あくまさま!
朝,目が覚めた。体がだるい。今日も学校に行けない。まあいいや,どうせ学校では誰も私の心配してないんだから。今日は両親が仕事でいないことを思い出し,ベッドに腰かけた状態から再び布団に包まる。
私がストレス性の体調不良で学校に行かなくなってから,家の空気は重苦しくて,親は喧嘩ばかりだ。母さんも父さんも「無理しなくていい」というけど,そんなのは嘘だ。私がつぎはぎの笑顔を作って学校に行けば,我が家の"平穏"はいとも容易く戻ってくるのだろう。
前は「ゆっくり休みなさい」と言ってくれていた学校の先生も,最近は電話で「少しだけでも学校に来ないか」と執拗に言ってくる。きっと自分のクラスに不登校児がいると都合が悪いのだ。
私の周りにはうわべだけで優しい言葉をかける大人しかいない。でも,私も将来はそんな大人の一人になるのだろう。
今にも未来にも何の希望も抱けない。
「死にたい」
かすれた声が口からこぼれ,天井に消えた。
その時だった。
ベッドのシーツ越しに,背中に違和感を感じた。何かがモゾモゾと動いている?不思議に思って体を起こして振り返ると,シーツを破ってベッドの中から羽とともに黒い手が飛び出した!!
思わず悲鳴を上げたが,それはすぐに止まった。なぜなら,手を出したっきり動けなくなったのか,ピクピクと力なく痙攣し始めたからだ。私はその手を観察することにした。形は人間に似ているが,真っ黒で爪が尖っている。そして,腕はカラスのような羽でおおわれている…。何なんだ,これは?まじまじと見つめていると,
「おい!黙ってないで助けろよ!この窮屈な箱から引っ張り出してくれぇ〜」と少年の様な声が聞こえてきた。
「え…。どちら様?」「悪魔様だよこのニブチンが!!いいから助けろ」
どういうことなの?ってか私体調悪いんだが…と思いながら,しぶしぶ悪魔を引っ張り上げる。ベッドから出てきた悪魔は,痛そうに全身をさすっている。声から推測した通り大体小学3年生くらいの見た目をしていて,黒い体と鳥のような羽が特徴的だった。
「で…君はどうしてここに?」「悪魔様と呼べ!」「はいはい,あくまさま。」全くめんどくさい悪魔だ。
「お前,さっき死にたいと言「え!もしかして,私を殺しに来たの!?あぁれは本気じゃなかったっていうか…
「話を最後まで聞け!!いいか,だから,この悪魔様が直々にお前を励ましに来てやったんだよ。」
ん?頭の中で何かがずれる音がした。
「…へ?…だって,悪魔って…こう,人を殺したり,騙したり…」もごもごしながら言った。
「まあ普段はそうなんだがな…。近頃はお前のような若い人間の自殺が多くて,神様が嘆いておられたのだ。『わしが授けた命を使い切らないうちに投げ捨てる人間を見ると悲しい』とな。そこで俺が神様のために,若い人間に生きる希望を示す役を買ったんだ。」
「そう,なんだ…」軽々しく死にたいなんて言ったことを後悔した。
「でも,持てないよ!希望なんてそんな簡単に。」心の拠り所もないのに…。
「まあまあ,いいものを見せてやる」そう言って悪魔は水晶玉のようなものを取り出した。「何それ?」
「これは真実の水晶だ。事実だけがこれに映し出される。」その水晶によって私は,今日両親が仕事の間に会い,今までを反省して私のために話し合っていたこと・先生がクラスメイトからの寄せ書きを持って学校で待っていることを知った。私は誤解し,決めつけていたのだ。自分の愚かさと周りへの罪悪感で,涙があふれてきた。
「どうだ?早まったことをしなくて良かっただろ?」悪魔が言ったので,涙をぬぐって私も言った。「うん。もしあなたが来なかったら,私は誤解したままいずれ自殺してたかもしれない。ほんとにありがとう。私,また学校に行ってみる。」
「それは良かった。ふぅ,全くこの役も楽じゃないな。じゃ,次に行ってくるか。」そう言って,悪魔は煙のようにパッと消えた。帰るのは得意なのかもしれない。
「ありがとう。あくまさま。」私は誰もいない寝室でつぶやいた。もう日は高く昇っていて,窓からの光がシーツごと破けたベッドを暖かく照らしていた。 ターコイズグリーンさん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月5日みんなの答え:0件
私がストレス性の体調不良で学校に行かなくなってから,家の空気は重苦しくて,親は喧嘩ばかりだ。母さんも父さんも「無理しなくていい」というけど,そんなのは嘘だ。私がつぎはぎの笑顔を作って学校に行けば,我が家の"平穏"はいとも容易く戻ってくるのだろう。
前は「ゆっくり休みなさい」と言ってくれていた学校の先生も,最近は電話で「少しだけでも学校に来ないか」と執拗に言ってくる。きっと自分のクラスに不登校児がいると都合が悪いのだ。
私の周りにはうわべだけで優しい言葉をかける大人しかいない。でも,私も将来はそんな大人の一人になるのだろう。
今にも未来にも何の希望も抱けない。
「死にたい」
かすれた声が口からこぼれ,天井に消えた。
その時だった。
ベッドのシーツ越しに,背中に違和感を感じた。何かがモゾモゾと動いている?不思議に思って体を起こして振り返ると,シーツを破ってベッドの中から羽とともに黒い手が飛び出した!!
