君の笑顔は誰のもの
佳山結月、高3。
今は秋。
学校の体育祭も文化祭も終わり、
私たちは大学受験に力を入れている頃。
部活も当然引退。
後輩にも会う回数は格段に減った。
でも、あいつだけは違った。
「先輩。お疲れさまです。」
栗山漣。私のひとつ年下の後輩。
同じ部活で活動していた男子生徒。
当時はあまり気にならなかったけど、ある日突然隣の家に引っ越してきた。
そこから話をするようになった。
毎日。
「漣くん、こんな夜遅くまで何してるの?」
「先輩こそ、遅くまで塾ですか。」
こんなどーでもいい話ばっか。
もっと、意味のある話を ―
って、何考えてんだろ私。
「先輩。」
「えっ」
漣くんは私の頭をそっと撫でた。
とても優しかった。
「ご褒美です、頑張ってるから。」
彼のとびっきりの笑顔は
今まで見たことのないくらい素敵で
胸が締め付けられそうなくらい愛くるしいものだった。
「ゆっくり休んでくださいね、おやすみなさい」
「おやすみ…」
漣くんは家の中へと消えていった。
お風呂に入っているときもベットに寝転がっているときも、漣くんのあの笑顔が頭こら離れなかった。
無邪気な笑顔、爽やかなあの笑顔、何だかすごく、抱き締めたくなる。
あの笑顔、私だけに見せてくれればいいのに。
「ダメだよ、受験生なのに。
あぁ…もう好きなんだよ…漣くん…」
漣くんのことが好きだと確信した瞬間だった。
翌日。
漣くんと会うことはなかった。
朝、すれ違ったり、同じバスに乗ることは多かった。むしろ時間帯はほぼ一緒だったから、会わないことの方が少ない。
どうしてなんだろうか。
気になる。
バスから降りて学校に向かう道を歩いているときも漣くんのことが頭から離れなかった。
すると、後ろの方から聞き覚えのある声がした。まさか、と思い振り替えると、やっぱり。漣くんがいた。
「漣く……ん、?」
漣くんの横には後輩の三浦茉彩(まあや)がいた。2人は楽しそうに話していた。漣くんは、昨日のあの笑顔を茉彩に向けていた。付き合っていたんだ。
(やっぱり…あの笑顔は私だけのものじゃなかった、何考えてんだろ、私。馬鹿たい。)
漣くんと茉彩のことを見ていられなくなって、私は全力で走った。2人の声が聞こえなくなるまで。見えなくなるまで。
夜。
今日も塾で居残り。やっぱり遅くなった。
家の前を見てみる。どこか期待してしまう自分がいる。
そんなわけない。漣くんはもう出てくることはない。茉彩と付き合っているのだから。
すると、栗山家の家のドアがガチャっと大きな音をたてて開いた。
「佳山先輩!!」
漣くんだった。
「漣くん…ダメじゃん。」
私の一言で漣くんの表情が一気に暗くなった。
「何がダメなんですか…?」
「茉彩ちゃんと付き合ってるんじゃん?私とこんな時間に会ってたなんてバレたら修羅場間違いなしだよ?」
漣くんは黙ってうつむいている。
ほらね、図星。
しかし、
「僕、三浦とは付き合ってないです。」
「いや…嘘だよね?」
「今日、三浦には相談にのってもらいました。恋愛相談。」
驚いた。茉彩と漣はお似合いだった。周りがどう見てもカップルにしか見えなかった。
「三浦に話聞いてもらってたら面白くなっちゃって。周りには丸聞こえになるくらい大声で笑っちゃいました。」
「えっ、じゃあ好きな人がいるってこと…漣くんには…」
そうです、と漣くんは頷いた。
すると漣くんは私の前に来て真剣な表情で言った。
「好きなんです。先輩のことが。」
「えっ…」
「結月先輩が好きです。僕と付き合ってくれませんか?」
凄く真剣、でも緊張しているのがよく伝わる。一生懸命なんだ。
何だか、涙が溢れてきた。あの馬鹿だと思ったいた考えは間違っていなかったのか。笑顔を見せてくれるのか。自分だけのものにしてくれるのか。
「漣くん…私も好きだよ!」
笑顔で私は言った。
彼は今までにないくらい、最高の笑顔で喜びを表した。
愛くるしいこの笑顔。
「この笑顔、これからも私に見せて。」
「もちろんです。先輩も笑顔も僕のものです。僕の笑顔は先輩のものです。」
君の笑顔は私のもの。
そして、私だけを見ていて。 あゆさん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年6月19日みんなの答え:3件
今は秋。
学校の体育祭も文化祭も終わり、
私たちは大学受験に力を入れている頃。
部活も当然引退。
後輩にも会う回数は格段に減った。
でも、あいつだけは違った。
「先輩。お疲れさまです。」
栗山漣。私のひとつ年下の後輩。
同じ部活で活動していた男子生徒。
当時はあまり気にならなかったけど、ある日突然隣の家に引っ越してきた。
そこから話をするようになった。
毎日。
「漣くん、こんな夜遅くまで何してるの?」
「先輩こそ、遅くまで塾ですか。」
こんなどーでもいい話ばっか。
もっと、意味のある話を ―
って、何考えてんだろ私。
「先輩。」
「えっ」
漣くんは私の頭をそっと撫でた。
