カウントダウン　【ぜひ、読んでください】：キッズなんでも相談：ニフティキッズ

カウントダウン　【ぜひ、読んでください】 私は生まれつき、特殊な能力を持っている。
私は、人があと何年生きることができるのか分かるのだ。みんなの胸にデジタル時計のようなものがついているのが見えて、それが人の寿命を表していることに気づいたのは小学3年生のときだった。
ちなみに私の寿命はあと75年と3ヵ月と10日と14時間と51分と33秒。今私は15歳だからだいたい90歳くらいまで生きることができる。意外と長いでしょ？
そんな私は今、やらないといけないことがある。友達の若菜のお見舞いだ。若菜は先月から入院している。本人は盲腸だと言っているが、私は若菜が重い病気を患っていることを知っている。だって、若菜の時計は若菜の寿命はあと6日と3時間と20分と3秒しかないことを示していたから。
救ってあげられるなら救ってあげたいけど、私は寿命が分かる能力を持っているというだけで、それを延ばす能力は持っていない。若菜があと少しで死んじゃうって分かってるのに、見殺しにするしかないなんて……

ゆっくりと若菜のいる病室のドアを開ける。気のせいか、少し重いような気がした。
「あ、梨花！今日も来てくれたんだ！」
元気そうに振る舞っている若菜の姿は痛々しい。
「私ね、梨花と一緒に行きたいところがあるの！来て！」
「え？」
若菜が元気に立ち上がる。あと1週間も生きられない人にはとても見えない。
「どこ行くつもり？」
「中庭！綺麗な花が咲いてるんだよ」
元気に病院の廊下を歩く彼女の背中はどこか儚く、寂しく、悲しかった。

中庭に咲いていたのはタンポポだった。なんだ、タンポポかって思った？思ったでしょ。でも、本当に綺麗だよ。たくさん、咲いてるの。辺り一面タンポポ。
「春だねぇ」
「うん」
春にしては強い日が私たちを照らす。この日は雲1つない青空だった。
「ねえ梨花」
若菜が真剣な顔つきになった。私は直感で分かってしまった。若菜がこれから何を言うのか。聞きたくない。若菜の口から聞きたくない。若菜の口から聞いたら、若菜が死んじゃうって嫌でも思い知らされる。
「私、もうすぐ死ぬの」
分かってたはずなのに、ずっと前から知ってたはずなのに、涙が溢れた。
「もう、何日も生きられないんだって」
若菜がうつむく。
「もしかしたら、明日発作が起きて、急に死んじゃうかもね」
若菜は笑った。若菜ですらしらない余命を、私が知っている。あと6日。あと6日で若菜はこの世からいなくなってしまう。でもそれを私は若菜に伝えることはできない。
「ごめん、梨花には早く伝えなきゃって思ってたんだけど、言いづらくて」
若菜の声が涙声へと変わる。私も辛い。でも若菜はそれ以上に辛い。神様はひどいよ。私から若菜を取り上げるなんて。
私と若菜は抱き合って、泣いた。泣きつかれて、ベンチに座る。涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔を2人で笑った。
「梨花」
「なに？」
「幸せにならないと、許さないからね」
「……分かってるよ」
指切りをした。歳も忘れて大声で歌った。

そのときだった。

いきなり、若菜の時計が壊れたようにチカチカしだした。数字がぐるぐるまわって、不気味だった。
「な、なに……？」
「え、どうしたの？梨花」
この時計は私にか見えてない。辺りを見渡す。あの急いでいる看護師も、車椅子にのっている患者さんも、その患者さんに話しかけている家族も。みんなの時計が壊れたようにチカチカし、数字がぐるぐるまわっていた。もちろん、私の時計も……。
「どうなってるの？！」
得たいの知れない恐怖が心を蝕んでいく。そして、時計の数字は消えた。
「え……」
数秒経ってからまた動き出した時計に写し出された数字は……

