【短編小説】 凍れる少女は感じない
「あ、『雪女』だ!」
「今日も無表情w 流石に気持ち悪くね?」
私が廊下を通ると、みんながくすくすと笑う。
雪のように冷たいからと、『雪女』だなんて心ないあだ名までつけられた。
だが、私は何も思わない。何も感じない。
私がこんな風になってしまったのは、あの出来事のせいだ……
私…宮原雪香(みやはらゆきか)が小学3年生の時だった。
私が学校から帰り道を歩いていると、後ろから不審な男がついてきた。
怖くなって私は小走りしたが、不審な男も同じペースで走ってくる。
怖い、怖い、怖い-----
後ろから追いかけてくる不審な男を見て走っていたせいで、
私は目の前で待ち伏せしていた共犯の男に気がつかなかった……。
気づくと私は、知らない部屋にいた。
私はあの男2人に誘拐されてしまったのだ。
(……怖い…)
それから、まさに地獄の日々が始まった。
泣くと怒鳴られる。
逃げようとすれば襟首を掴まれて叩かれる。
そんな恐怖体験をしていた私は、いつしか『感情』というものをなくしていた。
何をされても、何も感じなかった。
恐怖が『いつものこと』になっていたのだろう。
数ヶ月後、私は無事警察に保護され、家族のもとへ帰る事ができた。
両親は「良かった、良かった…」と泣いていたが、私は何も思わなかった。
唯一思ったといえば、
何が良かったの?何に安心したの?
という疑問だけだ。
私はあの出来事で、楽しい思いや悲しい思いを、
これから経験する事はなくなってしまったのだ。
私は私立中学を受験した。
公立中学には、私が誘拐された事を知っている人がほとんど行くだろうから。
私は、第一志望の中学校に受かった。
合格発表を見て、周りはキャーキャー喜んでいたり
涙を流していたりしていたが、やはり私は何も思わなかった。
「あ、受かった。」
それだけだ。決して「やったーーー!」などとは言わなかった。
親は、勿論喜んでいた。
だが、私が何も感じないという事に、少し心配もしていたようだ。
こうして無事私立中学に入学した私だが、無表情だという事で、いじめが始まった。
朝学校へ行き自分の机の中を見ると、
『無表情きもいんだよ』
『学校くるな クラスの雰囲気悪くなる』などと
殴り書きで書かれた紙が入っている。
お弁当を食べる時は、いつも1人。
私は常に、周りから距離を置かれていた。
だが、私は特に辛いとは思わなかった。
むしろ、こういうのには慣れている……。
ある日。私のクラスに転校生が来た。男の子だ。
「はじめまして。長谷川龍太(はせがわりゅうた)です。
これから、よろしくお願いします。」
周りはざわついていた。特に、女子が。
「イケメンやん」
「次の休み時間ちょっと話しかけてみよ〜」
私は、特に話したいとは思わない。
龍太の席は、私の反対側の席だし。
まあいいやと思い、授業を受ける。
休み時間。案の定、龍太の周りには人だかりができている。
私は静かに次の時間の準備をする。
そして、トイレに行こうと、席を立つ。
すると、誰かが話しかけてきた。
「あの!…これからよろしく」
龍太だった。私は人見知りなので、おどおどと言った。
「よ、よろしく……私、宮原雪香です…」
「雪香か!いい名前だね。また話す機会あったらよろしくな。」
龍太はそういうと、クラスメイトのもとへ戻っていった。
私は、久しぶりの感覚を覚えた。
…嬉しい…。
どうして?どうして感情が?
自然に、私は微笑んでいた。
彼の言葉が、私の心の氷を溶かしてくれた。
私には、感情が戻った。それもまた、嬉しかった。
私の感情を取り戻してくれた彼は、私の初恋の人だ。
end
読んでくださってありがとうございました!
ちょっと重い内容でしたかね^^;
感想待ってます♪ ちょこちっぷさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2020年9月6日みんなの答え:7件
「今日も無表情w 流石に気持ち悪くね?」
私が廊下を通ると、みんながくすくすと笑う。
雪のように冷たいからと、『雪女』だなんて心ないあだ名までつけられた。
だが、私は何も思わない。何も感じない。
私がこんな風になってしまったのは、あの出来事のせいだ……
私…宮原雪香(みやはらゆきか)が小学3年生の時だった。
私が学校から帰り道を歩いていると、後ろから不審な男がついてきた。
怖くなって私は小走りしたが、不審な男も同じペースで走ってくる。
怖い、怖い、怖い-----
後ろから追いかけてくる不審な男を見て走っていたせいで、
私は目の前で待ち伏せしていた共犯の男に気がつかなかった……。
気づくと私は、知らない部屋にいた。
私はあの男2人に誘拐されてしまったのだ。
(……怖い…)
それから、まさに地獄の日々が始まった。
泣くと怒鳴られる。
逃げようとすれば襟首を掴まれて叩かれる。
そんな恐怖体験をしていた私は、いつしか『感情』というものをなくしていた。
何をされても、何も感じなかった。
恐怖が『いつものこと』になっていたのだろう。
数ヶ月後、私は無事警察に保護され、家族のもとへ帰る事ができた。
両親は「良かった、良かった…」と泣いていたが、私は何も思わなかった。
唯一思ったといえば、
何が良かったの?何に安心したの?
