僕は君の音色を聞かない 【短編小説】
_____僕は音楽を聴かない。
_________何故かって?
_____それは、僕が…
_________________________あの日の事を思い出してしまうからだよ。
ギィ…
ああ、最悪だ。
よりにもよって合唱コンの練習時間…
長い年月が経った上手く開かない扉をこっそりと開ける。
「失礼します…。」
『あれ?確か君…暁音くんだよね。今合唱の練習しているんだ。
初めまして…だよね。僕は色塚。どうしたの?』
「あの…忘れ物を…」
『ああ!この楽譜かい?』
青色の曲集を渡される。
顔を上げると薄い紅茶色の髪が揺れ、
にこやかに笑う色塚先輩がいる。
「ありがとうございます…。」
『ねぇ、暁音くん。良かったらうちの合唱聞いていかない?』
『聞く』と言う言葉に体が震える。
心が拒絶し、体は恐怖を感じている。
「いえ…良いです…。僕、用事があるので。」
『待ってくれ!暁音くん。合唱コンクールの時期なんだ。
どんな感じか聞いて欲しいんだ…』
「辞めて下さい!
……僕、そんなに音楽が好きでは無いので。」
しんと静まり返る音楽室。
きょとんとした顔をしている後輩や先輩たち…
『そっか。ごめん…』
コツコツと床を小走りで歩き、扉へと向かう。
「失礼しました…。」
ギィ…バタン。
''この音楽を再生しますか?''
画面に文字が表示される。
イヤホンのコードを挿し、
両耳に入れる。
真上の空は青く、花色の空に、白色の雲が彩っている。
屋上のベンチに腰掛け、再生ボタンを押す。
ホントウノ〜アイナラバ〜ケッシテ〜
ワスレタリハ〜シナイワ〜
マイダーリン〜
何処かと昭和くさい雰囲気を漂わせた懐かしの歌を
思い出す。
高音質のイヤホンがより、その時代のCDのクオリティを表している。
ガラン。
『はぁ…。どうしてこんな事…』
生気のない目にボサボサの髪。
誰かと思いきや、あの日から会っていない
色塚先輩だ。
『あっ、暁音くん。やっほー…。
ちょっとさ、色々とトラブルが最近あって…
あんまり調子良くないんだ…』
嘘の笑顔に、自分の体が動き出す。
一人分スペースが出来るよう、左へ移動した。
「お隣、良かったらどうぞ…」
『ああ、ありがとう。』
『ねぇ、暁音くんはさ、音楽って聞く?』
「あまり聞きません。よく聞くのは40年代の曲ですかね…」
『そうなんだ…割と暁音くんって、渋いね〜。』
スマホをぎゅっと握りしめて言う。
「お母さんが…よく聞いていたもので…」
『そうなんだ。そういえば、暁音くんのお母さん聞いた事ないなぁ。
どんな人なの?』
体と心が拒絶している。
今にも逃げ出したい…
「母は…母は…
ごめんなさい!また用事を思い出してしまい!」
『暁音くん!?待ってくれ!』
ああ、どうして、どうして。
こんなに心が拒絶するの?
どうして体が震えるの?
お願い。
_____身の毛がよだつ理由を教えて?
茜色がさす教室に一人。
故郷チャイムが響き渡っている。
教室に一人、僕は泣いていた。
こんな自分が情けない。
人の質問にも答えられなくて、
人の誘いも受け入れられなくて。
どうしてこんなに心が掴まれた様に痛いの?
お願い。
神様、教えて。
どうしたらこの心の痛みは消えるの?
