思いは届く(超長い)
転校生がやってきた。といっても、中学生になる年、引っ越してきた子がいた。
とっても美人で、かわいくて、こっちに振り向くと、髪がふわぁってなって、元気で、いい子。
私とは、正反対。
今日も春日部(かすかべ)さんは人気者だ。春日部さんの、
「おはよう!」
っていう言葉だけで、「よし。今日も頑張ろう」っていう気分になる。
春日部さんは、クラスだけじゃなく、先輩達も、先生達にも人気だった。
可愛いからなのかな。それじゃあ私はどうやっても追いつけない。
「…さん。佐藤さん。佐藤さん!」
「はっはい!」「はい!」
やばい。授業中だった。あれ?私の他に返事をした声が聞こえたような…。
教室中の視線が集まっている場所ー春日部さんだ。
「あれ?なんで返事しちゃったんだろ?おかしいなぁ?」
周りが「あはははっ」という雰囲気に包まれた。
あの出来事で、私と春日部楓(かえで)は仲良くなった。
どこに行っても、私たちは一緒だった。
ある日、翔太(しょうた)君がこっちにやってきた。
翔太君は私は食学生の頃から好きな男の子だ。
だけど、そんな思いはすぐに打ち破れた。
「楓さん!僕と、付き合ってください!!」
やっぱり、可愛い子が好きなんだ。
私なんかは、誰も見向きもしない。ただの楓のおまけ。
「ごめんなさい。私、他に好きな人がいるの。」
楓は断った。好きな人って、誰なんだろう。
私の家は母子家庭だ。お父さんは私が生まれてすぐに交通事故で亡くなった。
ショックでお母さんは仕事にも手がつかなくなって、私の家は貧乏。だから中学校を卒業したら、高校には行かずにすぐに働くつもりだ。少しでも、楽にしてあげたい。
「今日、私の家に来ない?」
楓から誘われた。
「いくいく!」
帰っても、どうせ暇だし、友達の家に呼ばれたのは初めてだったから、ワクワクした気持ちで楓の家に行った。
楓の家は豪邸だった。まるで自分が小さくなって、お城の下に立っているよう。
「さ、入って入って!」
楓の部屋はとても広い。ベットはふかふか。トイレとお風呂もあるし、大きなクローゼットにはたくさんの服があった。
私たちはお化粧遊びをして過ごした。
楓は私を可愛くしてくれて、「可愛い」を連発した。
「あっ!お菓子をとってくるね。ちょっとまってて。」
「うん。」
私は自分を鏡で見ながら待った。
だけど、楓は戻ってこなかった。大丈夫かな?
もしかしたら、お腹が痛くて途中で倒れているのかも。この家、大きいけど全然人がいないから、発見されてないかも。
私は部屋を出て、楓を探しに歩いた。
銀の甲冑の前を通り過ぎ、赤いカーぺットの階段を降り、大きな肖像画の側で立ち止まった。
「ここ、どこだろう。」
何も考えずに歩いてきてしまった。私は、来た道らしい所を歩いて帰ったが、部屋には戻れなかった。というか、どれが楓の部屋なのか、ドアがみんな同じだから全然わからない。もう通り過ぎているのかも知れないし、道を間違えているのかも知れない。
「どうしよう…」
その時、声が聞こえた。
いけないけど、ここがどこかなのかわかるかも知れない。わからなくても、聞くことができる。
私は声のするドアに耳を押し付けた。
「あんたはいつまでこの家に居座っているつもり?あんたはね、いらないんだよ。」
「ごめんなさい。」
知らない女の人の声と、楓の声が聞こえた。ちょっとだけドアを開けてみると、楓が泣いていた。
「私の子は生まれるまであんたがこの家にいたら、追い出すからね。ほんと、ブサイクで何もできない子。さっさと掃除をしておしまい。」
「…はい。」
私はこれ以上いるのは良くないと思い、ドアから離れた。そして、そっと家を出た。
次の日も、私はずっとモヤモヤしていた。あの女の人は誰だったんだろう。わからないけど、すっごく嫌な人っていうのはわかった。
「みう!どうして昨日帰っちゃったの?」
楓が元気に声をかけてきた。
「うん…。」
「どうしたの?」
私はこれ以上抑えきれないと思い、楓に告白した。
「昨日、楓と女の人が話している所を、見ちゃったの。」
「そう…。今日話そうと思ってたんだけどね、そういう知りかただったのは辛いな。」
「ごめん。」
「ううん、いいの。あの女の人は私の義母なの。前の姓は佐藤。お母様は、病気で去年死んじゃった。それからお父様はあの女と再婚して、私とは一度も会ってないの。」
「そうだったんだ…。」
「私はね、辛かった。でも、「可哀想な子」って言われるのはもっと辛い。バカみたいでしょ。」
「ううん!全然!わかるよ、その気持ち。だって私はお父さんがいなくて、よく言われるもん。」
「そっか。よかった。私が転校してきた時、みうは全然私のことを褒めたりしなかった。好きだよ。友達としてだけど。」
「え!そうなの?うれしい!ありがとう!」 あちゃぱさん(大阪・12さい)からの相談
とうこう日:2024年4月21日みんなの答え:0件
