魔法少女と桜前線
この世には、ほんの数人だけ、生まれつきの魔法使いが存在する。
私は、その一人だった。
それこそ、ものを浮かせたり、空を飛んだり、雨を降らせたり、花を咲かせたりなんてお手の物。
悪用すれば、人の脳を操ったりなんかもできてしまう。
大抵のことは魔法で何でもできたから、困らなかった。
これを今聞いているあなたは、きっと羨ましいと思うだろう。
でも私は、それを見せびらかすことなんか絶対しなかった。
地球上に魔法使いがいることは、魔法使いの一族しか知らない。
もしばれてしまえば、何かの実験に使われたり、殺されてしまうかもしれないから。
ーでも。
ただこの世に一人だけ、このことを知っている人間がいた。
私の幼馴染の、ユリだ。
私が幼い時に、おきてを破りユリに魔法のことを教えてしまったのだ。
そのときの私とユリは、まるで双子のように意気投合し、すごく仲が良かった。
だから、ユリに隠し事をするなんて、その時の純粋な私には無理な話だった。
ユリも私と同様小さかったので、素直に魔法を信じた。
よくお母さんに内緒で、魔法で桜を咲かせ遊んでいたのを思い出す。
あのときは自分がどれだけ重大なことをしたかわかってなかったけど、今思えばかなりの悪事だった。
私は、人間に、しだいにユリにあこがれの気持ちを抱くようになった。
魔法もないのに一生懸命に生きているところに、強く惹かれたのだ。
そして人間と触れ合っていくうちに、だんだん自分の存在はおかしいのだと気づき、人間と同じになりたいと思った。
こんな力はいらない、と。
そしてとある日、見つけてしまったのだ。
「人間になる魔法の薬」を。
その薬は危ないから触るなときつくお母さんに言われていたが、私は聞く耳を持たなかった。
失敗すると、人間になるどころか死に至ることもあるらしい。
でももう、人間になることしか考えられなかった。
そしてついに。
私は、その薬を飲んでしまった。
あまりの不味さに吐き出してしまいそうになったけど、頑張って口の中に押し込んだ。
そこで、意識は途切れた。
次に目が覚めた時には、もう遅かった。
母の忠告を聞いていればよかったと、どれだけ後悔したことか。
私の体は、桜の木になっていた。
一度は自分を疑ったけど、どこからどう見てもこの茶色くて太い体は桜の幹だ。
そう。人間になる薬は、失敗に終わってしまたのだ。
もう魔法が使えないどころか、歩けないし話せもしない。ただの桜の木だ。
人魚姫が泡になって、儚く消えたように。
私は、人間になって、もっとユリに近づきたかっただけなのに。
でも、もう受け入れるしかない。
馬鹿な自分を悔やんでいても、仕方ない。
ー魔法少女としての人生は終わってしまったけど、これからは、ユリたち人間をそばで見守る桜になるのだ。
人間たちの、はしゃぐ声が聞こえる。
今は、4月といったところだろうか。
今までなら、ユリと一緒にお花見に行っていた。
まさか、自分が見られる側になるなんて思いもしなかった。
ユリは元気だろうか。
ユリもいつか、この桜の木にお花見に来てくれるだろうか。
もう話せなくても、私はずっとあなたを想っている。
ーどうか幸せで、ユリ。
心の中で、そっとつぶやいた。
いちごカフェラテさん(大阪・14さい)からの相談
とうこう日:2024年3月11日みんなの答え:2件
私は、その一人だった。
それこそ、ものを浮かせたり、空を飛んだり、雨を降らせたり、花を咲かせたりなんてお手の物。
悪用すれば、人の脳を操ったりなんかもできてしまう。
大抵のことは魔法で何でもできたから、困らなかった。
これを今聞いているあなたは、きっと羨ましいと思うだろう。
でも私は、それを見せびらかすことなんか絶対しなかった。
地球上に魔法使いがいることは、魔法使いの一族しか知らない。
もしばれてしまえば、何かの実験に使われたり、殺されてしまうかもしれないから。
ーでも。
ただこの世に一人だけ、このことを知っている人間がいた。
私の幼馴染の、ユリだ。
私が幼い時に、おきてを破りユリに魔法のことを教えてしまったのだ。
そのときの私とユリは、まるで双子のように意気投合し、すごく仲が良かった。
だから、ユリに隠し事をするなんて、その時の純粋な私には無理な話だった。
ユリも私と同様小さかったので、素直に魔法を信じた。
