サヨナラの夏【短編小説】
宮原 碧(みやはら あおい)、中1。
一人称は“俺”だけど、性別は女。
本当は男に生まれたかったけど、中1にもなって、今さら男も女も無いよなと思い、隠している。
「う、寒っ」
9月の下旬。
肌寒い風が、俺の背中をすり抜けた。
もう、秋か。今年もあと3ヶ月で終わりか…。
放課後の委員会の仕事を終え、俺は校庭の真ん中を横切って、駅へ向かう。
ポカッ
「…いった!何だよ、もう」
頭に、少し硬いボールが当たった。
「あっ、碧か。ヘイ、パス!」
誰かとキャッチボールをしていたのか、同じクラスの高岡 悠(たかおか ゆう)が、こっちに手を振っている。
「ヘッタクソだなぁ!もっと練習しとけっ!」
俺が悠に向かって投げると、悠は少しボーッとしていたらしく、ボールは悠の頭に直撃した。
「何、やってんの!それでも野球部!?」
俺がそう笑いながら手に付いていた砂をパッパッと払い、悠の顔をのぞくと、悠はボールが当たった頭を押さえながら、少し赤くなっていた。
「…悠?顔、赤くなってるよ?大丈夫ー?」
俺がそう言うと、悠はハッと気づき、ボールを慌てて拾った。
「別に、何でもないし。あ、ボール、サンキュな」
俺はふと、校舎の時計を見ると、電車の時間がもうすぐだったので急いで駅へと向かって走った。
〜次の日〜
「ふわぁ〜、眠い眠い。…ん?」
あくびをしながら俺は昇降口に入り、下駄箱に手を入れた。すると、一通の手紙が入っていた。
『碧へ。好きだ。お前は男っぽいけど、その性格も含めて全部が好きだ。良かったら、返事が聞きたい。by悠』
その手紙を読んで、俺はドキッとした。
(ラブレター!?)
突然だったので声にはしなかったが、それでもびっくりした。
あの悠が、俺のことを好きだったなんて…。
早く教室に行って、悠に返事を言おう。
そう思い、急ぎ足で教室に向かった。
キーンコーンカーンコーン…
「はい、席ついて。まず、高岡悠くんについて少し話させてください。」
先生がそう言ったその瞬間、ざわついていた教室が、しん、となった。
「高岡悠くんは、明日でこの中学校を転校することになりました。」
先生がそう言うと、また教室がざわついた。
「なんで!?急すぎるだろ…」
「マジか…」
「どこに転校すんだよ…遠くとか、やめてよ…」
「静かに!…今日は、引っ越しの準備や手続きをするため、遅れて来るそうです。高岡くんが来るまで、お別れ会の計画をしたいのですが…」
俺は、そのあとの話が全然耳に入らなかった。
なんで、こんな時に俺に告白したんだよ…
昼休み。悠が、教室にやって来た。
と同時に、クラスの皆が悠の周りに集まった。
俺は緊張して、話しかけるタイミングがわからなかったので、とりあえず見守るだけにすることにした。
…と思いきや。
「碧、こっちに来い!!」
悠は俺の手首を掴んで、廊下に飛び出した。
教室の皆は色めきたち、男子に至っては、フゥ、フゥ、と冷やかしてきた。
「ゆ、悠、急に、なんなの!?」
「お前の返事、聞いてない」
「あ…」
俺は、悠に告白されたことを思い出した。
「お、俺は…」
「!お前の一人称、“俺”だったっけ?」
「あっ…」
俺は顔が真っ赤になり、恥ずかしくなった。
「…自分の性別が嫌いで、男になりたいって、ずっと思ってたんだ。でも、変だし、隠してたんだけど…」
「全然、変じゃねーよ。」
「…え?」
「オレは、お前のそういうところ、全部が好きなんだ。気にすることなんて、ねーだろ。」
俺は、感動して涙が出そうになった。
「…でも、悠は転校しちゃうじゃん。俺、寂しいよ。好きな人が引っ越して、離ればなれになるなんて、やだ。」
「碧…」
「俺、悠が好き。離れちゃうかもしれないけど、ずっと好きでいたい。」
「…うん。オレも…」
〜次の日〜
「ねぇ、本当にいいの?ホラ、俺と悠だけ、途中でお別れ会抜けちゃったでしょ。俺はまだしも、主役がいなくて、大丈夫なの?」
「別に、オレは碧と一緒にいれればいいから。」
「う、恥ずかしいよ!あと、ここ駅だし。悠の家族いるし。見られてるし。死にたいんですけど。」
「オレの親は、駅員と話してるから大丈夫、見てない。あと、死にたいんなら、オレと一緒に死ぬ?」
「もう、バカっ!…あ、新幹線来たよ!」
「じゃあ、これでお別れだな。」
「…悠、」
「何?」
「ん………じゃあね。」
「バカッ///…またな」
しばばんさん(埼玉・13さい)からの相談
とうこう日:2020年9月22日みんなの答え:2件
一人称は“俺”だけど、性別は女。
本当は男に生まれたかったけど、中1にもなって、今さら男も女も無いよなと思い、隠している。
「う、寒っ」
9月の下旬。
肌寒い風が、俺の背中をすり抜けた。
もう、秋か。今年もあと3ヶ月で終わりか…。
放課後の委員会の仕事を終え、俺は校庭の真ん中を横切って、駅へ向かう。