とっても美人で、かわいくて、こっちに振り向くと、髪がふわぁってなって、元気で、いい子。
私とは、正反対。
今日も春日部(かすかべ)さんは人気者だ。春日部さんの、
「おはよう!」
っていう言葉だけで、「よし。今日も頑張ろう」っていう気分になる。
春日部さんは、クラスだけじゃなく、先輩達も、先生達にも人気だった。
可愛いからなのかな。それじゃあ私はどうやっても追いつけない。
「…さん。佐藤さん。佐藤さん!」
「はっはい!」「はい!」
やばい。授業中だった。あれ?私の他に返事をした声が聞こえたような…。
教室中の視線が集まっている場所ー春日部さんだ。
「あれ?なんで返事しちゃったんだろ?おかしいなぁ?」
周りが「あはははっ」という雰囲気に包まれた。
あの出来事で、私と春日部楓(かえで)は仲良くなった。
どこに行っても、私たちは一緒だった。
ある日、翔太(しょうた)君がこっちにやってきた。
翔太君は私は食学生の頃から好きな男の子だ。
だけど、そんな思いはすぐに打ち破れた。
「楓さん!僕と、付き合ってください!!」
やっぱり、可愛い子が好きなんだ。
私なんかは、誰も見向きもしない。ただの楓のおまけ。
「ごめんなさい。私、他に好きな人がいるの。」
楓は断った。好きな人って、誰なんだろう。
私の家は母子家庭だ。お父さんは私が生まれてすぐに交通事故で亡くなった。
ショックでお母さんは仕事にも手がつかなくなって、私の家は貧乏。だから中学校を卒業したら、高校には行かずにすぐに働くつもりだ。少しでも、楽にしてあげたい。
「今日、私の家に来ない?」
楓から誘われた。
「いくいく!」
帰っても、どうせ暇だし、友達の家に呼ばれたのは初めてだったから、ワクワクした気持ちで楓の家に行った。
楓の家は豪邸だった。まるで自分が小さくなって、お城の下に立っているよう。
「さ、入って入って!」
楓の部屋はとても広い。ベットはふかふか。トイレとお風呂もあるし、大きなクローゼットにはたくさんの服があった。
私たちはお化粧遊びをして過ごした。
楓は私を可愛くしてくれて、「可愛い」を連発した。
「あっ!お菓子をとってくるね。ちょっとまってて。」
「うん。」
私は自分を鏡で見ながら待った。
だけど、楓は戻ってこなかった。大丈夫かな?
もしかしたら、お腹が痛くて途中で倒れているのかも。この家、大きいけど全然人がいないから、発見されてないかも。
私は部屋を出て、楓を探しに歩いた。
銀の甲冑の前を通り過ぎ、赤いカーぺットの階段を降り、大きな肖像画の側で立ち止まった。
「ここ、どこだろう。」
何も考えずに歩いてきてしまった。私は、来た道らしい所を歩いて帰ったが、部屋には戻れなかった。というか、どれが楓の部屋なのか、ドアがみんな同じだから全然わからない。もう通り過ぎているのかも知れないし、道を間違えているのかも知れない。
「どうしよう…」
その時、声が聞こえた。
いけないけど、ここがどこかなのかわかるかも知れない。わからなくても、聞くことができる。
私は声のするドアに耳を押し付けた。
「あんたはいつまでこの家に居座っているつもり?あんたはね、いらないんだよ。」
「ごめんなさい。」
知らない女の人の声と、楓の声が聞こえた。ちょっとだけドアを開けてみると、楓が泣いていた。
「私の子は生まれるまであんたがこの家にいたら、追い出すからね。ほんと、ブサイクで何もできない子。さっさと掃除をしておしまい。」
「…はい。」
私はこれ以上いるのは良くないと思い、ドアから離れた。そして、そっと家を出た。
次の日も、私はずっとモヤモヤしていた。あの女の人は誰だったんだろう。わからないけど、すっごく嫌な人っていうのはわかった。
「みう!どうして昨日帰っちゃったの?」
楓が元気に声をかけてきた。
「うん…。」
「どうしたの?」
私はこれ以上抑えきれないと思い、楓に告白した。
「昨日、楓と女の人が話している所を、見ちゃったの。」
「そう…。今日話そうと思ってたんだけどね、そういう知りかただったのは辛いな。」
「ごめん。」
「ううん、いいの。あの女の人は私の義母なの。前の姓は佐藤。お母様は、病気で去年死んじゃった。それからお父様はあの女と再婚して、私とは一度も会ってないの。」
「そうだったんだ…。」
「私はね、辛かった。でも、「可哀想な子」って言われるのはもっと辛い。バカみたいでしょ。」
「ううん!全然!わかるよ、その気持ち。だって私はお父さんがいなくて、よく言われるもん。」
「そっか。よかった。私が転校してきた時、みうは全然私のことを褒めたりしなかった。好きだよ。友達としてだけど。」
「え!そうなの?うれしい!ありがとう!」 あちゃぱさん(大阪・12さい)からの相談
とうこう日:2024年4月21日みんなの答え:0件
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