味のするフレンチトーストを食べたい。
味のしない夕食を食べ、何が面白いのかわからないバラエティ番組を見る。
疲れてもいないのに、ベットに横たわり、目をつぶる。
「今日、何かあったっけ?」
なにも無い。いつも通りの1日だ。喜びも、スリルも無い。
そして、私は一瞬で眠りに落ちた。
目が覚める。私は腰を上げ、洗面所に向かう。
鏡を見る。はっきり言って、私は完璧だ。美人だし、スタイルも抜群。
その気になればどこの大学にでも入れるくらいの頭脳の持ち主だ。
そんな私は、今まで私は何人もの男に告白された。
でも、私は告白を全て断った。何故なら、私が人を好きになることなんて絶対に無いのだから。
私は自分が嫌いだ。完璧な自分が。つまらない自分が。
私なんて死んでしまえばいいのに。
何度そんなことを思っただろうか。
しかし、私は死なない。死ねない。
心は死んでいるのに、体が死んでくれない。
その絶望感が、私をさらに苦しめる。
カレンダーを見る。
6月10日。
確か、10年目の今日だった。私が、私でないことに気付いてしまったのは。
10年前、私はある博士と暮らしていた。彼は頭がよかった。特に、機械に関しては私以上の知識を持っていた。
その時の私は幸せだった。ベットから起き、心地の良い朝日を浴びて、冷たい水で顔を洗う。
そのまま何も知らないままでいられたら、どれほど良かっただろう。
いつもの様に、彼の作ったフレンチトーストを、彼と一緒に食べる。
私には味覚なんて無いはずなのに、彼の作るフレンチトーストだけは甘い、甘い味がした。
6月10日。
今日もいつも通りの1日。でもその時は、それで良かった。それが良かった。
その時はいつも通りの1日が、ずっと続けばいいのにと思えた。
でも、彼はそれを壊した。
いつもの様に、彼とフレンチトーストを食べる。
でも、彼の顔はいつもとは違った。彼は私を見つめて、何とも言えない顔をする。
「どうしたの?」
私は聞いた。
「...」
暫くの沈黙の後、彼は私に言った。
「あのさ...大事な話があるんだ。」
私は持っていたナイフとフォークを置いた。
「大事な話って?」
「ちょっと手を出してくれる?」
私は言われた通りに机の上に手を差し出した。
その瞬間、彼は私の手をナイフで刺した。
「痛っ!」
思わず言ってしまったが、痛みは感じない。
それどころか、私の手からは血すら出ていなかった。
その代わりに、私の手の、ナイフを突き刺された所で、鉄の様な何かが剥き出しになっている。
「ねぇ...これ何?」
私は困惑の目で彼を見つめる。
そして、彼はゆっくりと口を開けた。
「君は...」
「君は?」
「君は、ロボットなんだ。」
私の中で、何かが爆発した。
「君は僕が造った、人型ロボットなんだ。信じられないかもしれな...」
「ドンッ!」
彼の言葉を遮って、私は逃げた。泣きながら、怒りながら、答えを探しながら。
彼は追いかけてはこなかった。何故だろう。
やがて、私はここに辿り着いた。
そして、私は今もここで暮らしている。
”普通の人”を演じながら、感覚のない、つまらない日々を送っている。
左手のボディが剥き出しになった部分を見ると、彼のことを思い出す。
また、彼の作った甘いフレンチトーストを食べたい。
それに、彼の元へ行けば、私に感覚をくれるかもしれない。
けれど、私には彼の元へ帰る勇気なんて無い。
私はいつもの様に味のしない朝食を食べる。
いつもの様に、いつもの様に。
変わらない日々を、私は永遠に繰り返す。
________________________________________
どうもotoufuです。ちょっと長めでしたが、最後まで読んでくれてありがとうございます。感想、アドバイス待ってます。
ちなみに、主人公が自分がロボットだと告げられた6月10日は、語呂合わせでロボットの日だそうです。 otoufuさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2020年8月23日みんなの答え:2件
疲れてもいないのに、ベットに横たわり、目をつぶる。
「今日、何かあったっけ?」
なにも無い。いつも通りの1日だ。喜びも、スリルも無い。
そして、私は一瞬で眠りに落ちた。
目が覚める。私は腰を上げ、洗面所に向かう。
鏡を見る。はっきり言って、私は完璧だ。美人だし、スタイルも抜群。
