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キッズ@niftyの外 アット・ニフティの他のページ 有償サイト マークのせつめい
氷を溶かすほど(短編小説) さっきまで確かにそこにあった心地よい温もりが、
容赦ない雪に洗い流されてゆく。
吹雪の中、10歳くらいに見える一人の少年が歯を食いしばって歩いている。
遭難して、親と別れた少年は、捜索が打ち切られ、
凍死したと思われていた。
それでも彼は、親を探して歩き続け、ついには頂上から山の中腹まできた。
ただ、持っている食料はあとわずか。
山を下りる体力も残っておらず、
助かる可能性はゼロに等しい。
それは彼が一番知っていた。
歩くのに疲れた彼は、一休みしようと、マッチを擦って暖をとっていると、急に視界が暗く、狭くなった。
意識が遠のいていく中で、
「もう終わりか」
彼はどこかほっとしたように呟いた。

彼が目を開けると、そこはさっきまでいた場所ではなく、
大樹の根元だった。
「おかしいな」
雪も降っていない。
空腹でもない。
自分は死んでいなかったのか…
でもどうして?
彼が起き上がろうとすると、隣に何かがいるような気がして、それは彼に応えるようにワンと吠えた。
「犬…?」
白い毛並みに、好奇心旺盛な目。
それでいて、筋肉質な身体は、
彼には見覚えがあった。
家で飼っていた犬だ。
でも、数年前に死んだはず。
「どうしてここに…?」
犬は答えようとせず、黙って彼を誘導するように進んだ。
少年がしばらく犬についていくと、
開けた土地に出て、そこには、
凍死体となって発見されたはずの親が見えるようだった。
「母さん、父さん…!どこにいたんだよ!」
だが、手を握ろうとした瞬間、犬が吠えたてた。
「お前はまだ完全に死んでいないんだ。
死者に触れたら道連れになってしまうぞ」
父が犬を嗜めながら、少年に言った。
少年は身震いした。
「でも僕は、みんなと一緒に…!」
「ダメなものはダメなんだ!理解しろ!」
父が大声を出したが、少年はかまわず手を握った。
一瞬体が浮いたように思えた。

彼は、家族と一緒にいることを選んだ。
若き彼は、自ら進んで死者になったのだ。

――

初めまして、米と麦です。
保存ができない関係で、短くて物足りなくなってしまいましたが、感想等はどんどん送ってください!
よろしくお願いします。
米と麦さん(選択なし・11さい)からの相談
とうこう日:2020年8月17日みんなの答え:0件

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