ある日常の1ページ
◯月×日 天気:晴れ
今日の掃除の分担は窓掃除だった。この季節になると、吹き込む風が冷たくて手がかじかむが、それでも外の景色を眺められるので、普通の教室掃除に比べると嬉しい。
ブラインドをまず上まで上げることを前の窓掃除の人から教わった。言われた通り、紐を引っ張ってブラインドを上げる。羽の向きが一度全て裏を向き、日の光がパッと教室に差し込んだ。窓際で掃除をしていた人は眩しそうにしていた。ちょっと申し訳ないけど、心の中で謝りながら急いでブラインドを上げた。
それから新聞紙で窓の拭き掃除をした。一番上まで拭くには、椅子に乗っても背が足りないから、とりあえずできるところまで。懸命に腕を伸ばすと疲れる。これから一週間、ずっとこれをするのはちょっと大変かも。
そして最後に、全部の窓を全開にして、外に付けられた転落防止用の手すりの拭き掃除をした。
一度、一歩引いて窓の様子を見た。開け放たれ、日の光を遮るブラインドもなくなった窓からは、外の景色がよく見えた。風に揺れる大木、澄み切った青い空。少し眩しいが、教室の中が一気に明るくなった。普段は気づかなかったけど、窓一つでこんなに室内の明るさは変わるものらしい。
もうすぐこの学校に通い始めて二年になるのに、初めての発見だった。
掃除の振り返りが終わると、みんなは一斉に窓に注目していた。
それもそのはず、眩しさの原因は窓だからだ。
私はそそくさと窓を閉めようとしたのに、
「え、閉めちゃうの?」「せっかく明るくなったのに……」
なんて声が聞こえるものだから、窓に伸ばそうとした手を止めて、少し考えた後、閉めるのをやめることにした。
窓、閉め忘れたことにしとこう。
校内の各所に散って掃除をしていたクラスメイトも、続々と教室に帰ってきた。そして、案の定窓に注目した。
誰か一人くらい「閉めなよ」と言う人もいそうだったのに、みんな「眩しいね」「でも良いね」なんて言っている。
窓際の自分の席に腰を下ろして、その様子をぼうっと眺めていた。
窓際の席に差し込む光はなかなかのものだったが、それでもみんな「窓を閉めよう」なんてことは言い出さなかった。
窓、閉め忘れたことにしとこう。
そんな変な団結力が生まれて、結局、誰一人として窓を閉めようとはしなかった。
明るくなった教室、吹き込む冷風。窓の外で巨体を揺らす大木。
その景色をじっと見ていた。ブラインドを上げて、窓を全開にしただけなのに、見える世界がまるで違うみたい。
しかし、そんな小さな非日常は、些細なきっかけで日常に戻る。
担任が教室に戻ってきた。
案の定窓に注目した。「眩しいね」「でも良いね」とは言わなかった。
ただ無言で窓を閉め、ブラインドを元の位置まで戻し始めた。
それが普通だから、みんなそれをとがめようとはしなかった。というかできなかった。かといって窓を閉める行為に加担する人もいなかった。
四つ全ての窓が閉ざされ、ブラインドが下りる。ただそれだけのはずなのに、まるで自分たちが密かに団結して守り続けた何かが崩れたようだった。その様子をぼうっと眺めていた。
日常に戻ったはずの教室は、なんだか暗く感じた。
それは今まで顔を出していた太陽がブラインドで遮られたからなのか、それとも別の理由かはわからない。
ただ、クラスメイトの口から次々と溢れるため息が、今日あまりにも印象的だった。 しゃぼんさん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年10月18日みんなの答え:1件
今日の掃除の分担は窓掃除だった。この季節になると、吹き込む風が冷たくて手がかじかむが、それでも外の景色を眺められるので、普通の教室掃除に比べると嬉しい。
ブラインドをまず上まで上げることを前の窓掃除の人から教わった。言われた通り、紐を引っ張ってブラインドを上げる。羽の向きが一度全て裏を向き、日の光がパッと教室に差し込んだ。窓際で掃除をしていた人は眩しそうにしていた。ちょっと申し訳ないけど、心の中で謝りながら急いでブラインドを上げた。
それから新聞紙で窓の拭き掃除をした。一番上まで拭くには、椅子に乗っても背が足りないから、とりあえずできるところまで。懸命に腕を伸ばすと疲れる。これから一週間、ずっとこれをするのはちょっと大変かも。
そして最後に、全部の窓を全開にして、外に付けられた転落防止用の手すりの拭き掃除をした。
一度、一歩引いて窓の様子を見た。開け放たれ、日の光を遮るブラインドもなくなった窓からは、外の景色がよく見えた。風に揺れる大木、澄み切った青い空。少し眩しいが、教室の中が一気に明るくなった。普段は気づかなかったけど、窓一つでこんなに室内の明るさは変わるものらしい。
もうすぐこの学校に通い始めて二年になるのに、初めての発見だった。
掃除の振り返りが終わると、みんなは一斉に窓に注目していた。
それもそのはず、眩しさの原因は窓だからだ。
私はそそくさと窓を閉めようとしたのに、
「え、閉めちゃうの?」「せっかく明るくなったのに……」
なんて声が聞こえるものだから、窓に伸ばそうとした手を止めて、少し考えた後、閉めるのをやめることにした。
窓、閉め忘れたことにしとこう。
校内の各所に散って掃除をしていたクラスメイトも、続々と教室に帰ってきた。そして、案の定窓に注目した。
誰か一人くらい「閉めなよ」と言う人もいそうだったのに、みんな「眩しいね」「でも良いね」なんて言っている。
窓際の自分の席に腰を下ろして、その様子をぼうっと眺めていた。
窓際の席に差し込む光はなかなかのものだったが、それでもみんな「窓を閉めよう」なんてことは言い出さなかった。
窓、閉め忘れたことにしとこう。
そんな変な団結力が生まれて、結局、誰一人として窓を閉めようとはしなかった。
明るくなった教室、吹き込む冷風。窓の外で巨体を揺らす大木。
その景色をじっと見ていた。ブラインドを上げて、窓を全開にしただけなのに、見える世界がまるで違うみたい。
しかし、そんな小さな非日常は、些細なきっかけで日常に戻る。
担任が教室に戻ってきた。
案の定窓に注目した。「眩しいね」「でも良いね」とは言わなかった。
ただ無言で窓を閉め、ブラインドを元の位置まで戻し始めた。
それが普通だから、みんなそれをとがめようとはしなかった。というかできなかった。かといって窓を閉める行為に加担する人もいなかった。
四つ全ての窓が閉ざされ、ブラインドが下りる。ただそれだけのはずなのに、まるで自分たちが密かに団結して守り続けた何かが崩れたようだった。その様子をぼうっと眺めていた。
日常に戻ったはずの教室は、なんだか暗く感じた。
それは今まで顔を出していた太陽がブラインドで遮られたからなのか、それとも別の理由かはわからない。
ただ、クラスメイトの口から次々と溢れるため息が、今日あまりにも印象的だった。 しゃぼんさん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年10月18日みんなの答え:1件
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良き 文章の雰囲気が好きです…!
特に大きなイベントがあるわけじゃないのに、読んでて楽しかった るりあめさん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2020年10月24日
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