二人を繋ぐ スノードームの夢
『紗良姉さん、二人で同じ夢を見ることってあるのかなぁ。』
少し前、ひとつ年下の従姉妹_真衣に言われたことを思い出す。
『世界にはたくさんの人がいるし、あたしはあると思うんだぁ。』
そう言った真衣は私のお母さんに呼ばれて、お母さんの所へ歩いてった。
忘れられない夢がある。2年前に見た夢。
そこは、一面の雪。星空にオーロラ。そして目の前に広がる、どこまでも続く塀。
綺麗で、綺麗で。その景色に見惚れていると、高い声が聞こえた。
「お姉さん、お姉さん!お父さんを…お母さんを…お姉ちゃんを助けて!」
「えっ」
突然私よりも少し小さな女の子が現れた。小4くらいだろうか。
「どうしたの?お父さん達はどこにいるの?」
私が聞くと、女の子は私の服の裾を引いて、何処かへ連れて行った。
「………」
そこは、先程の景色とは正反対の燃えた家々。
女の子は、ただただ泣いていた。
今は中学校の入学式、の後の自己紹介の時間だ。何故これを今思い出したかというと、目の前にいるからだ。その、「女の子」が。
「白沢優です。好きなものはいちごです。1年間、よろしくお願いします!」
白沢優。そう名乗った彼女は、私よりも年下の少女の姿ではなく同い年だ。でも、あの女の子と瓜二つだった。
「紗良ちゃん、紗良ちゃんの番だよ」
「あっ、うん!」
ボーッとしてたら後ろの子からそう言われた。自分の自己紹介の番が来ていたみたいだ。
「瀬川紗良です…!とにかくみんなと仲良くやっていきたいです…!よろしく…?」
最後が疑問形になってしまったけどまあいいか。席に座った。
「紗良ちゃん。よろしくね」
「…!」
白沢優、彼女がいきなり挨拶をしてきた。多分ただのそっくりさんだ。気にしない気にしない。
そう思いその入学式で出会った彼女と仲良くしていくことになる。
「優ちゃんって、昔夢に出てきた子に似てる。」
入学式から数カ月後、夏休み直前。うっかり優ちゃんの前でそう言ってしまった。
優ちゃんは驚いた様子だ。
「私ね、孤児なの。」
と、優ちゃんは呟いた。
「え?」
「3年前…4年生の頃のニュース。覚えてない?」
3年前。3年前というと、ショッキングなニュースが確かにあった。
大規模な放火事件。真夜中だったこともあって死傷者は87人だった。
「もしかして…。」
「うん、あのね…。私はその時肺炎で入院してて、それでお父さんとお母さんとお姉ちゃんが…。」
ふと、あの夢が蘇る。
燃える家々、泣く少女。
「紗良ちゃん、うち来ない? 里親の人達、優しいんだよ。」
微笑んでそう言う優ちゃんの提案に、私は戸惑いながらも了承した。
「ここだよ、私の家ー!」
そこは、大きくも小さくもない、普通のよくある一軒家。
「お邪魔しまぁす…。」
玄関に上がると、優ちゃんの部屋に案内される。
勉強机とベッド、本棚と、「子供部屋」を想像すると出てくるような部屋。
だけど机の上に、小さな小さなスノードームがあった。雪と星空とオーロラと、塀。
「これね、あの日お姉ちゃんに貰ってあの夜、これを病院のベッドの側に置いていたんだ。そしたら、夢を見たの。」
「夢…。」
「現実と全く同じ、お父さん達が焼けていなくなる夢。助けを求めて走ってたらこのスノードームと同じようなところに来てて、紗良ちゃん。紗良ちゃんみたいな子がいたの。とにかく助けを求めたの。」
それは、私が見たものとも同じ。
「私も見た、その夢!」
優ちゃんは驚きつつも、微笑んだ。
「私、あの塀の向こうを見てみたい。紗良ちゃんと。」
「塀の向こうを…。」
「ちょっとだけ、お昼寝しない?」
そう言うと優ちゃんは寝転んだ。
私もゆっくりと寝転んだ。