思わず悲鳴を上げたが,それはすぐに止まった。なぜなら,手を出したっきり動けなくなったのか,ピクピクと力なく痙攣し始めたからだ。私はその手を観察することにした。形は人間に似ているが,真っ黒で爪が尖っている。そして,腕はカラスのような羽でおおわれている…。何なんだ,これは?まじまじと見つめていると,
「おい!黙ってないで助けろよ!この窮屈な箱から引っ張り出してくれぇ〜」と少年の様な声が聞こえてきた。
「え…。どちら様?」「悪魔様だよこのニブチンが!!いいから助けろ」
どういうことなの?ってか私体調悪いんだが…と思いながら,しぶしぶ悪魔を引っ張り上げる。ベッドから出てきた悪魔は,痛そうに全身をさすっている。声から推測した通り大体小学3年生くらいの見た目をしていて,黒い体と鳥のような羽が特徴的だった。
「で…君はどうしてここに?」「悪魔様と呼べ!」「はいはい,あくまさま。」全くめんどくさい悪魔だ。
「お前,さっき死にたいと言「え!もしかして,私を殺しに来たの!?あぁれは本気じゃなかったっていうか…
「話を最後まで聞け!!いいか,だから,この悪魔様が直々にお前を励ましに来てやったんだよ。」
ん?頭の中で何かがずれる音がした。
「…へ?…だって,悪魔って…こう,人を殺したり,騙したり…」もごもごしながら言った。
「まあ普段はそうなんだがな…。近頃はお前のような若い人間の自殺が多くて,神様が嘆いておられたのだ。『わしが授けた命を使い切らないうちに投げ捨てる人間を見ると悲しい』とな。そこで俺が神様のために,若い人間に生きる希望を示す役を買ったんだ。」
「そう,なんだ…」軽々しく死にたいなんて言ったことを後悔した。
「でも,持てないよ!希望なんてそんな簡単に。」心の拠り所もないのに…。
「まあまあ,いいものを見せてやる」そう言って悪魔は水晶玉のようなものを取り出した。「何それ?」
「これは真実の水晶だ。事実だけがこれに映し出される。」その水晶によって私は,今日両親が仕事の間に会い,今までを反省して私のために話し合っていたこと・先生がクラスメイトからの寄せ書きを持って学校で待っていることを知った。私は誤解し,決めつけていたのだ。自分の愚かさと周りへの罪悪感で,涙があふれてきた。
「どうだ?早まったことをしなくて良かっただろ?」悪魔が言ったので,涙をぬぐって私も言った。「うん。もしあなたが来なかったら,私は誤解したままいずれ自殺してたかもしれない。ほんとにありがとう。私,また学校に行ってみる。」
「それは良かった。ふぅ,全くこの役も楽じゃないな。じゃ,次に行ってくるか。」そう言って,悪魔は煙のようにパッと消えた。帰るのは得意なのかもしれない。
「ありがとう。あくまさま。」私は誰もいない寝室でつぶやいた。もう日は高く昇っていて,窓からの光がシーツごと破けたベッドを暖かく照らしていた。 ターコイズグリーンさん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月5日みんなの答え:0件
この相談への回答は、まだありません。
-
- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
- カテゴリごとの新着相談
-
-
- AIと話せるならどんなことを話してみたい?06月26日
-
- インスタやってみたい!07月21日
-
- 友達が...07月22日
-
- 林間学校について07月22日
-
- 夏休みのレポート07月21日
-
- やっぱ私って変なのかな?07月21日
-
- 吃音症の治し方ってありますか?07月21日
-
- 部活の先輩・後輩関係07月21日
-
- 夏休みなのにゲーム全然できない07月21日
-
- 現ると参上と降臨07月22日
-
- 彼女できたけど話しにくい07月22日
-
- 帽子が大きすぎて目が隠れちゃう…07月21日
-
- 27時間テレビ見た???07月22日
-
- おすすめのアイマスク07月20日
-
- 運命の人は一度別れる04月25日
-
- 生きている価値が無い気がする07月21日
-
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する
・>>地元の相談窓口を探す
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。