告白まで、あと10秒
「好きです!」
テレビの画面いっぱいに映し出される顔を真っ赤にした女の子。
よくある少女漫画を実写化したドラマ、君は、シロップより甘いを、十一歳の私はとてもドキドキする思いで見ていた。
今は告白シーンで、主人公の姫野がやっと告白した所だった。
このシーンは漫画でも何回も読んでいて、イラストが可愛いなぁとも思ったし、同時にこんなにストレートに自分の気持を伝えるなんて、姫野は勇気があるなぁとも思った。
実際、私にも好きな人はいる。
「ねえ澪、告白した事ってある?」
「ないに決まってるじゃん、てゆーか私、告白される側なんで。」
妹の澪に聞いてみるも、美人でスタイルよくて、運動神経抜群で、勉強ができる、しかも十歳の少女から出る言葉は、レベルの高い経験の話ばかりだった。
「ねえ花恋、あんた恋してるの?」
「はっ...。はぁぁぁぁぁ?」
「ほら、糸村和樹くん。かっこよかったし、何より性格良さそうじゃん!」
確かに和樹くんは優しいし、かっこいい。
好きになってしまう子達の話もクラスで何回も聞いた。
この前の運動会でも私がバトンを落としてしまい、慌てていたら、和樹くんが、大丈夫だよ、落ち着いて来てね、と私に声をかけてくれたので急ぎながらも和樹くんが私を待っていてくれてるという、妙な安心が芽生えていたのだ。
「別にあれは恋じゃないから!ただ、何てゆーか尊敬してるだけだから。」
「そぉ?今ん所学校で見てる限りでは花恋、すごい乙女な顔して和樹くん見てるけど。」
「なんでそんな所見てんのよ!」
「だってぇ!」
澪はニヤニヤしながらこちらを見てくる。
翌日、和樹くんを本気で好きになってしまった出来事があった。
それは中休みの時だった。
「花恋さん、ちょっと...。」
「なんですか?」
「あの、これ!」
和樹くんの突き出された手には一冊の本があった。
「え、これって...。」
「花恋さん、多分昨日、本落としていっちゃたでしょ、たまたま拾ったから、じゃ!」
風のように走る和樹くんを目で追いながら、かすかに感じていた、胸の大きな高鳴りを。
家に帰ってもまだドキドキしていた。
思い出した途端一人用べットに飛び込んでしまう。
「こんなんされたらドキドキしちゃうに決まってるじゃん!」
「花恋、私のテープどこに置いてって、え?何やってんの。」
「...。何でもない。」
澪には絶対に喋りたくないこの気持ち。
これはなかったことにしよう。
胸の中の引き出しにそっとしまっておこう。
そうは思っていたものの、その翌年でも、和樹くんを一人想像してしまっている。
「もぉぉぉぉ!」
「恋のお悩みかい?」
「なんで分かったの?」
「恋って、ピンとくるんだよ、こう、頭の中で、この人と一緒にいたいってね、でもそれは見ている側も分かるよ。あ、この人、あの人が好きなんだなって、もうさ、そろそろ告白しちゃいなよ!」
「無理ぃ!」
花恋は十二歳になった。
和樹くんとはかなり仲良くなっているが、もう一年しかないのだ。
学校に行って、私は窓ガラスに映る和樹くんを眺める。
これはもうストーカかもしれない。
はぁ、とため息を付いてポケットから本を取り出す。
これは和樹くんが拾ってくれた本だ。
恋愛ものの小説だった。
告白、してみようか、駄目であってもしっかりと区切りをつけておいたほうがよさそうなのかもしれない。
廊下を歩き、階段をおり、上履きと靴を履き替え、校庭に出る。
「和樹くん!」
目の前にいる和樹くんを恐る恐る見た。
「何、花恋。」
「あのさ、今日の帰り一緒に帰りたいんだ。」
「いいけど、どうしたの?」
「伝えたい事があって。あっ、別に予定とかあったら大丈夫だけど」
その途端、私の顔がトマトみたいに赤くなった。
これは大事な事だ。(少なくとも私にとっては)
