天使の罪[ファンタジー恋愛小説]
手を伸ばしてももう届かない。何も掴めず空を切るだけだ。
「奏万(そうま)!おはよう!」
「おぉ、花梨(かりん)か。おはよう。」
俺のところに走ってきたのは花梨。優しくていつもどこか花のようないい匂いがするかわいい女の子だ。いつも長いふわふわした髪を1つにまとめている。小学校から高校までずっと同じ学校で、流石に大学は違うが、いわゆる幼馴染みってやつだ。そして俺はその花梨に片思いをしている。
「今日の晩御飯も俺の家で食べるか?」
「うん、お願い。いつもごめんね。」
花梨は小さい頃に親を失くし、20歳になった頃に唯一の親戚も亡くなり、現在天涯孤独で、親戚の残してくれたお金と、バイトをしてなんとか生計を立てている。そのため、俺の家で飯を食べることが多いのだ。
「別にいいよ。」
「…ありがとう!」
花梨は天使のような笑顔でそう言った。
そして、その日の夜中。
「う〜ん。」
俺はどういうわけか高熱が出た。不幸中の幸いだったのは花梨が帰った後だったことだ。その時突然、俺の寝ているベッドの横に“人らしき者”が現れた。窓から射し込む月明かりに照らされて“人らしき者”の姿が見えた。そいつは天使のような羽が生えており、長いふわふわした髪をしていた。そして、そいつは俺のおでこに手を当てた。すると体がスッと楽にっなった。
「あ…りがとう。」
やっとの思いでそういうとそいつは優しく微笑み、俺の唇にそっと唇を重ねた。
「ずっと大好きだよ、奏万。」
俺が戸惑っているうちに彼女はそう言い、消え去っていった。その声は紛れもなく花梨の声だった。不意に物凄い睡魔に襲われたので俺は倒れるように眠った。
次の日。
「…?」
何か違和感を感じた。でも、それが何なのかわからない。何かを忘れているようなモヤモヤした感じだ。とりあえず、俺は支度をして大学へ向かった。
「…。」
やはり違和感を感じる。いつもなら朝、誰かに挨拶をされているはず…いや、でも、そんな相手いない。なぜだ?なぜ俺はこんなことを思うんだ?その後一日過ごしても、違和感の正体はわからなかった。ただ、花のようないい匂いがなぜか印象に残った。
その日の夜。夢を見た。花梨と名乗る少女とデートをした夢だった。そして、彼女に唇を重ねられたところで目が覚めた。
「花梨…!」
そうだどうしてこんなことを忘れていたんだ!俺は急いでスマホを確認した。でも、花梨の名前はなかった。間違えて消しただけかもしれない。そう思って大学で花梨について聞いたが、そんな人は知らないとみんなに言われてしまった。
「嘘だろ…!?」
まさか彼女にはもう会えないんじゃないか。俺の熱を下げた天使は花梨だった。じゃあ、彼女は俺を助けたことにより、人間の世界にいられなくなってしまったのではないか。そう思うと涙がボロボロ溢れてきた。俺は泣き疲れるまでわんわんと泣いた。窓から見える月はいつもと変わらず綺麗だった。
〜どこかの裁判所〜
「カリン、お前は死神の邪魔をし死ぬべき人の寿命を延ばした。いくら天使とて許されぬことだ。」
「そうだ!」
「我らの邪魔をするな!」
「静粛に!えーよって、天使カリンお前は2度と人間界に行くことを禁ずる。」
裁判官は言い渡した。
「承知いたしました。」
カリンの反応に周りは驚いた。
「本当に良いのか?抗議しても良いのだぞ。抗議して何かが大きく変わるわけではないが…。それにお前が助けたのは想い人だろう?」
「えぇ。ですが、もう良いのです。彼が幸せに暮らしてくれれば。」
「…そうか。」
そして、彼女は静かに退場した。その目に涙が浮かんでいることを誰にも悟られないように。
いつかまた巡り会えたら、その時は、その時こそは、2人で幸せになれますように。
解説
花梨は生まれたときから天使でした。ただ、人間の子のふりをしていただけです。花梨の人間の家族はそれを知りませんでした。まあ、知ったとしても記憶を消されてしまうのですが…。天使は基本、死神の邪魔をしてはいけません。例え人間に情が移ってしまってもです。だけど、花梨は奏万を助けてしまいました。そして、お話に書いた通りです。いつかまた2人が出会い結ばれ、幸せになれるといいですね。 晴天さん(神奈川・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月13日みんなの答え:1件
「奏万(そうま)!おはよう!」
「おぉ、花梨(かりん)か。おはよう。」
