忍びの想い
星辰(としのぶ)は忍びだ。とある城の城主を苦しめるため、城主の娘である姫を暗殺することになった。
とある夜
「何者ですか?」
「!!」
星辰は姫の部屋に忍び込み殺そうとした時だった。
「フフ…寝ていると思い油断しましたね?お父様はやめろと言いますが、もしものために私も鍛えているのですよ?」
「チッ…。」
「あら?殺さないのですか?」
「俺のことに気づいている獲物を殺すのは暗殺じゃないからな。」
「そんなことを言っていたら、私がお父様に言いつけてすぐ捕まってしまいますよ?」
「ご心配なく。そのぐらい平気さ。」
「つまらない人ですね…。仕方ない言いつけるのはやめます。だから、毎晩私のもとへ来てください。そうすればなにも言いません。」
「…わかった。」
次の日の夜
星辰は十分警戒しながら姫の部屋に来た。相手が嘘をついていて、星辰を捕まえるつもりなら迷わず殺すつもりだった。そして十中八九そうだと思っていた。しかし違った。
「なぜ、どこにも見張りがいない?」
すると姫はキョトンとして言った。
「だって夜来てくれたら言いつけないって約束しましたもの。」
星辰はその言葉を聞いて思わず笑った。
「プッ…お前面白いやつだな。」
「む。お前とは失礼な。私には千代(ちよ)という名前があるのですよ!それに私は仮にも貴方の姫でもあります。この城の従者に紛れ込んでいるのはとっくに知っているのですよ。星辰?」
「そこまで知っているのか。」
「えぇ、だから貴方は私に従うしかないのです!さあ、城の外について話してください。」
「…そんなことならお安いご用だ。」
こうして星辰はこの日から毎晩千代姫のもと忍び込み、話を聞かせてあげることになった。
「そういえばどうしてお前はそんなに世界を知らないんだ?」
「…私はこの城の外に出ることが滅多にありませんから。」
千代は悲しそうに微笑んだ。
「そうか。」
星辰はそれ以外に千代にかける言葉が見つからなかった。幾日が経ち、星辰に依頼してきた将軍がついに千代の父である殿と戦を始めた。星辰はそれにともない、さっさと千代を殺せと命令されていた。
(千代を殺したくなんてない、正直ずっと一緒にいたい…だが、あの将軍に追われるとかなり厄介だ。命を落とす確率が高い。千代を巻き込むかもしれない。…。)
星辰は腹を括った。もう悔やんでいられない。
「星辰!今日は遅かったけど、大丈夫?」
「お前には関係ない!」
「え…。」
あまりのことに千代は呆気にとられた。
「そうそうその顔が見たかったんだ。俺がお前を殺す気が無くなったと思って、油断しているところで真実を暴露する!最高だろ!それにもう、うんざりなんだよ、世間知らずの姫のお守りなんてな!」
星辰はそう言って大笑いをした。
バチン!
千代の平手が星辰の頬に叩きつけられた。
「貴方のことなんてもう嫌いです。殺すならさっさと殺してください。そして、もう2度と私の前に現れないでください。私が死んだ後もです。」
「あぁ、現れはしないさ。だけど、殺すのはやだね。殺さずに苦しむ姿を見る方がよっぽどいい!戦で死に行く父を前に何もできない己の無力さでも恨んでいな。」
そして星辰はどこかへ行ってしまった。千代は泣き崩れた。心の底から信じて、友達だと思ってい愛していた者に裏切られた悲しみと、何もできない自分への怒りと悔しさ、そしてもう取り返しのつかないこの状況を嘆いて大号泣した。ぼろぼろと涙が次から次へと溢れてきて止まらない。その声を星辰はこっそり聞いていた。
(本当は抱きしめたかった、もっと話していたかった、事情を話して慰めて君を拐ってしまいたい!でも、できないだよ!俺は忍者で君は姫で、住む世界だって光と闇だ。この足枷は絶対に消えないんだ。返り血にまみれた俺が何を望もうと値打ちなんかない。わかっている。けど…!)
