って来て、愛奈、あいな……」
メンバーに続いて、目尻に涙を浮かべながら、それでいて穏やかな笑みを浮かべながら、少女の名を呼ぶ先輩。それにつられたのか、愛奈と呼ばれた少女もまた、泣きだして。
「ホントに、本当にですか……?みなさんが、私をこんなにも思ってくれてるなんて……」
震えた事で、そう尋ねた。
「勿論だよ。だよね、みんな?」
「「「「「うん!」」」」
「っ……!
ありがとう、ございますっ……!」
認められた少女は、お礼を述べながら、ボロボロと涙を流す。そんな彼女を、先輩は優しく抱き締めたのであった______
そして翌日。朝イチの部室には、「ご迷惑をおかけしました。みなさん、ただいま」と笑みを浮かべる少女と、「おかえり、愛奈!!」と、少女の復帰を喜ぶメンバー達の姿があったとか。 蒼星さん(選択なし・15さい)からの相談
とうこう日:2020年7月1日みんなの答え:2件
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よかったです! っていうか少女・愛奈ちゃん
すごい才能持ってますね! くーぽんさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2021年8月27日 -
すごいですね! 素晴らしいです!
私も吹奏楽部に入っているので、重ねて読んでしまいました!!
続きが気になります! カワセミさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2020年7月5日
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