ぼくと、正反対のあの子。
ぼくは、早川奏太と言います。男子です。
なのに、女の子みたいってよく言われます。
そんな風に言われてばかりなのが、とても悔しかったです。
あるとき、ぼくのクラスに転校生がやってきました。
名前は、石沢花梨と言いました。花梨さんは、ぼくと正反対でした。
転校してきたばかりで、放課には運動場でサッカーをしているくらい、元気いっぱいでした。
ぼくができないことを、全てできるのが花梨さんでした。
放課、ぼくは一人で本を読んでいました。
「ねえ!」
急に、頭の上から元気な声が降ってきました。
「!?」
ぼくはとてもびっくりして、思わず本をバタンと閉じてしまいました。
目の前にいたのは、花梨でした。
「か、花梨……さん。」
ぼくがそう言うと、花梨さんは心底可笑しそうに大きな声で笑いました。
「『さん』とかやめてよ〜!『花梨』でいいよ、奏太は面白いね。」
ぼくはとてもとてもびっくりしました。いきなり、ほぼ初対面の女子から、呼び捨てされたからです。でも、嫌だとか、気分が悪いとか、そう言うのは、全くありませんでした。
(かっこいい。)
ぼくはそう思ってしまいました。可愛いじゃなくて、かっこよかったです。
「ねえ、奏太はさ、なんで一人でいるの?」
花梨がそんなことを聞いてきました。
「え?……理由なんてないよ。」
「じゃあ、一緒に運動場行かない?」
「……ぼくは……やめとく。」
「嫌なんじゃん。どうして嫌なの。」
花梨がちょっと怒ったように言いました。
ぼくはちょっとだけ、下を向きました。
「…………。」
ぼくが何も言わないでいると、花梨は、ふうん、と何か感じ取ったような声を出しました。
「ねえ、奏太。あんた、ネガティブすぎると思う。」
呆れたように花梨がつぶやきました。
「え?」
「あのさー、男子なら足が速くなきゃとか、運動できなきゃとか、ないんだよ?……知ってた?」
「……」
ぼくは黙ってしまいました。本当なら『知ってる。』って言えるはずだったのに、なぜか言えませんでした。
「私って、完璧だと思う?」
急に花梨が聞いてきました。
「うん。ぼくにできないこと、全部できて……。」
ぼくは正直に言いました。
「奏太、それ、どういうことかわかる?」
「え、何が?」
「いや、奏太にできないこと、私が全部できるってこと。」
「そのままの意味だよ。」
ぼくは意味がわかりませんでした。何を言っているんでしょうか。
「意味じゃなくて。つまり、私にできないこと、奏太が全部できるってことだよ。」
ぼくはびっくりして、言葉を失いました。
「奏太は、走るのが苦手。でも、得意なことって、あるでしょ?好きなこととか。」
「絵を描くこと……かな。」
「うん!それ!私は絵、上手く描けない。」
「そうなの!?」
なんでもできそうな花梨にも、できないことがあって、それを自分ができる。それがなんだか、悪いことかもしれないけど、嬉しく感じました。
「ねえ、奏太、読書好き?」
花梨が、閉じられたぼくの本を見て、小さな声でこそっと聞いてきました。
「うん。嫌いじゃない。」
「私も、嫌いじゃない。」
「え。」
花梨がニコニコして、こちらを見ました。
「私達、同じ所あった!」
ぼくは何も言えませんでした。花梨といるとなんだか言葉が詰まってしまいます。でも、心の中は想像を超えるほど喜んでいました。
「ねえ、奏太。私と友達にならない?」
急に、花梨が信じられないことを言ってきました。
「ええっ、ぼくと!?」
声が裏返ってしまいました。こんなカッコよくて、なんか、すごい女の子と、ぼくが友達なんて想像がつきません。
「うんっ。お願いっ!」
花梨はパンっと両手を合わせて頭を下げてきました。
なんだかやっぱりこの子はかっこいい。そう思いました。
「わかった。」
ぼくは思わずそう言ってしまいました。
「ほんと!?……ありがと。じゃあさ、友達っぽいこと言ってもいい?」
花梨が恥ずかしそうに言いました。
「絵、描いて欲しい。」
ぼくは嬉しくなりました。
「いいよ。もちろん!…じゃあ、ぼくも友達っぽいこと、言ってもいい?」
「なあに?」
「走り方のコツ、教えて欲しい。」
花梨は苦笑いして言いました。
「あはは、やっぱり男子っぽくしなきゃって思ってるでしょ……でもいいよ、教えてあげる!」
「ありがと。」
ぼくは嬉しくなりました。ぼくの友達一号が、花梨で本当に良かったです。
花梨も、そう思ってくれていたらいいなぁと思います。
★初めて描いてみました。読んでくれてありがとうございました。甘めに見てください。感想待ってます。
*hayu*さん(選択なし・11さい)からの相談
とうこう日:2023年5月4日みんなの答え:3件
なのに、女の子みたいってよく言われます。
そんな風に言われてばかりなのが、とても悔しかったです。
あるとき、ぼくのクラスに転校生がやってきました。
名前は、石沢花梨と言いました。花梨さんは、ぼくと正反対でした。
転校してきたばかりで、放課には運動場でサッカーをしているくらい、元気いっぱいでした。
ぼくができないことを、全てできるのが花梨さんでした。
放課、ぼくは一人で本を読んでいました。
「ねえ!」
急に、頭の上から元気な声が降ってきました。
「!?」
ぼくはとてもびっくりして、思わず本をバタンと閉じてしまいました。
目の前にいたのは、花梨でした。
「か、花梨……さん。」
ぼくがそう言うと、花梨さんは心底可笑しそうに大きな声で笑いました。
「『さん』とかやめてよ〜!『花梨』でいいよ、奏太は面白いね。」
