始めから私たちは、対等じゃない
「好きです」
「じゃあ付き合おっか」
「良いんですか?」
「好きになれなかったら、1ヶ月くらいで別れてもらうかもだけど」
「それでも良いです!」
そうやって付き合ってもらったのが、3ヶ月前の文化祭。
いまだに私は、彼に好きだと言われていない。
付き合って1ヶ月たった頃に、いつ別れを切り出されるかビクビクしていたが、そんなそぶりが全くないまま2ヶ月経ち、3ヶ月経ち。
何回か、至極無難なデートをして、きちんと恋人をしてもらった。
…そろそろ、この夢物語を終わらせるべき。
私が付き合ってもらえてるのは、今、彼に好きな相手がいないから。そんなのわかってた。
一週間前に流れてきた噂。
『百井大翔に、ガチ恋の相手がいるらしい』
あ、とうとうフラれるんだな。と、頭はやけに冷静だった。
ももいはると、と彼の名前を呟く。結局私が彼のことを、大翔くんと呼ぶことはなかった。
今、私は3ヶ月前と同じように、彼を呼び出している。
文化祭のあの時でさえ、学校で1番人気の無い校舎裏に。
「舞香ちゃん、来たよー」
「百井先輩」
彼は私のことを、舞香ちゃんと呼ぶ。私は彼のことを、百井先輩と呼ぶ。
「どうかしたの?こんな懐かしいところに呼び出して〜」
相変わらずかっこいいな、と思いながら
「伝えたいことがあって」
と言う。
あの時もこう言って告白したな、と思いながら。
「なーに?」
なんて優しい目をして、首を傾げているのだろう。…私に愛情を向けていないくせに。
「私と別れてほしいです」
ただでさえぱっちりとした、彼の魅力的な瞳が、もっと大きくなる。
「え……なんで?俺なんかしたっけ?言ってくれれば直すよ?」
「いや、その…」
疲れちゃって、と嘘をつくと、パシッと手を掴まれた。
その手を見て、もう一度彼の顔に視線を戻すと、彼は眉をきゅっと寄せて、唇を噛んでいた。
なんで、そんなに悲しそうな顔をするの?あっさり別れてよ。
…期待、させないでよ。
「先輩…」
「疲れたって何」
え?と聞き返すと、彼は私の瞳を見つめて一気にまくし立てた。
「嫌だ。絶対別れない。何がダメだったのか教えてよ、もうそんなこと、しない、からっ…」
彼は涙声になっていた。
「舞香ちゃんのこと、こんなに、好きなのに…」
「え?」
待ってほしい。今好きって言った?
「え、百井先輩好きな人いるんじゃないんですか?」
「いるよ…?」
え、ですよね。
「じゃあどうして私のこと好きとか言ってるんですか?ふ、二股…?」
「は!?違う、待って。俺がそんなことする奴だと思ってんの?」
「え、自分で言ったんじゃないですか」
「はあ?え、待って。勘違いしてない?」
勘違いとはなんだろう。
「当たり前だけど、好きな人、舞香ちゃんだよ?」
「え?」
「待って」
1から説明させて、と彼が言う。
百井先輩いわく、最初は軽い気持ちで付き合ったそうだ。まぁそれは承知済みだが、その後、私と関わって行くうちに好きになったのだとか。
信じられなくて、本当ですか?と聞くと、ちょっと怒った声で
「当たり前でしょ?」
と言われた。
「それで、舞香ちゃんがなんで俺と別れたいのか、説明してくれる?」
「あ、えっと…」
お情けで付き合ってもらってると思っていたこと。
好きと言われないから、別に愛は無いのだと思っていたこと。
そろそろ別れてほしいと言われてしまうと思っていたこと。
今まで思っていたことを話した。
「なんでそろそろ別れる!って思ったわけ?」
と聞かれる。あ、それも言わなきゃ。
「百井先輩に本命の好きな人ができたって聞いて…」
「は!?それお前だから!ってか友達に言いふらされたってことじゃん!!」
もー、あいつ!と言ってプンスカ怒っている彼に、聞いてみる。
「あの、じゃあ私はまだ、百井先輩に付き合ってもらえるんですか…?」
「もう…まだ、じゃなくてずっと付き合うの」
それに、と先輩が続ける。
「俺とお前は対等。付き合ってあげてるなんて、思ってないから。」
少しだけ、自分の目が開くのがわかる。
年齢も、好きの大きさも。何もかも対等じゃなかった私達を、一言で対等にしてしまう先輩。
そんな先輩がとても好きだと、改めて思った。
少し感慨深くなって、彼の身体を抱きしめると
「え!?急に何!可愛い!」
と言われる。
「対等だそうなので…あ、甘えてみようかと」
駄目ですか?と続けて、必殺、上目遣い。
