宇宙と彼方と月光バースデー
「宇宙(そら)!宇宙!」
煩く、俺の名前を呼ぶのは彼方(かなた)。彼方は、星やら月やら天文学的なことが好きな、俺の友達。
「なーに…。うるさぁい!」
俺は思わず大声で怒鳴ってしまう。だって、休日の早朝から自分の名前を呼ばれている。近所に聞こえて恥ずかしいし、とりあえず鬱陶しい。しかも今日は土曜日。まだ平日の疲れが取れてない。それに、今日は夜まで疲れを残したくないのだ。なぜかというと…
「宇宙ぁ。まだぁ?」
「はぁ…。星川広場で待ってて〜。」
「オッケー!」
と彼方はいい、広場の方へ駆けていった。
『今日は、十五夜です。…』
テレビをつけると、ちょうどやっていた。そう、俺が疲れを残したくない理由。今日は十五夜。それを見るために、だ。まぁ、もちろん彼方と一緒だけだけど…
俺は、母親が残していった朝飯を急いでほうばる。支度をして、広場へと向かった。
「宇宙遅いよぉ〜。」
「ん、悪りぃ。で、何かあったの?」
「えっと、今日一緒に月見るよね?話したいことがあるんだ。ただ、これだけ。じゃあ、また六星丘公園でね。」
「え、あ、ちょっ。」
…なんだか、いつもの彼方と違かった。真剣な、顔だった。困惑する感情ともう一つ、寂しさという感情があった。
「彼方、忘れたのかなぁ。俺、今日誕生日のこと…。」
そう、今日は十五夜であり、俺の誕生日でもあった。だから、最高の誕生日だろうなぁ。なんて仄かに考えていた。でも、親友に忘れられているかもしれない。ちょっと、切なくなった。
夜。上を見上げる。
「…きれーな月。」
望遠鏡を抱えて、丘へ駆けていった。
「おーい彼方。きたぞ。」
「おーす!宇宙。お昼前ぐらいぶり〜。」
「で、話って何?」
俺が問うと、彼方は真剣な目になった。俺も、ビリビリと緊張感がする。彼方は深呼吸をすると、口を開いた。
「宇宙、まず誕生日、おめでとう。」
あぁ、忘れられてなかったという安心感。それと、“まず”という言葉に緊迫する。
「そして、僕ね…宇宙人なんだ?」
「は?」
唐突な言葉に、言葉が漏れる。宇宙人なんて、いるはずない。
「な、何言ってんだよ。かな…た…?」
彼方を見ると、触角が生えていた。まるで、宇宙人見たいな。
「えへへ、これで信じてくれた?いきなり、ごめんね。でも、今日言っておきたかったんだ。」
「なんで、そんなこと言うんだ?彼方…。まるで、今日が最後みたいな…。」
「宇宙は勘が鋭いね。正解。今日が最後だから、だから、宇宙に、最高の誕生日をあげる。」
そう、彼方がいうと、俺たちの体がふわふわと浮いた。
「うわっ。」
思わず、目を瞑る。すると、彼方が笑って言う。
「目開けて見てよ。すごいよ?」
目をゆっくり開いて見た。すると、ぱぁっと、明るい月が目にいっぱい広がる。
「わぁ…。」
眩しさと凄さに、声が出なくなる。横の彼方をふと見ると、すごく、切なそうな目をしていた。
「宇宙。2回目だけど、誕生日おめでとう。どう?嬉しい?」
「…うん。嬉しい。とっても嬉しい。でも、」
「でも?」
「彼方が居なくなるかもしれないって思うと、悲しい。なぁ彼方、明日も、その先も、ずっと、一緒にいられるよな?」
彼方は、また切なそうな目をする。
「かな…た…?」
彼方の名前を呼ぼうとしたら、なんだかふらっとめまいがする。その瞬間、目の前が真っ黒になった。
「さようなら。」
彼方の声が、かすかに聞こえた。
「ん、んん…?」
目が覚める。いつの間にか、家にいた。カーテンから、朝日が差し込む。
「…彼方。」
俺はすぐに着替える。朝飯も、食べずに、家の扉をバンッと開く。彼方の家まで、駆けていった。
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どうも、(´・ω・)丸です。最後まで読んでいただきありがとうございます。最後、彼方はいたのか
いなかったのか。それは、皆さんのご想像にお任せします。では、ご感想などお待ちしております。 (´・ω・)丸さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2020年10月3日みんなの答え:1件
煩く、俺の名前を呼ぶのは彼方(かなた)。彼方は、星やら月やら天文学的なことが好きな、俺の友達。
「なーに…。うるさぁい!」