「千代、好きだよ。」
星辰の呟きは夜空に虚しく消えていった。その目には一粒の涙が浮かんでいた。そして星辰は将軍のもとへ向かった。その顔には感情など一切感じられなかった。
後日、とある将軍の首と曼珠沙華の花束が千代のいる城の城主に届いた。花束には簪が1つ紛れ込んでいたらしい。
―願わくば貴女に幸がありますように― 晴天さん(神奈川・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月22日みんなの答え:1件
とある夜
「何者ですか?」
「!!」
星辰は姫の部屋に忍び込み殺そうとした時だった。
「フフ…寝ていると思い油断しましたね?お父様はやめろと言いますが、もしものために私も鍛えているのですよ?」
「チッ…。」
「あら?殺さないのですか?」
「俺のことに気づいている獲物を殺すのは暗殺じゃないからな。」
「そんなことを言っていたら、私がお父様に言いつけてすぐ捕まってしまいますよ?」
「ご心配なく。そのぐらい平気さ。」
「つまらない人ですね…。仕方ない言いつけるのはやめます。だから、毎晩私のもとへ来てください。そうすればなにも言いません。」
「…わかった。」
次の日の夜
星辰は十分警戒しながら姫の部屋に来た。相手が嘘をついていて、星辰を捕まえるつもりなら迷わず殺すつもりだった。そして十中八九そうだと思っていた。しかし違った。
「なぜ、どこにも見張りがいない?」
すると姫はキョトンとして言った。
「だって夜来てくれたら言いつけないって約束しましたもの。」
星辰はその言葉を聞いて思わず笑った。
「プッ…お前面白いやつだな。」
「む。お前とは失礼な。私には千代(ちよ)という名前があるのですよ!それに私は仮にも貴方の姫でもあります。この城の従者に紛れ込んでいるのはとっくに知っているのですよ。星辰?」
「そこまで知っているのか。」
「えぇ、だから貴方は私に従うしかないのです!さあ、城の外について話してください。」
「…そんなことならお安いご用だ。」
こうして星辰はこの日から毎晩千代姫のもと忍び込み、話を聞かせてあげることになった。
「そういえばどうしてお前はそんなに世界を知らないんだ?」
「…私はこの城の外に出ることが滅多にありませんから。」
千代は悲しそうに微笑んだ。
「そうか。」
星辰はそれ以外に千代にかける言葉が見つからなかった。幾日が経ち、星辰に依頼してきた将軍がついに千代の父である殿と戦を始めた。星辰はそれにともない、さっさと千代を殺せと命令されていた。
(千代を殺したくなんてない、正直ずっと一緒にいたい…だが、あの将軍に追われるとかなり厄介だ。命を落とす確率が高い。千代を巻き込むかもしれない。…。)
星辰は腹を括った。もう悔やんでいられない。
「星辰!今日は遅かったけど、大丈夫?」
「お前には関係ない!」
「え…。」
あまりのことに千代は呆気にとられた。
「そうそうその顔が見たかったんだ。俺がお前を殺す気が無くなったと思って、油断しているところで真実を暴露する!最高だろ!それにもう、うんざりなんだよ、世間知らずの姫のお守りなんてな!」
星辰はそう言って大笑いをした。
バチン!
千代の平手が星辰の頬に叩きつけられた。
「貴方のことなんてもう嫌いです。殺すならさっさと殺してください。そして、もう2度と私の前に現れないでください。私が死んだ後もです。」
「あぁ、現れはしないさ。だけど、殺すのはやだね。殺さずに苦しむ姿を見る方がよっぽどいい!戦で死に行く父を前に何もできない己の無力さでも恨んでいな。」
そして星辰はどこかへ行ってしまった。千代は泣き崩れた。心の底から信じて、友達だと思ってい愛していた者に裏切られた悲しみと、何もできない自分への怒りと悔しさ、そしてもう取り返しのつかないこの状況を嘆いて大号泣した。ぼろぼろと涙が次から次へと溢れてきて止まらない。その声を星辰はこっそり聞いていた。
(本当は抱きしめたかった、もっと話していたかった、事情を話して慰めて君を拐ってしまいたい!でも、できないだよ!俺は忍者で君は姫で、住む世界だって光と闇だ。この足枷は絶対に消えないんだ。返り血にまみれた俺が何を望もうと値打ちなんかない。わかっている。けど…!)
「千代、好きだよ。」
星辰の呟きは夜空に虚しく消えていった。その目には一粒の涙が浮かんでいた。そして星辰は将軍のもとへ向かった。その顔には感情など一切感じられなかった。
後日、とある将軍の首と曼珠沙華の花束が千代のいる城の城主に届いた。花束には簪が1つ紛れ込んでいたらしい。
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とうこう日:2020年7月22日みんなの答え:1件
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面白いです 天才ですか?めちゃくちゃ面白かったです!
面白かったので続編みたいなのが欲しいです。お願いします メロンパンさん(兵庫・12さい)からの答え
とうこう日:2020年7月24日
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