話をそらしてはいけない。
「うん、良いよ。」
「うん。」
そして運命の帰り道。
和樹くんは靴箱で私を待っていてくれた。
「話って何?」
「あの...。」
まっすぐ和樹くんを見つめる。
一、二、三、四、五、六、七、八、九、十。
「和樹くんのことが大好きです。付き合ってください!」
言ったら、また真っ赤になってしまった。
今度は体中が熱かった。
「あのさ、僕からも、僕も花恋が大大大好きです。付き合います!」
「え?」
涙が出そうなほど嬉しかった。
「ありがとう!和樹くん。」
「花恋、僕のこと、くんづけなしで呼んでみて。」
「かっかずき!」
「ありがと、...。あのさ、キスしていい?」
「うん。」
そして、和樹くんと私は、静かに唇を重ね合わせたのだった。 ふわふわねこさん(神奈川・11さい)からの相談
とうこう日:2023年5月4日みんなの答え:3件
テレビの画面いっぱいに映し出される顔を真っ赤にした女の子。
よくある少女漫画を実写化したドラマ、君は、シロップより甘いを、十一歳の私はとてもドキドキする思いで見ていた。
今は告白シーンで、主人公の姫野がやっと告白した所だった。
このシーンは漫画でも何回も読んでいて、イラストが可愛いなぁとも思ったし、同時にこんなにストレートに自分の気持を伝えるなんて、姫野は勇気があるなぁとも思った。
実際、私にも好きな人はいる。
「ねえ澪、告白した事ってある?」
「ないに決まってるじゃん、てゆーか私、告白される側なんで。」
妹の澪に聞いてみるも、美人でスタイルよくて、運動神経抜群で、勉強ができる、しかも十歳の少女から出る言葉は、レベルの高い経験の話ばかりだった。
「ねえ花恋、あんた恋してるの?」
「はっ...。はぁぁぁぁぁ?」
「ほら、糸村和樹くん。かっこよかったし、何より性格良さそうじゃん!」
確かに和樹くんは優しいし、かっこいい。
好きになってしまう子達の話もクラスで何回も聞いた。
この前の運動会でも私がバトンを落としてしまい、慌てていたら、和樹くんが、大丈夫だよ、落ち着いて来てね、と私に声をかけてくれたので急ぎながらも和樹くんが私を待っていてくれてるという、妙な安心が芽生えていたのだ。
「別にあれは恋じゃないから!ただ、何てゆーか尊敬してるだけだから。」
「そぉ?今ん所学校で見てる限りでは花恋、すごい乙女な顔して和樹くん見てるけど。」
「なんでそんな所見てんのよ!」
「だってぇ!」
澪はニヤニヤしながらこちらを見てくる。
翌日、和樹くんを本気で好きになってしまった出来事があった。
それは中休みの時だった。
「花恋さん、ちょっと...。」
「なんですか?」
「あの、これ!」
和樹くんの突き出された手には一冊の本があった。
「え、これって...。」
「花恋さん、多分昨日、本落としていっちゃたでしょ、たまたま拾ったから、じゃ!」
風のように走る和樹くんを目で追いながら、かすかに感じていた、胸の大きな高鳴りを。
家に帰ってもまだドキドキしていた。
思い出した途端一人用べットに飛び込んでしまう。
「こんなんされたらドキドキしちゃうに決まってるじゃん!」
「花恋、私のテープどこに置いてって、え?何やってんの。」
「...。何でもない。」
澪には絶対に喋りたくないこの気持ち。
これはなかったことにしよう。
胸の中の引き出しにそっとしまっておこう。
そうは思っていたものの、その翌年でも、和樹くんを一人想像してしまっている。
「もぉぉぉぉ!」
「恋のお悩みかい?」
「なんで分かったの?」
「恋って、ピンとくるんだよ、こう、頭の中で、この人と一緒にいたいってね、でもそれは見ている側も分かるよ。あ、この人、あの人が好きなんだなって、もうさ、そろそろ告白しちゃいなよ!」
「無理ぃ!」
花恋は十二歳になった。
