君がいた世界で、生きていた僕
「私、病気だったの。今まで、だまっててごめんね。」
この言葉から、僕の心はガラス玉のように ヒビ がはいった。
「え?うそだろ?何だよ〜びっくりしたじゃんか。希未(のぞみ)」
希未というのは、彼女の名前だ。
でも、希未の目は変わらなくて。首をたてには、ふってくれなかった。
「...」
「本...当...なのか。何で言わなかった?」
僕は怒りを、僕の 彼女 なのにこんな事を、病気だって事を教えてくれなかった怒りを、押さえながら聞く。
「だって、何か彼女が病気だったら、嫌って思われそうじゃん?」
「だれが思うかよ!そんな事...」
今までの怒りが少しもれてしまった自分に反省しながらも、希未を見る。
希未は悲しげな目をしながら、その唇を開く。
「陸翔(りくと)くんのためだよ?陸翔くんが心配するって思ったから!言わなかったんじゃん」
陸翔は僕の名前だ。
「僕は、言ってほしかったよ?心配する、とかじゃなくて、あ一、その何か、こう...」
と言葉がつまる。希未が怒っていたからだ。
「陸翔くん、私の気持ち分かるの?恋人に心配させたくないって!私、今までこの病気のせいで、仲間はずれになったのも知らずに!」
「仲、間、はずれ...」
そうか。希未が転校してきた理由。それは、病気だったから。
今まで1人でこの病気をせおって。友達にも、彼氏にも、うちあけてなくて。
こんな女の子1人に不安にさせて。僕は、何で気がつかなかったのだろう。
「...ごめん。何で怒っちゃったんだろ。陸翔くんが悪いはずないのに」
「僕の方こそ、ごめん。」
「「ふふっ」」
なぜだろう。
笑ってしまうほど、おかしいように感じた。
「それでね。明日から、入院する。その病院は、私が転校する前の所にあるから、その、今日で...さよなら、なの」
[さよなら、なの]
僕の頭の中にその言葉がひびく。
「え...?」
「...本当だったらさ。私たち一緒の高校行って、けっこんして。子供産んで、幸せにくらす、はずだったのにな」
[生きるよ!希未だったら、絶対!」
そう言いたいはずなのに、涙があふれるだけで、僕の唇は動かない。
どんなに、がんばれって言っても、不安な気持ちをふやしてしまうから。
一番希未のことが分かるのは、希未自身なのだから。
そういう考えが頭をよぎる。
「そんな未来だったら、希望にあふれていたら、楽しかっただろうなぁ...」
「...じゃあね。陸翔くん。この手紙、私が死んでからよんでよ?さよなら、陸翔くん」
「さよなら。希、未」
わたされたのは、手紙だった。
僕は小さな背中を見送る。
こうやって[希未]って言うのも最後なのかな、と思うと、また目の前がにじむ。
最後、なはずなのに、最愛の人のすがたは、涙でよく見えなかった。
その次の日。希未が入院する日。僕は自分の部屋で、希未からもらった手紙を見つめる。
一読んでいいのだろうか一
希未には[死んでからよんでよ?]って言われたけど。
僕は、なやみながらも、よむことにした。
陸翔くんへ
私がいなくなった世界は、どうなってるんだろう?
陸翔くん
私の入院してた病院って、どこだと思う?
あそこだよ。「青空病院」一番近い所。
ごめんね。迷惑かけたくないからって言わなかった。
がんばれ!陸翔くん
希未より
え?
「青空病院」って家の近くの?
マジかよ。
ありがと、希未。
僕は、雨がふっているのも気にせずに走る。
ようやく、青空病院についたころ、雨はあがっていて。
そっと、光が差し始めた。
青空にかかる虹は、僕と希未をつなぐ橋のようだ。
「希末!」
「陸翔くん...。遅いよ?私が手紙わたしたら、絶対よむと思ったし」
やっぱり。別にあの手紙は、あの時わたさなくても良かったしね。
「不安...なんだろ?」
「ふふっ。陸翔くんには、バレてたか。」
「そうだよ、バレるよ?...僕がずっとそばにいるから。その不安、受けとめるから亅
「ありがとう。...心、強いなぁ。」
こうして僕達は、毎日話して、笑った。
希未が旅立つ日まで
1週間後
その日、希未は亡くなった。
僕が来れない夜に。
まったく。
最後まで、人に迷惑かけたくなくて、その気持ちが逆に心配にさせて。
でも、そんな希未がいたからこそ、楽しかった。
最後くらい、僕のこと、たよっても良かったんだよ?