俺のところに走ってきたのは花梨。優しくていつもどこか花のようないい匂いがするかわいい女の子だ。いつも長いふわふわした髪を1つにまとめている。小学校から高校までずっと同じ学校で、流石に大学は違うが、いわゆる幼馴染みってやつだ。そして俺はその花梨に片思いをしている。
「今日の晩御飯も俺の家で食べるか?」
「うん、お願い。いつもごめんね。」
花梨は小さい頃に親を失くし、20歳になった頃に唯一の親戚も亡くなり、現在天涯孤独で、親戚の残してくれたお金と、バイトをしてなんとか生計を立てている。そのため、俺の家で飯を食べることが多いのだ。
「別にいいよ。」
「…ありがとう!」
花梨は天使のような笑顔でそう言った。
そして、その日の夜中。
「う〜ん。」
俺はどういうわけか高熱が出た。不幸中の幸いだったのは花梨が帰った後だったことだ。その時突然、俺の寝ているベッドの横に“人らしき者”が現れた。窓から射し込む月明かりに照らされて“人らしき者”の姿が見えた。そいつは天使のような羽が生えており、長いふわふわした髪をしていた。そして、そいつは俺のおでこに手を当てた。すると体がスッと楽にっなった。
「あ…りがとう。」
やっとの思いでそういうとそいつは優しく微笑み、俺の唇にそっと唇を重ねた。
「ずっと大好きだよ、奏万。」
俺が戸惑っているうちに彼女はそう言い、消え去っていった。その声は紛れもなく花梨の声だった。不意に物凄い睡魔に襲われたので俺は倒れるように眠った。
次の日。
「…?」
何か違和感を感じた。でも、それが何なのかわからない。何かを忘れているようなモヤモヤした感じだ。とりあえず、俺は支度をして大学へ向かった。
「…。」
やはり違和感を感じる。いつもなら朝、誰かに挨拶をされているはず…いや、でも、そんな相手いない。なぜだ?なぜ俺はこんなことを思うんだ?その後一日過ごしても、違和感の正体はわからなかった。ただ、花のようないい匂いがなぜか印象に残った。
その日の夜。夢を見た。花梨と名乗る少女とデートをした夢だった。そして、彼女に唇を重ねられたところで目が覚めた。
「花梨…!」
そうだどうしてこんなことを忘れていたんだ!俺は急いでスマホを確認した。でも、花梨の名前はなかった。間違えて消しただけかもしれない。そう思って大学で花梨について聞いたが、そんな人は知らないとみんなに言われてしまった。
「嘘だろ…!?」
まさか彼女にはもう会えないんじゃないか。俺の熱を下げた天使は花梨だった。じゃあ、彼女は俺を助けたことにより、人間の世界にいられなくなってしまったのではないか。そう思うと涙がボロボロ溢れてきた。俺は泣き疲れるまでわんわんと泣いた。窓から見える月はいつもと変わらず綺麗だった。
〜どこかの裁判所〜
「カリン、お前は死神の邪魔をし死ぬべき人の寿命を延ばした。いくら天使とて許されぬことだ。」
「そうだ!」
「我らの邪魔をするな!」
「静粛に!えーよって、天使カリンお前は2度と人間界に行くことを禁ずる。」
裁判官は言い渡した。
「承知いたしました。」
カリンの反応に周りは驚いた。
「本当に良いのか?抗議しても良いのだぞ。抗議して何かが大きく変わるわけではないが…。それにお前が助けたのは想い人だろう?」
「えぇ。ですが、もう良いのです。彼が幸せに暮らしてくれれば。」
「…そうか。」
そして、彼女は静かに退場した。その目に涙が浮かんでいることを誰にも悟られないように。
いつかまた巡り会えたら、その時は、その時こそは、2人で幸せになれますように。
解説
花梨は生まれたときから天使でした。ただ、人間の子のふりをしていただけです。花梨の人間の家族はそれを知りませんでした。まあ、知ったとしても記憶を消されてしまうのですが…。天使は基本、死神の邪魔をしてはいけません。例え人間に情が移ってしまってもです。だけど、花梨は奏万を助けてしまいました。そして、お話に書いた通りです。いつかまた2人が出会い結ばれ、幸せになれるといいですね。 晴天さん(神奈川・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月13日みんなの答え:1件
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すごい!! めっちゃ感動だったわ!!何!?君もしかしてマンガ家?って言う
くらいうまかった!!ガチ泣きしたよ!!
また書いてね!! にっこり(≧ω≦)さん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2020年7月21日
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