地底に咲いた花
メッセージアプリで注文を受け付ける「なんでも屋」を開業して1年になるが、こんな依頼を受けたのは初めてのことだった。
今回の客は、荷物の受け渡しも、料金の支払いもすべてメッセージアプリで終わらせようとしていた。
「コインパーキングへ行って車に乗ってください」
地図の場所へ行くと、そこはコインパーキングであり、一台のワンボックスカーが停められていた。
「鍵は給油口の蓋を開けたところに入っています」
メッセージの通りに鍵は入っていた。
鍵を開けて運転席に乗り込むと、次のメッセージが届く。
「荷物は後部シートに乗っています。カーナビの場所へ届けてください。料金は助手席側ダッシュボードにあります。駐車料金も含まれていますのでご確認ください」
開けてみると、封筒に入った15万3000円があった。今回の依頼料金は15万円だった。残りの3000円は、駐車料金ということなのだろう。
「荷物は後部シートに置かれています。荷物は絶対に触らないでください。まだ荷物についての質問はNGです」
もしヤバいものだったら、どうしようか。そんな考えもあったが、これが何であるかが想像もしないことにした。
目的地についた時、どこか安心している自分がいた。
そこは町外れにある花屋の前だった。店の中には可愛らしい女性がデニム地のエプロンをつけて座っていた。
「すいません、お届けものなのですが」
「車で裏まで運んでもらえますか」
彼女はそういうと店の脇にある道を指し示した。
「あ、荷物は自分でおろします。荷物には触らないで」
店の裏口から出てきた彼女はそう言って駆け寄ってきた。
ビニール袋を抱えるようにして持ち上げた時、何か柔らかい感触があった。
そう思ったと同時に、首筋に何か衝撃を受けた。
振り返るとそこにはスタンガンを持った彼女の姿があった。
「荷物には触らないでって言ったのに」
そこで意識は断たれた。
目が覚めた時、自分がどこにいるのかよくわからなかった。
目を開けることはできたが、なぜか手足は動かすことができなかった。
「目、覚めた?」
声が聞こえた。彼女の声だった。
「荷物に触れないでって言わなかったけ?」
「ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったんです」
「謝っても、もう遅いよ」
「でも、中身は何かわからなかったです。絶対にわかりません」
言葉ではそういったが、本当に触れた瞬間にビニール袋の中身が何であるか、すぐにわかった。
あの感触。あれは人の体だ。
「殺さないでください」
涙を流しながら懇願した。
「それはわたしの仕事じゃないから。わたしの仕事は処理をするだけ」
彼女は笑顔でそういった。
その笑顔は、まるで地底に咲いた花のようだった。 すみれさん(静岡・12さい)からの相談
とうこう日:2024年2月4日みんなの答え:0件
今回の客は、荷物の受け渡しも、料金の支払いもすべてメッセージアプリで終わらせようとしていた。
「コインパーキングへ行って車に乗ってください」
地図の場所へ行くと、そこはコインパーキングであり、一台のワンボックスカーが停められていた。
「鍵は給油口の蓋を開けたところに入っています」
メッセージの通りに鍵は入っていた。
鍵を開けて運転席に乗り込むと、次のメッセージが届く。
「荷物は後部シートに乗っています。カーナビの場所へ届けてください。料金は助手席側ダッシュボードにあります。駐車料金も含まれていますのでご確認ください」
開けてみると、封筒に入った15万3000円があった。今回の依頼料金は15万円だった。残りの3000円は、駐車料金ということなのだろう。
「荷物は後部シートに置かれています。荷物は絶対に触らないでください。まだ荷物についての質問はNGです」
もしヤバいものだったら、どうしようか。そんな考えもあったが、これが何であるかが想像もしないことにした。
目的地についた時、どこか安心している自分がいた。
そこは町外れにある花屋の前だった。店の中には可愛らしい女性がデニム地のエプロンをつけて座っていた。
「すいません、お届けものなのですが」
「車で裏まで運んでもらえますか」
彼女はそういうと店の脇にある道を指し示した。
「あ、荷物は自分でおろします。荷物には触らないで」
店の裏口から出てきた彼女はそう言って駆け寄ってきた。
ビニール袋を抱えるようにして持ち上げた時、何か柔らかい感触があった。
そう思ったと同時に、首筋に何か衝撃を受けた。
振り返るとそこにはスタンガンを持った彼女の姿があった。
「荷物には触らないでって言ったのに」
そこで意識は断たれた。
目が覚めた時、自分がどこにいるのかよくわからなかった。
目を開けることはできたが、なぜか手足は動かすことができなかった。
「目、覚めた?」
声が聞こえた。彼女の声だった。
「荷物に触れないでって言わなかったけ?」
「ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったんです」
「謝っても、もう遅いよ」
「でも、中身は何かわからなかったです。絶対にわかりません」
言葉ではそういったが、本当に触れた瞬間にビニール袋の中身が何であるか、すぐにわかった。
あの感触。あれは人の体だ。
「殺さないでください」
涙を流しながら懇願した。
「それはわたしの仕事じゃないから。わたしの仕事は処理をするだけ」
彼女は笑顔でそういった。
その笑顔は、まるで地底に咲いた花のようだった。 すみれさん(静岡・12さい)からの相談
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