ガラッ。
『いた!暁音くん!話は聞いたよ!』
「…色塚先…輩?」
瞳と赤い髪の毛が夕焼けに照らされ、
透き通って見える。
『君さ…お母さん。
亡くしたんだろ?』
真剣な表情で見つめられる。
教室の窓から吹いてくる隙間風が色塚先輩の
髪をなびかせる。
『君のお母さんはミュージシャンだった。
だけど、ある日引退を兼ねた新曲公開のショーの最中、
心臓発作で倒れた…』
「あぁ…ああぁ…間違いない…
僕が音楽が嫌いな理由も…」
『お母さんが死んだ事…だからでしょ?』
前の机に腰掛け、優しい目で言われる。
『きっと、音楽を楽しめばお母さんも嬉しいと思うよ。』
この色塚先輩の言葉に、僕は心を動かされた。
「…ありがとうございます。色塚先輩。
これからも、もっと。音楽を聴きたいと思います!」
キィ……
音楽室の扉を開けて、微笑みながら言う。
「色塚先輩!僕、入部します!」
夕光小夏さん(東京・11さい)からの相談
とうこう日:2020年8月25日みんなの答え:1件
_____僕は音楽を聴かない。
_________何故かって?
_____それは、僕が…
_________________________あの日の事を思い出してしまうからだよ。
ギィ…
ああ、最悪だ。
よりにもよって合唱コンの練習時間…
長い年月が経った上手く開かない扉をこっそりと開ける。
「失礼します…。」
『あれ?確か君…暁音くんだよね。今合唱の練習しているんだ。
初めまして…だよね。僕は色塚。どうしたの?』
「あの…忘れ物を…」
『ああ!この楽譜かい?』
青色の曲集を渡される。
顔を上げると薄い紅茶色の髪が揺れ、
にこやかに笑う色塚先輩がいる。
「ありがとうございます…。」
『ねぇ、暁音くん。良かったらうちの合唱聞いていかない?』
『聞く』と言う言葉に体が震える。
心が拒絶し、体は恐怖を感じている。
「いえ…良いです…。僕、用事があるので。」
『待ってくれ!暁音くん。合唱コンクールの時期なんだ。
どんな感じか聞いて欲しいんだ…』
「辞めて下さい!
……僕、そんなに音楽が好きでは無いので。」
しんと静まり返る音楽室。
きょとんとした顔をしている後輩や先輩たち…
『そっか。ごめん…』
コツコツと床を小走りで歩き、扉へと向かう。
「失礼しました…。」
ギィ…バタン。
''この音楽を再生しますか?''
画面に文字が表示される。
イヤホンのコードを挿し、
両耳に入れる。
真上の空は青く、花色の空に、白色の雲が彩っている。
屋上のベンチに腰掛け、再生ボタンを押す。
ホントウノ〜アイナラバ〜ケッシテ〜
ワスレタリハ〜シナイワ〜
マイダーリン〜
何処かと昭和くさい雰囲気を漂わせた懐かしの歌を
思い出す。
高音質のイヤホンがより、その時代のCDのクオリティを表している。
ガラン。
『はぁ…。どうしてこんな事…』
生気のない目にボサボサの髪。
誰かと思いきや、あの日から会っていない
色塚先輩だ。
『あっ、暁音くん。やっほー…。
ちょっとさ、色々とトラブルが最近あって…
あんまり調子良くないんだ…』
嘘の笑顔に、自分の体が動き出す。
一人分スペースが出来るよう、左へ移動した。
「お隣、良かったらどうぞ…」
『ああ、ありがとう。』
『ねぇ、暁音くんはさ、音楽って聞く?』
「あまり聞きません。よく聞くのは40年代の曲ですかね…」
『そうなんだ…割と暁音くんって、渋いね〜。』
スマホをぎゅっと握りしめて言う。
「お母さんが…よく聞いていたもので…」
『そうなんだ。そういえば、暁音くんのお母さん聞いた事ないなぁ。
どんな人なの?』
体と心が拒絶している。
今にも逃げ出したい…
「母は…母は…
ごめんなさい!また用事を思い出してしまい!」
『暁音くん!?待ってくれ!』
ああ、どうして、どうして。
こんなに心が拒絶するの?
どうして体が震えるの?
お願い。
_____身の毛がよだつ理由を教えて?
茜色がさす教室に一人。
故郷チャイムが響き渡っている。
教室に一人、僕は泣いていた。
こんな自分が情けない。
人の質問にも答えられなくて、
人の誘いも受け入れられなくて。
どうしてこんなに心が掴まれた様に痛いの?
お願い。
神様、教えて。
どうしたらこの心の痛みは消えるの?
ガラッ。
『いた!暁音くん!話は聞いたよ!』
「…色塚先…輩?」
瞳と赤い髪の毛が夕焼けに照らされ、
透き通って見える。
『君さ…お母さん。
亡くしたんだろ?』
真剣な表情で見つめられる。
教室の窓から吹いてくる隙間風が色塚先輩の
髪をなびかせる。
『君のお母さんはミュージシャンだった。
だけど、ある日引退を兼ねた新曲公開のショーの最中、
心臓発作で倒れた…』
「あぁ…ああぁ…間違いない…
僕が音楽が嫌いな理由も…」
『お母さんが死んだ事…だからでしょ?』
前の机に腰掛け、優しい目で言われる。
『きっと、音楽を楽しめばお母さんも嬉しいと思うよ。』
この色塚先輩の言葉に、僕は心を動かされた。
「…ありがとうございます。色塚先輩。
これからも、もっと。音楽を聴きたいと思います!」
キィ……
音楽室の扉を開けて、微笑みながら言う。
「色塚先輩!僕、入部します!」
夕光小夏さん(東京・11さい)からの相談
とうこう日:2020年8月25日みんなの答え:1件
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良すぎて良き!! もっけ飴です(*´∀`*)
タイトル意味不明でスミマセン!!
話、とても良かったです☆
流れも自然で、読みやすかったですし!
尊敬します〜♪
誰かと思えば、夕光小夏さん!
前回に続き、最高です!!
次回も楽しみにしてます!
それでは〜。 もっけ飴さん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2020年8月26日
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