教科書の中(感想お願いします)
ある日、突然その子は現れた。
私が速さの問題で悩んでいた時、教科書の中に。鉛筆画のような子だった。もちろん平面だ。
ショートボブに、横髪だけが長いという独特な髪型。まつ毛が長いかわいい女の子。
いきなり現れたと思ったら、
「分速240mで進むハトは、秒速何mで進むでしょう。」
という文章題の文字の上にちょこんと座り、何やら手で空に文字を書きはじめた。しばらくすると、
「40m/min」
と、教科書と同じフォントで答えが浮かび上がってきた。
(この子誰よ!まあ、それは置いておき…。ありがたいけど、けさなきゃ。先生にこれ見られて当てられても困る。てか字のフォント確実に普通じゃない!)
消しゴムで答えを消そうとしたが、消えない。印刷用インクかよ。
先生が前に出てきて、説明できる人に挙手を促した。
私は、なんも考えてなさそうなボケッとした顔でやり過ごそうとした。けど、
「はい、じゃあ誰も手ぇ挙げないので余裕そうな小花さん!」
まじか。まあ、一応答えは言おう。
「40m/minです…」
「どうやって解いたの?」
はい、来ました。無理です。
「いや、あのー。そのー。」
「ん?」
「トイレ行ってきます…。」
「あ、そうですか。じゃあ、小花さんのかわりできる人ー!」
セーフだ。なんか色々先生深く考える人じゃないからよかった…。
トイレに入って、3分くらい真顔で居座り、また出て教室に戻った。
ちょうど授業が終わる時間で、チャイムが鳴った。
家にて。
また教科書をめくる。速さのページにあの子はいた。さっきのハトの問題の上で
くーこーくーこー言いながら仰向けで寝ていた。
デコピンで少女を叩いてみたら、
「ちょっと!何すんのよ!イッタァ。うわぁ、せっかく助けてあげたのにお礼がコレですかぁ?」
起きてこっちを睨みながら悪態をついている。
「てか、なんなのよ。あなた。人の教科書に勝手に現れて。」
「しょうがないから助けに来てあげただけ!別にアンタみたいなのの相手好きでしに来てるわけじゃないんだから!勉強のカミサマみたいなもんよ。しょうがないから、解き方も教えてあげるわよ。」
「そう。ありがと。助かるわ。」
「軽ッ!」
次の日も次の日も、教科書の中の少女はひとつひとつの問題をじっくり教えてくれた。
最初はイヤイヤだったけど、だんだん楽しくなってきた。
いつのまにか、教科書が黒板みたいになっていき、空白が埋まっていって、小説みたいになってしまった。
「やった!解けたじゃない!よかった〜!これでテスト対策は万全。希望の中学校に行けること間違いなし!これで、最後のテストか。ちょっと悲しいな。」
最後のテストって言ったら、うれしいはずなのに、少女は少し悲しそうな顔をしていた。
まあ、ちょっとは私に愛着わいたのかな?と思って、テスト当日を迎えた。
朝、教科書をまた開き、前から気になっていたことを聞いた。
「おはよ。前から気になってたんだけどさ、名前なんていうの。」
「ヒミツ。テストから帰ってきて、この教科書が要らなくなったら教えてあげる。」
「受かったらって事⁉自信ないよ…。」
「ダイジョブ。できるよ。」
彼女は優しく微笑んで、私を送り出した。
中学受験の問題を解く。スラスラ解けることに、びっくりした。あの子のおかげだな。
昔の私ならわからなかったであろう問題も。全部解けた。
家に帰ってきて、また教科書を開く、
「ねぇ、名前、教えてくれーーー」
そこにはもう少女はいなかった。その代わり、
「一花」
と、教科書フォントではない、手書きの文字が書かれていた。
昔事故で死んでしまった姉の名前…?
ううん、きっと気のせい。
今、私は志望校に通えている。またあの子に会えた時のため、新しい教科書を用意してあげよう。
また、いつか会えた時に。
次は、姉妹の話をしよう。
次は、もっと、ずっといてもらえるように。
終わり
感想お願いします。ちょっと話が薄っぺらいですかね。 地縛霊さん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2020年7月3日みんなの答え:1件
私が速さの問題で悩んでいた時、教科書の中に。鉛筆画のような子だった。もちろん平面だ。
ショートボブに、横髪だけが長いという独特な髪型。まつ毛が長いかわいい女の子。
いきなり現れたと思ったら、
「分速240mで進むハトは、秒速何mで進むでしょう。」
という文章題の文字の上にちょこんと座り、何やら手で空に文字を書きはじめた。しばらくすると、
「40m/min」
と、教科書と同じフォントで答えが浮かび上がってきた。
(この子誰よ!まあ、それは置いておき…。ありがたいけど、けさなきゃ。先生にこれ見られて当てられても困る。てか字のフォント確実に普通じゃない!)
