正反対だから
「あーあ、彼氏できないかな〜。」
今月に入って何回目だろうか。もはや口癖だ。
「佳奈は欲しくないの?」
と親友の真緒に聞かれるけれど、正直恋愛には興味がなかった。
「私は、いいかな。」
こう答えるのがお決まりだった。
「では、くじを1人一枚引いてください。くじには番号が書いてあります。その番号の席に座ってください。」
という先生の声で、クラスの皆が一斉に動き出した。
「やったー!〇〇ちゃんと同じ班だー!!」
という喜びの声や、
「あー、最悪…。」
という悲しみの声も聞こえた。私の番号は…12番か。誰と同じ班なんだろうとワクワクしていると、
「俺、13番だった。お前の後ろの席、よろしく。」
と急に声をかけられた。その声は、吉田優斗くんだった。吉田くんは明るく、いつもクラスを盛り上げ、男女どちらからも人気がある。私とは正反対の人だろう。
「優斗って呼んで。あとさ、佳奈って呼んでいい?」
自分と正反対の人と話すからなのか、少し緊張してしまった。うん、と答えるのが少し遅くなった。
「これ、落としたよ。」
授業中、私が落としたペンを優斗が拾ってくれた。
「ありがとう。」
この五文字を答えるだけなのに、また緊張してしまった。やっぱり正反対だからなのか。
ここ最近、優斗と話すことが多くなった。優斗は、誰にでも優しく、私にも明るく接してくれる。私と好きな歌手が一緒で話が合う。そして、プリントを後ろに配るとき、目が合うと笑ってくれる。
でも、何度も優斗と話をしているはずなのに、ドキドキは消えなかった。
また真緒の口癖が始まった。
「ね、佳奈は本当に好きな人いないの?」
好きな人?好きな人って…。と考えていると急に優斗の顔が浮かんできた。違う、私なんかじゃ釣り合わない。って私、今なんで付き合う前提みたいに考えたんだろう。まず、恋愛に興味ないし…。と心を落ち着かせる。
「あれー?かなちゃーん、返事がないですね〜。もしかしているのかな?」
と、真緒が変な話し方をしてくる。
「佳奈は大人しくて女子っぽいし、可愛いから大丈夫。」
と優しい声で言ったのは気のせいだろう。
それから少したった放課後。真緒が優斗に何かを話しかけている。なぜか、胸が締め付けられる。くるしい。すると真緒に話しかけられた。
「ねー、佳奈。先生がこの教室で、優斗と2人で待っとけってさ!」
優斗と私に関係する係や委員会なんかあったか?と疑問に思ったが、真緒が親指を立てた後、教室を出たのを見て意味がわかってしまった。
優斗と目が合う。時間が止まる。
「あ、えっと…。」
なんだかこの静かな時が恥ずかしくて、
何も言えないのに声を出してしまった。
「あのさ。」
その続きを私が言うのを待たずに、優斗が話し始めた。
「好きです。付き合ってください。」
この言葉はまっすぐ私の耳に届いた。それと同時にドキドキするような、緊張するような、この気持ちの理由がわかった。これが、真緒の言っていた…。それなら、私の答えは一つしかない。
「はい。よろしくお願いします。」
その後の優斗の嬉しそうな顔は、今までみた笑顔の中で一番だった。
「ねえ、なんで私なんかと?」
優斗の言葉を聞いてから、ずっと疑問だったことだ。
「一目惚れってやつ?初めて会った時から可愛いなーって。」
私の顔は真っ赤だっただろう。ありがとう、と言うべきなのかもしれなかったが、何も言えなかった。
「それと、俺と正反対だからかな。大人しくてずっとどんな子か知りたかったんだ。それで、友達とくじを交換して席を佳奈の後ろにして。話したら優しくてさ。」
嬉しかった。そしてどこか恥ずかしかった。
私はなぜ優斗のことを?正反対だから私にはない、優斗の明るさが優しさが好きなのだろうか。
「正反対だから」
これが初めての恋だった。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!とても 長くて読むのが大変だったと思います…。
そして、感想を送ってくださった方、ありがとうございました。コメントをいただけるのが小説を書いていて1番嬉しいことです。
花音さん(東京・14さい)からの相談
とうこう日:2020年9月18日みんなの答え:3件
今月に入って何回目だろうか。もはや口癖だ。
「佳奈は欲しくないの?」
と親友の真緒に聞かれるけれど、正直恋愛には興味がなかった。
「私は、いいかな。」
こう答えるのがお決まりだった。
「では、くじを1人一枚引いてください。くじには番号が書いてあります。その番号の席に座ってください。」
という先生の声で、クラスの皆が一斉に動き出した。
「やったー!〇〇ちゃんと同じ班だー!!」
という喜びの声や、
「あー、最悪…。」
という悲しみの声も聞こえた。私の番号は…12番か。誰と同じ班なんだろうとワクワクしていると、
