女学生
「では陽子さん、次の短歌を読んでください。」
「はい。東の野に炎の立つ見えてか(へ)りみすれば月傾きぬ。」
「ありがとうございます。古文では(へ)は(え)と発音します。よく間違えるので気をつけてくださいね!ではみなさんも読んでみましょう。」
…(へ)は(へ)だろ!
めんどくさい授業が今日も朝から続いている。昔の言葉なんて覚えても仕方がないじゃないか。ゐってなんだよ。いでいいじゃん。書かないよ今時。メロスただのクズじゃん。大の大人が泣きながら蟹と戯れないでよみっともない。急に出てくる漢文は異次元の言葉だ。レテン?なにそれおいしいの?とにかく国語は嫌いだ。中でも古典は大嫌いで、さっきのだって東に太陽があって西に月があるってだけじゃん。なんの報告だよ。先生はなにを解説しているの?夏だって狩りしてもいいじゃない。それに比べて数学は楽だ。数は嘘をつかないしちゃんと理にかなっている。何よりわかりやすい。
「では、陽子さん。挽回して見せてください!あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜を一人かも寝むというこの和歌がありますが、枕詞はどこでしょう?」
「知りません。」
即答した。くすっと誰かが笑う。
「昨日も説明したではないですか!なぜ覚えないのですか?いいですか?枕詞はあしひきです。山に関係する言葉にかかっているんですよ。ここでは山鳥ですね!次は間違えないでくださいね!」
…この先生も嫌いだ。いつも私ばかり当ててくる。
もう嫌!そう思いながらページをめくると、一つの詩が目に入った。タイトルは「初恋」なんてベタなんだろう。まだ上げ染めし前髪の…
………りんごの木の下で一休みしていると遠くから私を見つめる同い年くらいの男の子がいる。まだ髪を上げたばかりの私の顔をまじまじと見つめて顔を赤らめて可愛らしい。私は彼のことをよく知っている。まだりんごの木が一本だけの頃、近くにあった真っ赤な林檎をあげて以来、よくこの場所で話すようになった。彼の吐息が私の髪に触れる感触が好きだ。心が落ち着く。顔の細かいところがよく見えてまだ綺麗な肌の男の子は優しい目で見つめてくれる。
「あれ?前こんな道あったっけ?なんでできたのかなぁ。」
ちょっとからかってみた。
「毎日ここにきてるからでしょ」
「どうして毎日来てるの?」
「え?…自分で考えなよ。」
少し照れてる。可愛いなぁ。
「もしかして…へえ!そんなに私に会いたいんだ!嬉しいなぁ。」
「そ、そういう君はなにしに来てるんだよ!」
動揺しすぎでしょ。わかりやすいなぁ。
「なにしに来てると思う?」
「…なにしに来てるの?」
「わからないの?」
ちょっと意味ありげに言ってみる。
「わから…ない。」
私があなたのことが好きだから…だと思ってるよね。そうだけど。やっぱりわかりやすいよ君は。そういうところも好きだよ。言わないけど。
「宿題ね!明日また考えてきて!…ここで待ってるから。」
そうしたらまた話ができるでしょう?
…こさん!陽子さん!起きなさい!
気づけばおばさんが鬼の形相で目の前に立っている。
しまった。夢だ。またやっちゃったよ…。
「いつもいつも寝てばっかりで私の授業はそんなに退屈ですか!寝ないようにわざわざたくさん当ててるというのに!それにこれ何ページですか?今は古文の勉強ですよね!関係ないページばかり毎回毎回開いて…って、人の話を聞きなさい!あなた私を馬鹿にして…」
いつもの長い説教が始まった。これだから国語は嫌いなんだ。
やさん(選択なし・10さい)からの相談
とうこう日:2020年6月26日みんなの答え:0件
「はい。東の野に炎の立つ見えてか(へ)りみすれば月傾きぬ。」
「ありがとうございます。古文では(へ)は(え)と発音します。よく間違えるので気をつけてくださいね!ではみなさんも読んでみましょう。」
…(へ)は(へ)だろ!
めんどくさい授業が今日も朝から続いている。昔の言葉なんて覚えても仕方がないじゃないか。ゐってなんだよ。いでいいじゃん。書かないよ今時。メロスただのクズじゃん。大の大人が泣きながら蟹と戯れないでよみっともない。急に出てくる漢文は異次元の言葉だ。レテン?なにそれおいしいの?とにかく国語は嫌いだ。中でも古典は大嫌いで、さっきのだって東に太陽があって西に月があるってだけじゃん。なんの報告だよ。先生はなにを解説しているの?夏だって狩りしてもいいじゃない。それに比べて数学は楽だ。数は嘘をつかないしちゃんと理にかなっている。何よりわかりやすい。
「では、陽子さん。挽回して見せてください!あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜を一人かも寝むというこの和歌がありますが、枕詞はどこでしょう?」
「知りません。」
即答した。くすっと誰かが笑う。
「昨日も説明したではないですか!なぜ覚えないのですか?いいですか?枕詞はあしひきです。山に関係する言葉にかかっているんですよ。ここでは山鳥ですね!次は間違えないでくださいね!」
…この先生も嫌いだ。いつも私ばかり当ててくる。
もう嫌!そう思いながらページをめくると、一つの詩が目に入った。タイトルは「初恋」なんてベタなんだろう。まだ上げ染めし前髪の…
………りんごの木の下で一休みしていると遠くから私を見つめる同い年くらいの男の子がいる。まだ髪を上げたばかりの私の顔をまじまじと見つめて顔を赤らめて可愛らしい。私は彼のことをよく知っている。まだりんごの木が一本だけの頃、近くにあった真っ赤な林檎をあげて以来、よくこの場所で話すようになった。彼の吐息が私の髪に触れる感触が好きだ。心が落ち着く。顔の細かいところがよく見えてまだ綺麗な肌の男の子は優しい目で見つめてくれる。
「あれ?前こんな道あったっけ?なんでできたのかなぁ。」
ちょっとからかってみた。
「毎日ここにきてるからでしょ」
「どうして毎日来てるの?」
「え?…自分で考えなよ。」
少し照れてる。可愛いなぁ。
「もしかして…へえ!そんなに私に会いたいんだ!嬉しいなぁ。」
「そ、そういう君はなにしに来てるんだよ!」
動揺しすぎでしょ。わかりやすいなぁ。
「なにしに来てると思う?」
「…なにしに来てるの?」
「わからないの?」
ちょっと意味ありげに言ってみる。
「わから…ない。」
私があなたのことが好きだから…だと思ってるよね。そうだけど。やっぱりわかりやすいよ君は。そういうところも好きだよ。言わないけど。
「宿題ね!明日また考えてきて!…ここで待ってるから。」
そうしたらまた話ができるでしょう?
…こさん!陽子さん!起きなさい!
気づけばおばさんが鬼の形相で目の前に立っている。
しまった。夢だ。またやっちゃったよ…。
「いつもいつも寝てばっかりで私の授業はそんなに退屈ですか!寝ないようにわざわざたくさん当ててるというのに!それにこれ何ページですか?今は古文の勉強ですよね!関係ないページばかり毎回毎回開いて…って、人の話を聞きなさい!あなた私を馬鹿にして…」
いつもの長い説教が始まった。これだから国語は嫌いなんだ。
やさん(選択なし・10さい)からの相談
とうこう日:2020年6月26日みんなの答え:0件
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