先生忘れました
分からない、この人達。
起きたら知らない顔ばかりで、怖かった。記憶喪失だから、しょうがない。しょうがないけど、申し訳ない。
一人一人の顔を見渡す。
『覚えてなくて、ごめん。』
もし、私がその顔を覚えていたら…その鈍い顔は消せたかな?
「良かったら、遮(さえぎ)学園に来てね。」という文章。
「お母さん、何これ?」
「ん?あぁ、遮(さえぎ)学園の学園長から。6年C組の担任をしないか、だって。」
「え、私が元担任だったからって? そんなの、絶対に引き受けないから」
「こんにちは。私、川原柚華と言います。」
無理やり行かされてしまった… なんでこんなことに…
「先生、硬いなー」
生徒はゲラゲラ笑い、教師は心で泣いた。
《2か月後》
なんと楽しいのか!!
子供たちに得意教科を教えるだけ。しかも、この美味しい給食よ! まさにリア充!
(今日も頑張るぞ!)
「あの、柚華先生…、卒業公演のことですけど、『劇』をすることになりました。
自分たちで、卒業する前に全生徒の前で、クラスごとにお遊戯を披露するんです。」
「いいね。頑張ってね。」
「はい!」
その笑顔は、眩しかった。。。
「『最後、姫と勇者は幸せに暮らしたのでした』 最後はこうなりますが、いいでしょうか。」
[姫とか古くない?]
[確かに…]
こそこそと… 思ってることはちゃんと言えばいいのに…
「ねぇ、住吉さんと江川くんは、この案のこと、どう思ってるの?」
「…姫とか勇者とか古いと思います。」
「じゃあ、実話にしたら?先生が記憶喪失した時の話です。実話で嘘っぽくないし。」
「では、田中さんの案で、先生の実話にもとずいた劇という事で、いいですか。」
「はい。」
えーーーー! それから、私の止めも虚しく、私の実話話の製作は進んでいく。
しかし…
「うるさい。黙って、私がやるから。」
「ちょっと、勝手に何やってんのよ。」
「何でこんなにふざけんの。ここに、こんな絵要らないから。」
「でも、何で消したりなんか…俺の好きなキャラなのに」
「だからーーあ゛ー」
「待ってよ。皆、自己中すぎ。皆、自分がしたい・自分の方がって身勝手。
周りの人も、エスカレートしても知らないふり?なんで、それを止められないの?止めないの?
それを直せないのなら、劇は中止にするから。」
言い過ぎたかな… いや、これも皆のため。 皆ならできる。 信じてるもの。。。
〈ここでは、足立さんと佐山さんを入れて、話を盛り上げます。〉
〈色合いをもう少し明るくしようよ〉
〈先生、この時どういう状況でしたか?〉
〈先生、こんな感じですか?〉
私が叱ってから、生徒達は助け合うようになった。なんという成長!
私は、いつしか、生徒達を好むようになった。
私の周りには、生徒達がいる。頼ってくれる。
「この好ましい生徒と共に、劇を成功させたい」とも思うようになった。
本番当日。という事は、生徒達の卒業。私が担任したのは、小1かららしいけど、思い出せない。
たったの三か月しかない、生徒達の思い出を思い出す。
ビ――――――――――――――――
始まりの音が鳴り響く。
『いまだに知らないこの人たち。』
福田さんの綺麗な声が響く。
笠松さんの大きな声。
長谷川君の小さな音。
和田さんの上手な演技。
これかな。私が夢見ていたのは。
たったの3ヶ月しかない記憶でも、幸せになれた。
まだ何も思い出せないけど、この子たちの笑顔は、心の底に残っていたような気がした。
ビ――――――――――――――――
最後の音が鳴り響く。
このたったの10分間のために、生徒達と作り上げてきた時間で、他のクラスとは違う、特別なクラスになれた。
劇が終わるのと同時に、鈍く、激しい音がする。周りの人たちが集まる。
でも、私は…
満面の笑みで、私は眠り、幸せをつかんだ手の力が抜けた。
生徒たちの卒業を、見送りながら、劇と柚華の幕は、下りた。
了
長文ですみません。最初でして。
一人でも多くの人に読んで頂けたら、幸いです。
ささみんさん(山形・11さい)からの相談
とうこう日:2020年7月23日みんなの答え:1件
起きたら知らない顔ばかりで、怖かった。記憶喪失だから、しょうがない。しょうがないけど、申し訳ない。
一人一人の顔を見渡す。
『覚えてなくて、ごめん。』
もし、私がその顔を覚えていたら…その鈍い顔は消せたかな?
