君に出会って恋をした。《夏の恋物語》
私は恋をした。
夏に神社で出会った君に。
これは、私のある夏の恋のお話。
私は毎年、夏休みの間だけ両親の仕事の都合で祖父母の家に来ていた。
今日、私…鈴狐(すずこ)は家がある村の神社にいる。
苔のつく古びた石段を登り、境内に入る。
するとそこには、私と同い年らしき少年がいた。
胸が高鳴る。
そう、私が恋をしたのはこの少年だ。
「あ、鈴狐じゃん。」
「…司」
彼の名前は司(つかさ)。
容姿端麗で、もしも私の学校にいたら絶対モテるタイプ。
でも、少し不思議な雰囲気をまとっている。
「今日も来たんだ。」
「うん、夏休みの間しかいられないから…」
「まぁまぁ。ほら、行こう、鈴狐」
そう言って司は太陽の様に眩しく笑った。
私と司は今年の夏休みにこの神社で会ってから、よく一緒にいる。
神社の境内を歩き回ったり、村の曰く付きの場所に行ってみたり。
司との時間は、とても楽しかった。
だから私は、これが恋だと気づくまで少し時間がかかった。
君となら、何処へでも行きたい。
いつのまにか、そう思うようになっていた。
その後も公園に行ったり、裏山に入ってみたり。
村の図書館に行った事もある。
そしてあっという間に楽しい時間は経ち、帰る二日前。
知らぬうちに待ち合わせ場所の様になっていた神社の境内に入る。
そこには、いつも通り司がいた。
「お、鈴狐。」
「司、あと二日で帰らないといけないの」
「そう。」
司は少し悲しげな顔になる。
でも、司はこの村の人だと思うし、また来年も。
「来年も絶対来るね。」
「鈴狐のこと待ってるから」
そう言って司は微笑んだ。
そして、とうとう帰る前日。
寂しい気持ちを抱きながらも私は神社に向かった。
「司!!」
「ん、鈴狐。明日だっけ?」
「うん」
「そう。じゃあさ、今日の夜…ここで待ち合わせで良い?」
今日の夜…?
「う、うん」
「良かった。それじゃあ、今日も!」
「うん!」
今日で最後だ。
精一杯楽しもう。
その時間は、あっという間に過ぎた。
最後に二人で行ったのは、神社の林だった。
そして、夜。
一度別れた私たちは、再び神社で待ち合わせ。
「司、どうするの?周りも真っ暗だし」
「まぁまぁ。今日はさ、特別な日なんだ」
「え?特別な日って?」
「もうすぐ分かるよ」
それから、私たちは他愛のない会話をした。
それに紛れ、私は最後にこう伝える。
「司、好きだよ」
口に出してからとても恥ずかしくなってしまう。
司は目を丸くした後優しく微笑み、こう言った。
「そんなの分かってる。後…俺も好きだから」
その瞬間…
ヒュ〜、バーン!!
黒く染まった空に、赤い火の花が咲いた。
花火だった。
「花火っ!?」
「毎年花火はいつも鈴狐が帰ってから上がるけど、今年は間に合ったみたいだな」
「綺麗…」
色とりどりの花火が鮮やかに夜の空に咲く。
「鈴狐、さっき言ったよね、俺のこと好きって」
「!」
再び一気に私の顔が赤くなる。
「俺も鈴狐のこと好きなんだから、浮気するなよ。待ってるから」
「当たり前でしょ。絶対、行くから」
花火が上がる中、私の心は気づかぬうちにとても暖かくなっていた。
翌日。
朝早く私は自分の町に帰った。
だから、最後に司に会ったのは花火の時だ。
『待ってるから』
という司の声が頭の中に蘇るたび、私は思わず微笑む。
来年がとても待ち遠しかった。
そして、翌年の夏。
嬉しさと緊張が入り混じった気持ちを必死で抑えながら私はあの境内に向かった。
「司!!」
あれ、いない…??
不安になり、辺りを見回す。
すると…
「こっちだよ」
懐かしい、彼の声。
声のした方…後ろを慌てて振り向くと、そこにはあの時の様に優しい微笑みを浮かべる司が立っていた。 完
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんにちは、作者のあおねこです!
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます(^^)
感想頂けると嬉しいです。(辛口はお控えください、すみません!)
では! あおねこさん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2020年8月15日みんなの答え:7件
夏に神社で出会った君に。
これは、私のある夏の恋のお話。
私は毎年、夏休みの間だけ両親の仕事の都合で祖父母の家に来ていた。
今日、私…鈴狐(すずこ)は家がある村の神社にいる。
苔のつく古びた石段を登り、境内に入る。
するとそこには、私と同い年らしき少年がいた。
胸が高鳴る。
そう、私が恋をしたのはこの少年だ。
「あ、鈴狐じゃん。」
「…司」
彼の名前は司(つかさ)。
容姿端麗で、もしも私の学校にいたら絶対モテるタイプ。
でも、少し不思議な雰囲気をまとっている。
「今日も来たんだ。」
「うん、夏休みの間しかいられないから…」
「まぁまぁ。ほら、行こう、鈴狐」
そう言って司は太陽の様に眩しく笑った。
私と司は今年の夏休みにこの神社で会ってから、よく一緒にいる。
神社の境内を歩き回ったり、村の曰く付きの場所に行ってみたり。
司との時間は、とても楽しかった。
だから私は、これが恋だと気づくまで少し時間がかかった。
君となら、何処へでも行きたい。
いつのまにか、そう思うようになっていた。
その後も公園に行ったり、裏山に入ってみたり。
村の図書館に行った事もある。
そしてあっという間に楽しい時間は経ち、帰る二日前。
知らぬうちに待ち合わせ場所の様になっていた神社の境内に入る。
そこには、いつも通り司がいた。
「お、鈴狐。」
「司、あと二日で帰らないといけないの」
「そう。」
司は少し悲しげな顔になる。
でも、司はこの村の人だと思うし、また来年も。
「来年も絶対来るね。」
「鈴狐のこと待ってるから」
そう言って司は微笑んだ。
そして、とうとう帰る前日。
寂しい気持ちを抱きながらも私は神社に向かった。
「司!!」
「ん、鈴狐。明日だっけ?」
「うん」
「そう。じゃあさ、今日の夜…ここで待ち合わせで良い?」
今日の夜…?
