天使さんと悪魔さん
昔々あるところに、天使と悪魔がいました。
ある日、二人はお花を見つけました。
「引きちぎってやろうぜ」
悪魔は言いました。綺麗な花だったので、自分のものにしてしまおうと思ったのです。
「だめだよ、悪魔さん。むやみに引きちぎったら可哀相です」
天使は言いました。
「なんでだ?枯れていくだけじゃないか」
悪魔は首を傾げました。
どう言えば良いんだろう。天使は悩みました。でも、どうしたらいいかわかりませんでした。
しまいに天使は、
「もう、悪魔さんなんて嫌いっ……!」
そう言って、走り去ってしまいました。
嫌い、と言われた悪魔は、とぼとぼと帰りました。
なんで天使は、俺のことが嫌いなのだろうか。悪魔は悩みました。
悪魔は鏡の前に立って、自分の姿をまじまじと見つめました。
見つめているうちに、自分の頭に生えているツノが、不快に思えてきました。
「このツノがあるから、天使は俺が嫌いなんだ」
どうすれば良いんだろう。悪魔は考えました。
「……じゃあ、抜けばいい」
悪魔はそう言って、自らのツノに手をかけました。
その日、天使は悪魔と会う約束をしていました。
「よお」
その悪魔の声に振り向くと、天使は、可愛らしい瞳をまんまるくさせました。
「悪魔さん、ツノは……?」
天使は、恐る恐る聞きました。
……悪魔のツノが、なくなっていたのです。
「これはな」
悪魔は答えようとして、でもすこし空白ができました。
自分がなんでツノを抜いたのか、わからなかったのです。
「俺がやりたかったから、やったんだ!」
悪魔は、そう答えました。
天使に自分を、好きになってほしいから。そんなこと、自分が思うはずがないと信じていたからです。
「悪魔さん、ごめんなさい。今日は帰るね」
天使はそう言って、また走り去ってしまいました。
天使は、とぼとぼと帰りました。
自分が悪魔に、嫌いだなんて言ってしまったから……天使はそうやって、自分を責めました。
「謝らなきゃいけない」
天使は決意して、悪魔のもとへ出掛けて行きました。
こんこんこん。
「悪魔さん、悪魔さん。いらっしゃいますか」
扉越しに語りかけても、何の返事も返ってきません。
いないのかな。出直そう。天使が思った、そのときでした。
「う……ぁ」
扉の向こうから、うめき声が聞こえてきました。苦しそうな、辛そうな、悪魔のうなる声が。
「悪魔さん!?」
天使は驚いて、思わず扉を開きました。
扉の向こうにあったもの。
それは舞い堕ちる黒い羽根でした。
悪魔は、翼を引っ掻き、もごうとしていたのです。悪魔の瞳からは、光が消えていました。
「悪魔さん……っ!」
天使は悪魔の手を掴んで、強く、でも優しく握りしめました。
「て、んし?」
「悪魔さん、私は貴方が大好きですよ」
天使は悪魔に、そう語りかけました。
「その、濡れたように艶めく黒い翼も、鋭い目つきも……あのツノだって、大好きでしたよ」
今まで言えなかった本当の気持ち。
でも、それを聞いた悪魔は言いました。
「嘘だ」
と。
「俺は醜いんだ。醜いから嫌われるんだ」
と、苦しそうに言いました。
天使は、首を横に振りました。
「悪魔さんはとても美しいです」
そして天使は、こう続けました。
「どんな悪魔さんでも、私は悪魔さんを愛しています」
「……どんな、俺でも?」
「はい」
悪魔の瞳に、光が戻ってきました。
「俺もお前を愛していいか?天使」
「もちろんです」
開いた扉から光が差し、舞う悪魔の黒い羽根を照らしていました。
二人は、一緒に暮らすようになりました。悪魔のツノは、また新しく生えてきました。
でも悪魔は、天使に強く逆らえないようです。
「わぁ、綺麗なお花」
「そうだな。持って帰って……」
「ダメですよ?悪魔さん」
「あっ、す、すまん」
謝れるようになった悪魔に、天使はにっこり笑って言いました。
「明日またここに来よう?悪魔さん」
悪魔も少し笑って頷きました。
────ときたま、天使が疲れ果ててしまうことがあります。
そんなときは、悪魔がたくさん頑張るのです。
悪魔ですもの。少しずるくたっていいんです。
天使を助けるためならば。
どんな自分でも愛すと言ってくれた、天使のためならば、ね。 END
読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです。
臣です。おみ、と読みます。この小説は登校中に思いついて、文章組み立てながら学校に行ったのを覚えてます。危険(笑)絵本のような言葉遣いにしたくてこうなりました。
感想やアドバイス、お待ちしています。応援してくださる皆さん、大好きです!
