決して終わることの無い物語を(微ホラー?)
「これはどう言うことよ!?なんで花奈(かな)が死んでいるの!!説明して頂戴ネバー!ネバー・エンド.....!!」
暑い日差しが照りつける夏の日。伊緒(いお)は地面にへたり込み、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔でそう叫ぶと、荒々しく拳を地面に叩きつけた。舞い上がる土埃にケホッとひとつ咳払いをして、伊緒は再度目の前の光景に目をやった。
俯いて力なく倒れる細い体。呼吸はしていない。
ただの死体に成り果てた元花奈はもう既に冷たくなっており、そんなおぞましい光景に伊緒は顔を青白く染め手で口を抑えた。胃液が戻ってくる感覚がして、気持ち悪そうにうぇっと嘔吐く。
伊緒は目に涙を貯めながら、今も尚不敵な笑みを浮かべるピエロの仮面を身につけた、ネバーと呼ばれる少年をキッと睨みつけた。
「言っただろう?願いを叶えるには必ず代償が必要となるって」
「おかしいわ!だって私はこの子を、花奈を助けるために虐待していた両親をどうにかするよう願ったのに、花奈が死んだら意味が無いじゃない!!」
目を見開き涙を流しながら必死に訴える伊緒に、ネバーはふよふよと宙を浮きながらはぁと深くため息をついた。
「あのね、伊緒。人殺しって伊緒が思ってる以上に大きな代償が必要となるんだよ。しかも2人も。そりゃ花奈の命が代償になっても不思議な話じゃないよね?」
「ま、まさか、花奈の両親を殺したの......?」
「伊緒がどうにかしろって言ったんだろう?」
ネバーは特段気にする様子もなく面倒くさそうに言って見せれば、伊緒はがくがくと震えだしネバーから距離を取った。ネバーはなんだい?何を脅えてるのさ、と手を挙げ近づくも伊緒は来ないで!と狂ったように叫び続けるだけだった。
「ち、違う!私は何もこ、殺して欲しいだなんて、そんなっ、嘘!!」
「嘘じゃないよ!もう、疑うなんて酷いな!!」
ネバー空気を読まずにプクっと可愛らしく頬をふくらませ、茶色の猫っ毛を揺らして腕を組んだ。意地悪に照らす太陽の光が伊緒の黒髪を包み込む。
蝉がうるさい。暑くてまともに判断ができない。
伊緒は数秒黙り込むと何を血迷ったのか、ヒューヒューと音を鳴らし浅く呼吸をする喉に手をかけた。
「何をするんだい?」
「こんなの無理よ、耐えられっこない!花奈のいない世界なんて、私が人殺しになった世界なんて!!このまま死んだ方がましよ!」
「やめときなよ。今死んでも伊緒の魂はここに縛られて地縛霊になるよ」
「な、なんでよ」
「伊緒、君にはまだ未練がある。花奈を救いたいっていう思いが強すぎるんだよ。だからね、今死んでも君はここに縛られたままさ」
ネバーの言葉を聞くなり、伊緒は力が抜けたかのようにへなりと手を下ろした。
それじゃあどうしたらいいって言うの?このままこんな世界で生き続けろとでも?拷問だわ、そんなの......。
ぐるぐるとそんな思考が伊緒の頭に流れる。何をしたら救われるのか。何をしたら全てをなかったことにできるのか。途方もないことをただひたすらに考えることで、伊緒は何とか必死に自我を保てていた。呼吸はどんどん浅くなっていき、次第に頭もぼーっとし始めた。
「救いたいかい?自分と、それから花奈を!」
そんな絶望の縁を這っていた時、突如としてその提案は持ちかけられた。
「......で、できるの?だってネバーはお願いは1つだけって!!」
「本当はそうなんだけど、いひひ!なんか面白いことになりそうだからさ!」
ネバーはいたずらっ子のように笑うとしゃがみこむ伊緒に手を伸ばした。もうどうにもならないと決めつけていたけれど。最後の救いに伊緒は必死の剣幕でネバーの手に飛びついた。
「お、お願い、救ってちょうだい!」
「にひひ!伊緒の願い、このネバー・エンド様が引き受けたよ!」
藁にもすがる思いで叫ぶ伊緒にネバーは満面の笑みを見せるとふよふよと高く浮き始め、地面から約10m程の高さまで飛ぶと、今度は指をパチンと鳴らして何かブツブツと唱え始めた。
「This is a never ending story.
