たんぽぽ
俺は白澤陸斗。妹の香里奈の体が悪く、空気の綺麗な田舎に引っ越した。
妹のせいで友達と離れてしまった。友達はメールしようぜ!っていうけどやっぱりみんなとサッカーもしたいし、野球もしたい。喋るだけだと物足りない。それにここは田舎。東京の方が断然良かった。
「お兄ちゃん…。ごめんね…。わたしのせいでこんなところ引っ越して…。」
布団から顔を覗かせ、香里奈が言う。悪いのは香里奈の中にいるバイキンだ。
「陸斗?お花畑にでも行ったらどう?お花、香里奈にあげたらきっと治るわ。」
「はいはい。」
たんぽぽ花畑なんて何にも面白くない。
俺は花畑に寝転がった。太陽が眩しい。
そのままぐっすり眠ってしまった。何時間たっただろうか。小さな少女が見ているのに気がつき、俺は体を起こした。
少女は真っ白のワンピースを着ている。紙は金髪で長く伸びている。
「君は?」
「私が見えるの?」
「見えるけど…。」
少女の顔が明るくなった。
「私の名前、決めてよ!」
「名前を決める?って…。君、名前がないの?」
「うん。」
「えっと…。君はなにが好きなの?」
「たんぽぽかな。」
「じゃぁ、ポポはどう?」
「ポポ?いいね、それ!わたし、ポポ!」
ポポは走り回った。俺も楽しくなってきた。
「あなたはなんていう名前なの?」
「俺は陸斗。これからよろしく。」
「よろしく、陸斗君。」
綺麗な笑顔で行った。
「そろそろ夕方ね。帰らないといけないんじゃない?」
本当だ。もう夕方だ。帰らなければ。
「また明日。」
「また明日。」
そういって俺たちは別れた。
「お帰り。遅かったわね。」
「ごめん。楽しかったから。」
両親は笑った。
「それは良かった。実はここがつまらないかもと心配しててな。」
「そんなことない。とても楽しいよ。」
今日はあの花畑で眠った。星が綺麗だ。
「おはよう。陸斗君!」
目を覚ます。まだ太陽は出ていない。この声はあのポポだろう。
「おはよう。」
少女はなぜか昨日より背が伸びている気がした。ポポの周りには蝶が沢山飛んでいる。人気者だ。
「今日は木苺の取れる場所を教えてあげる。」
木苺、か。香里奈に持って帰ってやろう。
「ここよ。」
「わぁ。」
思わず声を出してしまった。とても綺麗だ。
「美味しいよ。」
木苺を取り、川で洗う。そして食べる。美味しかった。東京のステーキよりもさっぱりして、でも甘くて。
「妹が病気なんだ。これ、持っていってもいいかな…?」
「いいわね!持っていったらきっと喜ぶわ。」
その日は一旦家に帰り、妹に木苺をわたし、妹と外へ出た。
「空気がおいしいね、お兄ちゃん。」
「うん。そうだ!ポポに会おうよ。」
「ポポ?」
「俺の友達だよ。」
「おはよう。陸斗くん。そちらの子は?」
「ポポ、おはよう。こちらは妹の香里奈。」
ポポはまた背が伸びている。明日からは冬だ。
「陸斗くん、香里奈ちゃん、わたしね、冬は会えないんだ。ごめんね。」
どこか親戚のところにでも行くのだろう。ポポは口調も大人びている。
「そっか。じゃぁ今日はめいいっぱい楽しもうよ。」
「そうね。香里奈ちゃんも、ほら。」
ポポが妹に渡したのは黄色いたんぽぽだった。とても綺麗だ。
「ありがとう!」
香里奈は満面の笑みで答える。
「あそこの森に行こうよ!」
「うん!」
今日は森に行き、1日が終わった。待ち望んでいた春がきた。僕は最近体調の良くなっている香里奈と一緒に駆け出した。
「ポポ!」
「ポポちゃん!」
「おはよう!」
「ポポ!?」
ポポはしばらく見ないうちに背がとても高くなっていた。
ポポはいつもと違う、ふわふわのワンピースを着ていた。
「わたし、もうすぐ死ぬの。だから私の身代わりとして、これ。土に埋めてよ。あと、香里奈ちゃん、これ。」
ポポは近くにあったたんぽぽをそっと抜き、香里奈にあげた。…と共に光が出てきた。ポポの足が消えてゆく。
「ポポ!?」
ポポは消えてしまった。
二人寂しい雰囲気で家に帰る。
ポポからもらった何かの種を植えた。
次の日。芽が出ていた。
俺は一生懸命世話をした。
数日後、花が咲いた。たんぽぽだった。
綺麗なたんぽぽを見ていると、なんだかポポが綺麗な声で
「おはよう!」
って言ってるみたいだった。
それから香里奈の体調はぐんぐん良くなり、俺は東京に帰ることになってしまった。
でもポポはいつも何処かで見守っている気がした。 @@@@@@さん(大阪・11さい)からの相談
とうこう日:2020年7月8日みんなの答え:2件
妹のせいで友達と離れてしまった。友達はメールしようぜ!っていうけどやっぱりみんなとサッカーもしたいし、野球もしたい。喋るだけだと物足りない。それにここは田舎。東京の方が断然良かった。
「お兄ちゃん…。ごめんね…。わたしのせいでこんなところ引っ越して…。」
布団から顔を覗かせ、香里奈が言う。悪いのは香里奈の中にいるバイキンだ。
「陸斗?お花畑にでも行ったらどう?お花、香里奈にあげたらきっと治るわ。」
「はいはい。」
たんぽぽ花畑なんて何にも面白くない。
俺は花畑に寝転がった。太陽が眩しい。
そのままぐっすり眠ってしまった。何時間たっただろうか。小さな少女が見ているのに気がつき、俺は体を起こした。
少女は真っ白のワンピースを着ている。紙は金髪で長く伸びている。
「君は?」
「私が見えるの?」
「見えるけど…。」
少女の顔が明るくなった。
「私の名前、決めてよ!」
「名前を決める?って…。君、名前がないの?」
「うん。」