「良かったら、遮(さえぎ)学園に来てね。」という文章。
「お母さん、何これ?」
「ん?あぁ、遮(さえぎ)学園の学園長から。6年C組の担任をしないか、だって。」
「え、私が元担任だったからって? そんなの、絶対に引き受けないから」
「こんにちは。私、川原柚華と言います。」
無理やり行かされてしまった… なんでこんなことに…
「先生、硬いなー」
生徒はゲラゲラ笑い、教師は心で泣いた。
《2か月後》
なんと楽しいのか!!
子供たちに得意教科を教えるだけ。しかも、この美味しい給食よ! まさにリア充!
(今日も頑張るぞ!)
「あの、柚華先生…、卒業公演のことですけど、『劇』をすることになりました。
自分たちで、卒業する前に全生徒の前で、クラスごとにお遊戯を披露するんです。」
「いいね。頑張ってね。」
「はい!」
その笑顔は、眩しかった。。。
「『最後、姫と勇者は幸せに暮らしたのでした』 最後はこうなりますが、いいでしょうか。」
[姫とか古くない?]
[確かに…]
こそこそと… 思ってることはちゃんと言えばいいのに…
「ねぇ、住吉さんと江川くんは、この案のこと、どう思ってるの?」
「…姫とか勇者とか古いと思います。」
「じゃあ、実話にしたら?先生が記憶喪失した時の話です。実話で嘘っぽくないし。」
「では、田中さんの案で、先生の実話にもとずいた劇という事で、いいですか。」
「はい。」
えーーーー! それから、私の止めも虚しく、私の実話話の製作は進んでいく。
しかし…
「うるさい。黙って、私がやるから。」
「ちょっと、勝手に何やってんのよ。」
「何でこんなにふざけんの。ここに、こんな絵要らないから。」
「でも、何で消したりなんか…俺の好きなキャラなのに」
「だからーーあ゛ー」
「待ってよ。皆、自己中すぎ。皆、自分がしたい・自分の方がって身勝手。
周りの人も、エスカレートしても知らないふり?なんで、それを止められないの?止めないの?
それを直せないのなら、劇は中止にするから。」
言い過ぎたかな… いや、これも皆のため。 皆ならできる。 信じてるもの。。。
〈ここでは、足立さんと佐山さんを入れて、話を盛り上げます。〉
〈色合いをもう少し明るくしようよ〉
〈先生、この時どういう状況でしたか?〉
〈先生、こんな感じですか?〉
私が叱ってから、生徒達は助け合うようになった。なんという成長!
私は、いつしか、生徒達を好むようになった。
私の周りには、生徒達がいる。頼ってくれる。
「この好ましい生徒と共に、劇を成功させたい」とも思うようになった。
本番当日。という事は、生徒達の卒業。私が担任したのは、小1かららしいけど、思い出せない。
たったの三か月しかない、生徒達の思い出を思い出す。
ビ――――――――――――――――
始まりの音が鳴り響く。
『いまだに知らないこの人たち。』
福田さんの綺麗な声が響く。
笠松さんの大きな声。
長谷川君の小さな音。
和田さんの上手な演技。
これかな。私が夢見ていたのは。
たったの3ヶ月しかない記憶でも、幸せになれた。
まだ何も思い出せないけど、この子たちの笑顔は、心の底に残っていたような気がした。
ビ――――――――――――――――
最後の音が鳴り響く。
このたったの10分間のために、生徒達と作り上げてきた時間で、他のクラスとは違う、特別なクラスになれた。
劇が終わるのと同時に、鈍く、激しい音がする。周りの人たちが集まる。
でも、私は…
満面の笑みで、私は眠り、幸せをつかんだ手の力が抜けた。
生徒たちの卒業を、見送りながら、劇と柚華の幕は、下りた。
了
長文ですみません。最初でして。
一人でも多くの人に読んで頂けたら、幸いです。
ささみんさん(山形・11さい)からの相談
とうこう日:2020年7月23日みんなの答え:1件
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びっくりしました 最後、巡分満帆だったと思うのに、亡くなられてしまったことに驚きました。 とら(とら)とらい!!さん(山形・11さい)からの答え
とうこう日:2020年7月24日
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- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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