振り向く君の横顔に
雨の日の朝、それが全ての始まりだった。
傘の下、一人で歩いていた私が空を見上げると、どんよりした灰色の空から天の涙がこの街に降り注いでいた。
"はあ"
空を睨むようにして、私は誰もいない道で、思いっきりため息をついてやった。
"前を向け彩香!ため息なんかつくな!"
そんな声が聞こえた気がした。私は学校を思い出して再び歩き出す。同じ制服の人がいないことに少し寂しく、同時にホッとしている自分がよく理解できない。再び足を運んだ私の目の前にはいつの間にか一人の男がいた。同じ制服だ。同じ学年かな。思いを巡らせながら少し傘を後ろに傾ける。振り向いてくれるかな。いや、やっぱり振り向いて欲しくないかも。うーん…
"クスッ"
今日もまた笑ってしまった。一人で勝手に笑ってるのって、なんか変。ばっかみたい。他の人に見られたらどうするのよ。そう思いながらも今日もまた笑ってる。おっかしい。おっかしい。おっかしい。…
不意に前の男が振り向いた。私の目に映ったのはすらっとした顔立ちのきれいな青年だった。ドキッ、なんてならない…はずだった。だって、男子なんてみんな下品でアホなものだと思ってたから…。でもこの人は違う。かっこいい。何ドキドキしてるの、私。男子なんて一緒にいて損なだけよ。そう思ってるのに彼から目が離せない。 ポツリ。一粒の雨粒が彼の頬に落ちる。少し赤みをおびた彼の白い肌に透明な一粒。
"フフッ。って、あ、えっと、あ、ごめんなさい、勝手に笑っちゃって、あっと、あ、すみません…ひゃっ!"
私の頬にも一粒の雨が落ちてきた。
"ハハッ"
彼は優しく微笑んだ。フワッと空気が緩んで、私も一緒に笑ってしまった。彼が腕時計を見る。どうしよう。動作一つ一つが気になってしまう。なんかキュンとして、周りが明るく見えて、幸せで…。これを恋っていうのかな。顔が一気に赤くなる。バレてるかな。恥ずかしい。どうしよう。顔をそらす。雨はいつの間にかやんでいた。
"君、青葉中だよね、もう7時になるよ!"
"え、うそ…やばいじゃん…"
呆然と立ち尽くしていた私に彼が駆け寄り、腕を掴んだ。
"早くしないと遅れるよ。ほら、急いで。"
私も一緒に走り出す。彼の手、あったかい。ドキドキする。止まらないこの気持ち、どうすればいいの? 必死に走る彼の横顔がかっこいい。ずっと一緒にいたいけど、無理だとわかっているのがなんだかむなしい。この時間はきっとこれから60年は生きていく (と思う) 私の人生のうちの1000分の1、いや、10000分の1ほどになってしまうのだろう。当たり前のことなのに、寂しくて、怖い。
そんなこんなで、考えているうちに、気づいたらもう学校に着いていた。教室まで2人で一緒に行った。2人は同じ教室の前に立った。同じクラスだったのだ。嬉しい。また会える。私たちは席に着いた。彼は後ろの方の窓側の席にいた。風でなびいている彼の髪、頬杖をつくその仕草… ダメダメ、これ以上見ていると、何もかも頭から抜け落ちてしまいそう。怖い。かっこいい。ずっとそばにいてほしい… もう、だからだめだって!
次の日も、そのまた次の日も2人一緒に学校へ行った。月日が経ち、私たちは付き合い始めた。放課後はよく2人でカフェに行った。遊園地にも水族館にも行った。これで2人はずっとこれからも幸せ…なはずだった。
"実は、来月転校するんだよね。親の仕事でさ。なんか突然ごめんな。でも彩香には伝えたくて"
彼は突然そう告げた。私は彼に何も言えなかった。その夜、私は泣いた。不意に涙がポロポロ流れる。なぜだかその日は眠れなかった。
引越しの月はすぐにやってきた。彼とは今日でお別れだ。会うのもこれで最後。悲しいよ。寂しいよ。行かないでよ。ぐるぐる巡る想い。
彼から一つのメールが来ていた。
「またいつか、な」
短いけど、想いの詰まったその一言。
「また会おうね。ぜったい、ぜったいにだよ」
私はそう返信した。返事は^_^一つだけだった。
それからも彼を度々思い出す。また会いたいな。彼を待ちながらまた1日が過ぎていく。
彼のいない1日、1人だけでいる1日。振り向く君の横顔が、私の頭を今日もよぎる。
あの雨の日のこと、君はまだ覚えてる?