雪。星空。オーロラ。塀。
またこの景色を見るときが来るなんて。
「本当に来れたね、紗良ちゃん。」
隣には、同い年の、中学1年生の優ちゃん。
「うん…!」
目の前の塀を見ると、何故か階段ができていた。
二人でそこをゆっくりと登る。
塀の向こうは、星空とオーロラが反射する水面。それは揺れひとつしていない。凪状態とはこのことを言うのだろうか。
「あ」
隣の優ちゃんが声を出した。
よく見ると水面には、女性二人と男性も写っていた。
「お父さん!お母さん!お姉ちゃん!」
優ちゃんの呼びかけを、その3人は聞いているような気がした。
「私ね、中学生になったんだよ!ほら、お友達もできたんだよ!」
優ちゃんがそう言うと、水面の3人は優ちゃんと私に微笑んだ。
夏休み、私は祖父母の家に来ていた。
「紗良姉さん!久しぶり!」
先に来ていたであろう真衣とその家族が駆け寄ってきた。
「久しぶりだね、真衣。この前真衣が言ってた二人で同じ夢を見るっていう話、面白い話があるんだ。」 まろんさん(神奈川・12さい)からの相談
とうこう日:2023年6月29日みんなの答え:3件
少し前、ひとつ年下の従姉妹_真衣に言われたことを思い出す。
『世界にはたくさんの人がいるし、あたしはあると思うんだぁ。』
そう言った真衣は私のお母さんに呼ばれて、お母さんの所へ歩いてった。
忘れられない夢がある。2年前に見た夢。
そこは、一面の雪。星空にオーロラ。そして目の前に広がる、どこまでも続く塀。
綺麗で、綺麗で。その景色に見惚れていると、高い声が聞こえた。
「お姉さん、お姉さん!お父さんを…お母さんを…お姉ちゃんを助けて!」
「えっ」
突然私よりも少し小さな女の子が現れた。小4くらいだろうか。
「どうしたの?お父さん達はどこにいるの?」
私が聞くと、女の子は私の服の裾を引いて、何処かへ連れて行った。
「………」
そこは、先程の景色とは正反対の燃えた家々。
女の子は、ただただ泣いていた。
今は中学校の入学式、の後の自己紹介の時間だ。何故これを今思い出したかというと、目の前にいるからだ。その、「女の子」が。
「白沢優です。好きなものはいちごです。1年間、よろしくお願いします!」
白沢優。そう名乗った彼女は、私よりも年下の少女の姿ではなく同い年だ。でも、あの女の子と瓜二つだった。
「紗良ちゃん、紗良ちゃんの番だよ」
「あっ、うん!」
ボーッとしてたら後ろの子からそう言われた。自分の自己紹介の番が来ていたみたいだ。
「瀬川紗良です…!とにかくみんなと仲良くやっていきたいです…!よろしく…?」
最後が疑問形になってしまったけどまあいいか。席に座った。
「紗良ちゃん。よろしくね」
「…!」
白沢優、彼女がいきなり挨拶をしてきた。多分ただのそっくりさんだ。気にしない気にしない。
そう思いその入学式で出会った彼女と仲良くしていくことになる。
「優ちゃんって、昔夢に出てきた子に似てる。」
入学式から数カ月後、夏休み直前。うっかり優ちゃんの前でそう言ってしまった。
優ちゃんは驚いた様子だ。
「私ね、孤児なの。」
と、優ちゃんは呟いた。
「え?」
「3年前…4年生の頃のニュース。覚えてない?」
3年前。3年前というと、ショッキングなニュースが確かにあった。
大規模な放火事件。真夜中だったこともあって死傷者は87人だった。
「もしかして…。」
「うん、あのね…。私はその時肺炎で入院してて、それでお父さんとお母さんとお姉ちゃんが…。」
ふと、あの夢が蘇る。
燃える家々、泣く少女。
「紗良ちゃん、うち来ない? 里親の人達、優しいんだよ。」
微笑んでそう言う優ちゃんの提案に、私は戸惑いながらも了承した。
