ハナのためにも、わたしは生きる。
その夜は、あの日みたいに少し肌寒かった。
空ではキラキラと星が光っている。
わたしとハナは、親友だった。
大親友だった。
わたしはベランダの手すりに手をかけると、少しもうるっとこない目をこすりながら、ハナのことを考えた―――。
―――一週間前―――
夜の八時、ソファーで漫画を読んでいるとき、ピコン、とラインの通知音が鳴った。
こんな時間に誰だろうと開いてみると、ハナからだった。
『今何してる?』
『時間あるかなぁ??』
わたしはすぐに返信をした。
『時間あるよ。どうしたの?』
すぐに既読になった。だけど、返事がこない。
わたしは打ってる途中なんだなと思い、そのまま返事が来るのを待つことにした。
――2分経過――
返事は、まだこない。
――5分経過――
わたしは、さすがにおかしいと思い、ハナに電話をかけた。
プルルルル、プルルルル。
「・・・・もしもし」
ハナだ。ハナが電話に出てくれた。
わたしは慌てて、「どうしたの?」と聞いた。
少し間があったけど、ハナは「あのね・・・・」と話し始めた。
ハナの話を聞いてわたしは、すぐに家を出た。
いつもならこんな寒い日に、ジャンバーなしで出かけられないのに、今日はそんなの気にもしないでサンダルを履いた。
怖くて、足が震えながらも、懸命に歩いた。
このまままっすぐ歩けば、公園だ、公園には、ハナがいる。
「ハナ・・・!」
わたしはヨロヨロと公園にたどり着くと、ベンチに座っているハナに声をかけた。
「ソラ・・・・」
ハナがわたしの名前を呼ぶ。
わたしは、そっとハナの隣に座った。
「ハナ、ほんとなの・・・?」
わたしが聞くとハナは、悲しそうにうなずいた。
「ソラ、ソラはわたしがいなくなっても、絶対に生きてほしい。いつか、また会えるから」
わたしが想像してた以上に、ハナは落ち着いていた。こうなることを、もう最初から分かっていたのかもしれない。
「ハナ、やだよ、わたし・・・・やだよ・・・・」
わたしはハナの細くて小さい手を握りしめながら、小さく嗚咽した。
わたしの何倍も、ハナはつらいはずなのに、黙って背中をさすってくれる。
ハナは、二年前、重い病気にかかってしまった。
それでも、頑張って学校に来ていた。
でも一昨日、風邪気味で入院していたハナの様態が急変した。
そして、医者に「余命一週間」と告げられた。
「いつかまた会える」
なにそれ。まるで、明日ハナが死ぬみたいな言い方じゃん。
わたしは、どこまでも響き渡るような大きな声で泣いた。
夜空では、星が光っている。
流れ星なんて見えないのに、わたしは、『ハナの病気を治してください』と、泣きながら願っていた。
――そして、現在に至る。
「・・・・ハナ、やっぱりわたし、ハナがいないとダメだよ」
わたしは、静かにそう言うと、うつろな目で星空を見上げた。
・・・ハナ。
もうハナは、世界のどこにもいないんだね。
もう会えないんだね。
昨日、ハナのお葬式に行ったよ。
ハナ、痛かった?
ハナ、つらかった?
わたしは、痛くてつらくて悲しかったよ。
もう一度、ハナに会いたい。
会いたい・・・・・。
「・・・・・ハナ」
わたしは手すりをつかむと、グイッと体を手すりに乗せた。
ここから落ちれば、ハナに会える。
もう一度、会える。
「ハナ、今行くからね」
わたしは星空へ身をなげようとした。
その時・・・・・。
ゴゴゴゴゴゴゴー!
強い、強い風が、わたしの髪の毛をグシャグシャにした。
同時に、ハナの言葉がよみがえる。
『絶対、生きて―――・・・』
ハナ。
わたし、ハナの所へ行きたい。
ハナに会いたい。
でも、今ハナに会いに行ったら、ハナは怒るかな。
ハナは、喜ぶかな。
「・・・・・・」
わたしは、手すりから下り、その場に崩れ落ちた。
ハナ。
わたし、あなたに会いたい。
もう一度、会いたい。
ちっともうるっとこない目から、大きな涙の粒があふれ出した。
わたし、今、人生の中で一番つらいよ。
でも。
わたし、生きるからね。
ハナのためにも、生きるからね。
頑張って生きて、そしてやっと、ハナに会えたら、ハナは笑ってくれるよね?
「やっと会えた」
そう言ってくれるよね?