その気になればどこの大学にでも入れるくらいの頭脳の持ち主だ。
そんな私は、今まで私は何人もの男に告白された。
でも、私は告白を全て断った。何故なら、私が人を好きになることなんて絶対に無いのだから。
私は自分が嫌いだ。完璧な自分が。つまらない自分が。
私なんて死んでしまえばいいのに。
何度そんなことを思っただろうか。
しかし、私は死なない。死ねない。
心は死んでいるのに、体が死んでくれない。
その絶望感が、私をさらに苦しめる。
カレンダーを見る。
6月10日。
確か、10年目の今日だった。私が、私でないことに気付いてしまったのは。
10年前、私はある博士と暮らしていた。彼は頭がよかった。特に、機械に関しては私以上の知識を持っていた。
その時の私は幸せだった。ベットから起き、心地の良い朝日を浴びて、冷たい水で顔を洗う。
そのまま何も知らないままでいられたら、どれほど良かっただろう。
いつもの様に、彼の作ったフレンチトーストを、彼と一緒に食べる。
私には味覚なんて無いはずなのに、彼の作るフレンチトーストだけは甘い、甘い味がした。
6月10日。
今日もいつも通りの1日。でもその時は、それで良かった。それが良かった。
その時はいつも通りの1日が、ずっと続けばいいのにと思えた。
でも、彼はそれを壊した。
いつもの様に、彼とフレンチトーストを食べる。
でも、彼の顔はいつもとは違った。彼は私を見つめて、何とも言えない顔をする。
「どうしたの?」
私は聞いた。
「...」
暫くの沈黙の後、彼は私に言った。
「あのさ...大事な話があるんだ。」
私は持っていたナイフとフォークを置いた。
「大事な話って?」
「ちょっと手を出してくれる?」
私は言われた通りに机の上に手を差し出した。
その瞬間、彼は私の手をナイフで刺した。
「痛っ!」
思わず言ってしまったが、痛みは感じない。
それどころか、私の手からは血すら出ていなかった。
その代わりに、私の手の、ナイフを突き刺された所で、鉄の様な何かが剥き出しになっている。
「ねぇ...これ何?」
私は困惑の目で彼を見つめる。
そして、彼はゆっくりと口を開けた。
「君は...」
「君は?」
「君は、ロボットなんだ。」
私の中で、何かが爆発した。
「君は僕が造った、人型ロボットなんだ。信じられないかもしれな...」
「ドンッ!」
彼の言葉を遮って、私は逃げた。泣きながら、怒りながら、答えを探しながら。
彼は追いかけてはこなかった。何故だろう。
やがて、私はここに辿り着いた。
そして、私は今もここで暮らしている。
”普通の人”を演じながら、感覚のない、つまらない日々を送っている。
左手のボディが剥き出しになった部分を見ると、彼のことを思い出す。
また、彼の作った甘いフレンチトーストを食べたい。
それに、彼の元へ行けば、私に感覚をくれるかもしれない。
けれど、私には彼の元へ帰る勇気なんて無い。
私はいつもの様に味のしない朝食を食べる。
いつもの様に、いつもの様に。
変わらない日々を、私は永遠に繰り返す。
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どうもotoufuです。ちょっと長めでしたが、最後まで読んでくれてありがとうございます。感想、アドバイス待ってます。
ちなみに、主人公が自分がロボットだと告げられた6月10日は、語呂合わせでロボットの日だそうです。 otoufuさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2020年8月23日みんなの答え:2件
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読みやすかったです 人間だと思って生きてたのに、ロボットだったなんてショックですよね・・・しかもちゃんと心がある。
いつか博士のところに戻れると良いですね。 *はるちゃんさん(神奈川・13さい)からの答え
とうこう日:2020年8月27日 -
凄く良いです! 最後まで、スラスラと読めました!タイトルも、ストーリーも、凄く良いと思います! 小鳥のピッピさん(静岡・12さい)からの答え
とうこう日:2020年8月24日
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