ポカッ
「…いった!何だよ、もう」
頭に、少し硬いボールが当たった。
「あっ、碧か。ヘイ、パス!」
誰かとキャッチボールをしていたのか、同じクラスの高岡 悠(たかおか ゆう)が、こっちに手を振っている。
「ヘッタクソだなぁ!もっと練習しとけっ!」
俺が悠に向かって投げると、悠は少しボーッとしていたらしく、ボールは悠の頭に直撃した。
「何、やってんの!それでも野球部!?」
俺がそう笑いながら手に付いていた砂をパッパッと払い、悠の顔をのぞくと、悠はボールが当たった頭を押さえながら、少し赤くなっていた。
「…悠?顔、赤くなってるよ?大丈夫ー?」
俺がそう言うと、悠はハッと気づき、ボールを慌てて拾った。
「別に、何でもないし。あ、ボール、サンキュな」
俺はふと、校舎の時計を見ると、電車の時間がもうすぐだったので急いで駅へと向かって走った。
〜次の日〜
「ふわぁ〜、眠い眠い。…ん?」
あくびをしながら俺は昇降口に入り、下駄箱に手を入れた。すると、一通の手紙が入っていた。
『碧へ。好きだ。お前は男っぽいけど、その性格も含めて全部が好きだ。良かったら、返事が聞きたい。by悠』
その手紙を読んで、俺はドキッとした。
(ラブレター!?)
突然だったので声にはしなかったが、それでもびっくりした。
あの悠が、俺のことを好きだったなんて…。
早く教室に行って、悠に返事を言おう。
そう思い、急ぎ足で教室に向かった。
キーンコーンカーンコーン…
「はい、席ついて。まず、高岡悠くんについて少し話させてください。」
先生がそう言ったその瞬間、ざわついていた教室が、しん、となった。
「高岡悠くんは、明日でこの中学校を転校することになりました。」
先生がそう言うと、また教室がざわついた。
「なんで!?急すぎるだろ…」
「マジか…」
「どこに転校すんだよ…遠くとか、やめてよ…」
「静かに!…今日は、引っ越しの準備や手続きをするため、遅れて来るそうです。高岡くんが来るまで、お別れ会の計画をしたいのですが…」
俺は、そのあとの話が全然耳に入らなかった。
なんで、こんな時に俺に告白したんだよ…
昼休み。悠が、教室にやって来た。
と同時に、クラスの皆が悠の周りに集まった。
俺は緊張して、話しかけるタイミングがわからなかったので、とりあえず見守るだけにすることにした。
…と思いきや。
「碧、こっちに来い!!」
悠は俺の手首を掴んで、廊下に飛び出した。
教室の皆は色めきたち、男子に至っては、フゥ、フゥ、と冷やかしてきた。
「ゆ、悠、急に、なんなの!?」
「お前の返事、聞いてない」
「あ…」
俺は、悠に告白されたことを思い出した。
「お、俺は…」
「!お前の一人称、“俺”だったっけ?」
「あっ…」
俺は顔が真っ赤になり、恥ずかしくなった。
「…自分の性別が嫌いで、男になりたいって、ずっと思ってたんだ。でも、変だし、隠してたんだけど…」
「全然、変じゃねーよ。」
「…え?」
「オレは、お前のそういうところ、全部が好きなんだ。気にすることなんて、ねーだろ。」
俺は、感動して涙が出そうになった。
「…でも、悠は転校しちゃうじゃん。俺、寂しいよ。好きな人が引っ越して、離ればなれになるなんて、やだ。」
「碧…」
「俺、悠が好き。離れちゃうかもしれないけど、ずっと好きでいたい。」
「…うん。オレも…」
〜次の日〜
「ねぇ、本当にいいの?ホラ、俺と悠だけ、途中でお別れ会抜けちゃったでしょ。俺はまだしも、主役がいなくて、大丈夫なの?」
「別に、オレは碧と一緒にいれればいいから。」
「う、恥ずかしいよ!あと、ここ駅だし。悠の家族いるし。見られてるし。死にたいんですけど。」
「オレの親は、駅員と話してるから大丈夫、見てない。あと、死にたいんなら、オレと一緒に死ぬ?」
「もう、バカっ!…あ、新幹線来たよ!」
「じゃあ、これでお別れだな。」
「…悠、」
「何?」
「ん………じゃあね。」
「バカッ///…またな」
しばばんさん(埼玉・13さい)からの相談
とうこう日:2020年9月22日みんなの答え:2件
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キュンキュンしました^^ とても面白かったです。私も恋バナ大好きなので続編も読みたいです。デートの話とか待ってます! 柴犬^^さん(広島・11さい)からの答え
とうこう日:2020年9月23日 -
すごいですね! 見ててとてもきゅんとしたのと可愛いなと思いました笑
碧ちゃんと悠くん、今後会えるといいなぁとか思ってました笑
また書いてくださいね!では!
マメトラさん(選択なし・14さい)からの答え
とうこう日:2020年9月23日
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