ふゆに、さいた、はいびすかす。
冬に咲いたハイビスカス。
頭のトップが真っ赤に、毛先にいくにつれて真っ白に、髪を染められた紅弥の瞳に、吸い込まれた。
ハイビスカスの花が、部屋に飾っている。今は冬。
私は、太陽に向かって咲くハイビスカスが大好き。だから、ずっと押し花にして飾っている。財布にだって、ドライフラワーをレジンに閉じ込めてひっかけてるんだから。
どんな時だって、泣かず、弱音を吐かずに、明るくいたい。それが私、塚本陽南の信念。
中校二年の冬。そろそろマフラーを巻いた人が多くなってきた頃。
そんなある朝の事。
どんっ!
「あ、すいません!」
まだ朝で人気のない通り。金髪の大柄な男の人にぶつかって、よろけながらそう言った。
「痛!うわぁ、骨折したかも。責任とってくれるの?」
えっ。どうしよう、完璧な当たり屋じゃない!
「責任、とれんの?」
腕をグッと掴まれて、体が震えた。相手はにんまり笑って、私の肩に、手を伸ばした。
――助けて!
その時。
「この子、怖がってるよ。」
当たり屋の手をはねのけて、男の子が助けてくれた。
「この子が怖がった責任、とれんの?」
さっきのセリフをそのまんま返した。
きっと強くて勇気のある子なんだろうな。うつむいていて、顔は見れなかったけど、靴は見えた。うちの学校の靴だ。
チッ。
舌打ちが聞こえて、私の視界から、大きなサンダルを履いた足が消えた。
そっと、顔を上げてみた。
その男の子は、頭のトップを真っ赤に、毛先に行くにつれて真っ白に、髪の毛を染められていて、目は大きく凛としていた。
まるで、まるで、ハイビスカスみたいだ。
これが、紅弥との出会い。
今では私も紅弥も高二。あれからちょうど三年。
仲を深める一方で、私はどんどん紅弥に惹かれていった。男子として。
そんなある日の放課後。
「陽南、帰るよ。」
紅弥がいつものようにクラスに迎えに来た。
「あ、うん。」
紅弥は、こんなことまでしているんだ、私の事を恋愛対象としてみていない。
それ以上に、友達でいようって約束した紅弥を好きになっていると知られたら、きっと嫌われてしまう。
ボーっとしたまま、歩いていたら、カバンの中の財布にひっかけられた、ハイビスカスのドライフラワーを閉じ込めたレジンが目に入った。
――どんな時だって、泣かず、弱音を吐かずに、明るくいたい。
そうだ、弱音なんて、吐いちゃいけない。思いを伝えたい、私と紅弥の絆は、ちょっとの事で簡単に壊れないから!
「ねぇ、紅弥。」
「ん?」
震えそうな声を押さえた。穏やかに紅弥は返事をした。
それから、私はにっこり笑って紅弥に言った。
「ここでさ、三年前、私が変な人に絡まれた時、紅弥、助けてくれたよね?」
「…。」
紅弥はちょっと驚いたように、目を少し見開いて固まった。
「私、その時から、紅弥のこと、どんどん好きになっていった!付き合ってほしいとか、そういうんじゃないけど、今の私の気持ち、知ってほしい!」
顔が熱くなってきた。
「陽南、なんで、先に言うの?」
「へ?」
どういう意味?
「俺が、先に陽南に言うつもりだった言葉、先に言っちゃうんだからさ。」
まさか、紅弥も?
思えば思うほど顔がカアーと熱くなる。
「陽南、俺にも言わせて。あの日、陽南を助けた日から、陽菜の事がずっと好きだった!だらしないって思うかもしれないけど、ずっと言いたかったんだ、この言葉。だからね、陽南、嫌なら嫌って言って…。」
「俺と、付き合って。」
紅弥の白い肌もどんどん赤くなる。私の白い肌も、どんどん赤くなる。
「うん、ありがとう。」
ふゆに、さいた、はいびすかす。
それは、二輪で寄り添い合って咲く、真っ白な顔の頬と鼻先を愛おしさと寒さに真っ赤に染めた、偶然の運命に交わった、私と紅弥。
ーーーー あとがき ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
初めて恋愛ものを書いてみました!そういう経験ないので無茶苦茶かもしれませんが、コメントお願いします! ニッシーさん(徳島・11さい)からの相談
とうこう日:2024年4月27日みんなの答え:1件
頭のトップが真っ赤に、毛先にいくにつれて真っ白に、髪を染められた紅弥の瞳に、吸い込まれた。
ハイビスカスの花が、部屋に飾っている。今は冬。
私は、太陽に向かって咲くハイビスカスが大好き。だから、ずっと押し花にして飾っている。財布にだって、ドライフラワーをレジンに閉じ込めてひっかけてるんだから。
どんな時だって、泣かず、弱音を吐かずに、明るくいたい。それが私、塚本陽南の信念。
中校二年の冬。そろそろマフラーを巻いた人が多くなってきた頃。
そんなある朝の事。
どんっ!
