彼女にもわからない勉強
僕が一目惚れした彼女の名前は、宮西 史乃(みやにし ふみの)という。
史乃はなんとも近寄り難いイメージだけど、本当は優しい。前、シャーペンを忘れてどうしようとあたふたしているときに、目を離したすきにシャーペンが置かれていた。それは「humino」と書かれた一品限りの特注品だった。「ありがとう」と言うけれど、彼女は本を読んでいる。
彼女はとても真面目で、成績が良い。
そのくせに、ちっとも勉強を教えず、自分自身の学力向上に専念している。隣の席で「ここ、わからないんだ。教えてくれる?」と言った時、「隣に西川(にしかわ)さんがいるでしょ。教えてもらったら」と言う。
僕は史乃さんに教えてもらいたい。西川さんは確かに成績優秀でモテモテだけど、史乃さんに夢中な僕には石ころみたいに見えた。
そして突然、ノートと教科書がなくなった。焦ったが、なんとか別のノートに書いて、隣の席の西川さんから教科書を見せてもらって、その場をしのいだ。その時も、史乃さんはすましていた。
その時は、「もう嫌いだな」と思っていた。
でもその後、教科書とノートが見つかった。落書きが消してあった教科書。中途半端な1ページだけ丁寧な字で書いてあった。明らかに史乃さんの文字だった。わかりやすくわからないところが書き込まれていて、また好きになった。
いつもツンとすましている史乃さんになんとか会話を交わそうとしても、いつもツンとすまされる。
僕にはわからない、見えない形でもう失恋しているのだろうか。
でも僕は熱心にアピールし続けた。頑張って、たくさんアピール。でもその度に、僕は辛い思いをした。
それでも、丸メガネの愛嬌と、ストレートな黒いロングの髪が忘れられない。あんなに素晴らしい女性はいない。
僕は決めた。ノートがなくなった時のことを応用して、僕はとある1ページに付箋をはる。その付箋には「放課後残ってください」と書く。必ず見てくれるだろう。
「すみません。あの、ここがわからないんです」
「え?西川さんがいるでしょ」
「あ……」
やっぱり、少し心がグサリと痛む。
放課後のことだった。
史乃さんが教室に出るのを見計らって、「すみませーん!」と声をかけた。
「え?何?」
「あの、一緒に、帰り、ませんか!?」
「え……今日は英単語を唱えながら帰る予定。予定を乱さないで!」
「あの!よかったら!僕も!一緒に!お願い!します!」
多分、史乃さんは(変な人)と思っているだろう。顔に出ているのだから。
僕は緊張しすぎて文章ではなく、単語で区切っていた。
「じゃあ、復習がてら問題を出しましょうか。暇ですし。問題です。『What you are name?』」
「えっ!?あ……」
わからないな。やばい!
「ブー。あなたの名前はなんですか?と聞いたのよ。だから僕の名前は龍斗(りゅうと)です。『My name is Ryuto』」
「あ……わかりました」
チャンスが巡ってこない。僕は次々にわからない英単語の文章を出され、不正解。
「あの……一つ、僕、英単語を覚えたんです」
「え?あなたが?さっきまで、全問不正解。それも回答なし。大丈夫なのかしら?」
「大丈夫です!」
「すごい自信」
あなたが好きです。は難しそうだから、史乃が好きです。にしよう。人に対しての好きはlove。だから……
「I love Humino!」
「あ……どこでそんな文章を?」
「え!えっと、その……」
「バカげた文章ね。私が好きだなんて。冗談でしょう?普通、西川さんだし」
失恋した?
史乃さんは唇をかみしめていた。
「え、どうしたんですか?」
「いえ。あなたは好きな人とか、いるんですか?」
「え、はい」
「私もいるわ」
史乃さんにもいるんだ。失恋確定。
「その人は、私にわからない勉強を教えてくれるのよ」
すごいな。わからない勉強を教えてくれる。
「意外な方法で解決してみたりするのよ。その手があったか!なんて思ってるのよ」
謎解きが得意な人みたいだな。
「すごいですね。何組なんですか?」
「私たちのクラスよ」
ライバルがそんなに近くにいたんだ。
「すごいですね、その人……」
「ふふふ。その人はね……近いうちに告白しようと思ってるのよ」
いつもと違って、史乃さんはいたずらっぽく笑った。
翌日、今度はノートだけがなくなっていた。それも、何日も続いて。
ようやくノートが戻ってきた。ペラペラ……とめくると、小さく、くしゅくしゅっと書いた文字があった。
落書きかな?