という疑問だけだ。
私はあの出来事で、楽しい思いや悲しい思いを、
これから経験する事はなくなってしまったのだ。
私は私立中学を受験した。
公立中学には、私が誘拐された事を知っている人がほとんど行くだろうから。
私は、第一志望の中学校に受かった。
合格発表を見て、周りはキャーキャー喜んでいたり
涙を流していたりしていたが、やはり私は何も思わなかった。
「あ、受かった。」
それだけだ。決して「やったーーー!」などとは言わなかった。
親は、勿論喜んでいた。
だが、私が何も感じないという事に、少し心配もしていたようだ。
こうして無事私立中学に入学した私だが、無表情だという事で、いじめが始まった。
朝学校へ行き自分の机の中を見ると、
『無表情きもいんだよ』
『学校くるな クラスの雰囲気悪くなる』などと
殴り書きで書かれた紙が入っている。
お弁当を食べる時は、いつも1人。
私は常に、周りから距離を置かれていた。
だが、私は特に辛いとは思わなかった。
むしろ、こういうのには慣れている……。
ある日。私のクラスに転校生が来た。男の子だ。
「はじめまして。長谷川龍太(はせがわりゅうた)です。
これから、よろしくお願いします。」
周りはざわついていた。特に、女子が。
「イケメンやん」
「次の休み時間ちょっと話しかけてみよ〜」
私は、特に話したいとは思わない。
龍太の席は、私の反対側の席だし。
まあいいやと思い、授業を受ける。
休み時間。案の定、龍太の周りには人だかりができている。
私は静かに次の時間の準備をする。
そして、トイレに行こうと、席を立つ。
すると、誰かが話しかけてきた。
「あの!…これからよろしく」
龍太だった。私は人見知りなので、おどおどと言った。
「よ、よろしく……私、宮原雪香です…」
「雪香か!いい名前だね。また話す機会あったらよろしくな。」
龍太はそういうと、クラスメイトのもとへ戻っていった。
私は、久しぶりの感覚を覚えた。
…嬉しい…。
どうして?どうして感情が?
自然に、私は微笑んでいた。
彼の言葉が、私の心の氷を溶かしてくれた。
私には、感情が戻った。それもまた、嬉しかった。
私の感情を取り戻してくれた彼は、私の初恋の人だ。
end
読んでくださってありがとうございました!
ちょっと重い内容でしたかね^^;
感想待ってます♪ ちょこちっぷさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2020年9月6日みんなの答え:7件
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めっちゃいい…!! 最初は誘拐?!怖い…!とか思っていましたが、最後の展開
(龍太がきて話しかけてくれた所から)がとてもよくて、最後の
「私の感情を取り戻してくれた彼は、私の初恋の人だ。」という終わり方もすごく好きでした!!
タイトルと最初の2行をみて読もうと思って正解でした!感動した!
私はキュンキュンを意識して小説を書いているんですが、恋愛系だけどかっこいい感じ(←伝われ)のも書いてみたいし、参考にしたいと
思いました!!
(↑ちょこちっぷさんみたいに上手く書けるわけないのに「参考に!!」
なんていってる人)
龍太と雪香、結ばれてほしい…!
では`∀´/
ねこじゅんさん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2020年9月9日 -
なにこれ… 感動!! ちょこちっぷさんこんにちは、かななです★
あの、率直に感想を書かせてもらいますね
…めちゃくちゃイイです!!
サイコーですよ、サイコー!!
私、恋愛小説とかは正直ラブラブすぎるのはムリなんですよね、、
でも、この小説は「ザ・恋」ってカンジじゃないのに、なんかすっごくあったか〜い気持ちになりました!
あの、最後にお願いがあるんですけど…
ちょこちっぷさん、いや、ちょこちっぷ先生の作品をもっと読みたいんです!だから、投稿お願いします!私、絶対読みますからね!
かななさん(京都・12さい)からの答え
とうこう日:2020年9月7日 -
誘拐の恐怖… こんにちはぁ!エナガ大好きなシマエナガでーす!
誘拐怖い…マジでリアル…。ガクガク:(;゙゚'ω゚'):
雪香…本当に安心したよ…!龍太に感謝!
とても読みやすかったですっ!
いやぁ、ちょこちっぷさんの作品て、いつも終わり方がうますぎるっ!(あ、これ前にも言ったな)
言葉に表せないほど上手い!
では! シマエナガさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2020年9月7日 -
好みです!! こういう小説かなり好みです!
まず、タイトルがセンスありすぎですっ(´∀`/♪
私タイトルに惹かれて読みました。タイトルって大事なんですね!
小説の参考にします!(その前にセンスあるかどうかだけど…
ちょこちゃんのファンになりました!また、書いてくださいね♪ 利久(りく)さん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2020年9月7日 -
初めて恋愛小説にキュンキュンしました! こんなに良い恋愛小説初めて読みました!龍太くんと雪香ちゃん、この後どうなったのか凄く気になります!次も投稿お願いします!ファンになりました! ほむほむ@ヤヴァイ人さん(神奈川・10さい)からの答え
とうこう日:2020年9月7日 -
良い話し〜 スゴく良い話しだった!
龍太と雪香結ばれますように! てきとうなゆきさん(愛媛・11さい)からの答え
とうこう日:2020年9月7日 -
泣く〜!! 龍太!やるな龍太〜!!
まさか、転校生の龍太が氷の心を溶かしてくれるなんて…!
ちょこちっぷさん、素敵な物語をありがとう…
雪香…、良かったね
ひよりさん(埼玉・13さい)からの答え
とうこう日:2020年9月7日
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