出会いは、潮の香り。
潮風の持つ、独特の匂いに目を細める。
とある海町の船着き場。ここは、私の特等席だ。
とんとん、とテトラポットを跳んで、波打ち際に腰かける。履いていたビーチサンダルを脱ぎ、ぱちゃりと海水に足を浸した。
しばらく、ぼうっと夕日を見つめていたら。突然、何かに足を掴まれる感覚が走る。
ぞわり、と背筋が粟立って、慌てて足をひっこ抜くと。
『・・・!!』
私の足を掴んでいたのは、一人の美少年だった。私と同じ・・・15歳位だろうか。上半身裸で、首もとには真珠の首飾り。こちらを見つめる、大きく見開かれた瞳は、青みがかった灰色をしていた。美少年は慌てた様子で、再び海の中に潜ろうとする。
『待ってっ!!』
叫ぶと、彼はぴたりと動きを止め、ゆっくりと顔を上げる。
『こんな所で、何してるの?』
単純に疑問をぶつけると、少年はゆっくりと瞬きをしてから返事をした。
『・・・陸を、見に来た』
陸を?うん、よく分からないが・・・まあいい、とりあえずスルーしよう。
『脚が釣ったら溺れちゃうよ?そこ、結構深いし・・・』
そう言って少年の足元を覗き込み、私ははっと息を飲んだ。
鱗。
キラキラと光を弾く、深い緑色をした鱗が、少年の下半身を覆っている。ひらひらと動くそれは、どう見ても魚の尾ひれで。
これは、まさかまさかの。
『あなた・・・人魚?』
私がポツリと零したその質問に、美少年はコクリと頷いた・・・
私は、その美少年人魚と話をしてみる事にした。どうやら彼、岩の隙間から伸びている私の脚を、藻か何かかと思って掴んだらしい。初めは警戒心が見え隠れしていたが、話をする内に大分打ち解けてくれたようだ。
『人間には、本当に脚が二本あるんだな』
今彼は、私の脚を触っては頻りに不思議そうな顔をしている。
こんな事も出来るのよ、と開脚をして見せたら、まるで化け物でも見たような顔をされた。全く心外だ。
『真っ二つに裂けているが・・・痛くないのか』
『んー、産まれた時からずっとこうだし、痛くない。・・・私も、あなたの尾っぽが気になるよ・・・ね、触ってみてもいいかなぁ?』
わくわくしながら尋ねると、彼は快諾してくれた。テトラポットに上がってきた彼の尾に、恐る恐る手を伸ばす。
『・・・ふむ。ふむふむ』
なるほど。普通の魚の鱗より、ずっと硬くて分厚い。まるで鎧のような手触りだ。
『硬いね、すっごい硬い』
大真面目な顔でそれだけ言えば、人魚はプッと吹き出した。
『まあ、鱗だからな』
私と彼は、日が暮れるまでお互いの事を話した。海の底の暮らしの話を聞けば、私も自分の生活の話をする。全く知らない世界の事を沢山教えてくれて、私の世界の話を興味津々で聞いてくれる彼とお喋りをするのは、とてもとても楽しかった。
『私、そろそろ帰らなくっちゃ』
そう言えば、彼は少し残念そうな顔をして、そうか、と呟く。
『・・・明日も、この時間にここで会うっていうのは、どうかな?』
『・・・!分かった、必ず明日もここに来る』
約束だよ、と小指を絡めて、指切りをした。
明日は、彼に陸のお土産を沢山持って行こう。潮の香りを胸いっぱいに吸い込みながら、いつもより足取り軽く、私は帰路につくのであった。 月灯 睡さん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年9月16日みんなの答え:2件
とある海町の船着き場。ここは、私の特等席だ。
とんとん、とテトラポットを跳んで、波打ち際に腰かける。履いていたビーチサンダルを脱ぎ、ぱちゃりと海水に足を浸した。
しばらく、ぼうっと夕日を見つめていたら。突然、何かに足を掴まれる感覚が走る。
ぞわり、と背筋が粟立って、慌てて足をひっこ抜くと。
『・・・!!』
私の足を掴んでいたのは、一人の美少年だった。私と同じ・・・15歳位だろうか。上半身裸で、首もとには真珠の首飾り。こちらを見つめる、大きく見開かれた瞳は、青みがかった灰色をしていた。美少年は慌てた様子で、再び海の中に潜ろうとする。
