紅い満月
ダメ、ダメだ、まだ、行かないで、
そう願いながら、俺は走った。
何よりも大切な、彼女のために。
俺と彼女が出会ったのは、月が綺麗な夜だった。
最初に見たとき、俺は目を疑った。
腰まであるだろう黒く長い髪。
バカみたいに美しい顔。
ブルーサファイアのような瞳。
…フツーの人間だ。“そこまでは”
問題はこのあと、
耳があるのだ。…みんなそうだって?
違う、その耳じゃない。
獣の耳だ。まるで…オオカミ。
オオカミのような【耳】と【尾】を持っている。
おかしいだろ…でも、綺麗だった。
俺は彼女に夢中になった。
彼女は人里にはいない。
山の奥深く、誰も来ない神社があって、そこに彼女はいる。
学校の帰りにそこに行くと、彼女はいつもいる。
彼女も俺も口下手で、話すことは少ないが、その時間が苦ではなかった。
むしろ、心が安らいだ。
ある日、彼女が言った。
『私はこの世界に存在してはいけない。いつか、辺り1面が暗闇に包まれる日がくる。その時が、君と私との最後の日なんだ…』
と…
正直意味がわからなかった。
けど、滅多に口を開かない彼女が発した言葉だ。
俺、凄く嫌な予感がした。
けど、そんな日は来なかった。
来ないはずだった、
その日は突然訪れた。
学校が長引いて、帰るのが遅くなった。
いつも以上に暗く、妙な胸騒ぎがした。
家についたとき、彼女の声が脳裏を横切った。
『辺り1面が暗闇に包まれる時…』
気づけば俺は、神社に向かって走っていた。
走りながら考えた。
彼女は何なんだ?
オオカミ男…ならぬ、オオカミ女?
けど、なにか引っ掛かる。
なんだ?なんなんだ?
出会ったときから感じてる、この違和感…
一緒にいると妙に安心する、
けど、生きているように思えない…
神社について、俺は確信した。
鳥居を潜った先に、彼女はいた。
いつもとは違う、紅い瞳をした彼女が。
月が輝いていた。紅い満月が。
話しかけようとした直後、何かに襲われた。
俺じゃない。“彼女”がだ。
彼女を襲った奴は、彼女を吸収しはじめた。
側に行こうとしたが、体が動かない。
彼女が俺の体を固定している…
何とか体を動かそうとする俺に向かって彼女が微笑んだ。
意識が遠のいていく中、微かに、彼女の声が聞こえた気がした。
『 』
目が覚めると、神社の裏にいた。
俺がいた場所は、昔、俺が彼女を拾った場所だ。
俺は昔、オオカミの子を拾った。
紅い満月の日だった。
似てるんだ。彼女と拾ったオオカミ。
毛の色とか、静かで控えめなところとか。
最終的に地元の猟師にバレて、何処かに連れて行かれたんだけど…
連れて行かれる直前、彼女の目の色が変わったんだ。
いつもの碧い瞳から、紅い瞳に…
彼女は最後、俺に何を言おうとしたんだろう…?
『ありがとう、側にいてくれて』
シアン.さん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2023年6月18日みんなの答え:2件
そう願いながら、俺は走った。
何よりも大切な、彼女のために。
俺と彼女が出会ったのは、月が綺麗な夜だった。
最初に見たとき、俺は目を疑った。
腰まであるだろう黒く長い髪。
バカみたいに美しい顔。
ブルーサファイアのような瞳。
…フツーの人間だ。“そこまでは”
問題はこのあと、
耳があるのだ。…みんなそうだって?
