命の香りは恋の花
人間というものは、結局生物で、寿命というタイムリミットに向かって生きている。そして私はそのタイムリミットが人より短いようなのです。
私はごく普通の中学生。クラスのリーダーだとか、抜群にセンスがいいとか、そんな個性は一切持ち合わせていない。悲しいくらい無個性で、普通で、でも「死」というものに対する感情は普通じゃなかった。私は健康体だけど、どこか私は大人にならないうちに死ぬだろうと感覚としてわかっているようなところがあった。世の中の人は、生きている手応えを感じるなどとよく言うけれど、私にはその手応えが感じられなかった。愛もそう。私は誰かを愛したことがない。愛というものがよくわからない。受験勉強で一通り恋愛小説は読んできたけれど、辞書に書いてあるような定義を知っているだけ。きっと私は愛の喜びも生命の息吹も知らないまま人生を終えるのだろう。そんな風に思っていたある日、転機が訪れた。それは忘れもしない、2024年5月のことー
毎月行われる席替え。ただ友達と近い席に座りたいごく普通の初々しいJCを演じていく。くじを開く時もソワソワしていることにしながら。1番窓側の席だった。悪くない。あとは隣近所のやつだな。色恋好きのやつじゃなければ誰でもいい。おっ、隣の席中山君か。中山君はなかなかのイケメンで性格もいい。女子生徒の憧れの的。まあそんなことはどうでもいい。女子たちの嫉妬の目線をうまくかわして行けば問題ないだろう。
それからというもの、隣の中山君とは穏やかな関係を築いていた。中山君は喋っていてもユーモアや教養を感じさせる人だった。ある日、口語文法の活用語尾について教え合っていたとき。
「中山君、未然形にした時活用語尾がア段の時は五段活用だよ。」
「あっそうか、ねえ、あと俺たち仲良いしそろそろ下の名前で読んでくれない?ほらっ俺も薫って下の名前で呼んでるじゃん。」
「わかった。じゃあ光って呼ぶね。」
何だか照れくさくなっていた。というか中山く、いや光にとっての仲が良いのハードルはどれくらいなのだろう。光と下の名前で呼びあっている女子はいない。そう思うと、私は光にとって特別な女の子だと思われているとわかった。特別なところは何も持ち合わせていないけれど、光にとっては特別な存在なのだ。それだけで、嬉しかった。
その日の帰り道は、雨だった。帰り道を進んでいると、傘もさしてない光がいた。光の目元は水晶のような涙で覆われていた。
「薫、好きだったんだ。ずっと。薫は恋愛とか興味ないみたいだったから諦めようと思ったんだけど、でも話してれば話してるほど、気持ちが抑えられなくなって。薫、愛してる。」
その一瞬で涙が溢れていた。ああ、私の光に対する感情も、光の私に対する感情も、恋だったのか。私は光を愛しているのだ。ああ、私は人を愛せるのだ。生まれて初めて、私は恋を知り、生きるということを知った。生きているということはこれほどまでに甘美なものなのか。そして、愛とは何と尊いのか。
「うん、私も光を愛してる。私の初恋の人はあなただよ。」
それから光と抱きしめあって泣いた。梅雨、雨に濡らされた紫陽花の香り。そして夏が始まる緑の香り。この香りを私は一生忘れない。6月6日。この日は私が生きるということを知った日だった。
・・・
いかがでしたか?短編小説初投稿なので上手くなる方法、感想など教えてください! コズミックラテさん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2024年5月20日みんなの答え:2件
私はごく普通の中学生。クラスのリーダーだとか、抜群にセンスがいいとか、そんな個性は一切持ち合わせていない。悲しいくらい無個性で、普通で、でも「死」というものに対する感情は普通じゃなかった。私は健康体だけど、どこか私は大人にならないうちに死ぬだろうと感覚としてわかっているようなところがあった。世の中の人は、生きている手応えを感じるなどとよく言うけれど、私にはその手応えが感じられなかった。愛もそう。私は誰かを愛したことがない。愛というものがよくわからない。受験勉強で一通り恋愛小説は読んできたけれど、辞書に書いてあるような定義を知っているだけ。きっと私は愛の喜びも生命の息吹も知らないまま人生を終えるのだろう。そんな風に思っていたある日、転機が訪れた。それは忘れもしない、2024年5月のことー
毎月行われる席替え。ただ友達と近い席に座りたいごく普通の初々しいJCを演じていく。くじを開く時もソワソワしていることにしながら。1番窓側の席だった。悪くない。あとは隣近所のやつだな。色恋好きのやつじゃなければ誰でもいい。おっ、隣の席中山君か。中山君はなかなかのイケメンで性格もいい。女子生徒の憧れの的。まあそんなことはどうでもいい。女子たちの嫉妬の目線をうまくかわして行けば問題ないだろう。
それからというもの、隣の中山君とは穏やかな関係を築いていた。中山君は喋っていてもユーモアや教養を感じさせる人だった。ある日、口語文法の活用語尾について教え合っていたとき。
「中山君、未然形にした時活用語尾がア段の時は五段活用だよ。」
「あっそうか、ねえ、あと俺たち仲良いしそろそろ下の名前で読んでくれない?ほらっ俺も薫って下の名前で呼んでるじゃん。」
「わかった。じゃあ光って呼ぶね。」
何だか照れくさくなっていた。というか中山く、いや光にとっての仲が良いのハードルはどれくらいなのだろう。光と下の名前で呼びあっている女子はいない。そう思うと、私は光にとって特別な女の子だと思われているとわかった。特別なところは何も持ち合わせていないけれど、光にとっては特別な存在なのだ。それだけで、嬉しかった。
その日の帰り道は、雨だった。帰り道を進んでいると、傘もさしてない光がいた。光の目元は水晶のような涙で覆われていた。
「薫、好きだったんだ。ずっと。薫は恋愛とか興味ないみたいだったから諦めようと思ったんだけど、でも話してれば話してるほど、気持ちが抑えられなくなって。薫、愛してる。」
その一瞬で涙が溢れていた。ああ、私の光に対する感情も、光の私に対する感情も、恋だったのか。私は光を愛しているのだ。ああ、私は人を愛せるのだ。生まれて初めて、私は恋を知り、生きるということを知った。生きているということはこれほどまでに甘美なものなのか。そして、愛とは何と尊いのか。
「うん、私も光を愛してる。私の初恋の人はあなただよ。」
それから光と抱きしめあって泣いた。梅雨、雨に濡らされた紫陽花の香り。そして夏が始まる緑の香り。この香りを私は一生忘れない。6月6日。この日は私が生きるということを知った日だった。
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いかがでしたか?短編小説初投稿なので上手くなる方法、感想など教えてください! コズミックラテさん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2024年5月20日みんなの答え:2件
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天才!? 小5のきゃらめるっていいます
とってもすごいと思います!
これからも頑張ってください!
応援しています(>O<)
なんか感動しちゃいますー
生きる意味を知ったところが自分的に一番好きでした!
きゃらめるさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2024年8月25日 -
うますぎるよーーーー 未来の小説家きちゃったじゃんー?
語彙力すごいし雰囲気の作り方もうますぎる!恋を知って感動する薫ちゃんのとことかめっちゃ感情移入した!
とくに雨のなかの告白シーンが綺麗すぎて泣きそうになった…w
12歳とは思えない神作!あなた推していいですか?() みるみるぽんぽんさん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2024年8月25日
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