「俺、13番だった。お前の後ろの席、よろしく。」
と急に声をかけられた。その声は、吉田優斗くんだった。吉田くんは明るく、いつもクラスを盛り上げ、男女どちらからも人気がある。私とは正反対の人だろう。
「優斗って呼んで。あとさ、佳奈って呼んでいい?」
自分と正反対の人と話すからなのか、少し緊張してしまった。うん、と答えるのが少し遅くなった。
「これ、落としたよ。」
授業中、私が落としたペンを優斗が拾ってくれた。
「ありがとう。」
この五文字を答えるだけなのに、また緊張してしまった。やっぱり正反対だからなのか。
ここ最近、優斗と話すことが多くなった。優斗は、誰にでも優しく、私にも明るく接してくれる。私と好きな歌手が一緒で話が合う。そして、プリントを後ろに配るとき、目が合うと笑ってくれる。
でも、何度も優斗と話をしているはずなのに、ドキドキは消えなかった。
また真緒の口癖が始まった。
「ね、佳奈は本当に好きな人いないの?」
好きな人?好きな人って…。と考えていると急に優斗の顔が浮かんできた。違う、私なんかじゃ釣り合わない。って私、今なんで付き合う前提みたいに考えたんだろう。まず、恋愛に興味ないし…。と心を落ち着かせる。
「あれー?かなちゃーん、返事がないですね〜。もしかしているのかな?」
と、真緒が変な話し方をしてくる。
「佳奈は大人しくて女子っぽいし、可愛いから大丈夫。」
と優しい声で言ったのは気のせいだろう。
それから少したった放課後。真緒が優斗に何かを話しかけている。なぜか、胸が締め付けられる。くるしい。すると真緒に話しかけられた。
「ねー、佳奈。先生がこの教室で、優斗と2人で待っとけってさ!」
優斗と私に関係する係や委員会なんかあったか?と疑問に思ったが、真緒が親指を立てた後、教室を出たのを見て意味がわかってしまった。
優斗と目が合う。時間が止まる。
「あ、えっと…。」
なんだかこの静かな時が恥ずかしくて、
何も言えないのに声を出してしまった。
「あのさ。」
その続きを私が言うのを待たずに、優斗が話し始めた。
「好きです。付き合ってください。」
この言葉はまっすぐ私の耳に届いた。それと同時にドキドキするような、緊張するような、この気持ちの理由がわかった。これが、真緒の言っていた…。それなら、私の答えは一つしかない。
「はい。よろしくお願いします。」
その後の優斗の嬉しそうな顔は、今までみた笑顔の中で一番だった。
「ねえ、なんで私なんかと?」
優斗の言葉を聞いてから、ずっと疑問だったことだ。
「一目惚れってやつ?初めて会った時から可愛いなーって。」
私の顔は真っ赤だっただろう。ありがとう、と言うべきなのかもしれなかったが、何も言えなかった。
「それと、俺と正反対だからかな。大人しくてずっとどんな子か知りたかったんだ。それで、友達とくじを交換して席を佳奈の後ろにして。話したら優しくてさ。」
嬉しかった。そしてどこか恥ずかしかった。
私はなぜ優斗のことを?正反対だから私にはない、優斗の明るさが優しさが好きなのだろうか。
「正反対だから」
これが初めての恋だった。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!とても 長くて読むのが大変だったと思います…。
そして、感想を送ってくださった方、ありがとうございました。コメントをいただけるのが小説を書いていて1番嬉しいことです。
花音さん(東京・14さい)からの相談
とうこう日:2020年9月18日みんなの答え:3件
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王道!! そうですよね! 基本、人間は自分に無いものを持っている人に惹かれるんですよね! わかってるなぁ!とても綺麗にまとまっていて、読みやすかったです! まし愛さん(北海道・12さい)からの答え
とうこう日:2020年9月22日 -
とってもすてきお話だね! ぼくは好きな人いるんですけど、こんな恋愛できたらな一と思いました。
花音さんの小説、とってもおもしろかったし、すてきなお話なのでつづきを書いてほしいです!
佳奈と優斗の恋のつづきが気になってしかたがないぃぃぃ!
とにかくいいお話でした。とし下からの感想ですみません。(笑)
ryoryoniteさん(茨城・12さい)からの答え
とうこう日:2020年9月19日 -
おもしろい! おもしろくって、いつの間にか最後まで読み終えてました!最高です!
自分の「好き」って気持ちに気づいて良かったです!
正反対、っていうのもいいですよね!
これからも、かのんちゃんの小説読みます! ななさん(東京・11さい)からの答え
とうこう日:2020年9月19日
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