『待ってっ!!』
叫ぶと、彼はぴたりと動きを止め、ゆっくりと顔を上げる。
『こんな所で、何してるの?』
単純に疑問をぶつけると、少年はゆっくりと瞬きをしてから返事をした。
『・・・陸を、見に来た』
陸を?うん、よく分からないが・・・まあいい、とりあえずスルーしよう。
『脚が釣ったら溺れちゃうよ?そこ、結構深いし・・・』
そう言って少年の足元を覗き込み、私ははっと息を飲んだ。
鱗。
キラキラと光を弾く、深い緑色をした鱗が、少年の下半身を覆っている。ひらひらと動くそれは、どう見ても魚の尾ひれで。
これは、まさかまさかの。
『あなた・・・人魚?』
私がポツリと零したその質問に、美少年はコクリと頷いた・・・
私は、その美少年人魚と話をしてみる事にした。どうやら彼、岩の隙間から伸びている私の脚を、藻か何かかと思って掴んだらしい。初めは警戒心が見え隠れしていたが、話をする内に大分打ち解けてくれたようだ。
『人間には、本当に脚が二本あるんだな』
今彼は、私の脚を触っては頻りに不思議そうな顔をしている。
こんな事も出来るのよ、と開脚をして見せたら、まるで化け物でも見たような顔をされた。全く心外だ。
『真っ二つに裂けているが・・・痛くないのか』
『んー、産まれた時からずっとこうだし、痛くない。・・・私も、あなたの尾っぽが気になるよ・・・ね、触ってみてもいいかなぁ?』
わくわくしながら尋ねると、彼は快諾してくれた。テトラポットに上がってきた彼の尾に、恐る恐る手を伸ばす。
『・・・ふむ。ふむふむ』
なるほど。普通の魚の鱗より、ずっと硬くて分厚い。まるで鎧のような手触りだ。
『硬いね、すっごい硬い』
大真面目な顔でそれだけ言えば、人魚はプッと吹き出した。
『まあ、鱗だからな』
私と彼は、日が暮れるまでお互いの事を話した。海の底の暮らしの話を聞けば、私も自分の生活の話をする。全く知らない世界の事を沢山教えてくれて、私の世界の話を興味津々で聞いてくれる彼とお喋りをするのは、とてもとても楽しかった。
『私、そろそろ帰らなくっちゃ』
そう言えば、彼は少し残念そうな顔をして、そうか、と呟く。
『・・・明日も、この時間にここで会うっていうのは、どうかな?』
『・・・!分かった、必ず明日もここに来る』
約束だよ、と小指を絡めて、指切りをした。
明日は、彼に陸のお土産を沢山持って行こう。潮の香りを胸いっぱいに吸い込みながら、いつもより足取り軽く、私は帰路につくのであった。 月灯 睡さん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年9月16日みんなの答え:2件
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え、好き もっけ飴です(*´∀`*)
海での出会いとか、最高すぎません!?!?
語彙力高すぎますし。
尊敬します!!
表現がとても綺麗で、ストーリーもすんなり入ってきました。
良いですね、美少年人魚。
私も会ってみたいですw
次回作も楽しみにしてますね!
それでは〜。 もっけ飴さん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2020年9月18日 -
うふふ(´∀`*) なんか、色々と妄想の捗るお話でした。あざす!!面白かったです!
私はテトラポットという響きが好きなのですが、まさかこんな所で出会えるとは思いませんでした。嬉しかったです(笑)
素敵なお話ありがとうございました♪ 臣 さん(長野・14さい)からの答え
とうこう日:2020年9月17日
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