リースを君に
「はい。これあげる。」
「……え?」
明らかに戸惑った様子の君。
まぁ、それもそのはず。
僕が彼女に差し出したのは、クリスマスリース。
確かにクリスマスは、今月だけど……今?
そんな事を考えている、いつもの顔だ。
「私、誕生日ならとっくに終わったけど……」
「あ、誕プレじゃないから。」
意味ありげな瞳で言うも、彼女は困っている様子。
(あ。いきなりじゃ分かんないか。)
部活帰りの君______僕が片思い中の佐那(さな)に突撃しようと決めたのは、ついさっき。
帰宅部の僕が、校舎をぶらついていたらある会話が聞こえた。
「……実はさ、俺佐那に告ろうかと思って」
"佐那"そして"告る"という単語に反応した僕は、一瞬で固まり、さり気なく耳をすませた。
「まじか!お前ら幼馴染だし、付き合えんじゃね?」
しばらく思考停止し。
(……あ、神崎君か)
と、気付く。
僕のクラスには、佐那。そして、神崎君がいる。
―――――神崎大地。イケメンでプレイボーイで人気者で、佐那と幼馴染。僕が欲しい物を全て持っている。
そんな面では、憧れている存在でもあった。
だけど……
「よっしゃ……。俺、今から告ってくるわ」
「え」
つい、緩みっぱなしだった口から声が漏れる。
慌てて口を押さえる。
ちらっと神崎君を見るが、どうやら気付いてないらしい。
(……あっぶな。)
・・・
二度目のフリーズした後。
今僕の頭の中にはある考えが浮かんだ。
"神崎君より先に佐那に告る"
これはかなり、ハードなミッションだ。
そもそも部活帰りの佐那に、偶然を装って待ち構えるのも変だ。
でも、だからといって唐突に告られても困るだろう。
―――――でも負けたくない。
そんな気持ちを胸に僕は、歩き出した。
リースは、偶然空き教室で見つけた。
でも僕は、それに一目惚れした。
赤と緑が主役のクリスマスリース。
いつもはっきりしていて、みんな主役の佐那にぴったりだ。
だから……つい。つい、ね?
片手に取っちゃった、という訳……。
そして、今に至る。
「ずっと好きでした。僕と付き合ってください。」
本当に唐突。唐突だけど、いつも僕を理解してくれる君なら分かってくれるんじゃないかな。
淡い期待を胸に、僕は返事を待つ。
……と。
しばらく放心状態だった佐那は、僕の目を見てきっぱり言った。
「ごめん、付き会えない。」
きっぱりだけど、冷たい響きで。
(……あ。失恋か)
何となく分かっていた。
でも、こうはっきりと言われると傷付くなぁ。
僕の胸に"傷心"というものが芽生えてきた。
その時。
「少なくともあんたとは。」
「……え?」
言われた意味が一瞬分からなかった。
「な、何で僕とは付き合えないの?」
ふと、頭に神崎君の姿がよぎる。
(まさか、先を……)
と、僕の考えを読み取ったかのように、佐那は言った。
「他の人は関係ないよ。だけどさ……」
その言葉に、さっきより重みを感じた。
そして、佐那は明らかに赤面ではない、顔の赤さで叫んだ。
「人が一生懸命作ったものを、勝手に告白の道具に使うとかサイッテー!」
唐突に怒鳴られた僕は、ピクッと震えた。
(人が作った?告白の道具?………あっ)
そして、思い出した。
「告白する」と言っていた、神崎君が手作りらしきリースを持っていたこと。
僕がいた気配がして、慌てて後ろの空き教室に隠していたこと。
そして、それを僕が横取りしたこと。
(あんな奴に佐那を渡すもんか。)
僕の中で創り上げられた"僕"により、まるで記憶が消されたみたいに。
人のプレゼントを盗んだお詫びに君に、特別なリースをあげるよ。
もっともそれは、人が謝る時の腕にそっくりだけどね。END
どうも、作者のゆにと申します(*´ω`*)
最近まともなお話の、小説書けてなかったので、ついでに男の子視点にも挑戦してみました!
可愛い恋のお話が書きたかったのに、狂った男の子を書いてしまった……(笑)
最後の人の腕にそっくりのリース分かりましたか?
最終的には、主人公は佐那ちゃんにも神崎君にも謝るのでした……END。
いつも温かいコメントありがとうございます♪
コメントくれた方の小説は読むようにしています。
また次作!ではー。 ゆにっこ。さん(福島・12さい)からの相談
とうこう日:2020年12月6日みんなの答え:11件
「……え?」
明らかに戸惑った様子の君。
まぁ、それもそのはず。
僕が彼女に差し出したのは、クリスマスリース。
確かにクリスマスは、今月だけど……今?