違う、その耳じゃない。
獣の耳だ。まるで…オオカミ。
オオカミのような【耳】と【尾】を持っている。
おかしいだろ…でも、綺麗だった。
俺は彼女に夢中になった。
彼女は人里にはいない。
山の奥深く、誰も来ない神社があって、そこに彼女はいる。
学校の帰りにそこに行くと、彼女はいつもいる。
彼女も俺も口下手で、話すことは少ないが、その時間が苦ではなかった。
むしろ、心が安らいだ。
ある日、彼女が言った。
『私はこの世界に存在してはいけない。いつか、辺り1面が暗闇に包まれる日がくる。その時が、君と私との最後の日なんだ…』
と…
正直意味がわからなかった。
けど、滅多に口を開かない彼女が発した言葉だ。
俺、凄く嫌な予感がした。
けど、そんな日は来なかった。
来ないはずだった、
その日は突然訪れた。
学校が長引いて、帰るのが遅くなった。
いつも以上に暗く、妙な胸騒ぎがした。
家についたとき、彼女の声が脳裏を横切った。
『辺り1面が暗闇に包まれる時…』
気づけば俺は、神社に向かって走っていた。
走りながら考えた。
彼女は何なんだ?
オオカミ男…ならぬ、オオカミ女?
けど、なにか引っ掛かる。
なんだ?なんなんだ?
出会ったときから感じてる、この違和感…
一緒にいると妙に安心する、
けど、生きているように思えない…
神社について、俺は確信した。
鳥居を潜った先に、彼女はいた。
いつもとは違う、紅い瞳をした彼女が。
月が輝いていた。紅い満月が。
話しかけようとした直後、何かに襲われた。
俺じゃない。“彼女”がだ。
彼女を襲った奴は、彼女を吸収しはじめた。
側に行こうとしたが、体が動かない。
彼女が俺の体を固定している…
何とか体を動かそうとする俺に向かって彼女が微笑んだ。
意識が遠のいていく中、微かに、彼女の声が聞こえた気がした。
『 』
目が覚めると、神社の裏にいた。
俺がいた場所は、昔、俺が彼女を拾った場所だ。
俺は昔、オオカミの子を拾った。
紅い満月の日だった。
似てるんだ。彼女と拾ったオオカミ。
毛の色とか、静かで控えめなところとか。
最終的に地元の猟師にバレて、何処かに連れて行かれたんだけど…
連れて行かれる直前、彼女の目の色が変わったんだ。
いつもの碧い瞳から、紅い瞳に…
彼女は最後、俺に何を言おうとしたんだろう…?
『ありがとう、側にいてくれて』
シアン.さん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2023年6月18日みんなの答え:2件
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
2件中 1 〜 2件を表示
-
しゅごいー♡×100💦 すんごい感動した!ほんとに12歳!?将来小説家希望ですか!?だとしたら絶対かないますね!すごい! 麗さん(千葉・10さい)からの答え
とうこう日:2023年7月25日 -
題名からもう素敵だった! アニョン〜!IVE好きの、ソア★だよっ!
ソアって読んでね!よろしく!
☆感想★
題名も文章もすべて素敵だったよ!
12歳でかけるってすごい
大人levelの文章力!!
参考になるといいな〜☆
じゃ、またねっ(=^・・^=)♪
ソア★soa(=^・・^=)♪/元渚咲さん(徳島・13さい)からの答え
とうこう日:2023年7月25日
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
2件中 1 〜 2件を表示
-
- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
- カテゴリごとの新着相談
-
-
- AIと話せるならどんなことを話してみたい?06月26日
-
- iPhoneの機種変07月19日
-
- 友達とお祭りに行くか家族と花火大会に行くか07月19日
-
- 人間関係 どうすればいいのか07月19日
-
- 母がうざい・厳しすぎる07月19日
-
- みんなは夏休みの宿題いつするー?07月19日
-
- 生理急にこなくなった、、、07月18日
-
- 太ももに...07月18日
-
- 卓球部の人、教えてください!!07月18日
-
- WMIU404W好きな人~~!07月18日
-
- 推しの子好きな人いる?07月19日
-
- 小学生なのに中学生が好きになってしまいました…07月19日
-
- 女の子らしくなりたい07月19日
-
- みんなの好きな飲み物は?07月19日
-
- 素人質問で恐縮ですが...07月18日
-
- いと04月23日
-
- 一人称変えたいけど……07月19日
-
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する
・>>地元の相談窓口を探す
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。