とても優しかった。
「ご褒美です、頑張ってるから。」
彼のとびっきりの笑顔は
今まで見たことのないくらい素敵で
胸が締め付けられそうなくらい愛くるしいものだった。
「ゆっくり休んでくださいね、おやすみなさい」
「おやすみ…」
漣くんは家の中へと消えていった。
お風呂に入っているときもベットに寝転がっているときも、漣くんのあの笑顔が頭こら離れなかった。
無邪気な笑顔、爽やかなあの笑顔、何だかすごく、抱き締めたくなる。
あの笑顔、私だけに見せてくれればいいのに。
「ダメだよ、受験生なのに。
あぁ…もう好きなんだよ…漣くん…」
漣くんのことが好きだと確信した瞬間だった。
翌日。
漣くんと会うことはなかった。
朝、すれ違ったり、同じバスに乗ることは多かった。むしろ時間帯はほぼ一緒だったから、会わないことの方が少ない。
どうしてなんだろうか。
気になる。
バスから降りて学校に向かう道を歩いているときも漣くんのことが頭から離れなかった。
すると、後ろの方から聞き覚えのある声がした。まさか、と思い振り替えると、やっぱり。漣くんがいた。
「漣く……ん、?」
漣くんの横には後輩の三浦茉彩(まあや)がいた。2人は楽しそうに話していた。漣くんは、昨日のあの笑顔を茉彩に向けていた。付き合っていたんだ。
(やっぱり…あの笑顔は私だけのものじゃなかった、何考えてんだろ、私。馬鹿たい。)
漣くんと茉彩のことを見ていられなくなって、私は全力で走った。2人の声が聞こえなくなるまで。見えなくなるまで。
夜。
今日も塾で居残り。やっぱり遅くなった。
家の前を見てみる。どこか期待してしまう自分がいる。
そんなわけない。漣くんはもう出てくることはない。茉彩と付き合っているのだから。
すると、栗山家の家のドアがガチャっと大きな音をたてて開いた。
「佳山先輩!!」
漣くんだった。
「漣くん…ダメじゃん。」
私の一言で漣くんの表情が一気に暗くなった。
「何がダメなんですか…?」
「茉彩ちゃんと付き合ってるんじゃん?私とこんな時間に会ってたなんてバレたら修羅場間違いなしだよ?」
漣くんは黙ってうつむいている。
ほらね、図星。
しかし、
「僕、三浦とは付き合ってないです。」
「いや…嘘だよね?」
「今日、三浦には相談にのってもらいました。恋愛相談。」
驚いた。茉彩と漣はお似合いだった。周りがどう見てもカップルにしか見えなかった。
「三浦に話聞いてもらってたら面白くなっちゃって。周りには丸聞こえになるくらい大声で笑っちゃいました。」
「えっ、じゃあ好きな人がいるってこと…漣くんには…」
そうです、と漣くんは頷いた。
すると漣くんは私の前に来て真剣な表情で言った。
「好きなんです。先輩のことが。」
「えっ…」
「結月先輩が好きです。僕と付き合ってくれませんか?」
凄く真剣、でも緊張しているのがよく伝わる。一生懸命なんだ。
何だか、涙が溢れてきた。あの馬鹿だと思ったいた考えは間違っていなかったのか。笑顔を見せてくれるのか。自分だけのものにしてくれるのか。
「漣くん…私も好きだよ!」
笑顔で私は言った。
彼は今までにないくらい、最高の笑顔で喜びを表した。
愛くるしいこの笑顔。
「この笑顔、これからも私に見せて。」
「もちろんです。先輩も笑顔も僕のものです。僕の笑顔は先輩のものです。」
君の笑顔は私のもの。
そして、私だけを見ていて。 あゆさん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年6月19日みんなの答え:3件
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-
感動! とても素敵な小説ですね!
感動しました!!
あゆさんはセンスありますね!すごいです!!
私も小説書いてみたんですけど...なかなかうまくかけなくて...汗
小説の内容がしっかりしていてすごく良いと思います!
とても上手にかけてます!
指摘するとこ何もない...!
これからも書いてくれると嬉しいです!!あゆさんの小説ぜひ待ってます! ソーセージさん(選択なし・9さい)からの答え
とうこう日:2020年6月21日 -
最高です こんにちは(*・ω・)ノ
めっちゃいいですね、すごいキュンキュンしました! 途中「え〜!?」って切なくなったけど、最後は2人とも幸せになって本当によかったあああ
素敵なカップルになりそうですね!
それでは♪*゚ ひまわりスマイルなティアラ。さん(選択なし・15さい)からの答え
とうこう日:2020年6月20日 -
いいっす! いいですねー!!
めっちゃ好きです!こういうの!
めっちゃいいです!
青春って感じですね!
私もこんな恋がしたい…(できないけどな!)
りりかさん(神奈川・12さい)からの答え
とうこう日:2020年6月20日
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