セカイノ果テ
どうか、親愛なる貴方に聞いて欲しい。
この話は喜劇だとか悲劇だとか、そんな大層な話じゃない。
あたたかくて、優しくて、切ない、そんな一国の騎士と姫の話だ。
「ソフィア!緊張してる?」
黙りこくったままの姫・ソフィアにその騎士・レオが唐突に話しかけた。
「ば…バレてますか…?」
ソフィアはその唐突なレオの問いに、顔を赤らめながら答える。
「まぁな!お前は昔から分かりやすいし!」
「ダメですよね、もっとしっかりしないと…」
そう言ってソフィアは俯いた。
「ううん…今日は仕方ないと思うぞ!…結婚…する訳だしな」
そう。今日このお姫様は侵略を続ける帝国軍に抗うために、近隣国との同盟をより強固にするためにこの国から、この騎士のもとから離れていく。
* * * * *
「おい…何かあったのか?」
仲間の騎士、ハリーから連絡が入る。
「リーダー…すみません、囲まれました」
「きゃっ…!」
帝国軍の1人が、部屋に姫を閉じ込めた。
「ま、待って下さい!私たちと貴方の国は敵対関係ではないはずでは…?」
姫はおずおずとその帝国軍に問いかけた。
「悪いが、この国は我々帝国軍に支配されている。助けなど来ない、諦めるんだな」
帝国軍は姫の問いに冷たい声で答えた。
「そんな…」
彼女が生まれ育った国は小さくて弱いけれどあたたかい国で、帝国に潰されないためには周囲の同盟国との繋がりを強化するしか無かった。覚悟ならとうの昔にできている。嫁ぐことも犠牲になることもなんてことない。故郷を守るために、あの人を守るために。
「ぐぁぁっ」
後ろから呻き声が聞こえた。
「えっ、何…」
「ソフィア!こんな所抜け出して早く国に帰るぞ!」
どうして、どうして貴方が。
「どうしてここが…?」
「そりゃ、俺はお前の騎士だからな!」
ニコッと、太陽のような笑顔で彼は答えた。
「それに、姫を助けるのは騎士の役目だからな!帰ろう、俺たちの国に」
「応援を呼べ!絶対に逃がすな!」
気づいた帝国軍が追いかけてくる。
「目瞑っててね、ソフィア!お前には指1本触れさせないから!」
そう言って次々に帝国軍を倒していく。
「ぐぁぁぁぁ!」
「ひぃっ」
「悪いけど、俺はこの子を国に返さなきゃ行けないんだ。邪魔しないでくれ」
そう言って最後の1人に剣を向けた。
「ソフィア!終わったぞ!」
「レオさんは怖くないんですか?」
姫は俯いた。
「俺は大丈夫だぞ!だからお前が自分を攻める必要は無い」
「…はい」
「ソフィア、どうしてお前はソフィアなんだ?」
「へ?どうしたんですか?」
彼の唐突な質問に姫はビクッとした。
「なんとなく今思いついたから!でも在り来りじゃつまらない!ああ、でも何も思いつかないな!」
そう言って彼は姫を抱きしめた。
「どうしてお前は姫で、俺は王子じゃないんだろうな」
「それって…」
「リーダー!ご無事ですか?!」
ハリーが駆けてきた。
「伏せろ!」
「え…?」
「レオさん!」
姫が振り返って見たのは、ざっくりと背中に弓矢が刺さったレオの姿だった。
「ハリー…俺が囮になるから、お前はソフィアを連れて逃げろ」
「ですが…!」
「俺たちが守るものはなんだ?友情か?親愛か?違うだろ?俺たちの最優先はソフィアだ」
「分かりました…」
「ではリーダー…ご武運を」
「ああ」
「どうしてそこまでできるんですか…?!私には姫ってだけで守られるほどの価値なんてっ…」
「あるよ」
「え…」
「俺にはある…ずっとお前がその笑顔で俺を守ってくれたから」
そう言って彼は姫を抱きしめ、口付けをした。
「…幸せになれよ」
「…行きましょう」
ハリーはソフィアを抱えた。
「うそ…いやっ…やだ、止まって!」
「なりませんっ…」
「うわぁぁぁぁ…」
ソフィアは泣きじゃくった。
これは悲劇でも喜劇でもない。
だからどうか泣かないで欲しい。
だって、これでやっと俺の願いが叶うんだ。
お前の笑顔が、あたたかな陽だまりのような笑顔が、俺は大好きだから。
「ここから先は通さない、たとえ俺の命を犠牲にしても」
* * * * *
この世界は巡っている。
「転校生…?」
「レオです、よろしくお願いします!」
ソフィアはその聞き覚えのある名前を聞いて前を見る。
「レオさん…?」
「久しぶりだな、ソフィア!」
きっと俺たちは何度でも巡り会う。
その時が来たら。今度こそ俺は… Lucaさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2020年8月12日みんなの答え:1件
この話は喜劇だとか悲劇だとか、そんな大層な話じゃない。
あたたかくて、優しくて、切ない、そんな一国の騎士と姫の話だ。
「ソフィア!緊張してる?」