さぁ、伊緒を過去に戻したまえ!代償は僕と出会ったあとの記憶!全てを無かったことに!!」
ネバーが両手を広げそう叫んだ途端、伊緒を眩い光が包み込んだ。暖かくて優しい感覚。
そう、これは、なんだか眠くなってしまうような。あぁ、そうだわ。寝なくちゃ。寝て全てを忘れて。夢だったことにして......。
伊緒はぼんやりする頭を隅に置き、襲い来る眠気に抗うことなくまぶたを閉じた。閉じかかるまぶたの間から最後に見たのは、不敵に笑うピエロの仮面だった。
「やぁやぁ、初めまして!僕はネバー・エンド!君の願いを叶えに来た魔法使いさ!」
仮面をつけた少年はそう言うと、いひひ!といたずらっ子のように笑った。
なひゆさん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年8月22日みんなの答え:2件
暑い日差しが照りつける夏の日。伊緒(いお)は地面にへたり込み、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔でそう叫ぶと、荒々しく拳を地面に叩きつけた。舞い上がる土埃にケホッとひとつ咳払いをして、伊緒は再度目の前の光景に目をやった。
俯いて力なく倒れる細い体。呼吸はしていない。
ただの死体に成り果てた元花奈はもう既に冷たくなっており、そんなおぞましい光景に伊緒は顔を青白く染め手で口を抑えた。胃液が戻ってくる感覚がして、気持ち悪そうにうぇっと嘔吐く。
伊緒は目に涙を貯めながら、今も尚不敵な笑みを浮かべるピエロの仮面を身につけた、ネバーと呼ばれる少年をキッと睨みつけた。
「言っただろう?願いを叶えるには必ず代償が必要となるって」
「おかしいわ!だって私はこの子を、花奈を助けるために虐待していた両親をどうにかするよう願ったのに、花奈が死んだら意味が無いじゃない!!」
目を見開き涙を流しながら必死に訴える伊緒に、ネバーはふよふよと宙を浮きながらはぁと深くため息をついた。
「あのね、伊緒。人殺しって伊緒が思ってる以上に大きな代償が必要となるんだよ。しかも2人も。そりゃ花奈の命が代償になっても不思議な話じゃないよね?」
「ま、まさか、花奈の両親を殺したの......?」
「伊緒がどうにかしろって言ったんだろう?」
ネバーは特段気にする様子もなく面倒くさそうに言って見せれば、伊緒はがくがくと震えだしネバーから距離を取った。ネバーはなんだい?何を脅えてるのさ、と手を挙げ近づくも伊緒は来ないで!と狂ったように叫び続けるだけだった。
「ち、違う!私は何もこ、殺して欲しいだなんて、そんなっ、嘘!!」
「嘘じゃないよ!もう、疑うなんて酷いな!!」
ネバー空気を読まずにプクっと可愛らしく頬をふくらませ、茶色の猫っ毛を揺らして腕を組んだ。意地悪に照らす太陽の光が伊緒の黒髪を包み込む。
蝉がうるさい。暑くてまともに判断ができない。
伊緒は数秒黙り込むと何を血迷ったのか、ヒューヒューと音を鳴らし浅く呼吸をする喉に手をかけた。
「何をするんだい?」
「こんなの無理よ、耐えられっこない!花奈のいない世界なんて、私が人殺しになった世界なんて!!このまま死んだ方がましよ!」
「やめときなよ。今死んでも伊緒の魂はここに縛られて地縛霊になるよ」
「な、なんでよ」
「伊緒、君にはまだ未練がある。花奈を救いたいっていう思いが強すぎるんだよ。だからね、今死んでも君はここに縛られたままさ」
ネバーの言葉を聞くなり、伊緒は力が抜けたかのようにへなりと手を下ろした。
それじゃあどうしたらいいって言うの?このままこんな世界で生き続けろとでも?拷問だわ、そんなの......。
ぐるぐるとそんな思考が伊緒の頭に流れる。何をしたら救われるのか。何をしたら全てをなかったことにできるのか。途方もないことをただひたすらに考えることで、伊緒は何とか必死に自我を保てていた。呼吸はどんどん浅くなっていき、次第に頭もぼーっとし始めた。
「救いたいかい?自分と、それから花奈を!」
そんな絶望の縁を這っていた時、突如としてその提案は持ちかけられた。
「......で、できるの?だってネバーはお願いは1つだけって!!」
「本当はそうなんだけど、いひひ!なんか面白いことになりそうだからさ!」
ネバーはいたずらっ子のように笑うとしゃがみこむ伊緒に手を伸ばした。もうどうにもならないと決めつけていたけれど。最後の救いに伊緒は必死の剣幕でネバーの手に飛びついた。
「お、お願い、救ってちょうだい!」
「にひひ!伊緒の願い、このネバー・エンド様が引き受けたよ!」
藁にもすがる思いで叫ぶ伊緒にネバーは満面の笑みを見せるとふよふよと高く浮き始め、地面から約10m程の高さまで飛ぶと、今度は指をパチンと鳴らして何かブツブツと唱え始めた。
「This is a never ending story.
さぁ、伊緒を過去に戻したまえ!代償は僕と出会ったあとの記憶!全てを無かったことに!!」
ネバーが両手を広げそう叫んだ途端、伊緒を眩い光が包み込んだ。暖かくて優しい感覚。
そう、これは、なんだか眠くなってしまうような。あぁ、そうだわ。寝なくちゃ。寝て全てを忘れて。夢だったことにして......。
伊緒はぼんやりする頭を隅に置き、襲い来る眠気に抗うことなくまぶたを閉じた。閉じかかるまぶたの間から最後に見たのは、不敵に笑うピエロの仮面だった。
「やぁやぁ、初めまして!僕はネバー・エンド!君の願いを叶えに来た魔法使いさ!」
仮面をつけた少年はそう言うと、いひひ!といたずらっ子のように笑った。
なひゆさん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年8月22日みんなの答え:2件
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おおお!?神作キター(゚∀゚)ー! 描写綺麗!マジ素敵!イメージは某アニメかな?ストーリーも深いし、神作じゃん!応援してるー! 雨傘アスタリスクさん(千葉・14さい)からの答え
とうこう日:2020年8月23日 -
すごいです……! 私はホラーが大好きで、(お化け屋敷は無理です)よく小説や漫画を読むのですが、同じくらい(それ以上)面白くてびっくりしました!
背筋がこおりました……こうゆう話大好きです。
ネバー怖かったです。伊緒はまた同じことを……?
小説家になれると思います。それくらい面白かったです( ・ ▽ ・)b
また読ませてください。 メロンさん(愛知・13さい)からの答え
とうこう日:2020年8月23日
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