10

若菜の時計も私の時計も、みんなの時計も、10からカウントダウンが始まっていた。

9

死ぬ、90歳まで生きるはずだったのに、あと9秒で、死ぬ。みんな、死ぬ……？

8

「若菜！私たち、死んじゃうよ！！逃げなくちゃ！」
「ど、どういうこと？」
困惑している若菜の手を掴み、走り出す。

7

逃げなくちゃ……逃げる？どこに？みんな死んじゃうのに。てゆうか、何で？何で私たち、一斉に死んじゃうの？

6

大量に、同時に人が死んでしまう。いや、殺されてしまう。そんなことができるのは……。

5

「核兵器……？！」

4

気づいたときには遅かった。青い空に飛行機が飛んでいた。その飛行機が何か黒くて大きいものを落とした。爆弾だ。

3

「若菜っ！！」

2

嫌だ！死にたくない！！そんなものに、殺されたくない！！

1

凄まじい爆音が聞こえた。それと同時に私たちの時計は0になった。

本当に、本当に、平和な世界になってほしいです。 華さん（選択なし・14さい）からの相談
とうこう日：2020年10月4日みんなの答え：27件

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華さん～(*´ω｀*) 華さんの前の作品を読み、「過去作読みたいなぁ」なんて思って検索したら読んでたんです…！しかも好きだなって思った作品だったんです…！運命！(？)
…なんて思ったので今作も読ませていただきました（笑）
華さんは命を題材にしたお話を書かれることが多いですが、今回は華さんらしい部分を残しつつも疾走感のあるお話で…こんな作風も書けるのかと驚きました。ローファンタジーの要素がストーリーに上手く作用していたのも、凄いなぁと…尊敬します(*´ω｀*)
素敵なお話、ありがとうございました♪ 臣さん（長野・14さい）からの答え
とうこう日：2020年10月5日
感想！ ヒゲノビです！

こんなに心を引き込まれた作品は初めてです！感動しました＾＾
まず、改行のタイミングがめっちゃ良いですね！見やすいです！
特にカウントダウンの部分は何度見ても、緊迫感とワクワクが治りませんw
あとは「５核兵器....？」の所でびっくりしたっていうか、想像してませんでした。
身近で、いつ来るかわからない恐怖を体感することが出来ました！
戦争に近いし、核兵器はまだ無くなっていないので怖いですね。
それから全体的に表現が細かくて、具体的に想像しやすいです！

って何か偉そうですいません汗）たくさんの良いところがあって面白かったです！
出来ればまた、こういうドキッとする系？の小説が見たいです！
以上です！ ヒゲノビさん（千葉・11さい）からの答え
とうこう日：2020年10月5日
あなたは天才ですか！？ 凄くいいですね！ Yukky-ユッキー-さん（神奈川・13さい）からの答え
とうこう日：2020年10月5日
好きです。 神作品と言ってもいいのでは？

今の世界ですよね。
本当に平和になって欲しいです。
日本では差別があまりないように見えても、学校を楽しめてる子、不登校な子がいる時点で世の中は平等じゃないです。

人生って何が起こるかわからない。
いつどこで、誰と一緒にどのように死ぬのか、誰にも予想はできない。

改めて考えさせられました。

とにかく私が言いたいのは、

あなたは天才です。

また書いてください！ 凪渚さん（山梨・12さい）からの答え
とうこう日：2020年10月5日
最高！大好きですー！ あーやです^^*

もう、最高でした！
最高すぎて語彙力低下中です。

最後の方、展開がグルっと変わって面白かったです！

次の作品も是非書いて下さいー！
年下から失礼しました！ あーやさん（東京・13さい）からの答え
とうこう日：2020年10月5日
うわー、まじか(ﾟДﾟ)!! うう、悲しすぎる………泣きたくなるよ～!!(て言うか泣いた笑)あー、でも、とても大切なことをこの小説で教えてくれたね。華さんの小説、書籍化しないかな。(>_<)
めっっっっっちゃくっっっっっちゃ良かったですううううう((泣泣泣) うさちゃんさん（神奈川・12さい）からの答え
とうこう日：2020年10月5日
すごい！ （年下ですいません)
かかか、感動しました！
始まりも不思議で「絶対すごいやつやん」って思ったけど、最後のカウントダウン
の急展開で「へっ？」てなりました。。
核兵器がいろいろと問題になっているけど、未来の私たちが問題を解決し、核兵器廃絶へ一歩近づいていることを心から願います。 kkさん（愛知・12さい）からの答え
とうこう日：2020年10月5日

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