「う、うん」
「良かった。それじゃあ、今日も!」
「うん!」
今日で最後だ。
精一杯楽しもう。
その時間は、あっという間に過ぎた。
最後に二人で行ったのは、神社の林だった。
そして、夜。
一度別れた私たちは、再び神社で待ち合わせ。
「司、どうするの?周りも真っ暗だし」
「まぁまぁ。今日はさ、特別な日なんだ」
「え?特別な日って?」
「もうすぐ分かるよ」
それから、私たちは他愛のない会話をした。
それに紛れ、私は最後にこう伝える。
「司、好きだよ」
口に出してからとても恥ずかしくなってしまう。
司は目を丸くした後優しく微笑み、こう言った。
「そんなの分かってる。後…俺も好きだから」
その瞬間…
ヒュ〜、バーン!!
黒く染まった空に、赤い火の花が咲いた。
花火だった。
「花火っ!?」
「毎年花火はいつも鈴狐が帰ってから上がるけど、今年は間に合ったみたいだな」
「綺麗…」
色とりどりの花火が鮮やかに夜の空に咲く。
「鈴狐、さっき言ったよね、俺のこと好きって」
「!」
再び一気に私の顔が赤くなる。
「俺も鈴狐のこと好きなんだから、浮気するなよ。待ってるから」
「当たり前でしょ。絶対、行くから」
花火が上がる中、私の心は気づかぬうちにとても暖かくなっていた。
翌日。
朝早く私は自分の町に帰った。
だから、最後に司に会ったのは花火の時だ。
『待ってるから』
という司の声が頭の中に蘇るたび、私は思わず微笑む。
来年がとても待ち遠しかった。
そして、翌年の夏。
嬉しさと緊張が入り混じった気持ちを必死で抑えながら私はあの境内に向かった。
「司!!」
あれ、いない…??
不安になり、辺りを見回す。
すると…
「こっちだよ」
懐かしい、彼の声。
声のした方…後ろを慌てて振り向くと、そこにはあの時の様に優しい微笑みを浮かべる司が立っていた。 完
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こんにちは、作者のあおねこです!
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます(^^)
感想頂けると嬉しいです。(辛口はお控えください、すみません!)
では! あおねこさん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2020年8月15日みんなの答え:7件
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最高です〜! どうも〜詩音です!
とっても面白かったです!(ここで言うか)
クライマックス(?)の花火の描写がとても具体的で、光景が頭の中に浮かんできました〜!やっぱりあおねこさんの文章はすごいです!これからも陰ながら応援させていただきま〜す! 詩音さん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2020年8月19日 -
すごーい!!! あーやです^^*
ロマンチックで素敵です!
こういう恋愛系のお話大好きなので、読めてよかったです(*^^*)
てか12歳とは思えないほどの才能を感じるw
また書いてください! あーやさん(東京・13さい)からの答え
とうこう日:2020年8月17日 -
尊敬いたします!!!! あおねこさん!本当に好きになりました!恋愛系の話の書き方が本当に参考になります。私も採用されるかわからないのですが、恋愛系のお話を書いているのでほんとにほんとに尊敬します!オカルト系のお話も好きでしたが、あおねこさんの恋愛系の話をもっとよみたいです!お願いします!! アリスさん(東京・13さい)からの答え
とうこう日:2020年8月17日 -
あおねこさーーーーーん!!!!!! あおねこさん神ですかっ?!
めっちゃきゅんきゅんしました〜!!
あおねこさんの小説はオカルトも恋愛もなんでも素晴らしいなんて!
天才!神!
お店でこんなの売ってたら買っちゃいますよ〜(*゚∀゚*)
あおねこさん!
小説家になったらどうですか?!
コンクールとかに出してみては?!
説明も分かりやすいし、
きゅんきゅんするし...
あおねこさんの能力分けて下さいっ!!()
次回作も全力で待ってます(^ω^)(?) あおいろさん(選択なし・10さい)からの答え
とうこう日:2020年8月17日 -
ゆっ様です! 辛口するところなんてどこにもありませんよ!
私読みながら声に出して鈴弧になりきって女優の気分で読んでました!
気が付いたら終わってて少し、涙ぐんでいました!
不思議ですね!
また小説書いてください!楽しみに待ってます!
ゆっ様より ゆっ様さん(埼玉・11さい)からの答え
とうこう日:2020年8月17日 -
いい話だ いいのう。わしもそうなりたいのう。 俺はこう言った 完 ともともさん(愛知・12さい)からの答え
とうこう日:2020年8月16日 -
そして再び出会う…素敵! こんにちは!
鈴狐が司に告白した瞬間、まじで好きです!
そこで花火が打ち上がるのも素敵!センスが良い!
なんか、この神社という設定もすごく良いですね!
すごく面白かったですよ! 白熊さん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2020年8月16日
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