四季と桜と青い空。【短編小説】
二泊三日の修学旅行、二日目は班の自由行動。
私たちは女子四人で街を見てまわることになっている。
私、春菜と、夏芽、秋穂に冬花。
「絶対、いい思い出にしようね!」
まずは、名物であるお菓子を食べた。
もちもちの生地の中に、チョコレートやきな粉などを入れたもの。種類は二十個以上もあるそう。
「うわあ、もっちもち!」
「これ、ひとくち食べる?」
「ありがとう、食べる食べる!」
やっぱり女子はスイーツ好き。お店を出たときは、みんな完全にハイテンションだった。
「次は染物屋さんね」
「楽しみ〜! ハンカチも買えるんでしょ?」
「そうそう」
「そうだ! みんなでハンカチお揃いで買わない?」
いいね、と会話がはずんでいると、冬花が「ねえ」と言った。
「あれ、四季さんじゃない?」
指さした方を見ると、クラスメイトの四季蒼桜さんがいた。『蒼桜』という名前は『あおい』と読むらしい。顔立ちが整っていて、静かだけど、堂々としている子。
今は一人でいるみたい。
「ね、四季さんも一緒にまわろうよ」
冬花が四季さんに話しかけた。でも、これがケンカの引き金になってしまう。「え、四人でまわる約束だったじゃん」と、夏芽が不満そうな表情でつぶやいた。
「一緒にまわってもいいじゃん」
「でも、今から一人入るってさぁ......」
夏芽と冬花が少し言い合いになってきた。私と秋穂、それに四季さんも、困ってしまう。
私はどちらの気持ちも分かる。一緒にまわりたいけど、四人でもまわりたい。
なんて声をかければいいんだろう。
「意味が分かんない! 秋穂、行こう!」
「ち、ちょっと夏芽!」
夏芽は秋穂を引っ張って行ってしまった。夏芽と冬花は気が強い面があって、たまにケンカになるけど、すぐ仲直りする。でも、今回は旅行地。はぐれたら困る。
「冬花。どうするの?」
「どうもこうもない。別々で行動するしかないでしょ」
「でも、こんな場所で別行動して、大丈夫なの?」
観光地ということもあって、人は多い。夏芽と秋穂も、もうどこにいるのか分からない。
「ごめんなさい、私のせいだよね」
「違う。四季さんは悪くないよ」
「今、追いかければ間に合うよ。今からでも四人で楽しめるよ」
そうかもしれない。でも、ここで四季さんを置いていくなんて嫌だ。
ここで立ち止まっていても、邪魔になってしまうので、道を外れて人気の少ない場所へ行った。
「すごいね、道一本、外れただけなのに、全然人いない......」
「まあ、細い道だからね」
冬花と四季さんが会話していると、夏芽と秋穂のことが気になってきた。
二人、方向音痴なのに大丈夫かな。道に迷ってないかな。
楽しいはずの修学旅行でトラブルが起きて......。急に悲しくなった。
涙をこらえるために上を向く。そして、驚いた。
「ちょっと、二人ともここで待ってて!」
いきなり大声を出した私を、二人はぎょっとした顔で見る。
「ど、どうしたの?」
「そこの小さいベンチに座って、絶対に移動しないで!」
そして私は、さっきの大通りへと走り出した。ただただ走った。
すると、見覚えのある顔が見えた。夏芽と秋穂だった。
私は二人の前で止まると、叫んだ。
「ふ、二人とも、ちょっとこっち来て!」
大声を出したから、時々こっちを見てくる人はいるけど、そんなの気にならなかった。
「え? 分かったけど、なんでよ?」
「私たちもそっち行って、謝ろうと思ってたのよ」
「え、そうなの!?」
ゼーゼーと息をする。体力のない私が全力疾走したから、なかなか息が整わなかった。
深呼吸しながら、二人と一緒に、今度は歩いて元の場所に戻った。
さっきの細い道へ着いた。夏芽と冬花は素直な所があるから、すぐに「さっきはごめんなさい」と仲直りしていた。
「で、春菜。あんなに焦って、どうしたの?」
秋穂が言うと、みんな同じ表情で首を傾げてきた。
「みんな、見て!」
私が指さした方を方向をみんなが見ると、さっきの私と同じ、びっくりした顔をしていた。秋穂は手を合わせて、「わあ!」と声をあげている。
それは、儚い桜と青い空だった。
薄ピンクで満開の桜。雲一つない快晴の空。
それは綺麗だった。
「さっき空を見たときに『綺麗だな』って思って。みんなで見たかったの。五人で」
照れくさかったけれど、ちゃんと言葉にして、四人に伝えた。
隣にいる四季さんと目が合った。四季さんは微笑んでいた。
その後、五人で染物屋さんに行った。
そこに、さっきの桜と空のハンカチがあって、みんなで驚いた。
五人でお揃いで買って、お店を出る。
「トラブルもあったけど、楽しかった」
「また五人で来ようね!」 ココみんさん(埼玉・14さい)からの相談