「あ、すいません!」
まだ朝で人気のない通り。金髪の大柄な男の人にぶつかって、よろけながらそう言った。
「痛!うわぁ、骨折したかも。責任とってくれるの?」
えっ。どうしよう、完璧な当たり屋じゃない!
「責任、とれんの?」
腕をグッと掴まれて、体が震えた。相手はにんまり笑って、私の肩に、手を伸ばした。
――助けて!
その時。
「この子、怖がってるよ。」
当たり屋の手をはねのけて、男の子が助けてくれた。
「この子が怖がった責任、とれんの?」
さっきのセリフをそのまんま返した。
きっと強くて勇気のある子なんだろうな。うつむいていて、顔は見れなかったけど、靴は見えた。うちの学校の靴だ。
チッ。
舌打ちが聞こえて、私の視界から、大きなサンダルを履いた足が消えた。
そっと、顔を上げてみた。
その男の子は、頭のトップを真っ赤に、毛先に行くにつれて真っ白に、髪の毛を染められていて、目は大きく凛としていた。
まるで、まるで、ハイビスカスみたいだ。
これが、紅弥との出会い。
今では私も紅弥も高二。あれからちょうど三年。
仲を深める一方で、私はどんどん紅弥に惹かれていった。男子として。
そんなある日の放課後。
「陽南、帰るよ。」
紅弥がいつものようにクラスに迎えに来た。
「あ、うん。」
紅弥は、こんなことまでしているんだ、私の事を恋愛対象としてみていない。
それ以上に、友達でいようって約束した紅弥を好きになっていると知られたら、きっと嫌われてしまう。
ボーっとしたまま、歩いていたら、カバンの中の財布にひっかけられた、ハイビスカスのドライフラワーを閉じ込めたレジンが目に入った。
――どんな時だって、泣かず、弱音を吐かずに、明るくいたい。
そうだ、弱音なんて、吐いちゃいけない。思いを伝えたい、私と紅弥の絆は、ちょっとの事で簡単に壊れないから!
「ねぇ、紅弥。」
「ん?」
震えそうな声を押さえた。穏やかに紅弥は返事をした。
それから、私はにっこり笑って紅弥に言った。
「ここでさ、三年前、私が変な人に絡まれた時、紅弥、助けてくれたよね?」
「…。」
紅弥はちょっと驚いたように、目を少し見開いて固まった。
「私、その時から、紅弥のこと、どんどん好きになっていった!付き合ってほしいとか、そういうんじゃないけど、今の私の気持ち、知ってほしい!」
顔が熱くなってきた。
「陽南、なんで、先に言うの?」
「へ?」
どういう意味?
「俺が、先に陽南に言うつもりだった言葉、先に言っちゃうんだからさ。」
まさか、紅弥も?
思えば思うほど顔がカアーと熱くなる。
「陽南、俺にも言わせて。あの日、陽南を助けた日から、陽菜の事がずっと好きだった!だらしないって思うかもしれないけど、ずっと言いたかったんだ、この言葉。だからね、陽南、嫌なら嫌って言って…。」
「俺と、付き合って。」
紅弥の白い肌もどんどん赤くなる。私の白い肌も、どんどん赤くなる。
「うん、ありがとう。」
ふゆに、さいた、はいびすかす。
それは、二輪で寄り添い合って咲く、真っ白な顔の頬と鼻先を愛おしさと寒さに真っ赤に染めた、偶然の運命に交わった、私と紅弥。
ーーーー あとがき ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
初めて恋愛ものを書いてみました!そういう経験ないので無茶苦茶かもしれませんが、コメントお願いします! ニッシーさん(徳島・11さい)からの相談
とうこう日:2024年4月27日みんなの答え:1件
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
1件中 1 〜 1件を表示
-
いい話! ヤッホー!!みんなにとって今日1日が良い日になりますように!虹色花火だよ!
本題
とてもいい話でした!ありがとうございました! 虹色花火(元花火君、レインボー君)さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2024年7月27日
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
1件中 1 〜 1件を表示
-
- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
- カテゴリごとの新着相談
-
-
- みんなの好きな短歌は?11月29日
-
- 使用時間が増えない01月10日
-
- 相談です01月10日
-
- 清潔感が欲しい01月10日
-
- 受験について(真面目な話です)01月11日
-
- 胸が大きい01月11日
-
- 耳がおかしくなった01月11日
-
- 行きたくない01月10日
-
- 最近一人でいることが多い01月10日
-
- カービィシリーズ好きあつまれー!!01月10日
-
- 逆チョコを渡したいです。01月11日
-
- 髪の毛の件01月10日
-
- 福袋なにか買った?01月10日
-
- あの場所で 〜笑顔と感動の物語〜09月30日
-
- 生理中の服装01月11日
-
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する
・>>地元の相談窓口を探す
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。