ワタシタチノリアル
学校に行かなくなった。正確に言うと、行けなくなった。
理由は自分でもよく分からない。明確に嫌だと言うものはなくて、何かが嫌で嫌でたまらなかった。多分、それは一つじゃなくて複数だと思う。
手が届きそうで、靄に遮られて届かないもののせいで、私は学校に行けなくなり、不登校になった。
両親は止めなかった。
二週間前のあの日、布団にくるまって、泣いてる私を見てお母さんは黙って学校に欠席の連絡を入れた。それは私に言わずに連絡を入れるのは今も続いていて、黙っていてくれるのが私にとって救いだった。もし、聞かれると嫌でも行くと言っちゃうだろうから。
毎日、黙々と本を読み、レンタルしてきた洋画や、ドラマを観る。外に出るのは図書館に行く時か、お母さんに誘われた時、DVDをレンタルする時。学校から家が遠いのに初めて感謝した。
外に出る予定がある日以外は一日中パジャマ、歯磨きも一日三回から、二回に減った。一回だけの日もある。
家庭用電話が鳴った。最近はこれがない家庭が増えているらしいけど、不便だと思う。ファックスが出来ないじゃん。
布団から出て、子機を取る。
聞こえてきたのは毎日電話をしてくれる仲の良い、菊(きく)ちゃんの声だった。
「もしもし」
「もしもし、紫(ゆかり)ちゃん?明日の予定はね……」
伝えてくれる予定を聞き流し、
「今日ね……」
菊ちゃんがテンション高めに話すアメリカの歌手の話に相槌を打つ。私は日本のアイドルのファンなので、アメリカの歌手にはそれほど詳しくない。
「一応伝えておくね。紫ちゃんの机に……」
菊ちゃんの潜めた声で耳に入ってきたのは、花が生けられた花瓶が置いてあるよ。私、止めたんだけど、みんながやるって聞かなくて。
驚いたり、悲しかったり、そういった感情は一切湧かなかった。代わりに、湧いてきたのはやっぱり、という乾いた感情。どこかで分かっていた気がする。クラスメイトたちはそうやると。
そうとだけ、答えて、私は電話を切った。だけど、その途端、子機から音楽が鳴り出し、耳に当てる。
もしもしという声は芳恵(よしえ)ちゃんだった。美人で頭が良いのに、クラスでは目立たない、むしろ地味なクラスメート。
「もしもし、芳恵ちゃん?何?」
芳恵ちゃんは慎重に話し出した。
「紫ちゃんの机に花が生けられた花瓶が置いてあるの。そうしようって言ったのは菊ちゃんだよ。私、止められなくて。ごめんね」
私は精一杯、元気な声を出した。
「ううん。芳恵ちゃんが謝らなくて良いから」
ごめんねと芳恵ちゃんは謝り続ける。
「じゃあね」
電話を切り、私は布団にくるまった。
なんとなく、分かってた。
クラスの中で信用できるのは芳恵ちゃんだけだということ、それ以外は誰も信じられないと。菊ちゃんですらも。
だからかな?学校に行けなくなったのは。無意識にそれが分かってて、それを恐れていたからかな?
泣かなかった。泣く気配すら感じられなかった。その代わりか、悔しさが湧き上がってきた。
なんで、あんな奴らに私はこんなことになっているんだろう。
明日、学校に行くと思うと、怖い。笑われるんじゃないか、奇異な目で見られるんじゃないか、耐えかねて、泣いちゃうんじゃないか、行って大丈夫だろうか?
でも、それよりも。
それを超える何かが、私の心を支配していた。
布団を抱きしめ、私は眠った。覚悟を決めて。 なみかさん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年8月2日みんなの答え:0件
理由は自分でもよく分からない。明確に嫌だと言うものはなくて、何かが嫌で嫌でたまらなかった。多分、それは一つじゃなくて複数だと思う。
手が届きそうで、靄に遮られて届かないもののせいで、私は学校に行けなくなり、不登校になった。
両親は止めなかった。
二週間前のあの日、布団にくるまって、泣いてる私を見てお母さんは黙って学校に欠席の連絡を入れた。それは私に言わずに連絡を入れるのは今も続いていて、黙っていてくれるのが私にとって救いだった。もし、聞かれると嫌でも行くと言っちゃうだろうから。
毎日、黙々と本を読み、レンタルしてきた洋画や、ドラマを観る。外に出るのは図書館に行く時か、お母さんに誘われた時、DVDをレンタルする時。学校から家が遠いのに初めて感謝した。
外に出る予定がある日以外は一日中パジャマ、歯磨きも一日三回から、二回に減った。一回だけの日もある。
家庭用電話が鳴った。最近はこれがない家庭が増えているらしいけど、不便だと思う。ファックスが出来ないじゃん。
布団から出て、子機を取る。
聞こえてきたのは毎日電話をしてくれる仲の良い、菊(きく)ちゃんの声だった。
「もしもし」
「もしもし、紫(ゆかり)ちゃん?明日の予定はね……」
伝えてくれる予定を聞き流し、
「今日ね……」
菊ちゃんがテンション高めに話すアメリカの歌手の話に相槌を打つ。私は日本のアイドルのファンなので、アメリカの歌手にはそれほど詳しくない。
「一応伝えておくね。紫ちゃんの机に……」
菊ちゃんの潜めた声で耳に入ってきたのは、花が生けられた花瓶が置いてあるよ。私、止めたんだけど、みんながやるって聞かなくて。
驚いたり、悲しかったり、そういった感情は一切湧かなかった。代わりに、湧いてきたのはやっぱり、という乾いた感情。どこかで分かっていた気がする。クラスメイトたちはそうやると。
そうとだけ、答えて、私は電話を切った。だけど、その途端、子機から音楽が鳴り出し、耳に当てる。
もしもしという声は芳恵(よしえ)ちゃんだった。美人で頭が良いのに、クラスでは目立たない、むしろ地味なクラスメート。
「もしもし、芳恵ちゃん?何?」
芳恵ちゃんは慎重に話し出した。
「紫ちゃんの机に花が生けられた花瓶が置いてあるの。そうしようって言ったのは菊ちゃんだよ。私、止められなくて。ごめんね」
私は精一杯、元気な声を出した。
「ううん。芳恵ちゃんが謝らなくて良いから」
ごめんねと芳恵ちゃんは謝り続ける。
「じゃあね」
電話を切り、私は布団にくるまった。
なんとなく、分かってた。
クラスの中で信用できるのは芳恵ちゃんだけだということ、それ以外は誰も信じられないと。菊ちゃんですらも。
だからかな?学校に行けなくなったのは。無意識にそれが分かってて、それを恐れていたからかな?
泣かなかった。泣く気配すら感じられなかった。その代わりか、悔しさが湧き上がってきた。
なんで、あんな奴らに私はこんなことになっているんだろう。
明日、学校に行くと思うと、怖い。笑われるんじゃないか、奇異な目で見られるんじゃないか、耐えかねて、泣いちゃうんじゃないか、行って大丈夫だろうか?
でも、それよりも。
それを超える何かが、私の心を支配していた。
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