消しゴムで答えを消そうとしたが、消えない。印刷用インクかよ。
先生が前に出てきて、説明できる人に挙手を促した。
私は、なんも考えてなさそうなボケッとした顔でやり過ごそうとした。けど、
「はい、じゃあ誰も手ぇ挙げないので余裕そうな小花さん!」
まじか。まあ、一応答えは言おう。
「40m/minです…」
「どうやって解いたの?」
はい、来ました。無理です。
「いや、あのー。そのー。」
「ん?」
「トイレ行ってきます…。」
「あ、そうですか。じゃあ、小花さんのかわりできる人ー!」
セーフだ。なんか色々先生深く考える人じゃないからよかった…。
トイレに入って、3分くらい真顔で居座り、また出て教室に戻った。
ちょうど授業が終わる時間で、チャイムが鳴った。
家にて。
また教科書をめくる。速さのページにあの子はいた。さっきのハトの問題の上で
くーこーくーこー言いながら仰向けで寝ていた。
デコピンで少女を叩いてみたら、
「ちょっと!何すんのよ!イッタァ。うわぁ、せっかく助けてあげたのにお礼がコレですかぁ?」
起きてこっちを睨みながら悪態をついている。
「てか、なんなのよ。あなた。人の教科書に勝手に現れて。」
「しょうがないから助けに来てあげただけ!別にアンタみたいなのの相手好きでしに来てるわけじゃないんだから!勉強のカミサマみたいなもんよ。しょうがないから、解き方も教えてあげるわよ。」
「そう。ありがと。助かるわ。」
「軽ッ!」
次の日も次の日も、教科書の中の少女はひとつひとつの問題をじっくり教えてくれた。
最初はイヤイヤだったけど、だんだん楽しくなってきた。
いつのまにか、教科書が黒板みたいになっていき、空白が埋まっていって、小説みたいになってしまった。
「やった!解けたじゃない!よかった〜!これでテスト対策は万全。希望の中学校に行けること間違いなし!これで、最後のテストか。ちょっと悲しいな。」
最後のテストって言ったら、うれしいはずなのに、少女は少し悲しそうな顔をしていた。
まあ、ちょっとは私に愛着わいたのかな?と思って、テスト当日を迎えた。
朝、教科書をまた開き、前から気になっていたことを聞いた。
「おはよ。前から気になってたんだけどさ、名前なんていうの。」
「ヒミツ。テストから帰ってきて、この教科書が要らなくなったら教えてあげる。」
「受かったらって事⁉自信ないよ…。」
「ダイジョブ。できるよ。」
彼女は優しく微笑んで、私を送り出した。
中学受験の問題を解く。スラスラ解けることに、びっくりした。あの子のおかげだな。
昔の私ならわからなかったであろう問題も。全部解けた。
家に帰ってきて、また教科書を開く、
「ねぇ、名前、教えてくれーーー」
そこにはもう少女はいなかった。その代わり、
「一花」
と、教科書フォントではない、手書きの文字が書かれていた。
昔事故で死んでしまった姉の名前…?
ううん、きっと気のせい。
今、私は志望校に通えている。またあの子に会えた時のため、新しい教科書を用意してあげよう。
また、いつか会えた時に。
次は、姉妹の話をしよう。
次は、もっと、ずっといてもらえるように。
終わり
感想お願いします。ちょっと話が薄っぺらいですかね。 地縛霊さん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2020年7月3日みんなの答え:1件
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すごい… 私の姉は、障害のせいで
私より早く死んじゃいました。
姉は脳に障害があるので、
勉強は私よりもはるかに出来ず
私が姉に勉強を教えて
いました。
一度でいいから
姉に勉強を教えてもらいたかった
です…。
そういうことを考えながら
これを読んだので
涙がボロボロでました…笑。
ありがとうございました。 kumaさん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2020年7月5日
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