そんな事を考えている、いつもの顔だ。
「私、誕生日ならとっくに終わったけど……」
「あ、誕プレじゃないから。」
意味ありげな瞳で言うも、彼女は困っている様子。
(あ。いきなりじゃ分かんないか。)
部活帰りの君______僕が片思い中の佐那(さな)に突撃しようと決めたのは、ついさっき。
帰宅部の僕が、校舎をぶらついていたらある会話が聞こえた。
「……実はさ、俺佐那に告ろうかと思って」
"佐那"そして"告る"という単語に反応した僕は、一瞬で固まり、さり気なく耳をすませた。
「まじか!お前ら幼馴染だし、付き合えんじゃね?」
しばらく思考停止し。
(……あ、神崎君か)
と、気付く。
僕のクラスには、佐那。そして、神崎君がいる。
―――――神崎大地。イケメンでプレイボーイで人気者で、佐那と幼馴染。僕が欲しい物を全て持っている。
そんな面では、憧れている存在でもあった。
だけど……
「よっしゃ……。俺、今から告ってくるわ」
「え」
つい、緩みっぱなしだった口から声が漏れる。
慌てて口を押さえる。
ちらっと神崎君を見るが、どうやら気付いてないらしい。
(……あっぶな。)
・・・
二度目のフリーズした後。
今僕の頭の中にはある考えが浮かんだ。
"神崎君より先に佐那に告る"
これはかなり、ハードなミッションだ。
そもそも部活帰りの佐那に、偶然を装って待ち構えるのも変だ。
でも、だからといって唐突に告られても困るだろう。
―――――でも負けたくない。
そんな気持ちを胸に僕は、歩き出した。
リースは、偶然空き教室で見つけた。
でも僕は、それに一目惚れした。
赤と緑が主役のクリスマスリース。
いつもはっきりしていて、みんな主役の佐那にぴったりだ。
だから……つい。つい、ね?
片手に取っちゃった、という訳……。
そして、今に至る。
「ずっと好きでした。僕と付き合ってください。」
本当に唐突。唐突だけど、いつも僕を理解してくれる君なら分かってくれるんじゃないかな。
淡い期待を胸に、僕は返事を待つ。
……と。
しばらく放心状態だった佐那は、僕の目を見てきっぱり言った。
「ごめん、付き会えない。」
きっぱりだけど、冷たい響きで。
(……あ。失恋か)
何となく分かっていた。
でも、こうはっきりと言われると傷付くなぁ。
僕の胸に"傷心"というものが芽生えてきた。
その時。
「少なくともあんたとは。」
「……え?」
言われた意味が一瞬分からなかった。
「な、何で僕とは付き合えないの?」
ふと、頭に神崎君の姿がよぎる。
(まさか、先を……)
と、僕の考えを読み取ったかのように、佐那は言った。
「他の人は関係ないよ。だけどさ……」
その言葉に、さっきより重みを感じた。
そして、佐那は明らかに赤面ではない、顔の赤さで叫んだ。
「人が一生懸命作ったものを、勝手に告白の道具に使うとかサイッテー!」
唐突に怒鳴られた僕は、ピクッと震えた。
(人が作った?告白の道具?………あっ)
そして、思い出した。
「告白する」と言っていた、神崎君が手作りらしきリースを持っていたこと。
僕がいた気配がして、慌てて後ろの空き教室に隠していたこと。
そして、それを僕が横取りしたこと。
(あんな奴に佐那を渡すもんか。)
僕の中で創り上げられた"僕"により、まるで記憶が消されたみたいに。
人のプレゼントを盗んだお詫びに君に、特別なリースをあげるよ。
もっともそれは、人が謝る時の腕にそっくりだけどね。END
どうも、作者のゆにと申します(*´ω`*)
最近まともなお話の、小説書けてなかったので、ついでに男の子視点にも挑戦してみました!
可愛い恋のお話が書きたかったのに、狂った男の子を書いてしまった……(笑)
最後の人の腕にそっくりのリース分かりましたか?
最終的には、主人公は佐那ちゃんにも神崎君にも謝るのでした……END。
いつも温かいコメントありがとうございます♪
コメントくれた方の小説は読むようにしています。
また次作!ではー。 ゆにっこ。さん(福島・12さい)からの相談
とうこう日:2020年12月6日みんなの答え:11件
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ザ、クリスマス! ゆにちゃんどうも!11歳だけど小6女子のさもちぃです!
私も初めて小説投稿してみたけど乗んなかった〜…ってごめん!私の話しちゃった(汗)
はい!と言うことで今回の感想行きたいと思います!(*^ω^*)
まず、まさかの結末でしたね!
主人公は勝手に抱いたライバル心で先走ってしまった様ですね… 私はこんな結末になるとは想像出来ませんでした…(想像力飢えすぎ)あとクリスマスの小説いいなあと思いました!
ゆにちゃんの小説好きです!私も今度クリスマスの小説をチャレンジしてみます!!また次作も見ますね!ではまた!! さもちぃさん(福島・11さい)からの答え
とうこう日:2020年12月7日
11件中 11 〜 11件を表示
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- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
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