秘密を教えて
この街には秘密おじさんという秘密を教えないといけないというおじさんがいる。私はその人に今、追われている。
「秘密を教えて、秘密を教えて」
嘘をつくと、殺される。秘密を教えるまで追いかけられる。面倒臭いおじさんだ。だけど、私の秘密を教えて何か得ががあるのかな?
「秘密を教えてよ」
ああ、もう面倒臭い。
私は足を止めて、おじさんを見据えた。
「秘密おじさんに追いかけられて、なんて言ったの?」
私は凛香(りんか)に聞いた。
凛香は言いたくなさそうだったけど、私が雰囲気で圧をかけると
「去年の中間テスト、カンニングした」
「ふーん。凛香。嘘をついちゃダメだよ。秘密を聞きたがるおじさんなんて、いるはずないんだから」
「本当なんだって!遥香(はるか)。信じてよ!」
凛香が私の机をガタガタと揺らした。
「じゃあさ。凛香。妹、いるよね?」
「うん。凛子(りんこ)」
凛香はそれがなんだとでも言いたげだ。
「凛子ちゃんが花子さんに話しかけられたって言ったら信じる?」
凛子ちゃんには一度会ったことがある。中学一年生。明るくて、可愛かった。真面目で、嘘をつくような子ではない。
凛香の答えは予想通りだった。
「信じない。花子さんが実際にいたらトイレはきっといつも汚れてるだろうし」
「それと同じ。秘密おじさんがいたら秘密は無いに等しい。秘密を持ってる人なんて数少ないよ」
「でも、いたの。カンニングしたって言っちゃったの」
「カンニングはほどほどに。来年、受験なんだよ?」
凛香が黙り込む。どうすれば私が秘密おじさんを信じるか考えている。
秘密おじさんについて考えるより大学受験について考えた方が建設的ということに凛香は気がついていない。
下校中。
「秘密、教えて」
え。後ろに五十代くらいのおじさんがいた。
秘密、教えて。
「出た」
本当にごめんなさい、凛香。秘密おじさん、本当にいたよ。そして、私は見事にその標的になっちゃったよ。
私は走り出した。
なぜ走り出したのか自分でも分からなかった。ただ、本能的に体が動いた。
私は笑い出した。私は都市伝説を信じないタイプだ。ただ、少なくとも秘密おじさんは本当にいた。それがおかしくて笑いながら私は走った。
「秘密を教えて。秘密、教えて」
なに、こいつ。私は平均的な女子高校生の体力を上回っている自信がある。なんせ、毎日、朝早く起きて近くの公園を五週、走っている。でも、秘密おじさんはその私に普通についてきていた。
なに?自衛官?自衛隊員?私が思った通りだったら、
「勝てっこないじゃん……」
とうとう、私は疲れてへたり込んだ。
おじさんは私の前に立って
「秘密を教えて」
負けた。私は言った。
「都市伝説は本当かもしれないと思い始めた」
秘密おじさんは
「ありがとー」
といって去っていった。
少なくとも、平和なものだけを信じることにしよう。そう思って私は立ち上がった。
でんぐり返しさん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月5日みんなの答え:1件
「秘密を教えて、秘密を教えて」
嘘をつくと、殺される。秘密を教えるまで追いかけられる。面倒臭いおじさんだ。だけど、私の秘密を教えて何か得ががあるのかな?
「秘密を教えてよ」
ああ、もう面倒臭い。
私は足を止めて、おじさんを見据えた。
「秘密おじさんに追いかけられて、なんて言ったの?」
私は凛香(りんか)に聞いた。
凛香は言いたくなさそうだったけど、私が雰囲気で圧をかけると
「去年の中間テスト、カンニングした」
「ふーん。凛香。嘘をついちゃダメだよ。秘密を聞きたがるおじさんなんて、いるはずないんだから」
「本当なんだって!遥香(はるか)。信じてよ!」
凛香が私の机をガタガタと揺らした。
「じゃあさ。凛香。妹、いるよね?」
「うん。凛子(りんこ)」
凛香はそれがなんだとでも言いたげだ。
「凛子ちゃんが花子さんに話しかけられたって言ったら信じる?」
凛子ちゃんには一度会ったことがある。中学一年生。明るくて、可愛かった。真面目で、嘘をつくような子ではない。
凛香の答えは予想通りだった。
「信じない。花子さんが実際にいたらトイレはきっといつも汚れてるだろうし」
「それと同じ。秘密おじさんがいたら秘密は無いに等しい。秘密を持ってる人なんて数少ないよ」
「でも、いたの。カンニングしたって言っちゃったの」
「カンニングはほどほどに。来年、受験なんだよ?」
凛香が黙り込む。どうすれば私が秘密おじさんを信じるか考えている。
秘密おじさんについて考えるより大学受験について考えた方が建設的ということに凛香は気がついていない。
下校中。
「秘密、教えて」
え。後ろに五十代くらいのおじさんがいた。
秘密、教えて。
「出た」
本当にごめんなさい、凛香。秘密おじさん、本当にいたよ。そして、私は見事にその標的になっちゃったよ。
私は走り出した。
なぜ走り出したのか自分でも分からなかった。ただ、本能的に体が動いた。
私は笑い出した。私は都市伝説を信じないタイプだ。ただ、少なくとも秘密おじさんは本当にいた。それがおかしくて笑いながら私は走った。
「秘密を教えて。秘密、教えて」
なに、こいつ。私は平均的な女子高校生の体力を上回っている自信がある。なんせ、毎日、朝早く起きて近くの公園を五週、走っている。でも、秘密おじさんはその私に普通についてきていた。
なに?自衛官?自衛隊員?私が思った通りだったら、
「勝てっこないじゃん……」
とうとう、私は疲れてへたり込んだ。
おじさんは私の前に立って
「秘密を教えて」
負けた。私は言った。
「都市伝説は本当かもしれないと思い始めた」
秘密おじさんは
「ありがとー」
といって去っていった。
少なくとも、平和なものだけを信じることにしよう。そう思って私は立ち上がった。
でんぐり返しさん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月5日みんなの答え:1件
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すご〜い すごいです、すごいです。
秘密おじさん聞いたことあったけど、そんな詳しく知らなかった!
私都市伝説だいすきなんです(*´ω`*) !!!!!!さん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2020年7月7日
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