その一文字をよく見てみる。そこには、こう書かれていた。
「I love Ryuto」 サクラ。さん(選択なし・9さい)からの相談
とうこう日:2023年9月16日みんなの答え:2件
史乃はなんとも近寄り難いイメージだけど、本当は優しい。前、シャーペンを忘れてどうしようとあたふたしているときに、目を離したすきにシャーペンが置かれていた。それは「humino」と書かれた一品限りの特注品だった。「ありがとう」と言うけれど、彼女は本を読んでいる。
彼女はとても真面目で、成績が良い。
そのくせに、ちっとも勉強を教えず、自分自身の学力向上に専念している。隣の席で「ここ、わからないんだ。教えてくれる?」と言った時、「隣に西川(にしかわ)さんがいるでしょ。教えてもらったら」と言う。
僕は史乃さんに教えてもらいたい。西川さんは確かに成績優秀でモテモテだけど、史乃さんに夢中な僕には石ころみたいに見えた。
そして突然、ノートと教科書がなくなった。焦ったが、なんとか別のノートに書いて、隣の席の西川さんから教科書を見せてもらって、その場をしのいだ。その時も、史乃さんはすましていた。
その時は、「もう嫌いだな」と思っていた。
でもその後、教科書とノートが見つかった。落書きが消してあった教科書。中途半端な1ページだけ丁寧な字で書いてあった。明らかに史乃さんの文字だった。わかりやすくわからないところが書き込まれていて、また好きになった。
いつもツンとすましている史乃さんになんとか会話を交わそうとしても、いつもツンとすまされる。
僕にはわからない、見えない形でもう失恋しているのだろうか。
でも僕は熱心にアピールし続けた。頑張って、たくさんアピール。でもその度に、僕は辛い思いをした。
それでも、丸メガネの愛嬌と、ストレートな黒いロングの髪が忘れられない。あんなに素晴らしい女性はいない。
僕は決めた。ノートがなくなった時のことを応用して、僕はとある1ページに付箋をはる。その付箋には「放課後残ってください」と書く。必ず見てくれるだろう。
「すみません。あの、ここがわからないんです」
「え?西川さんがいるでしょ」
「あ……」
やっぱり、少し心がグサリと痛む。
放課後のことだった。
史乃さんが教室に出るのを見計らって、「すみませーん!」と声をかけた。
「え?何?」
「あの、一緒に、帰り、ませんか!?」
「え……今日は英単語を唱えながら帰る予定。予定を乱さないで!」
「あの!よかったら!僕も!一緒に!お願い!します!」
多分、史乃さんは(変な人)と思っているだろう。顔に出ているのだから。
僕は緊張しすぎて文章ではなく、単語で区切っていた。
「じゃあ、復習がてら問題を出しましょうか。暇ですし。問題です。『What you are name?』」
「えっ!?あ……」
わからないな。やばい!
「ブー。あなたの名前はなんですか?と聞いたのよ。だから僕の名前は龍斗(りゅうと)です。『My name is Ryuto』」
「あ……わかりました」
チャンスが巡ってこない。僕は次々にわからない英単語の文章を出され、不正解。
「あの……一つ、僕、英単語を覚えたんです」
「え?あなたが?さっきまで、全問不正解。それも回答なし。大丈夫なのかしら?」
「大丈夫です!」
「すごい自信」
あなたが好きです。は難しそうだから、史乃が好きです。にしよう。人に対しての好きはlove。だから……
「I love Humino!」
「あ……どこでそんな文章を?」
「え!えっと、その……」
「バカげた文章ね。私が好きだなんて。冗談でしょう?普通、西川さんだし」
失恋した?
史乃さんは唇をかみしめていた。
「え、どうしたんですか?」
「いえ。あなたは好きな人とか、いるんですか?」
「え、はい」
「私もいるわ」
史乃さんにもいるんだ。失恋確定。
「その人は、私にわからない勉強を教えてくれるのよ」
すごいな。わからない勉強を教えてくれる。
「意外な方法で解決してみたりするのよ。その手があったか!なんて思ってるのよ」
謎解きが得意な人みたいだな。
「すごいですね。何組なんですか?」
「私たちのクラスよ」
ライバルがそんなに近くにいたんだ。
「すごいですね、その人……」
「ふふふ。その人はね……近いうちに告白しようと思ってるのよ」
いつもと違って、史乃さんはいたずらっぽく笑った。
翌日、今度はノートだけがなくなっていた。それも、何日も続いて。
ようやくノートが戻ってきた。ペラペラ……とめくると、小さく、くしゅくしゅっと書いた文字があった。
落書きかな?
その一文字をよく見てみる。そこには、こう書かれていた。
「I love Ryuto」 サクラ。さん(選択なし・9さい)からの相談
とうこう日:2023年9月16日みんなの答え:2件
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上手! めりくり♪
元心姫のりぅ*だぅ(≧∇≦)
♪───O(≧∇≦)O────♪
めっちゃ上手!
これからも小説頑張って♪
短文ごめん(´・ω・`)
♪───O(≧∇≦)O────♪
誤字があったらごめん(´・ω・`)
ばいばい(^・・^*)/
by.りぅ* りぅ*#元心姫さん(奈良・13さい)からの答え
とうこう日:2023年11月7日 -
面白かったですー! 話にしっかり筋が通っていて、わかりやすく、面白かったです!
また読みたいですー! 美澄さん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2023年11月6日
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