黙りこくったままの姫・ソフィアにその騎士・レオが唐突に話しかけた。
「ば…バレてますか…?」
ソフィアはその唐突なレオの問いに、顔を赤らめながら答える。
「まぁな!お前は昔から分かりやすいし!」
「ダメですよね、もっとしっかりしないと…」
そう言ってソフィアは俯いた。
「ううん…今日は仕方ないと思うぞ!…結婚…する訳だしな」
そう。今日このお姫様は侵略を続ける帝国軍に抗うために、近隣国との同盟をより強固にするためにこの国から、この騎士のもとから離れていく。
* * * * *
「おい…何かあったのか?」
仲間の騎士、ハリーから連絡が入る。
「リーダー…すみません、囲まれました」
「きゃっ…!」
帝国軍の1人が、部屋に姫を閉じ込めた。
「ま、待って下さい!私たちと貴方の国は敵対関係ではないはずでは…?」
姫はおずおずとその帝国軍に問いかけた。
「悪いが、この国は我々帝国軍に支配されている。助けなど来ない、諦めるんだな」
帝国軍は姫の問いに冷たい声で答えた。
「そんな…」
彼女が生まれ育った国は小さくて弱いけれどあたたかい国で、帝国に潰されないためには周囲の同盟国との繋がりを強化するしか無かった。覚悟ならとうの昔にできている。嫁ぐことも犠牲になることもなんてことない。故郷を守るために、あの人を守るために。
「ぐぁぁっ」
後ろから呻き声が聞こえた。
「えっ、何…」
「ソフィア!こんな所抜け出して早く国に帰るぞ!」
どうして、どうして貴方が。
「どうしてここが…?」
「そりゃ、俺はお前の騎士だからな!」
ニコッと、太陽のような笑顔で彼は答えた。
「それに、姫を助けるのは騎士の役目だからな!帰ろう、俺たちの国に」
「応援を呼べ!絶対に逃がすな!」
気づいた帝国軍が追いかけてくる。
「目瞑っててね、ソフィア!お前には指1本触れさせないから!」
そう言って次々に帝国軍を倒していく。
「ぐぁぁぁぁ!」
「ひぃっ」
「悪いけど、俺はこの子を国に返さなきゃ行けないんだ。邪魔しないでくれ」
そう言って最後の1人に剣を向けた。
「ソフィア!終わったぞ!」
「レオさんは怖くないんですか?」
姫は俯いた。
「俺は大丈夫だぞ!だからお前が自分を攻める必要は無い」
「…はい」
「ソフィア、どうしてお前はソフィアなんだ?」
「へ?どうしたんですか?」
彼の唐突な質問に姫はビクッとした。
「なんとなく今思いついたから!でも在り来りじゃつまらない!ああ、でも何も思いつかないな!」
そう言って彼は姫を抱きしめた。
「どうしてお前は姫で、俺は王子じゃないんだろうな」
「それって…」
「リーダー!ご無事ですか?!」
ハリーが駆けてきた。
「伏せろ!」
「え…?」
「レオさん!」
姫が振り返って見たのは、ざっくりと背中に弓矢が刺さったレオの姿だった。
「ハリー…俺が囮になるから、お前はソフィアを連れて逃げろ」
「ですが…!」
「俺たちが守るものはなんだ?友情か?親愛か?違うだろ?俺たちの最優先はソフィアだ」
「分かりました…」
「ではリーダー…ご武運を」
「ああ」
「どうしてそこまでできるんですか…?!私には姫ってだけで守られるほどの価値なんてっ…」
「あるよ」
「え…」
「俺にはある…ずっとお前がその笑顔で俺を守ってくれたから」
そう言って彼は姫を抱きしめ、口付けをした。
「…幸せになれよ」
「…行きましょう」
ハリーはソフィアを抱えた。
「うそ…いやっ…やだ、止まって!」
「なりませんっ…」
「うわぁぁぁぁ…」
ソフィアは泣きじゃくった。
これは悲劇でも喜劇でもない。
だからどうか泣かないで欲しい。
だって、これでやっと俺の願いが叶うんだ。
お前の笑顔が、あたたかな陽だまりのような笑顔が、俺は大好きだから。
「ここから先は通さない、たとえ俺の命を犠牲にしても」
* * * * *
この世界は巡っている。
「転校生…?」
「レオです、よろしくお願いします!」
ソフィアはその聞き覚えのある名前を聞いて前を見る。
「レオさん…?」
「久しぶりだな、ソフィア!」
きっと俺たちは何度でも巡り会う。
その時が来たら。今度こそ俺は… Lucaさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2020年8月12日みんなの答え:1件
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最高ですね!!
最高です!最後は輪廻転成!とっても面白い! kittyさん(東京・11さい)からの答え
とうこう日:2020年8月13日
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