とうこう日:2020年6月22日みんなの答え:0件
私たちは女子四人で街を見てまわることになっている。
私、春菜と、夏芽、秋穂に冬花。
「絶対、いい思い出にしようね!」
まずは、名物であるお菓子を食べた。
もちもちの生地の中に、チョコレートやきな粉などを入れたもの。種類は二十個以上もあるそう。
「うわあ、もっちもち!」
「これ、ひとくち食べる?」
「ありがとう、食べる食べる!」
やっぱり女子はスイーツ好き。お店を出たときは、みんな完全にハイテンションだった。
「次は染物屋さんね」
「楽しみ〜! ハンカチも買えるんでしょ?」
「そうそう」
「そうだ! みんなでハンカチお揃いで買わない?」
いいね、と会話がはずんでいると、冬花が「ねえ」と言った。
「あれ、四季さんじゃない?」
指さした方を見ると、クラスメイトの四季蒼桜さんがいた。『蒼桜』という名前は『あおい』と読むらしい。顔立ちが整っていて、静かだけど、堂々としている子。
今は一人でいるみたい。
「ね、四季さんも一緒にまわろうよ」
冬花が四季さんに話しかけた。でも、これがケンカの引き金になってしまう。「え、四人でまわる約束だったじゃん」と、夏芽が不満そうな表情でつぶやいた。
「一緒にまわってもいいじゃん」
「でも、今から一人入るってさぁ......」
夏芽と冬花が少し言い合いになってきた。私と秋穂、それに四季さんも、困ってしまう。
私はどちらの気持ちも分かる。一緒にまわりたいけど、四人でもまわりたい。
なんて声をかければいいんだろう。
「意味が分かんない! 秋穂、行こう!」
「ち、ちょっと夏芽!」
夏芽は秋穂を引っ張って行ってしまった。夏芽と冬花は気が強い面があって、たまにケンカになるけど、すぐ仲直りする。でも、今回は旅行地。はぐれたら困る。
「冬花。どうするの?」
「どうもこうもない。別々で行動するしかないでしょ」
「でも、こんな場所で別行動して、大丈夫なの?」
観光地ということもあって、人は多い。夏芽と秋穂も、もうどこにいるのか分からない。
「ごめんなさい、私のせいだよね」
「違う。四季さんは悪くないよ」
「今、追いかければ間に合うよ。今からでも四人で楽しめるよ」
そうかもしれない。でも、ここで四季さんを置いていくなんて嫌だ。
ここで立ち止まっていても、邪魔になってしまうので、道を外れて人気の少ない場所へ行った。
「すごいね、道一本、外れただけなのに、全然人いない......」
「まあ、細い道だからね」
冬花と四季さんが会話していると、夏芽と秋穂のことが気になってきた。
二人、方向音痴なのに大丈夫かな。道に迷ってないかな。
楽しいはずの修学旅行でトラブルが起きて......。急に悲しくなった。
涙をこらえるために上を向く。そして、驚いた。
「ちょっと、二人ともここで待ってて!」
いきなり大声を出した私を、二人はぎょっとした顔で見る。
「ど、どうしたの?」
「そこの小さいベンチに座って、絶対に移動しないで!」
そして私は、さっきの大通りへと走り出した。ただただ走った。
すると、見覚えのある顔が見えた。夏芽と秋穂だった。
私は二人の前で止まると、叫んだ。
「ふ、二人とも、ちょっとこっち来て!」
大声を出したから、時々こっちを見てくる人はいるけど、そんなの気にならなかった。
「え? 分かったけど、なんでよ?」
「私たちもそっち行って、謝ろうと思ってたのよ」
「え、そうなの!?」
ゼーゼーと息をする。体力のない私が全力疾走したから、なかなか息が整わなかった。
深呼吸しながら、二人と一緒に、今度は歩いて元の場所に戻った。
さっきの細い道へ着いた。夏芽と冬花は素直な所があるから、すぐに「さっきはごめんなさい」と仲直りしていた。
「で、春菜。あんなに焦って、どうしたの?」
秋穂が言うと、みんな同じ表情で首を傾げてきた。
「みんな、見て!」
私が指さした方を方向をみんなが見ると、さっきの私と同じ、びっくりした顔をしていた。秋穂は手を合わせて、「わあ!」と声をあげている。
それは、儚い桜と青い空だった。
薄ピンクで満開の桜。雲一つない快晴の空。
それは綺麗だった。
「さっき空を見たときに『綺麗だな』って思って。みんなで見たかったの。五人で」
照れくさかったけれど、ちゃんと言葉にして、四人に伝えた。
隣にいる四季さんと目が合った。四季さんは微笑んでいた。
その後、五人で染物屋さんに行った。
そこに、さっきの桜と空のハンカチがあって、みんなで驚いた。
五人でお揃いで買って、お店を出る。
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