和樹くんとはかなり仲良くなっているが、もう一年しかないのだ。
学校に行って、私は窓ガラスに映る和樹くんを眺める。
これはもうストーカかもしれない。
はぁ、とため息を付いてポケットから本を取り出す。
これは和樹くんが拾ってくれた本だ。
恋愛ものの小説だった。
告白、してみようか、駄目であってもしっかりと区切りをつけておいたほうがよさそうなのかもしれない。
廊下を歩き、階段をおり、上履きと靴を履き替え、校庭に出る。
「和樹くん!」
目の前にいる和樹くんを恐る恐る見た。
「何、花恋。」
「あのさ、今日の帰り一緒に帰りたいんだ。」
「いいけど、どうしたの?」
「伝えたい事があって。あっ、別に予定とかあったら大丈夫だけど」
その途端、私の顔がトマトみたいに赤くなった。
これは大事な事だ。(少なくとも私にとっては)
話をそらしてはいけない。
「うん、良いよ。」
「うん。」
そして運命の帰り道。
和樹くんは靴箱で私を待っていてくれた。
「話って何?」
「あの...。」
まっすぐ和樹くんを見つめる。
一、二、三、四、五、六、七、八、九、十。
「和樹くんのことが大好きです。付き合ってください!」
言ったら、また真っ赤になってしまった。
今度は体中が熱かった。
「あのさ、僕からも、僕も花恋が大大大好きです。付き合います!」
「え?」
涙が出そうなほど嬉しかった。
「ありがとう!和樹くん。」
「花恋、僕のこと、くんづけなしで呼んでみて。」
「かっかずき!」
「ありがと、...。あのさ、キスしていい?」
「うん。」
そして、和樹くんと私は、静かに唇を重ね合わせたのだった。 ふわふわねこさん(神奈川・11さい)からの相談
とうこう日:2023年5月4日みんなの答え:3件
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うぇーい うぇーい系加担していきますby非リア笑
一年たったあと和樹くんの花恋ちゃんに対する呼び方が、「花恋さん」から「花恋」になってる!!って思って、わーちょっと距離縮まったんだ嬉しいって思ってたらラストもう人生の頂天じゃん(?)なんか非リアですがこのお二人は推しカプとして応援できるかもしれん。何しろ恋してる花恋ちゃんが可愛すぎたし和樹くんが脳内でスーパーイケメンに想像されていたから。にしても激熱すぎて良き。
小説家になりたい人さん(選択なし・16さい)からの答え
とうこう日:2023年6月13日 -
ウェーイ??? 「ぶっっっっ!???????%11255/**÷$〒〒~→(^^)!?wwww.」って最後の場面で叫びました!いやお暑いです♪(いや,熱いかな?)くちびるを小6で重ねるとかえぐすぎわろタンバリンシャンシャン! 侍ジャパンさん(三重・10さい)からの答え
とうこう日:2023年6月12日 -
ぎゃーーーーーーー神 ども!希咲です!
うわああああああああ!!!!
もう最っ高です!
こーゆー物語個人的にめちゃ好こ///
まず花恋ちゃんのピュアな感じが素敵です!
THE・ヒロイン!みたいな笑
努力家な性格が可愛くて良きっ
そして最後結ばれるのがほんとに最高っ
神!!!
終わり方もさぁ、、、ねぇぇ!
ぎゃーーーーーーー!!!!((((((
こんな恋憧れますぅ(*´ω`*)
では!! 希咲さん(愛知・13さい)からの答え
とうこう日:2023年6月11日
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- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
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