「ここだよ、私の家ー!」
そこは、大きくも小さくもない、普通のよくある一軒家。
「お邪魔しまぁす…。」
玄関に上がると、優ちゃんの部屋に案内される。
勉強机とベッド、本棚と、「子供部屋」を想像すると出てくるような部屋。
だけど机の上に、小さな小さなスノードームがあった。雪と星空とオーロラと、塀。
「これね、あの日お姉ちゃんに貰ってあの夜、これを病院のベッドの側に置いていたんだ。そしたら、夢を見たの。」
「夢…。」
「現実と全く同じ、お父さん達が焼けていなくなる夢。助けを求めて走ってたらこのスノードームと同じようなところに来てて、紗良ちゃん。紗良ちゃんみたいな子がいたの。とにかく助けを求めたの。」
それは、私が見たものとも同じ。
「私も見た、その夢!」
優ちゃんは驚きつつも、微笑んだ。
「私、あの塀の向こうを見てみたい。紗良ちゃんと。」
「塀の向こうを…。」
「ちょっとだけ、お昼寝しない?」
そう言うと優ちゃんは寝転んだ。
私もゆっくりと寝転んだ。
雪。星空。オーロラ。塀。
またこの景色を見るときが来るなんて。
「本当に来れたね、紗良ちゃん。」
隣には、同い年の、中学1年生の優ちゃん。
「うん…!」
目の前の塀を見ると、何故か階段ができていた。
二人でそこをゆっくりと登る。
塀の向こうは、星空とオーロラが反射する水面。それは揺れひとつしていない。凪状態とはこのことを言うのだろうか。
「あ」
隣の優ちゃんが声を出した。
よく見ると水面には、女性二人と男性も写っていた。
「お父さん!お母さん!お姉ちゃん!」
優ちゃんの呼びかけを、その3人は聞いているような気がした。
「私ね、中学生になったんだよ!ほら、お友達もできたんだよ!」
優ちゃんがそう言うと、水面の3人は優ちゃんと私に微笑んだ。
夏休み、私は祖父母の家に来ていた。
「紗良姉さん!久しぶり!」
先に来ていたであろう真衣とその家族が駆け寄ってきた。
「久しぶりだね、真衣。この前真衣が言ってた二人で同じ夢を見るっていう話、面白い話があるんだ。」 まろんさん(神奈川・12さい)からの相談
とうこう日:2023年6月29日みんなの答え:3件
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すごい どうもみなさんこんにちわ。ネタを考えるのが面倒なガノン好き小5です。
本題へ
すごいとしか言えない
ガノン好き小5さん(静岡・10さい)からの答え
とうこう日:2023年8月3日 -
凄すぎる...! Hi(^^♪My name's Marin(*´・ч・`*)
☆*: .。. o本題o .。.:*☆
凄すぎる...!
Have a nice day(*^^)v
Thanks for reading(*'ω'*)See ya(^^♪ 舞凜*まりん*#元兎乃#キズなん民さん(岐阜・12さい)からの答え
とうこう日:2023年8月3日 -
奇跡! こんにちは♪純恋です(≧∇≦)b
琉希から改名したので名前覚えて
もらえたら嬉しいです(^_-)-☆
*・*・*・*・*・START*・*・*・*・*・*
紗良ちゃんと優ちゃん、
夢であった友達が現実であえて良かったね!
*・*・*・*・*・FINISH*・*・*・*・*・*
誤字脱字あったらすみません!
参考になったら嬉しいです(^o^) 元琉希 純恋 #改名したよ!さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2023年8月3日
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