ぼくはとてもとてもびっくりしました。いきなり、ほぼ初対面の女子から、呼び捨てされたからです。でも、嫌だとか、気分が悪いとか、そう言うのは、全くありませんでした。
(かっこいい。)
ぼくはそう思ってしまいました。可愛いじゃなくて、かっこよかったです。
「ねえ、奏太はさ、なんで一人でいるの?」
花梨がそんなことを聞いてきました。
「え?……理由なんてないよ。」
「じゃあ、一緒に運動場行かない?」
「……ぼくは……やめとく。」
「嫌なんじゃん。どうして嫌なの。」
花梨がちょっと怒ったように言いました。
ぼくはちょっとだけ、下を向きました。
「…………。」
ぼくが何も言わないでいると、花梨は、ふうん、と何か感じ取ったような声を出しました。
「ねえ、奏太。あんた、ネガティブすぎると思う。」
呆れたように花梨がつぶやきました。
「え?」
「あのさー、男子なら足が速くなきゃとか、運動できなきゃとか、ないんだよ?……知ってた?」
「……」
ぼくは黙ってしまいました。本当なら『知ってる。』って言えるはずだったのに、なぜか言えませんでした。
「私って、完璧だと思う?」
急に花梨が聞いてきました。
「うん。ぼくにできないこと、全部できて……。」
ぼくは正直に言いました。
「奏太、それ、どういうことかわかる?」
「え、何が?」
「いや、奏太にできないこと、私が全部できるってこと。」
「そのままの意味だよ。」
ぼくは意味がわかりませんでした。何を言っているんでしょうか。
「意味じゃなくて。つまり、私にできないこと、奏太が全部できるってことだよ。」
ぼくはびっくりして、言葉を失いました。
「奏太は、走るのが苦手。でも、得意なことって、あるでしょ?好きなこととか。」
「絵を描くこと……かな。」
「うん!それ!私は絵、上手く描けない。」
「そうなの!?」
なんでもできそうな花梨にも、できないことがあって、それを自分ができる。それがなんだか、悪いことかもしれないけど、嬉しく感じました。
「ねえ、奏太、読書好き?」
花梨が、閉じられたぼくの本を見て、小さな声でこそっと聞いてきました。
「うん。嫌いじゃない。」
「私も、嫌いじゃない。」
「え。」
花梨がニコニコして、こちらを見ました。
「私達、同じ所あった!」
ぼくは何も言えませんでした。花梨といるとなんだか言葉が詰まってしまいます。でも、心の中は想像を超えるほど喜んでいました。
「ねえ、奏太。私と友達にならない?」
急に、花梨が信じられないことを言ってきました。
「ええっ、ぼくと!?」
声が裏返ってしまいました。こんなカッコよくて、なんか、すごい女の子と、ぼくが友達なんて想像がつきません。
「うんっ。お願いっ!」
花梨はパンっと両手を合わせて頭を下げてきました。
なんだかやっぱりこの子はかっこいい。そう思いました。
「わかった。」
ぼくは思わずそう言ってしまいました。
「ほんと!?……ありがと。じゃあさ、友達っぽいこと言ってもいい?」
花梨が恥ずかしそうに言いました。
「絵、描いて欲しい。」
ぼくは嬉しくなりました。
「いいよ。もちろん!…じゃあ、ぼくも友達っぽいこと、言ってもいい?」
「なあに?」
「走り方のコツ、教えて欲しい。」
花梨は苦笑いして言いました。
「あはは、やっぱり男子っぽくしなきゃって思ってるでしょ……でもいいよ、教えてあげる!」
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ぼくは嬉しくなりました。ぼくの友達一号が、花梨で本当に良かったです。
花梨も、そう思ってくれていたらいいなぁと思います。
★初めて描いてみました。読んでくれてありがとうございました。甘めに見てください。感想待ってます。
*hayu*さん(選択なし・11さい)からの相談
とうこう日:2023年5月4日みんなの答え:3件
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すごい いい話すぎる!なんかそのまま本にしてみんなに読んでもらいたいです!笑
奏太くんにできないことをなんでもできる花梨ちゃんが、奏太くんにできることができない(書き方下手かw)っていうところと、あと「私達、同じ所あった!」のところが感動。勇気づけられるし花梨ちゃんのカッコ良さが際立ってカッコいいです(語彙力皆無)
正反対の二人だからこそ仲良くなれるのかも!
素敵なお話ありがとうございます! 小説家になりたい人さん(選択なし・16さい)からの答え
とうこう日:2023年6月13日 -
スゲー! やっぱり友達がド反対,憧れるわー!ソウタくんかりんちゃん,いい友達になれるといいね! 侍ジャパンさん(三重・10さい)からの答え
とうこう日:2023年6月12日 -
奏太くんと話してるみたい! こんにちは!yunaと申します
よろしくねー(*^^*)
奏太くんと話してるみたいな、日記みたいな感じで凄く読みやすかったです!
かっこいい女の子って聞くと私の友達!思い浮かべます笑
ぼくはそう思ってしまいました。可愛いじゃなくて、かっこよかったです。
ここなんか好きです!
いやーすごくいいお話だ!
いいなぁ~なんかほわほわぁってした(?)
この二人にはいつまでも仲良くいてほしいなぁ…*青春みたいな、ちょっとほわぁってする感じでした(語彙力
あと花梨ちゃんって名前可愛くて好きです!
ぐっばぁい
素敵なお話ありがとうございました! yuna#頼りにならないかいちょーさん(石川・12さい)からの答え
とうこう日:2023年6月11日
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