彼が少しビックリしている。
「もー…いっぱい甘やかすから覚悟してよね」
そう笑った彼の腕が背中に回って来るのを、とても嬉しく思った。 END
とても長いですが、読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです。
感想やアドバイス、お待ちしています。喜んで読みます! 美桜さん(長野・14さい)からの相談
とうこう日:2020年8月21日みんなの答え:24件
「じゃあ付き合おっか」
「良いんですか?」
「好きになれなかったら、1ヶ月くらいで別れてもらうかもだけど」
「それでも良いです!」
そうやって付き合ってもらったのが、3ヶ月前の文化祭。
いまだに私は、彼に好きだと言われていない。
付き合って1ヶ月たった頃に、いつ別れを切り出されるかビクビクしていたが、そんなそぶりが全くないまま2ヶ月経ち、3ヶ月経ち。
何回か、至極無難なデートをして、きちんと恋人をしてもらった。
…そろそろ、この夢物語を終わらせるべき。
私が付き合ってもらえてるのは、今、彼に好きな相手がいないから。そんなのわかってた。
一週間前に流れてきた噂。
『百井大翔に、ガチ恋の相手がいるらしい』
あ、とうとうフラれるんだな。と、頭はやけに冷静だった。
ももいはると、と彼の名前を呟く。結局私が彼のことを、大翔くんと呼ぶことはなかった。
今、私は3ヶ月前と同じように、彼を呼び出している。
文化祭のあの時でさえ、学校で1番人気の無い校舎裏に。
「舞香ちゃん、来たよー」
「百井先輩」
彼は私のことを、舞香ちゃんと呼ぶ。私は彼のことを、百井先輩と呼ぶ。
「どうかしたの?こんな懐かしいところに呼び出して〜」
相変わらずかっこいいな、と思いながら
「伝えたいことがあって」
と言う。
あの時もこう言って告白したな、と思いながら。
「なーに?」
なんて優しい目をして、首を傾げているのだろう。…私に愛情を向けていないくせに。
「私と別れてほしいです」
ただでさえぱっちりとした、彼の魅力的な瞳が、もっと大きくなる。
「え……なんで?俺なんかしたっけ?言ってくれれば直すよ?」
「いや、その…」
疲れちゃって、と嘘をつくと、パシッと手を掴まれた。
その手を見て、もう一度彼の顔に視線を戻すと、彼は眉をきゅっと寄せて、唇を噛んでいた。
なんで、そんなに悲しそうな顔をするの?あっさり別れてよ。
…期待、させないでよ。
「先輩…」
「疲れたって何」
え?と聞き返すと、彼は私の瞳を見つめて一気にまくし立てた。
「嫌だ。絶対別れない。何がダメだったのか教えてよ、もうそんなこと、しない、からっ…」
彼は涙声になっていた。
「舞香ちゃんのこと、こんなに、好きなのに…」
「え?」
待ってほしい。今好きって言った?
「え、百井先輩好きな人いるんじゃないんですか?」
「いるよ…?」
え、ですよね。
「じゃあどうして私のこと好きとか言ってるんですか?ふ、二股…?」
「は!?違う、待って。俺がそんなことする奴だと思ってんの?」
「え、自分で言ったんじゃないですか」
「はあ?え、待って。勘違いしてない?」
勘違いとはなんだろう。
「当たり前だけど、好きな人、舞香ちゃんだよ?」
「え?」
「待って」
1から説明させて、と彼が言う。
百井先輩いわく、最初は軽い気持ちで付き合ったそうだ。まぁそれは承知済みだが、その後、私と関わって行くうちに好きになったのだとか。
信じられなくて、本当ですか?と聞くと、ちょっと怒った声で
「当たり前でしょ?」
と言われた。
「それで、舞香ちゃんがなんで俺と別れたいのか、説明してくれる?」
「あ、えっと…」
お情けで付き合ってもらってると思っていたこと。
好きと言われないから、別に愛は無いのだと思っていたこと。
そろそろ別れてほしいと言われてしまうと思っていたこと。
今まで思っていたことを話した。
「なんでそろそろ別れる!って思ったわけ?」
と聞かれる。あ、それも言わなきゃ。
「百井先輩に本命の好きな人ができたって聞いて…」
「は!?それお前だから!ってか友達に言いふらされたってことじゃん!!」
もー、あいつ!と言ってプンスカ怒っている彼に、聞いてみる。
「あの、じゃあ私はまだ、百井先輩に付き合ってもらえるんですか…?」
「もう…まだ、じゃなくてずっと付き合うの」
それに、と先輩が続ける。