※自分がされて嫌なこと・悲しいことは、絶対にしないでください。 臣 さん(長野・14さい)からの相談
とうこう日:2020年12月19日みんなの答え:21件
ある日、二人はお花を見つけました。
「引きちぎってやろうぜ」
悪魔は言いました。綺麗な花だったので、自分のものにしてしまおうと思ったのです。
「だめだよ、悪魔さん。むやみに引きちぎったら可哀相です」
天使は言いました。
「なんでだ?枯れていくだけじゃないか」
悪魔は首を傾げました。
どう言えば良いんだろう。天使は悩みました。でも、どうしたらいいかわかりませんでした。
しまいに天使は、
「もう、悪魔さんなんて嫌いっ……!」
そう言って、走り去ってしまいました。
嫌い、と言われた悪魔は、とぼとぼと帰りました。
なんで天使は、俺のことが嫌いなのだろうか。悪魔は悩みました。
悪魔は鏡の前に立って、自分の姿をまじまじと見つめました。
見つめているうちに、自分の頭に生えているツノが、不快に思えてきました。
「このツノがあるから、天使は俺が嫌いなんだ」
どうすれば良いんだろう。悪魔は考えました。
「……じゃあ、抜けばいい」
悪魔はそう言って、自らのツノに手をかけました。
その日、天使は悪魔と会う約束をしていました。
「よお」
その悪魔の声に振り向くと、天使は、可愛らしい瞳をまんまるくさせました。
「悪魔さん、ツノは……?」
天使は、恐る恐る聞きました。
……悪魔のツノが、なくなっていたのです。
「これはな」
悪魔は答えようとして、でもすこし空白ができました。
自分がなんでツノを抜いたのか、わからなかったのです。
「俺がやりたかったから、やったんだ!」
悪魔は、そう答えました。
天使に自分を、好きになってほしいから。そんなこと、自分が思うはずがないと信じていたからです。
「悪魔さん、ごめんなさい。今日は帰るね」
天使はそう言って、また走り去ってしまいました。
天使は、とぼとぼと帰りました。
自分が悪魔に、嫌いだなんて言ってしまったから……天使はそうやって、自分を責めました。
「謝らなきゃいけない」
天使は決意して、悪魔のもとへ出掛けて行きました。
こんこんこん。
「悪魔さん、悪魔さん。いらっしゃいますか」
扉越しに語りかけても、何の返事も返ってきません。
いないのかな。出直そう。天使が思った、そのときでした。
「う……ぁ」
扉の向こうから、うめき声が聞こえてきました。苦しそうな、辛そうな、悪魔のうなる声が。
「悪魔さん!?」
天使は驚いて、思わず扉を開きました。
扉の向こうにあったもの。
それは舞い堕ちる黒い羽根でした。
悪魔は、翼を引っ掻き、もごうとしていたのです。悪魔の瞳からは、光が消えていました。
「悪魔さん……っ!」
天使は悪魔の手を掴んで、強く、でも優しく握りしめました。
「て、んし?」
「悪魔さん、私は貴方が大好きですよ」
天使は悪魔に、そう語りかけました。
「その、濡れたように艶めく黒い翼も、鋭い目つきも……あのツノだって、大好きでしたよ」
今まで言えなかった本当の気持ち。
でも、それを聞いた悪魔は言いました。
「嘘だ」
と。
「俺は醜いんだ。醜いから嫌われるんだ」
と、苦しそうに言いました。
天使は、首を横に振りました。
「悪魔さんはとても美しいです」
そして天使は、こう続けました。
「どんな悪魔さんでも、私は悪魔さんを愛しています」
「……どんな、俺でも?」
「はい」
悪魔の瞳に、光が戻ってきました。
「俺もお前を愛していいか?天使」
「もちろんです」
