空から君を見守っている
その少女は、何かを叫んでいた。
『美穂、気を付けて……気を付けて……!』
美穂ってーー私の名前じゃないか。
叫んでいたのは、白いワンピースをまとった髪の長い少女。目から、宝石のような涙がこぼれ落ちている。
『美穂!』
ーーそこで、目が覚めた。
自分の部屋のベッドの上。朝日が眩しい。
「なーんだ、夢かぁ」
呟いて、布団の上で伸びをする。
……っていうか!
「遅刻じゃん!」
目覚まし時計の秒針を見た私は、頭を抱えて、ぐしゃぐしゃと髪をかき回す。
「あぁー、んもぅ!」
数分後。
「行ってきまーす!」
ドアに体当たりするみたいに外に飛び出し、ランドセルを揺らしながらアスファルトの上を駆ける。
あいにく今日は蒸し暑い。汗がだらだら垂れてくる。
ーーん?
私は、体に異変を感じて足を止めた。なんだか足がフラフラする。立っていられない。目の前がぼやけていく。
ーーまさか、熱中症?
ついに私は、倒れた。
『あーあ、朝、あんなに警告したのにさ』
気が付いたら真っ白な空間にいた。振り返ると、今朝の夢に出てきた少女が、ため息をついている。
少女は私を見て言った。
『いい、美穂。あんたは本当はこのあと、熱中症で倒れて重体になって、病院に入院する予定だったの。で、あたしがそれを変えにきた』
「だ、誰?」
おずおずと尋ねると、少女は呟いた。
『私の名前は橋野 風子……これでわかるでしょ?』
え! 私は驚いた。
「それ、私のお姉ちゃんの名前よ! 私が小さい頃に天国に行っちゃったけど。じゃあ、あなたは私の死んだお姉ちゃん……?」
少女は小さく頷いた。
『美穂に長生きして欲しかったの。だから、あなたの運命を変えにきた』
それだけ呟いて、私の肩に手を当てた。
『今からあなたの熱中症を治す。ちょっと待って』
私は肩を押さえられたまま叫んだ。
「『待って』ってこっちが『待って』よ! もうお姉ちゃんとお別れなの?」
『これ以上ここにいると、美穂は元の世界に帰れなくなるの』
淡々と告げるお姉ちゃん。しかし、いきなり優しい顔になった。静かに話し出す。
『ねえ美穂、聞いてくれる?』
「……うん」
『私、美穂のこと大好き』
お姉ちゃんは泣き出した。
『もっともっと話したい。でもこれは美穂のためなの。これ以上この世界にいたらあなたは消えてしまうから。私はあなたに長生きしてほしいから。私の分まで』
私も泣き出した。
「お姉ちゃん……」
そのとき、私の体が透明になってきた。お別れだとさとった。
「お姉ちゃん、ありがとう!」
出来るだけ大きい声で叫ぶ。後ろでお姉ちゃんも叫んでいた。
『あたし、あなたのことずっと見守ってるからね!』
次の瞬間、私は元の道路にいた。お姉ちゃんは、いない。
でもきっと、お姉ちゃんは、私を見守ってくれている。
空を見上げた。なんだかそこで、お姉ちゃんが笑っているような気がした。
久しぶりの投稿です、むぎわらぼうしです!感想よろしくお願いします。辛口なし、タメオッケーです!
むぎわらぼうしさん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2020年8月31日みんなの答え:2件
『美穂、気を付けて……気を付けて……!』
美穂ってーー私の名前じゃないか。
叫んでいたのは、白いワンピースをまとった髪の長い少女。目から、宝石のような涙がこぼれ落ちている。
『美穂!』
ーーそこで、目が覚めた。
自分の部屋のベッドの上。朝日が眩しい。
「なーんだ、夢かぁ」
呟いて、布団の上で伸びをする。
……っていうか!
「遅刻じゃん!」
目覚まし時計の秒針を見た私は、頭を抱えて、ぐしゃぐしゃと髪をかき回す。
「あぁー、んもぅ!」
数分後。
「行ってきまーす!」
ドアに体当たりするみたいに外に飛び出し、ランドセルを揺らしながらアスファルトの上を駆ける。
あいにく今日は蒸し暑い。汗がだらだら垂れてくる。
ーーん?
私は、体に異変を感じて足を止めた。なんだか足がフラフラする。立っていられない。目の前がぼやけていく。
ーーまさか、熱中症?
ついに私は、倒れた。
『あーあ、朝、あんなに警告したのにさ』
気が付いたら真っ白な空間にいた。振り返ると、今朝の夢に出てきた少女が、ため息をついている。
少女は私を見て言った。
『いい、美穂。あんたは本当はこのあと、熱中症で倒れて重体になって、病院に入院する予定だったの。で、あたしがそれを変えにきた』
「だ、誰?」
おずおずと尋ねると、少女は呟いた。
『私の名前は橋野 風子……これでわかるでしょ?』
え! 私は驚いた。
「それ、私のお姉ちゃんの名前よ! 私が小さい頃に天国に行っちゃったけど。じゃあ、あなたは私の死んだお姉ちゃん……?」
少女は小さく頷いた。
『美穂に長生きして欲しかったの。だから、あなたの運命を変えにきた』
それだけ呟いて、私の肩に手を当てた。
『今からあなたの熱中症を治す。ちょっと待って』
私は肩を押さえられたまま叫んだ。
「『待って』ってこっちが『待って』よ! もうお姉ちゃんとお別れなの?」
『これ以上ここにいると、美穂は元の世界に帰れなくなるの』
淡々と告げるお姉ちゃん。しかし、いきなり優しい顔になった。静かに話し出す。
『ねえ美穂、聞いてくれる?』
「……うん」
『私、美穂のこと大好き』
お姉ちゃんは泣き出した。
『もっともっと話したい。でもこれは美穂のためなの。これ以上この世界にいたらあなたは消えてしまうから。私はあなたに長生きしてほしいから。私の分まで』
私も泣き出した。
「お姉ちゃん……」
そのとき、私の体が透明になってきた。お別れだとさとった。
「お姉ちゃん、ありがとう!」
出来るだけ大きい声で叫ぶ。後ろでお姉ちゃんも叫んでいた。
『あたし、あなたのことずっと見守ってるからね!』
次の瞬間、私は元の道路にいた。お姉ちゃんは、いない。
でもきっと、お姉ちゃんは、私を見守ってくれている。
空を見上げた。なんだかそこで、お姉ちゃんが笑っているような気がした。
久しぶりの投稿です、むぎわらぼうしです!感想よろしくお願いします。辛口なし、タメオッケーです!
むぎわらぼうしさん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2020年8月31日みんなの答え:2件
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お姉ちゃん! こんにちは。ナスビです=(^.^)=
いやお姉ちゃん優しい!姉妹の愛ですね。
とてもいい話でした!最後のラスト感動!
それに描写がわかりやすくて読みやすかったです!
すらすら読めました!感動の作品をありがとう。 ナスビさん(神奈川・13さい)からの答え
とうこう日:2020年9月3日 -
無題 最高すぎる れいなさん(栃木・12さい)からの答え
とうこう日:2020年9月1日
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2件中 1 〜 2件を表示
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