お疲れの貴女と年下の彼
やっと家の前までついて、ふぅと白い息を吐く。
かじかむ手を叱咤して鞄から鍵を取りだし、ドアを開ける。
「ただい、まっ!?」
「おかえりなさいっ!!」
玄関に入った瞬間に、彼が飛びついて来る。
でも思ったよりも衝撃はない。しっかり背中を支えてくれた大きな掌に、安堵を覚えた。
「まだ起きてたの? 寝ててよかったのに」
「……だって貴女がいないと寝れないんだもん、俺」
少しだけ不服そうに口を尖らせる彼に、セリフも相まってキュンとしてしまう。絶対、自分が可愛いって分かっててやってるでしょ。年下怖い。
「っていうか、手、冷たい」
「あー、新しい手袋買わないとなんだよねぇ」
忙しくてー、と私が笑うと、彼は私の両手首を優しく掴んで
「早く暖かくなって……」
と言いながら、彼自身の頬に当てた。
まるで私の手が、彼の頬を包み込んでいるように。
「え、あ」
目を閉じて頬をすりすりしてくる彼に、こちらがキャパオーバーしてしまう。
恥ずかしさMAX。今絶対顔赤い! と思っていると、案の定
「あ、顔赤くなった」
と指摘されてしまう。
「あれ、もっと赤くなった〜。暖まった?」
こくこくと頷くと、やっと手を離してくれた。そして彼は
「じゃあお風呂温め直すから、貴女はコートとか脱いじゃって」
そう言ってあっさり背を向ける。少し物足りなく思いながら、顔を手で扇いだ。
お風呂から上がってスキンケアをしていると、
「あがった?」
と言って、彼がひょこっと顔を出した。
「今日も、していい?」
そう問うてくるから、首を縦に振ると
「じゃあ待ってる!」
そう言ってリビングに戻って行った。
スキンケアを終えてリビングに向かうと、テーブルの上のドライヤーが目に入る。
私の毎日のご褒美。そうそれは、彼が私の髪を乾かしてくれること!
「はい、こーこ」
彼に案内されて、ソファに腰掛ける。彼はソファの後ろに立って髪を乾かしてくれる。
彼がソファで私が床って選択肢もあったんだけど、猛反対されたからこの形になった。申し訳ないとは思うけど、お風呂上がりのソファは最高だよね。寝てしまいそうになることだけが欠点です。
彼がドライヤーのスイッチを入れて、私の髪の毛を乾かしはじめる。
「お客様、痒いところはありませんかーっ?」
「ないでーすっ」
毎度のごとく美容師さんを気取る彼に、つい笑ってしまう。ドライヤーの音に負けないように、大きい声で喋っているのがまた面白い。私の答える声もいつもより大きくなる。
そして彼は意外と乾かすのが上手で、彼に乾かしてもらうと少し髪の毛の調子がいい気がする。最初は『愛のパワー?』なんてアホらしいことを思っていたけど、実はちゃんと調べてくれていたらしい。どうりで上手いわけだ。
最後に、軽く櫛で梳かしてもらって終わり。
「終わりでーす」
「ありがとーございまぁす……って、ぇ」
さて終わりだーと気を抜いた瞬間、後ろから抱きすくめられて驚いた。
ソファの後ろからだから、くっついてる面積は小さい。でも不意を突かれたからか、はたまた彼の抱きしめる力がいつもより強いのか。なんだかいつもの3割増しくらいに胸が鳴っている。
無言の彼に
「どうしたの?」
と声をかける。
すると一言だけ、本当に小さく
「なでなで、して……?」
と囁かれる。
お願いが可愛くてにやけながら、後ろに手を伸ばしてなでなでする。
「いつもありがとう、お疲れ様」
そうやって言うと、彼は少しだけ抱きしめる力を強めて
「一言足りない」
と拗ねたように呟いた。
「ありゃ、ばれた?」
「あたりまえ」
急かすように、私の肩にすりすりしてくる。
「ふふ、だーいすきだよ?」
彼のほうを振り向きながらそう言うと、
「俺も大好き」
と顔を赤らめた彼が、ふんわり笑った。 END
読んでくださりありがとうございます!楽しんでもらえたら幸いです。
臣です。おみ、と読みます。年下でも年上でもそうですが、疲れているときに甘やかしてくれる彼氏さんに憧れます(笑)皆さんの疲れを少しでも癒せたら、とっても嬉しいです。一週間お疲れ様でしたーっ!
感想やアドバイス、お待ちしてます。応援してくださる皆さん、大好きです!
※自分がされて傷つくことは、絶対にしないでください。 臣 さん(長野・14さい)からの相談
とうこう日:2020年12月17日みんなの答え:22件
かじかむ手を叱咤して鞄から鍵を取りだし、ドアを開ける。
「ただい、まっ!?」
「おかえりなさいっ!!」
玄関に入った瞬間に、彼が飛びついて来る。
でも思ったよりも衝撃はない。しっかり背中を支えてくれた大きな掌に、安堵を覚えた。
「まだ起きてたの? 寝ててよかったのに」
「……だって貴女がいないと寝れないんだもん、俺」
少しだけ不服そうに口を尖らせる彼に、セリフも相まってキュンとしてしまう。絶対、自分が可愛いって分かっててやってるでしょ。年下怖い。
「っていうか、手、冷たい」
「あー、新しい手袋買わないとなんだよねぇ」
忙しくてー、と私が笑うと、彼は私の両手首を優しく掴んで
「早く暖かくなって……」
と言いながら、彼自身の頬に当てた。
まるで私の手が、彼の頬を包み込んでいるように。
「え、あ」
目を閉じて頬をすりすりしてくる彼に、こちらがキャパオーバーしてしまう。
恥ずかしさMAX。今絶対顔赤い! と思っていると、案の定
「あ、顔赤くなった」
と指摘されてしまう。
「あれ、もっと赤くなった〜。暖まった?」
こくこくと頷くと、やっと手を離してくれた。そして彼は
「じゃあお風呂温め直すから、貴女はコートとか脱いじゃって」
そう言ってあっさり背を向ける。少し物足りなく思いながら、顔を手で扇いだ。
お風呂から上がってスキンケアをしていると、
「あがった?」
と言って、彼がひょこっと顔を出した。
「今日も、していい?」
そう問うてくるから、首を縦に振ると
「じゃあ待ってる!」
そう言ってリビングに戻って行った。
スキンケアを終えてリビングに向かうと、テーブルの上のドライヤーが目に入る。
私の毎日のご褒美。そうそれは、彼が私の髪を乾かしてくれること!