「ありがとう。」
僕は空を見上げながら、その言葉を言う。
その空には、希未がいる気がする、ううん、絶対いて。
泣いているのに、希未がほほえんでいたってことは、確かに分かる。
僕のほおを伝った涙が落ちた季節は、寒い冬の出来事だった。
〜end〜 ほのさん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2020年12月31日みんなの答え:4件
この言葉から、僕の心はガラス玉のように ヒビ がはいった。
「え?うそだろ?何だよ〜びっくりしたじゃんか。希未(のぞみ)」
希未というのは、彼女の名前だ。
でも、希未の目は変わらなくて。首をたてには、ふってくれなかった。
「...」
「本...当...なのか。何で言わなかった?」
僕は怒りを、僕の 彼女 なのにこんな事を、病気だって事を教えてくれなかった怒りを、押さえながら聞く。
「だって、何か彼女が病気だったら、嫌って思われそうじゃん?」
「だれが思うかよ!そんな事...」
今までの怒りが少しもれてしまった自分に反省しながらも、希未を見る。
希未は悲しげな目をしながら、その唇を開く。
「陸翔(りくと)くんのためだよ?陸翔くんが心配するって思ったから!言わなかったんじゃん」
陸翔は僕の名前だ。
「僕は、言ってほしかったよ?心配する、とかじゃなくて、あ一、その何か、こう...」
と言葉がつまる。希未が怒っていたからだ。
「陸翔くん、私の気持ち分かるの?恋人に心配させたくないって!私、今までこの病気のせいで、仲間はずれになったのも知らずに!」
「仲、間、はずれ...」
そうか。希未が転校してきた理由。それは、病気だったから。
今まで1人でこの病気をせおって。友達にも、彼氏にも、うちあけてなくて。
こんな女の子1人に不安にさせて。僕は、何で気がつかなかったのだろう。
「...ごめん。何で怒っちゃったんだろ。陸翔くんが悪いはずないのに」
「僕の方こそ、ごめん。」
「「ふふっ」」
なぜだろう。
笑ってしまうほど、おかしいように感じた。
「それでね。明日から、入院する。その病院は、私が転校する前の所にあるから、その、今日で...さよなら、なの」
[さよなら、なの]
僕の頭の中にその言葉がひびく。
「え...?」
「...本当だったらさ。私たち一緒の高校行って、けっこんして。子供産んで、幸せにくらす、はずだったのにな」
[生きるよ!希未だったら、絶対!」
そう言いたいはずなのに、涙があふれるだけで、僕の唇は動かない。
どんなに、がんばれって言っても、不安な気持ちをふやしてしまうから。
一番希未のことが分かるのは、希未自身なのだから。
そういう考えが頭をよぎる。
「そんな未来だったら、希望にあふれていたら、楽しかっただろうなぁ...」
「...じゃあね。陸翔くん。この手紙、私が死んでからよんでよ?さよなら、陸翔くん」
「さよなら。希、未」
わたされたのは、手紙だった。
僕は小さな背中を見送る。
こうやって[希未]って言うのも最後なのかな、と思うと、また目の前がにじむ。
最後、なはずなのに、最愛の人のすがたは、涙でよく見えなかった。
その次の日。希未が入院する日。僕は自分の部屋で、希未からもらった手紙を見つめる。
一読んでいいのだろうか一
希未には[死んでからよんでよ?]って言われたけど。
僕は、なやみながらも、よむことにした。
陸翔くんへ
私がいなくなった世界は、どうなってるんだろう?
陸翔くん
私の入院してた病院って、どこだと思う?
あそこだよ。「青空病院」一番近い所。
ごめんね。迷惑かけたくないからって言わなかった。
がんばれ!陸翔くん
希未より
え?
「青空病院」って家の近くの?
マジかよ。
ありがと、希未。
僕は、雨がふっているのも気にせずに走る。
ようやく、青空病院についたころ、雨はあがっていて。
そっと、光が差し始めた。
青空にかかる虹は、僕と希未をつなぐ橋のようだ。
「希末!」
「陸翔くん...。遅いよ?私が手紙わたしたら、絶対よむと思ったし」
やっぱり。別にあの手紙は、あの時わたさなくても良かったしね。
「不安...なんだろ?」
「ふふっ。陸翔くんには、バレてたか。」
「そうだよ、バレるよ?...僕がずっとそばにいるから。その不安、受けとめるから亅
「ありがとう。...心、強いなぁ。」
こうして僕達は、毎日話して、笑った。
希未が旅立つ日まで
1週間後
その日、希未は亡くなった。
僕が来れない夜に。
まったく。
最後まで、人に迷惑かけたくなくて、その気持ちが逆に心配にさせて。
でも、そんな希未がいたからこそ、楽しかった。
最後くらい、僕のこと、たよっても良かったんだよ?
「ありがとう。」
僕は空を見上げながら、その言葉を言う。
その空には、希未がいる気がする、ううん、絶対いて。
泣いているのに、希未がほほえんでいたってことは、確かに分かる。
僕のほおを伝った涙が落ちた季節は、寒い冬の出来事だった。
〜end〜 ほのさん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2020年12月31日みんなの答え:4件
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-
感動…! やっはろー。
ハッピー☆チェリーだよ!!よろ~♪
本題↓
感動…!
めっちゃすごい!
悲しいし、えっ?ってとこから始めるけど、すごい読みやすいっていうかその、うますぎてやばって思った((語彙力w
素晴らしい作品ありがとう!
ではまたぁー∩^ω^∩ ハッピー☆チェリー#やっはろー。さん(愛知・10さい)からの答え
とうこう日:2023年7月17日 -
すごく上手!! とても感動しました!
上手すぎる
次の作品も早く見た−い!!! 百花さん(福島・15さい)からの答え
とうこう日:2023年4月2日 -
感動するのだー!(泣泣泣) タイトルの通りです!本当に泣いて、いい作品だと思うよ!おら、泣いたもん!次の作品も、楽しみです! 名無しのごんべいさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2021年1月2日 -
淒〜い! 本とかに出てくるプロ作家さんが作ったみたいな作品ですね。 恋と病気ってなかなか読む機会少ないんですけど、この作品好きです。次のほのさんの作品、楽しみにしています! 叶さん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2021年1月2日
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