よくお母さんに内緒で、魔法で桜を咲かせ遊んでいたのを思い出す。
あのときは自分がどれだけ重大なことをしたかわかってなかったけど、今思えばかなりの悪事だった。
私は、人間に、しだいにユリにあこがれの気持ちを抱くようになった。
魔法もないのに一生懸命に生きているところに、強く惹かれたのだ。
そして人間と触れ合っていくうちに、だんだん自分の存在はおかしいのだと気づき、人間と同じになりたいと思った。
こんな力はいらない、と。
そしてとある日、見つけてしまったのだ。
「人間になる魔法の薬」を。
その薬は危ないから触るなときつくお母さんに言われていたが、私は聞く耳を持たなかった。
失敗すると、人間になるどころか死に至ることもあるらしい。
でももう、人間になることしか考えられなかった。
そしてついに。
私は、その薬を飲んでしまった。
あまりの不味さに吐き出してしまいそうになったけど、頑張って口の中に押し込んだ。
そこで、意識は途切れた。
次に目が覚めた時には、もう遅かった。
母の忠告を聞いていればよかったと、どれだけ後悔したことか。
私の体は、桜の木になっていた。
一度は自分を疑ったけど、どこからどう見てもこの茶色くて太い体は桜の幹だ。
そう。人間になる薬は、失敗に終わってしまたのだ。
もう魔法が使えないどころか、歩けないし話せもしない。ただの桜の木だ。
人魚姫が泡になって、儚く消えたように。
私は、人間になって、もっとユリに近づきたかっただけなのに。
でも、もう受け入れるしかない。
馬鹿な自分を悔やんでいても、仕方ない。
ー魔法少女としての人生は終わってしまったけど、これからは、ユリたち人間をそばで見守る桜になるのだ。
人間たちの、はしゃぐ声が聞こえる。
今は、4月といったところだろうか。
今までなら、ユリと一緒にお花見に行っていた。
まさか、自分が見られる側になるなんて思いもしなかった。
ユリは元気だろうか。
ユリもいつか、この桜の木にお花見に来てくれるだろうか。
もう話せなくても、私はずっとあなたを想っている。
ーどうか幸せで、ユリ。
心の中で、そっとつぶやいた。
いちごカフェラテさん(大阪・14さい)からの相談
とうこう日:2024年3月11日みんなの答え:2件
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
2件中 1 〜 2件を表示
-
感動しました めっちゃ感度うしました 椿薔紀さん(兵庫・10さい)からの答え
とうこう日:2024年5月18日 -
ちょっと悲しいね キュアフレンディです!
死んじゃったのか。
でも、桜の木になって、みんなを見守ってるんだね。
でも、いい話! キュアフレンディさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2024年5月17日
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
2件中 1 〜 2件を表示
-
- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
- カテゴリごとの新着相談
-
-
- みんなの好きな短歌は?11月29日
-
- 使用時間が増えない01月10日
-
- 相談です01月10日
-
- 清潔感が欲しい01月10日
-
- 受験について(真面目な話です)01月11日
-
- 胸が大きい01月11日
-
- 耳がおかしくなった01月11日
-
- 行きたくない01月10日
-
- 最近一人でいることが多い01月10日
-
- カービィシリーズ好きあつまれー!!01月10日
-
- 逆チョコを渡したいです。01月11日
-
- 髪の毛の件01月10日
-
- 福袋なにか買った?01月10日
-
- あの場所で 〜笑顔と感動の物語〜09月30日
-
- 生理中の服装01月11日
-
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する
・>>地元の相談窓口を探す
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。