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キッズ@niftyの外 アット・ニフティの他のページ 有償サイト マークのせつめい
あの日の思い出は、廃れることなく 「__一緒に行こう。」


そう言って私の手を引いたのは、誰だっけ。
顔も声も雰囲気も思い出せない。
明日の引越しに備えて、目を瞑る。私にはもう関係のないこと。もう眠ってしまおう。




ぺトリコールのよく香る、雨の日だった。
「……なに、ここ。」
2年通う、この通学路で立ち止まる。
こんな路地裏、あったっけ…?
「ん?何してんの?」
「あ、えっとね…ここ、こんな道、あったっけなって。」
「えっ!面白そう!行こ行こ!」
「えっ、ちょっ……」
君に手を引かれて、この道へ連れていかれる。まあ、時間あるしいいんだけど…。
傘を閉じて、狭い路地裏に身を通した。

___雨音は、聞こえなかった。
手には君の温もりと、足からは石ころの感触。
ゆっくり、目を開ける。
「……へ…?」
曇った空に、ボロボロになった商店街。
シャッターの閉まったそこらには、まだ人の生活感が残っている。
「みつき!ねえ、ここどこ!?」
君が私に呼びかける。
「し、知らないよ…!てか、ああ、どうしよう…夢…?」
「うう…頬つねっても痛いよぉみつきぃ〜」
「う、うるさいっ!ど、どうやって帰れば…」

_ギギ、ギ。

「ひっ!」
今、今、何か動いた…!音した…!
音の出た場所は、目の前にあるお店から。
シャッターが、徐々に開かれて、扉が、開いて…
_姿を現したのは、小さなメカメカしい何かだった。
「……へ?」
『ヨ、ヨヨ、ヨウコ、ソ、近未来、商店、街へ。』
"それ"は、カタコトでそんなことを言った。
「近未来…商店街…?ここの何処が近未来……」
「あ、あああんた…!今すぐ私たちを元の世界に返してぇっ!」
「み、みつき!?」
『私ハ、ロボミート、申シマス。私ハ商店街ヲ案内シアンナ…アアアアアアアア』
「ひっ…」
『緊急作動システムニ、切リ替エマス。』
「ね、ねえ…なんか、ヤバそうじゃ…」
「こ、怖…」
『ヨウコソ。ココハ、近未来商店街デアッタ場所デス。貴方達ニハ、アノ美シイ景色ヲ、取リ戻シテ欲シイノデス。』
先程ロボミーと名乗ったそのロボットは、そんなことを言って私達の目の前までやってきた。
『協力、シテクレマスカ?』
やめよう、帰ろうと言おうとした矢先、君は目をキラキラ輝かせて、視線で私の許可を得ようとしている。
戸惑う私をどうYesと解釈したのかは分からないが、君は「はい!はい!協力します!」と曇りなき元気な声で言った。

ロボミーに着いてこいと言われ、その背を追いかけ歩いている。
その間ロボミーはこの商店街の歴史を語っていた。
『此処ハカツテ、市長ガ作ッタ綺麗ナ商店街デ、数十年愛サレ続ケテイマシタ。私ハ此処ノ技術デ作ラレタ人工知能デス。』
「………」
『タダシ、』
ロボミーが立ち止まる。
『コノ商店街ガ廃レタキッカケハ、未確認生命体ノ上陸デス。』
「ひっ…!」
驚いて躓きそうになったところを、君が支えてくれる。
「未確認生命体…?そんな突飛な。」
『奴ラハ此処ニ住ミ着キ、ソシテ、今モ破壊ヲ続ケテイマス。ダカラ、』
ロボミーは振り向き、私達の目をじっと見つめながら、言った。
『身ヲ挺シテ、戦ッテクレマスヨネ?』

着いて行った先には、ガヤガヤ、変な生物がうじゃうじゃいて。
私は、足がすくんで動けなかった。
「……みつき、」
君が私の背を撫でて落ち着かせてくれる。
「ねえ、ねえ。あれ、殺されちゃったらどうするの?」
「っ…大丈夫だよ。」
『コレヲ使ッテ奴ラヲ倒シテクダサイ。』
ロボミーは私達にショットガンを手渡した。
「えっ…」
「……ねえ、みつき。」
「っ…」

「___一緒に行こう。」
「…!」











「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいッ!!無理ですッぁぁぁぁあああああああッッッ!!!!!!」












私は君を突き飛ばして、元来た道を走って帰った。
















___嫌な夢を見た。
結局あのあと、私は通学路にいたんだっけ。路地裏は消えてて…
「あれ…」
そういえば、あの人から何か、もらったことがある気がする…
あれ…引越しの準備でまだ見てない部屋があったっけ。使ってないから見たくていいかって思ってたけど。

その部屋には、床にぽつんと可愛らしい手紙が置かれていた。
___忘れていた。

「みつきへ

これからもずっと仲良くしようね。
一緒にいれなくなったらごめんね。
もしそうなっても忘れないで。

君は何も悪くない。」

君のいた証が、ここにある。
手紙の裏側に書かれていた名前を見て、ふっと笑った。
うん、忘れないよ。いつかきっと、助けに行くよ。

さて、今は引越しの準備をしなきゃ。
まろまろまろんさん(神奈川・13さい)からの相談
とうこう日:2024年4月26日みんなの答え:1件

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  • 大 天 才 こんにちは、アメルです!

    天才すぎるっていやほんとに。
    こんな上手なの超久し振りに読んだ。
    振りきるように引っ越しの準備をする...良すぎ!

    絶対続編書いて欲しい!
    読む!マジで!
    お願いです続編書いてくださいいいいいいいいい
    アメルさん(選択なし・13さい)からの答え
    とうこう日:2024年7月25日
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