黄昏と紅葉
私の名前は、紅葉(もみじ)。
私は、この紅葉街を護る鬼だ。
私は、木葉大紅葉(このはおおもみじ)の、枝に座り、街を見下ろしていた。
「最近は、闇が少ないな。」
闇というのは、黒い物体で、街の平和を脅かすものだ。
そして、今年は、その数が、少なくなってきているのだ。
無論、それはいい事なのだが、この街を護る鬼としては、放って置けない。
そんな事を考えていると、下から声が聞こえてきた。
「今日も闇は、いないんどすか?」
この声は、宮司様だ。
「はい。いないんです。」
「それは、不思議どすなぁ。」
宮司様も、この事は気にしているそうだ。
「そろそろ、私(あて)は、失礼致しんす。」
そう言って、宮司様は、紅月神社の、本殿に入っていった。
「一応、見回りに行こう。」
見回りとは、そのままの意味で、街が安全か見に行く事だ。
私は、大木を蹴り、見回りに向かった。
「おやおや、紅葉ちゃん。いつも、見回りありがとねぇ。」
「いやいや、それが仕事ですから。」
「そんな事言わないで、ほら、これ持っていっておくれ。」
「えっ?!こ、こんなのいいですよ。いつも貰ってますし。」
「ほらほら、持ってき。」
弥生(やよい)さんに、また、焼き芋を貰ってしまった。
私が、そう思い、見回りを、再開しようとした時、後ろから、
「あ、お〜い。紅葉ちゃん。キミ宛ての手紙が来ているよ。」
「え?今行きます。」
「誰からか分からなかったかったから、届けようか迷ったんだよ。」
「そうなんですか。」
確かに、送り主の名前が書かれていない。
汚くなった、封筒を開くと、簡潔な文章が書いてあった。
『霜に気を付けろ。』
「どういう意味だろうねぇ。」
「はい。分かんないですね。」
「あ、長話しすぎちゃったね。見回り、行ってらっしゃい。」
「はい。行ってきます。」
私は、封筒をポケットにしまい、人手の少ない、恨鋼街(はんこうがい)に向かった。
「やっぱりいないなぁ。」
恨鋼街にもいないなんてあり得ない。
私が帰ろうとした時、後ろから声が聞こえてきた。
「お前が紅葉か。」
振り返ると、雪を纏った男がいた。
男からは、闇の気配がした。
私は、手から、大幣を出現させ、男に突進した。
「お前は、変わらないな。」
男が呟いた時、私は懐に入った。
その刹那、私は心臓を貫かれた。
「な、何で?」
そう呟いて、上を見上げた時、彼には、見覚えがあった。
「キミは生き返りたい?」
「だ、誰!?」
「僕は悠(ゆう)だよ。」
悠という少年は、狐の面を被っていた。
「で、キミは生き返りたい?」
「どういう事?」
「あれはね、キミのお兄ちゃんだよ。」
「は?私にお兄ちゃんなんていないし。もしそうだとしても、何で私を殺したの?」
「あはは。それは、キミが鬼になったから。闇になってまでもキミを助けた。流石だね。」
「けど、そんな記憶なんてないよ?」
「じゃあ、見せてあげる。」
「ねぇ、お兄ちゃん。この本読んで〜。」
「うん。いいよ。」
これは...いつの記憶?少しだけ覚えがある。
「このお姫様、綺麗!」
「そうだね。これも綺麗だけど、紅葉も...月も綺麗だね。」
「何か言った?お兄ちゃん?」
「ううん。何も言ってないよ。」
私は全てを思い出した。
「思い出した?」
「うん。」
「じゃあ、それを踏まえて、キミは...生き返りたい?」
「お前が紅葉か。」
「うん。そうだよ。」
男は、少し不思議な顔をした。
反応がおかしいと思ったのだろう。
私は、手から大幣を出現させ、男に向かって突進した。
そして、懐に入った時、私は呟いた。
「ありがとう。お兄ちゃん。」
黄昏と共に、紅葉模様の浴衣を着た鬼は堕ちていった。 かきのみさん(神奈川・10さい)からの相談
とうこう日:2020年8月17日みんなの答え:2件
私は、この紅葉街を護る鬼だ。
私は、木葉大紅葉(このはおおもみじ)の、枝に座り、街を見下ろしていた。
「最近は、闇が少ないな。」
闇というのは、黒い物体で、街の平和を脅かすものだ。
そして、今年は、その数が、少なくなってきているのだ。
無論、それはいい事なのだが、この街を護る鬼としては、放って置けない。
そんな事を考えていると、下から声が聞こえてきた。