「えっと…。君はなにが好きなの?」
「たんぽぽかな。」
「じゃぁ、ポポはどう?」
「ポポ?いいね、それ!わたし、ポポ!」
ポポは走り回った。俺も楽しくなってきた。
「あなたはなんていう名前なの?」
「俺は陸斗。これからよろしく。」
「よろしく、陸斗君。」
綺麗な笑顔で行った。
「そろそろ夕方ね。帰らないといけないんじゃない?」
本当だ。もう夕方だ。帰らなければ。
「また明日。」
「また明日。」
そういって俺たちは別れた。
「お帰り。遅かったわね。」
「ごめん。楽しかったから。」
両親は笑った。
「それは良かった。実はここがつまらないかもと心配しててな。」
「そんなことない。とても楽しいよ。」
今日はあの花畑で眠った。星が綺麗だ。
「おはよう。陸斗君!」
目を覚ます。まだ太陽は出ていない。この声はあのポポだろう。
「おはよう。」
少女はなぜか昨日より背が伸びている気がした。ポポの周りには蝶が沢山飛んでいる。人気者だ。
「今日は木苺の取れる場所を教えてあげる。」
木苺、か。香里奈に持って帰ってやろう。
「ここよ。」
「わぁ。」
思わず声を出してしまった。とても綺麗だ。
「美味しいよ。」
木苺を取り、川で洗う。そして食べる。美味しかった。東京のステーキよりもさっぱりして、でも甘くて。
「妹が病気なんだ。これ、持っていってもいいかな…?」
「いいわね!持っていったらきっと喜ぶわ。」
その日は一旦家に帰り、妹に木苺をわたし、妹と外へ出た。
「空気がおいしいね、お兄ちゃん。」
「うん。そうだ!ポポに会おうよ。」
「ポポ?」
「俺の友達だよ。」
「おはよう。陸斗くん。そちらの子は?」
「ポポ、おはよう。こちらは妹の香里奈。」
ポポはまた背が伸びている。明日からは冬だ。
「陸斗くん、香里奈ちゃん、わたしね、冬は会えないんだ。ごめんね。」
どこか親戚のところにでも行くのだろう。ポポは口調も大人びている。
「そっか。じゃぁ今日はめいいっぱい楽しもうよ。」
「そうね。香里奈ちゃんも、ほら。」
ポポが妹に渡したのは黄色いたんぽぽだった。とても綺麗だ。
「ありがとう!」
香里奈は満面の笑みで答える。
「あそこの森に行こうよ!」
「うん!」
今日は森に行き、1日が終わった。待ち望んでいた春がきた。僕は最近体調の良くなっている香里奈と一緒に駆け出した。
「ポポ!」
「ポポちゃん!」
「おはよう!」
「ポポ!?」
ポポはしばらく見ないうちに背がとても高くなっていた。
ポポはいつもと違う、ふわふわのワンピースを着ていた。
「わたし、もうすぐ死ぬの。だから私の身代わりとして、これ。土に埋めてよ。あと、香里奈ちゃん、これ。」
ポポは近くにあったたんぽぽをそっと抜き、香里奈にあげた。…と共に光が出てきた。ポポの足が消えてゆく。
「ポポ!?」
ポポは消えてしまった。
二人寂しい雰囲気で家に帰る。
ポポからもらった何かの種を植えた。
次の日。芽が出ていた。
俺は一生懸命世話をした。
数日後、花が咲いた。たんぽぽだった。
綺麗なたんぽぽを見ていると、なんだかポポが綺麗な声で
「おはよう!」
って言ってるみたいだった。
それから香里奈の体調はぐんぐん良くなり、俺は東京に帰ることになってしまった。
でもポポはいつも何処かで見守っている気がした。 @@@@@@さん(大阪・11さい)からの相談
とうこう日:2020年7月8日みんなの答え:2件
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
2件中 1 〜 2件を表示
-
ポポさん… ふんわりとしたスカート、という表現が気に入りました!
白い綿毛のスカート。大好きです! マリンさん(大阪・12さい)からの答え
とうこう日:2020年7月13日 -
…感動… たった一つの花、たんぽぽにこれだけの話と想像力が詰められているのはすごいと思います! 負けぬが仏さん(大阪・12さい)からの答え
とうこう日:2020年7月9日
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
2件中 1 〜 2件を表示
-
- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
- カテゴリごとの新着相談
-
-
- AIと話せるならどんなことを話してみたい?06月26日
-
- インスタやってみたい!07月21日
-
- 友達が...07月22日
-
- 林間学校について07月22日
-
- 夏休みのレポート07月21日
-
- やっぱ私って変なのかな?07月21日
-
- 吃音症の治し方ってありますか?07月21日
-
- 部活の先輩・後輩関係07月21日
-
- 夏休みなのにゲーム全然できない07月21日
-
- 現ると参上と降臨07月22日
-
- 彼女できたけど話しにくい07月22日
-
- 帽子が大きすぎて目が隠れちゃう…07月21日
-
- 27時間テレビ見た???07月22日
-
- おすすめのアイマスク07月20日
-
- 運命の人は一度別れる04月25日
-
- 生きている価値が無い気がする07月21日
-
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する
・>>地元の相談窓口を探す
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。