「はい、こーこ」
彼に案内されて、ソファに腰掛ける。彼はソファの後ろに立って髪を乾かしてくれる。
彼がソファで私が床って選択肢もあったんだけど、猛反対されたからこの形になった。申し訳ないとは思うけど、お風呂上がりのソファは最高だよね。寝てしまいそうになることだけが欠点です。
彼がドライヤーのスイッチを入れて、私の髪の毛を乾かしはじめる。
「お客様、痒いところはありませんかーっ?」
「ないでーすっ」
毎度のごとく美容師さんを気取る彼に、つい笑ってしまう。ドライヤーの音に負けないように、大きい声で喋っているのがまた面白い。私の答える声もいつもより大きくなる。
そして彼は意外と乾かすのが上手で、彼に乾かしてもらうと少し髪の毛の調子がいい気がする。最初は『愛のパワー?』なんてアホらしいことを思っていたけど、実はちゃんと調べてくれていたらしい。どうりで上手いわけだ。
最後に、軽く櫛で梳かしてもらって終わり。
「終わりでーす」
「ありがとーございまぁす……って、ぇ」
さて終わりだーと気を抜いた瞬間、後ろから抱きすくめられて驚いた。
ソファの後ろからだから、くっついてる面積は小さい。でも不意を突かれたからか、はたまた彼の抱きしめる力がいつもより強いのか。なんだかいつもの3割増しくらいに胸が鳴っている。
無言の彼に
「どうしたの?」
と声をかける。
すると一言だけ、本当に小さく
「なでなで、して……?」
と囁かれる。
お願いが可愛くてにやけながら、後ろに手を伸ばしてなでなでする。
「いつもありがとう、お疲れ様」
そうやって言うと、彼は少しだけ抱きしめる力を強めて
「一言足りない」
と拗ねたように呟いた。
「ありゃ、ばれた?」
「あたりまえ」
急かすように、私の肩にすりすりしてくる。
「ふふ、だーいすきだよ?」
彼のほうを振り向きながらそう言うと、
「俺も大好き」
と顔を赤らめた彼が、ふんわり笑った。 END
読んでくださりありがとうございます!楽しんでもらえたら幸いです。
臣です。おみ、と読みます。年下でも年上でもそうですが、疲れているときに甘やかしてくれる彼氏さんに憧れます(笑)皆さんの疲れを少しでも癒せたら、とっても嬉しいです。一週間お疲れ様でしたーっ!
感想やアドバイス、お待ちしてます。応援してくださる皆さん、大好きです!
※自分がされて傷つくことは、絶対にしないでください。 臣 さん(長野・14さい)からの相談
とうこう日:2020年12月17日みんなの答え:22件
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年下彼氏、いいねぇ……。 ゆるゆる〜ども!ゆるれんです(`・∀・´)
臣さん!こんばんは!
今回もいいお話!
読んでいてニヤニヤしてしまいました!
年下彼氏、ほしいなぁ。
可愛い!
もう、可愛すぎる〜!
あぁ、こんな彼氏に甘えたい……。
疲れた時の癒し〜!
今回も、すごくいいお話でした!
最近疲れているので、癒されました〜
こういうお話、すごく好きです!
それでは!
お体にお気をつけて。 ゆるれんさん(北海道・13さい)からの答え
とうこう日:2020年12月18日 -
臣ちゃぁぁん! タイトルで叫んでとうじょー!
...はい、ども!しーみょん♪だお!ヨロシクー!(*^o^*)
臣ちゃんっ!待ってたよぉ〜!!
私すっごく楽しみにしてた!!
じゃ、感想!!
わぁーお、すごいなぁ!!
キュンしたー!!
年下の彼氏...。
いいねー。
ほっこりしちゃった!!
臣ちゃん、文章上手すぎて、私ついていけないよぉ...。(私、一個しか採用されていないから。)
ううっ、臣ちゃんの小説にドキドキっとしちゃって...。
主人公、可愛い!
彼氏も可愛い!良いな良いなぁ♪(*^▽^*)
こーゆー小説、大好きっ!!
あ、長くなっちゃった!!
また楽しみにしてるよっ!
また見るね〜!
バイッ☆^_−☆ しーみょん♪@小説大好き!さん(千葉・12さい)からの答え
とうこう日:2020年12月18日
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- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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- 回答には相談に対する回答内容を投稿してください。過度に自己紹介等が書かれている場合は、スタッフにて削除・非公開対応を行わせていただきます。
- ニックネームを頻繁に変更して、「元○○」というような説明を記載することはやめてください。
- 1部のユーザーになりすましの投稿が行われています。なりすましの投稿はやめてください。
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