再会
小説のワンシーンっぽいものを書いてみました。評価とアドバイスおねがいします。
「本当に…ここでいいのか」
アルは途中の宿屋で会った親切な人がくれたメモと、目の前の建物を見比べる。そして何度も何度も首を傾げた。
一人暮らしを始めてしがない傭兵として働き始めた彼。だが彼の国の経済は悪化し、他の地方からの移民という事もあって真っ先に首を切られてしまったのである。両親もいない今、頼れるのは幼いころに生き別れたという姉、アリナだけなのだ。
だが彼女が今働いているという路地裏の料亭は、もはや廃墟なのかと思うくらい全くのオンボロだった。石造りの外壁にはとことんヒビが入っているし、ドアの金属の取っ手も錆びてしまっている。ドアには「準備中」の文字が描かれた紙が、これまた黄色く変色して砂ぼこりを被り、無造作に張られていた。アルの心は暗くなった。本当に彼女がここで働いているなら、きっとその暮らしもいいものではないだろう。
「あの…すみません」
躊躇しながらきしむドアを開け、中を覗いた。いくつか並べてある木の椅子と机の奥にカウンターがあって、そこで一人の腰の曲がった老人がタバコをふかしていた。
「なんだい、店はまだ開いとらん」
彼はつっけんどんに言った。まあボロを着た見知らぬ小汚い青年が突然閉店中の店に入ってきたら、誰でもこんな反応をするだろう。
「あ、いや、ご飯じゃなくて…アリナという人を探しているのですが」
興味の無いような顔でずっとそっぽを向いていた気難しそうな老人だが、姉の名前を聞いた途端に目の色を変えた。そして、少し血走った眼を剥いて彼を見据えた。
「アリナに、何の用じゃ」
「いや、僕の姉なので…」
するとその老人はよく分からないというように首をひねり、猫のような目つきでアルの顔を覗き込んだ。
「彼女の弟か?いや、似とらんなあ」
似ていない、という言葉に少し引っかかりを感じたが、それでも彼は椅子から立ち上がって、彼女のいるらしい店の厨房をのぞき込もうとしてくれた。
「ねえ爺、退屈なんだけどー」
ちょうどその時、厨房ののれんをくぐって一人の髪の長い女が姿を現した。その姿が目に飛び込んでくると同時に、思わずアルは息を飲む。
美しい雌のヒョウのような妖艶な瞳に、鮮やかな口紅が利いたぽってりとした健康的な唇。バストは豊満で、スリットの入った濃紺の長いスカートからは、しなやかかつ肉付きの良い艶めかしい脚が覗いていた。その場にいるだけでそこの空気を変えてしまうような、まさに「この世のものとは思えない」という言葉で形容されそうな美女だった。
「あの、アリナさんは?」
まだその麗しい体に心を奪われながら聞くと、その老人はきょとんとした顔つきをする。そして、思わず耳を疑うようなことを口にするのだった。
「この女が…アリナじゃが」
ファリ臣さん(栃木・15さい)からの相談
とうこう日:2020年7月1日みんなの答え:2件
「本当に…ここでいいのか」
アルは途中の宿屋で会った親切な人がくれたメモと、目の前の建物を見比べる。そして何度も何度も首を傾げた。
一人暮らしを始めてしがない傭兵として働き始めた彼。だが彼の国の経済は悪化し、他の地方からの移民という事もあって真っ先に首を切られてしまったのである。両親もいない今、頼れるのは幼いころに生き別れたという姉、アリナだけなのだ。
だが彼女が今働いているという路地裏の料亭は、もはや廃墟なのかと思うくらい全くのオンボロだった。石造りの外壁にはとことんヒビが入っているし、ドアの金属の取っ手も錆びてしまっている。ドアには「準備中」の文字が描かれた紙が、これまた黄色く変色して砂ぼこりを被り、無造作に張られていた。アルの心は暗くなった。本当に彼女がここで働いているなら、きっとその暮らしもいいものではないだろう。
「あの…すみません」
躊躇しながらきしむドアを開け、中を覗いた。いくつか並べてある木の椅子と机の奥にカウンターがあって、そこで一人の腰の曲がった老人がタバコをふかしていた。
「なんだい、店はまだ開いとらん」
彼はつっけんどんに言った。まあボロを着た見知らぬ小汚い青年が突然閉店中の店に入ってきたら、誰でもこんな反応をするだろう。
「あ、いや、ご飯じゃなくて…アリナという人を探しているのですが」
興味の無いような顔でずっとそっぽを向いていた気難しそうな老人だが、姉の名前を聞いた途端に目の色を変えた。そして、少し血走った眼を剥いて彼を見据えた。
「アリナに、何の用じゃ」
「いや、僕の姉なので…」
するとその老人はよく分からないというように首をひねり、猫のような目つきでアルの顔を覗き込んだ。
「彼女の弟か?いや、似とらんなあ」
似ていない、という言葉に少し引っかかりを感じたが、それでも彼は椅子から立ち上がって、彼女のいるらしい店の厨房をのぞき込もうとしてくれた。
「ねえ爺、退屈なんだけどー」
ちょうどその時、厨房ののれんをくぐって一人の髪の長い女が姿を現した。その姿が目に飛び込んでくると同時に、思わずアルは息を飲む。
美しい雌のヒョウのような妖艶な瞳に、鮮やかな口紅が利いたぽってりとした健康的な唇。バストは豊満で、スリットの入った濃紺の長いスカートからは、しなやかかつ肉付きの良い艶めかしい脚が覗いていた。その場にいるだけでそこの空気を変えてしまうような、まさに「この世のものとは思えない」という言葉で形容されそうな美女だった。
「あの、アリナさんは?」
まだその麗しい体に心を奪われながら聞くと、その老人はきょとんとした顔つきをする。そして、思わず耳を疑うようなことを口にするのだった。
「この女が…アリナじゃが」
ファリ臣さん(栃木・15さい)からの相談
とうこう日:2020年7月1日みんなの答え:2件
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無題 文章も描写も細かく、わかりやすかったです。続きが読みたくなりました! はちみつさん(千葉・14さい)からの答え
とうこう日:2020年7月2日 -
アドバイス 年下から失礼します。作家志望です。
すごく面白くて、読みやすい文章でした。ただ、「いや、僕の姉なので……」のところを「あ、アリナさんは、僕の姉なので……」にすると、よりいいと思います。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。 山茶花さん(選択なし・14さい)からの答え
とうこう日:2020年7月2日
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