「今日も闇は、いないんどすか?」
この声は、宮司様だ。
「はい。いないんです。」
「それは、不思議どすなぁ。」
宮司様も、この事は気にしているそうだ。
「そろそろ、私(あて)は、失礼致しんす。」
そう言って、宮司様は、紅月神社の、本殿に入っていった。
「一応、見回りに行こう。」
見回りとは、そのままの意味で、街が安全か見に行く事だ。
私は、大木を蹴り、見回りに向かった。
「おやおや、紅葉ちゃん。いつも、見回りありがとねぇ。」
「いやいや、それが仕事ですから。」
「そんな事言わないで、ほら、これ持っていっておくれ。」
「えっ?!こ、こんなのいいですよ。いつも貰ってますし。」
「ほらほら、持ってき。」
弥生(やよい)さんに、また、焼き芋を貰ってしまった。
私が、そう思い、見回りを、再開しようとした時、後ろから、
「あ、お〜い。紅葉ちゃん。キミ宛ての手紙が来ているよ。」
「え?今行きます。」
「誰からか分からなかったかったから、届けようか迷ったんだよ。」
「そうなんですか。」
確かに、送り主の名前が書かれていない。
汚くなった、封筒を開くと、簡潔な文章が書いてあった。
『霜に気を付けろ。』
「どういう意味だろうねぇ。」
「はい。分かんないですね。」
「あ、長話しすぎちゃったね。見回り、行ってらっしゃい。」
「はい。行ってきます。」
私は、封筒をポケットにしまい、人手の少ない、恨鋼街(はんこうがい)に向かった。
「やっぱりいないなぁ。」
恨鋼街にもいないなんてあり得ない。
私が帰ろうとした時、後ろから声が聞こえてきた。
「お前が紅葉か。」
振り返ると、雪を纏った男がいた。
男からは、闇の気配がした。
私は、手から、大幣を出現させ、男に突進した。
「お前は、変わらないな。」
男が呟いた時、私は懐に入った。
その刹那、私は心臓を貫かれた。
「な、何で?」
そう呟いて、上を見上げた時、彼には、見覚えがあった。
「キミは生き返りたい?」
「だ、誰!?」
「僕は悠(ゆう)だよ。」
悠という少年は、狐の面を被っていた。
「で、キミは生き返りたい?」
「どういう事?」
「あれはね、キミのお兄ちゃんだよ。」
「は?私にお兄ちゃんなんていないし。もしそうだとしても、何で私を殺したの?」
「あはは。それは、キミが鬼になったから。闇になってまでもキミを助けた。流石だね。」
「けど、そんな記憶なんてないよ?」
「じゃあ、見せてあげる。」
「ねぇ、お兄ちゃん。この本読んで〜。」
「うん。いいよ。」
これは...いつの記憶?少しだけ覚えがある。
「このお姫様、綺麗!」
「そうだね。これも綺麗だけど、紅葉も...月も綺麗だね。」
「何か言った?お兄ちゃん?」
「ううん。何も言ってないよ。」
私は全てを思い出した。
「思い出した?」
「うん。」
「じゃあ、それを踏まえて、キミは...生き返りたい?」
「お前が紅葉か。」
「うん。そうだよ。」
男は、少し不思議な顔をした。
反応がおかしいと思ったのだろう。
私は、手から大幣を出現させ、男に向かって突進した。
そして、懐に入った時、私は呟いた。
「ありがとう。お兄ちゃん。」
黄昏と共に、紅葉模様の浴衣を着た鬼は堕ちていった。 かきのみさん(神奈川・10さい)からの相談
とうこう日:2020年8月17日みんなの答え:2件
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すごい! あーやです^^*
10歳でこれかけるってスゴすぎない!?
その発想力が羨ましい・・・
今後に期待!
また書いてください! あーやさん(東京・13さい)からの答え
とうこう日:2020年8月19日 -
! 10歳という年齢でこのクオリティは凄いです。はんこうがいって何だ…初めて聞きました。
私の無知さが分かります(笑)
丁寧な描写なので想像しやすいですし、おまけに様々な言葉を知っている。小説家向きだと思います。
小説家を目指しているのなら応援します。! 椎名さん(香川・12さい)からの答え
とうこう日:2020年8月18日
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