「俺とお前は対等。付き合ってあげてるなんて、思ってないから。」
少しだけ、自分の目が開くのがわかる。
年齢も、好きの大きさも。何もかも対等じゃなかった私達を、一言で対等にしてしまう先輩。
そんな先輩がとても好きだと、改めて思った。
少し感慨深くなって、彼の身体を抱きしめると
「え!?急に何!可愛い!」
と言われる。
「対等だそうなので…あ、甘えてみようかと」
駄目ですか?と続けて、必殺、上目遣い。
彼が少しビックリしている。
「もー…いっぱい甘やかすから覚悟してよね」
そう笑った彼の腕が背中に回って来るのを、とても嬉しく思った。 END
とても長いですが、読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです。
感想やアドバイス、お待ちしています。喜んで読みます! 美桜さん(長野・14さい)からの相談
とうこう日:2020年8月21日みんなの答え:24件
24件中 21 〜 24件を表示
-
無題 めっちゃ、キュンキュンしました!
こんなに素晴らしい短編小説初めてです(・ω・)ホントニ
次回楽しみに待ってます! 陽依さん(石川・12さい)からの答え
とうこう日:2020年8月22日 -
良かったです!!! 年下から失礼します。
美桜さんの小説を読むのは初めてですが、構成もしっかりしていて、なおかつキュンキュンするようなところがたくさんあって、思わずニヤけてしまいました。
私が読んだ恋愛小説のなかでダントツ1位です!!!
次の話も楽しみにしています! ララナさん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2020年8月22日 -
きゃーーーー!! やばい。やばい。うん。やばい。
胸キュンがとまらんのじゃー!!
いつも良い小説だけど今日の小説
とことん胸にくる…キュンキュン
やばい。最高だ。幸せだ。流石。
美桜ちゃん最高!!!マジマジ!
恋愛系の小説で美桜ちゃんのかく
小説だぁーいすき!(←きもいね) みおりぬ☆さん(選択なし・14さい)からの答え
とうこう日:2020年8月22日 -
美桜さん! 美桜さんの小説大好き大好き大好き大好き大好き大好き
キュンキュンしました
毎日よんでます
赤味噌さん(愛知・11さい)からの答え
とうこう日:2020年8月22日
24件中 21 〜 24件を表示

-
- 【「相談する」「相談に答える(回答する)」ときのルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。

-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。 - すでに回答された内容を、ほぼそのままコピーして自分の回答として投稿されることが増えています。このような投稿はやめてください。またそのような投稿は今後公開しません。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの

- カテゴリごとの新着相談
-
-
- 年末年始、何してすごす?12月12日
-
- どうしても周りの子と比べてしまう01月09日
-
- 英語つらすぎ01月10日
-
- 困ってます 返信お願いします01月10日
-
- 親って皆そうなんですか?01月09日
-
- 勉強について01月10日
-
- 髪を綺麗にする方法!01月10日
-
- これって…01月09日
-
- イラストの描き方教えてください!01月09日
-
- プロセカを語ろう!01月09日
-
- みんな推しっている?01月10日
-
- どうすればいい…?01月10日
-
- はだ黒い…どうすればいい?!01月10日
-
- 好きな歌手は?01月10日
-
- Mrs.GREEN APPLEが好きな人集まれ!01月10日
-
- あの場所で 〜笑顔と感動の物語〜09月30日
-
- チェーン店(外食)好きな人集合!01月10日
-


いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する

・>>地元の相談窓口を探す

18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。










