笑ってくれて、ありがとう
「……えっと、念のため聞くけど、それは告白?」
僕はじっと枝川さんの目を見て、ゆっくりと言葉を繰り返した。
「告白」という言葉を自分の口から言い放った後、幻を見たような、とても信じられない気持ちになった。
「そうだけど……。だめかな」
枝川さんも、僕の目を見つめてくる。僕は反射的に目を逸らした。
ここは学校の屋上。先ほど、僕はなぜか枝川さんに呼び止められて、突然、「付き合ってください!」と言われた。
「なんで僕なんかにーー」
無意識にそう呟いていた。枝川さんは完璧な人間で、僕と枝川さんでは到底、釣り合いがとれない。もっと良い人と付き合ったらいいのに。辛いけれど、そう思った。
だが、枝川さんは首を振って、優しい声で言った。
「ううん。優くんだから、わたしは告白したんだよ」
そう言って、枝川さんは笑った。ああ、かわいいなぁ、と瞬時に思った。
この笑顔は、人の心を溶かす力がある。絶対に。
「優くんは、わたしの一番の憧れだよ。見ていたら分かる」
「どうして?見ての通り、僕はダメダメ人間だよ。いいところが一つもない」
そう答えると、枝川さんは微笑んで、穏やかな声で言った。
「優くんって、頑張り屋さんだよね。誰かのために、気遣いができるところがわたしは好き」
すき、すき、すき……。僕の耳の中で、たった一つの言葉が何度も反復された。
こんな素敵な言葉に、僕は人生で初めて出会ったかもしれない。
僕は今まで、何をしても人に迷惑をかけてばかりだった。
その度に吐き出される一つの言葉。
「お前なんて、嫌いだ」
何度聞いたかわからない。
どうすればいいのかわからない。
生きる意味も見つからない。
……早く死にたい。
「ありがとう」って言われる人生が良かった。
もっと、愛されたかった。
でも、この願望は自殺願望へと変わった。
だから、僕は屋上へ行った。
今日、全てを終わらせるために。
「知ってるよ。優くんはわたしの英雄です。付き合ってください!」
枝川さんは、見ていた。
僕の必死に頑張る姿を。
僕の本当の姿を。
「……うん。いいよ」
目から涙が溢れて、流れ落ちた。
「えっ、ごめんね。大丈夫?」
枝川さんが僕にハンカチを差し出す。
やっぱり、枝川さんは「完璧な」人間だ。
僕は、茜色に染まる空を見て言った。
「君のおかげで、大丈夫」
枝川さんは、笑って言った。
「大好きです。そばにいてくれて、ありがとう」
「枝川さん、お待たせ」
その日から、僕たちは毎日一緒に学校に行った。
「優くーん、遅いよぅー!」
「ごめんごめん」
「早く行かないと、遅刻しちゃうよ?」
枝川さんと目が合った。内心、どきりとする。
人と目が合う時、僕は怯えてしまう癖がある。
それは、目が合う人の表情が険しいことがほとんどだからだ。
でも、その心配は杞憂に終わった。
枝川さんは、笑顔で僕の瞳を見ていた。
僕は枝川さんの笑顔を見るたびに、生きる意味を感じている。
生きていて、本当に良かった。
「よし、行こう!」
僕たちは未来へ一歩を踏み出した。 観覧車さん(兵庫・13さい)からの相談
とうこう日:2023年8月2日みんなの答え:2件
僕はじっと枝川さんの目を見て、ゆっくりと言葉を繰り返した。
「告白」という言葉を自分の口から言い放った後、幻を見たような、とても信じられない気持ちになった。
「そうだけど……。だめかな」
枝川さんも、僕の目を見つめてくる。僕は反射的に目を逸らした。
ここは学校の屋上。先ほど、僕はなぜか枝川さんに呼び止められて、突然、「付き合ってください!」と言われた。
「なんで僕なんかにーー」
無意識にそう呟いていた。枝川さんは完璧な人間で、僕と枝川さんでは到底、釣り合いがとれない。もっと良い人と付き合ったらいいのに。辛いけれど、そう思った。
だが、枝川さんは首を振って、優しい声で言った。
「ううん。優くんだから、わたしは告白したんだよ」
そう言って、枝川さんは笑った。ああ、かわいいなぁ、と瞬時に思った。
この笑顔は、人の心を溶かす力がある。絶対に。
「優くんは、わたしの一番の憧れだよ。見ていたら分かる」
「どうして?見ての通り、僕はダメダメ人間だよ。いいところが一つもない」
そう答えると、枝川さんは微笑んで、穏やかな声で言った。
「優くんって、頑張り屋さんだよね。誰かのために、気遣いができるところがわたしは好き」
すき、すき、すき……。僕の耳の中で、たった一つの言葉が何度も反復された。
こんな素敵な言葉に、僕は人生で初めて出会ったかもしれない。
僕は今まで、何をしても人に迷惑をかけてばかりだった。
その度に吐き出される一つの言葉。
「お前なんて、嫌いだ」
何度聞いたかわからない。
どうすればいいのかわからない。
生きる意味も見つからない。
……早く死にたい。
「ありがとう」って言われる人生が良かった。
もっと、愛されたかった。
でも、この願望は自殺願望へと変わった。
だから、僕は屋上へ行った。
今日、全てを終わらせるために。
「知ってるよ。優くんはわたしの英雄です。付き合ってください!」
枝川さんは、見ていた。
僕の必死に頑張る姿を。
僕の本当の姿を。
「……うん。いいよ」
目から涙が溢れて、流れ落ちた。
「えっ、ごめんね。大丈夫?」
枝川さんが僕にハンカチを差し出す。
やっぱり、枝川さんは「完璧な」人間だ。
僕は、茜色に染まる空を見て言った。
「君のおかげで、大丈夫」
枝川さんは、笑って言った。
「大好きです。そばにいてくれて、ありがとう」
「枝川さん、お待たせ」
その日から、僕たちは毎日一緒に学校に行った。
「優くーん、遅いよぅー!」
「ごめんごめん」
「早く行かないと、遅刻しちゃうよ?」
枝川さんと目が合った。内心、どきりとする。
人と目が合う時、僕は怯えてしまう癖がある。
それは、目が合う人の表情が険しいことがほとんどだからだ。
でも、その心配は杞憂に終わった。
枝川さんは、笑顔で僕の瞳を見ていた。
僕は枝川さんの笑顔を見るたびに、生きる意味を感じている。
生きていて、本当に良かった。
「よし、行こう!」
僕たちは未来へ一歩を踏み出した。 観覧車さん(兵庫・13さい)からの相談
とうこう日:2023年8月2日みんなの答え:2件
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感動した!! こんちゃっ(^^♪花凜です(#^.^#)
【本題】
感動した!!
読んでくれてありがとう(*'ω'*)ばいちゃっ(^^♪ 花凜*かりん*#元舞凜#垢抜け隊!さん(岐阜・12さい)からの答え
とうこう日:2023年9月14日 -
感動! こんちゃにゃみです(^O^)/ 名前覚えてもらえると嬉しいです!
面白かった!
最後ハッピーエンドでよかった!
じゃーね(^^♪ にゃみさん(選択なし・9さい)からの答え
とうこう日:2023年9月13日
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