ハナ―――・・・・。
ハナのためにも、わたしは生きる。
キューカさん(岡山・12さい)からの相談
とうこう日:2024年3月26日みんなの答え:1件
空ではキラキラと星が光っている。
わたしとハナは、親友だった。
大親友だった。
わたしはベランダの手すりに手をかけると、少しもうるっとこない目をこすりながら、ハナのことを考えた―――。
―――一週間前―――
夜の八時、ソファーで漫画を読んでいるとき、ピコン、とラインの通知音が鳴った。
こんな時間に誰だろうと開いてみると、ハナからだった。
『今何してる?』
『時間あるかなぁ??』
わたしはすぐに返信をした。
『時間あるよ。どうしたの?』
すぐに既読になった。だけど、返事がこない。
わたしは打ってる途中なんだなと思い、そのまま返事が来るのを待つことにした。
――2分経過――
返事は、まだこない。
――5分経過――
わたしは、さすがにおかしいと思い、ハナに電話をかけた。
プルルルル、プルルルル。
「・・・・もしもし」
ハナだ。ハナが電話に出てくれた。
わたしは慌てて、「どうしたの?」と聞いた。
少し間があったけど、ハナは「あのね・・・・」と話し始めた。
ハナの話を聞いてわたしは、すぐに家を出た。
いつもならこんな寒い日に、ジャンバーなしで出かけられないのに、今日はそんなの気にもしないでサンダルを履いた。
怖くて、足が震えながらも、懸命に歩いた。
このまままっすぐ歩けば、公園だ、公園には、ハナがいる。
「ハナ・・・!」
わたしはヨロヨロと公園にたどり着くと、ベンチに座っているハナに声をかけた。
「ソラ・・・・」
ハナがわたしの名前を呼ぶ。
わたしは、そっとハナの隣に座った。
「ハナ、ほんとなの・・・?」
わたしが聞くとハナは、悲しそうにうなずいた。
「ソラ、ソラはわたしがいなくなっても、絶対に生きてほしい。いつか、また会えるから」
わたしが想像してた以上に、ハナは落ち着いていた。こうなることを、もう最初から分かっていたのかもしれない。
「ハナ、やだよ、わたし・・・・やだよ・・・・」
わたしはハナの細くて小さい手を握りしめながら、小さく嗚咽した。
わたしの何倍も、ハナはつらいはずなのに、黙って背中をさすってくれる。
ハナは、二年前、重い病気にかかってしまった。
それでも、頑張って学校に来ていた。
でも一昨日、風邪気味で入院していたハナの様態が急変した。
そして、医者に「余命一週間」と告げられた。
「いつかまた会える」
なにそれ。まるで、明日ハナが死ぬみたいな言い方じゃん。
わたしは、どこまでも響き渡るような大きな声で泣いた。
夜空では、星が光っている。
流れ星なんて見えないのに、わたしは、『ハナの病気を治してください』と、泣きながら願っていた。
――そして、現在に至る。
「・・・・ハナ、やっぱりわたし、ハナがいないとダメだよ」
わたしは、静かにそう言うと、うつろな目で星空を見上げた。
・・・ハナ。
もうハナは、世界のどこにもいないんだね。
もう会えないんだね。
昨日、ハナのお葬式に行ったよ。
ハナ、痛かった?
ハナ、つらかった?
わたしは、痛くてつらくて悲しかったよ。
もう一度、ハナに会いたい。
会いたい・・・・・。
「・・・・・ハナ」
わたしは手すりをつかむと、グイッと体を手すりに乗せた。
ここから落ちれば、ハナに会える。
もう一度、会える。
「ハナ、今行くからね」
わたしは星空へ身をなげようとした。
その時・・・・・。
ゴゴゴゴゴゴゴー!
強い、強い風が、わたしの髪の毛をグシャグシャにした。
同時に、ハナの言葉がよみがえる。
『絶対、生きて―――・・・』
ハナ。
わたし、ハナの所へ行きたい。
ハナに会いたい。
でも、今ハナに会いに行ったら、ハナは怒るかな。
ハナは、喜ぶかな。
「・・・・・・」
わたしは、手すりから下り、その場に崩れ落ちた。
ハナ。
わたし、あなたに会いたい。
もう一度、会いたい。
ちっともうるっとこない目から、大きな涙の粒があふれ出した。
わたし、今、人生の中で一番つらいよ。
でも。
わたし、生きるからね。
ハナのためにも、生きるからね。
頑張って生きて、そしてやっと、ハナに会えたら、ハナは笑ってくれるよね?
「やっと会えた」
そう言ってくれるよね?
ハナ―――・・・・。
ハナのためにも、わたしは生きる。
キューカさん(岡山・12さい)からの相談
とうこう日:2024年3月26日みんなの答え:1件
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感動! おはにちばんわ!虹色花火だよ!
本題
とても感動しました!最近感動系が流行ってるのかな。ありがとうございました! 虹色花火(元花火君、レインボー君)さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2024年6月3日
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