俺は思わず大声で怒鳴ってしまう。だって、休日の早朝から自分の名前を呼ばれている。近所に聞こえて恥ずかしいし、とりあえず鬱陶しい。しかも今日は土曜日。まだ平日の疲れが取れてない。それに、今日は夜まで疲れを残したくないのだ。なぜかというと…
「宇宙ぁ。まだぁ?」
「はぁ…。星川広場で待ってて〜。」
「オッケー!」
と彼方はいい、広場の方へ駆けていった。
『今日は、十五夜です。…』
テレビをつけると、ちょうどやっていた。そう、俺が疲れを残したくない理由。今日は十五夜。それを見るために、だ。まぁ、もちろん彼方と一緒だけだけど…
俺は、母親が残していった朝飯を急いでほうばる。支度をして、広場へと向かった。
「宇宙遅いよぉ〜。」
「ん、悪りぃ。で、何かあったの?」
「えっと、今日一緒に月見るよね?話したいことがあるんだ。ただ、これだけ。じゃあ、また六星丘公園でね。」
「え、あ、ちょっ。」
…なんだか、いつもの彼方と違かった。真剣な、顔だった。困惑する感情ともう一つ、寂しさという感情があった。
「彼方、忘れたのかなぁ。俺、今日誕生日のこと…。」
そう、今日は十五夜であり、俺の誕生日でもあった。だから、最高の誕生日だろうなぁ。なんて仄かに考えていた。でも、親友に忘れられているかもしれない。ちょっと、切なくなった。
夜。上を見上げる。
「…きれーな月。」
望遠鏡を抱えて、丘へ駆けていった。
「おーい彼方。きたぞ。」
「おーす!宇宙。お昼前ぐらいぶり〜。」
「で、話って何?」
俺が問うと、彼方は真剣な目になった。俺も、ビリビリと緊張感がする。彼方は深呼吸をすると、口を開いた。
「宇宙、まず誕生日、おめでとう。」
あぁ、忘れられてなかったという安心感。それと、“まず”という言葉に緊迫する。
「そして、僕ね…宇宙人なんだ?」
「は?」
唐突な言葉に、言葉が漏れる。宇宙人なんて、いるはずない。
「な、何言ってんだよ。かな…た…?」
彼方を見ると、触角が生えていた。まるで、宇宙人見たいな。
「えへへ、これで信じてくれた?いきなり、ごめんね。でも、今日言っておきたかったんだ。」
「なんで、そんなこと言うんだ?彼方…。まるで、今日が最後みたいな…。」
「宇宙は勘が鋭いね。正解。今日が最後だから、だから、宇宙に、最高の誕生日をあげる。」
そう、彼方がいうと、俺たちの体がふわふわと浮いた。
「うわっ。」
思わず、目を瞑る。すると、彼方が笑って言う。
「目開けて見てよ。すごいよ?」
目をゆっくり開いて見た。すると、ぱぁっと、明るい月が目にいっぱい広がる。
「わぁ…。」
眩しさと凄さに、声が出なくなる。横の彼方をふと見ると、すごく、切なそうな目をしていた。
「宇宙。2回目だけど、誕生日おめでとう。どう?嬉しい?」
「…うん。嬉しい。とっても嬉しい。でも、」
「でも?」
「彼方が居なくなるかもしれないって思うと、悲しい。なぁ彼方、明日も、その先も、ずっと、一緒にいられるよな?」
彼方は、また切なそうな目をする。
「かな…た…?」
彼方の名前を呼ぼうとしたら、なんだかふらっとめまいがする。その瞬間、目の前が真っ黒になった。
「さようなら。」
彼方の声が、かすかに聞こえた。
「ん、んん…?」
目が覚める。いつの間にか、家にいた。カーテンから、朝日が差し込む。
「…彼方。」
俺はすぐに着替える。朝飯も、食べずに、家の扉をバンッと開く。彼方の家まで、駆けていった。
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どうも、(´・ω・)丸です。最後まで読んでいただきありがとうございます。最後、彼方はいたのか
いなかったのか。それは、皆さんのご想像にお任せします。では、ご感想などお待ちしております。 (´・ω・)丸さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2020年10月3日みんなの答え:1件
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続きをあえて書かないのが良いですね 続きをあえて書かないというのは難しいけど、とても自然にかけていてすごいと思いました!! 楓華さん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2020年10月5日
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