彼方の君に告げる
「あれ、おきてる?」
そう言うと、そこにいた少女がゆっくりとふり返る。長い銀髪がゆれ、すき通った青色の瞳がこちらを向いた。
「あ!ひとくん!」
「ふしちゃん、どしたん?夜中ですよ〜、よいこはねなさーい」
自分に気づき、ぱっと笑顔になるふしちゃんに俺は軽く笑いかける。
「あのね、お星様を見てたんだ、うーん、お星様って本当に綺麗だよね、人間が地球を捨てて宇宙に行っても。…ねぇひとくん、知ってる?生き物が命を無くした時、空に昇って、お星様になるんだって、わたしも、あんなに綺麗になれる時が来るのかな?」
少女はそれだけ言うと、閤に包まれた空に輝く幾千の星を見た。その身の丈に想応しくないことを言うのは、不死身である彼女が、気の遠くなるような時を生きていたからだろう。
「いやいや、何言ってるんですか?ふしちゃんが綺麗じゃなかったら、俺どうなんのよ」
大人びていて、どこか儚げなげで、それで尚あどけなさを感じる笑みは”化物”には勿体ない程美しかった。地球に残されたのも、もしかしたらわるくなかったかもしれない。”お星様”が俺が人間だった時よりもー層輝いているように見えたのは、都市の光達が消えたからなのだろうか。
「…ひとくんの方が綺麗だよ」
「あったりまえや。こちとら人類最高傑作のお顏ですからね」
自信ありげに言う俺に、すっと彼女は無表情になる。
「なんや?文句でもあるんか」
不服そうに見つめると、無言をつらぬいていたふしちゃんは、ぷっとふきだす。もとから冗談だった俺も笑顔を向ける。
あぁ、ずっとこれが続けばいいのに。
そんなこんなで長く話す内に、光が差してくるのを感じた。昇る太陽に目を細める、そしてまた今日がはじまった。俺は彼女とは違う、それでもずっと、今日を必死に生きていく。”ずっと”が存在しないことを解っていても。
............
”ずっと”が存在しないのは解っていた。ひとくんの体だと、この汚れた地球で長く居るのは難しいことも、解っていた。あの深紅の目が光るのはもう、見ることはできない。
「あ、お星様…」
こんな時も相変わらず綺麗な、空の光を見上げる。となりにいるものは返事をしない。いつものような、優しくどこか困ったような笑顔もむけてはくれない。うす茶髪の頭からは、本人が嫌っていた、人間じゃないない印である尖ったツノがのぞいていた。
「そっか、ひとくんはお星様になったんだ、綺麗だね…。よかった、これで自分の事好きになれたよね」
わたしは、わたしの心は汚かった。人によって勝手にも創られた心は氷の如く冷たく、温度を感じることはなかった。しかし、同じくこの星にとり残された、唯ーの生物には動いたのだった。いっしょにいればいる程、心は温かくなったんだ。
「ひとくん、空の上から見守ってくれてるよね、ー人じゃ、ないよね。だったら安心して、さみしくなんて、ないよ…」
動かなかったはずの心はゆれる。涙が頬を伝う。そして空の光にほほ笑みかけた。わたしは、わたしのこれからを笑顔で生きていく。それは、かつて”化物”と呼ばれた、不老不死実験の失敗作のおかげだ。ゴミと共に人間に捨てられた君からもらったものは、数えきれない程あったよ、きっとこれからも、旅人を導く北極星のように、朝をくれた太陽のように、わたしを支えて、心を明るく照らし続けてくれるだろう。だからさ…。
ずっとが存在しないのは解っている、
それでも、星になった化物に、大好きな、彼方の君に告げるーー
「ずっとずっと、忘れない。今まで、本当にありがとう、”ひと”くん」 アヤカシ(: >)さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2023年5月26日みんなの答え:1件
そう言うと、そこにいた少女がゆっくりとふり返る。長い銀髪がゆれ、すき通った青色の瞳がこちらを向いた。
「あ!ひとくん!」
「ふしちゃん、どしたん?夜中ですよ〜、よいこはねなさーい」
自分に気づき、ぱっと笑顔になるふしちゃんに俺は軽く笑いかける。