開いた扉から光が差し、舞う悪魔の黒い羽根を照らしていました。
二人は、一緒に暮らすようになりました。悪魔のツノは、また新しく生えてきました。
でも悪魔は、天使に強く逆らえないようです。
「わぁ、綺麗なお花」
「そうだな。持って帰って……」
「ダメですよ?悪魔さん」
「あっ、す、すまん」
謝れるようになった悪魔に、天使はにっこり笑って言いました。
「明日またここに来よう?悪魔さん」
悪魔も少し笑って頷きました。
────ときたま、天使が疲れ果ててしまうことがあります。
そんなときは、悪魔がたくさん頑張るのです。
悪魔ですもの。少しずるくたっていいんです。
天使を助けるためならば。
どんな自分でも愛すと言ってくれた、天使のためならば、ね。 END
読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです。
臣です。おみ、と読みます。この小説は登校中に思いついて、文章組み立てながら学校に行ったのを覚えてます。危険(笑)絵本のような言葉遣いにしたくてこうなりました。
感想やアドバイス、お待ちしています。応援してくださる皆さん、大好きです!
※自分がされて嫌なこと・悲しいことは、絶対にしないでください。 臣 さん(長野・14さい)からの相談
とうこう日:2020年12月19日みんなの答え:21件
21件中 21 〜 21件を表示
-
絵本みたーい! ども!しーみょん♪だお!ヨロシクー!(^^)
臣ちゃんの小説だ...。うらやましい。
私、楽しみにしてたっ!
じゃ、感想!
面白かったよっ!
本当に絵本みたーい。(笑)
まじすごいよ!
こんな小説も書けるなんて!
私憧れるー!!
私書いても全然採用してくれないんだよねー。
でも臣ちゃんの小説で私も頑張るよっ!!(^○^)
いつも豪華?な小説ありがとね!!
また楽しみにしてるっ!!
また見るねー!!
私も頑張るから、臣ちゃんも無理しないで頑張ってね!!
バイッ☆(^^)/ しーみょん♪@小説大好き!さん(千葉・12さい)からの答え
とうこう日:2020年12月20日
21件中 21 〜 21件を表示
-
- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
- カテゴリごとの新着相談
-
-
- AIと話せるならどんなことを話してみたい?06月26日
-
- 怪しい通知07月19日
-
- 苦手な人が邪魔してくる07月19日
-
- マスク焼けをしててもマスクを外したら治る??07月19日
-
- 通知表勝手に見せられた07月19日
-
- 中学受験の親との戦い07月19日
-
- 生理急にこなくなった、、、07月18日
-
- 汗がすごい07月19日
-
- 部活の友達関係07月19日
-
- 百均ホイップデコについて07月19日
-
- 推しの子好きな人いる?07月19日
-
- 脈ありかな???07月19日
-
- 垢ぬけ07月19日
-
- 人を睨みつけて、幸せになるんですか?07月19日
-
- 助けて、、07月19日
-
- いと04月23日
-
- 一人称を「うち」から「私」にしたい!07月19日
-
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する
・>>地元の相談窓口を探す
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。