「あのね、お星様を見てたんだ、うーん、お星様って本当に綺麗だよね、人間が地球を捨てて宇宙に行っても。…ねぇひとくん、知ってる?生き物が命を無くした時、空に昇って、お星様になるんだって、わたしも、あんなに綺麗になれる時が来るのかな?」
少女はそれだけ言うと、閤に包まれた空に輝く幾千の星を見た。その身の丈に想応しくないことを言うのは、不死身である彼女が、気の遠くなるような時を生きていたからだろう。
「いやいや、何言ってるんですか?ふしちゃんが綺麗じゃなかったら、俺どうなんのよ」
大人びていて、どこか儚げなげで、それで尚あどけなさを感じる笑みは”化物”には勿体ない程美しかった。地球に残されたのも、もしかしたらわるくなかったかもしれない。”お星様”が俺が人間だった時よりもー層輝いているように見えたのは、都市の光達が消えたからなのだろうか。
「…ひとくんの方が綺麗だよ」
「あったりまえや。こちとら人類最高傑作のお顏ですからね」
自信ありげに言う俺に、すっと彼女は無表情になる。
「なんや?文句でもあるんか」
不服そうに見つめると、無言をつらぬいていたふしちゃんは、ぷっとふきだす。もとから冗談だった俺も笑顔を向ける。
あぁ、ずっとこれが続けばいいのに。
そんなこんなで長く話す内に、光が差してくるのを感じた。昇る太陽に目を細める、そしてまた今日がはじまった。俺は彼女とは違う、それでもずっと、今日を必死に生きていく。”ずっと”が存在しないことを解っていても。
............
”ずっと”が存在しないのは解っていた。ひとくんの体だと、この汚れた地球で長く居るのは難しいことも、解っていた。あの深紅の目が光るのはもう、見ることはできない。
「あ、お星様…」
こんな時も相変わらず綺麗な、空の光を見上げる。となりにいるものは返事をしない。いつものような、優しくどこか困ったような笑顔もむけてはくれない。うす茶髪の頭からは、本人が嫌っていた、人間じゃないない印である尖ったツノがのぞいていた。
「そっか、ひとくんはお星様になったんだ、綺麗だね…。よかった、これで自分の事好きになれたよね」
わたしは、わたしの心は汚かった。人によって勝手にも創られた心は氷の如く冷たく、温度を感じることはなかった。しかし、同じくこの星にとり残された、唯ーの生物には動いたのだった。いっしょにいればいる程、心は温かくなったんだ。
「ひとくん、空の上から見守ってくれてるよね、ー人じゃ、ないよね。だったら安心して、さみしくなんて、ないよ…」
動かなかったはずの心はゆれる。涙が頬を伝う。そして空の光にほほ笑みかけた。わたしは、わたしのこれからを笑顔で生きていく。それは、かつて”化物”と呼ばれた、不老不死実験の失敗作のおかげだ。ゴミと共に人間に捨てられた君からもらったものは、数えきれない程あったよ、きっとこれからも、旅人を導く北極星のように、朝をくれた太陽のように、わたしを支えて、心を明るく照らし続けてくれるだろう。だからさ…。
ずっとが存在しないのは解っている、
それでも、星になった化物に、大好きな、彼方の君に告げるーー
「ずっとずっと、忘れない。今まで、本当にありがとう、”ひと”くん」 アヤカシ(: >)さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2023年5月26日みんなの答え:1件
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全てが完璧!! Hi(^^♪My name's UNO(*´・ч・`*)
☆*: .。. o本題o .。.:*☆
全てが完璧!!
表現も趣深いし、続きが気になるからどんどん読み進められる★
Have a nice day(*^^)v
Thanks for reading(*'ω'*)See ya(^^♪ 兎乃*うの*#元雲羽#元々詩春さん(岐阜・12さい)からの答え
とうこう日:2023年7月6日
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