----------------------------
初めて小説を書かせていただきました!コメントお待ちしております!アドバイス、良かったところなどを教えてくれれば嬉しいです
よろしくお願いします! ふーみんさん(千葉・11さい)からの相談
とうこう日:2020年10月15日みんなの答え:7件
傘の下、一人で歩いていた私が空を見上げると、どんよりした灰色の空から天の涙がこの街に降り注いでいた。
"はあ"
空を睨むようにして、私は誰もいない道で、思いっきりため息をついてやった。
"前を向け彩香!ため息なんかつくな!"
そんな声が聞こえた気がした。私は学校を思い出して再び歩き出す。同じ制服の人がいないことに少し寂しく、同時にホッとしている自分がよく理解できない。再び足を運んだ私の目の前にはいつの間にか一人の男がいた。同じ制服だ。同じ学年かな。思いを巡らせながら少し傘を後ろに傾ける。振り向いてくれるかな。いや、やっぱり振り向いて欲しくないかも。うーん…
"クスッ"
今日もまた笑ってしまった。一人で勝手に笑ってるのって、なんか変。ばっかみたい。他の人に見られたらどうするのよ。そう思いながらも今日もまた笑ってる。おっかしい。おっかしい。おっかしい。…
不意に前の男が振り向いた。私の目に映ったのはすらっとした顔立ちのきれいな青年だった。ドキッ、なんてならない…はずだった。だって、男子なんてみんな下品でアホなものだと思ってたから…。でもこの人は違う。かっこいい。何ドキドキしてるの、私。男子なんて一緒にいて損なだけよ。そう思ってるのに彼から目が離せない。 ポツリ。一粒の雨粒が彼の頬に落ちる。少し赤みをおびた彼の白い肌に透明な一粒。
"フフッ。って、あ、えっと、あ、ごめんなさい、勝手に笑っちゃって、あっと、あ、すみません…ひゃっ!"
私の頬にも一粒の雨が落ちてきた。
"ハハッ"
彼は優しく微笑んだ。フワッと空気が緩んで、私も一緒に笑ってしまった。彼が腕時計を見る。どうしよう。動作一つ一つが気になってしまう。なんかキュンとして、周りが明るく見えて、幸せで…。これを恋っていうのかな。顔が一気に赤くなる。バレてるかな。恥ずかしい。どうしよう。顔をそらす。雨はいつの間にかやんでいた。
"君、青葉中だよね、もう7時になるよ!"
"え、うそ…やばいじゃん…"
呆然と立ち尽くしていた私に彼が駆け寄り、腕を掴んだ。
"早くしないと遅れるよ。ほら、急いで。"
私も一緒に走り出す。彼の手、あったかい。ドキドキする。止まらないこの気持ち、どうすればいいの? 必死に走る彼の横顔がかっこいい。ずっと一緒にいたいけど、無理だとわかっているのがなんだかむなしい。この時間はきっとこれから60年は生きていく (と思う) 私の人生のうちの1000分の1、いや、10000分の1ほどになってしまうのだろう。当たり前のことなのに、寂しくて、怖い。
そんなこんなで、考えているうちに、気づいたらもう学校に着いていた。教室まで2人で一緒に行った。2人は同じ教室の前に立った。同じクラスだったのだ。嬉しい。また会える。私たちは席に着いた。彼は後ろの方の窓側の席にいた。風でなびいている彼の髪、頬杖をつくその仕草… ダメダメ、これ以上見ていると、何もかも頭から抜け落ちてしまいそう。怖い。かっこいい。ずっとそばにいてほしい… もう、だからだめだって!
次の日も、そのまた次の日も2人一緒に学校へ行った。月日が経ち、私たちは付き合い始めた。放課後はよく2人でカフェに行った。遊園地にも水族館にも行った。これで2人はずっとこれからも幸せ…なはずだった。
"実は、来月転校するんだよね。親の仕事でさ。なんか突然ごめんな。でも彩香には伝えたくて"
彼は突然そう告げた。私は彼に何も言えなかった。その夜、私は泣いた。不意に涙がポロポロ流れる。なぜだかその日は眠れなかった。
引越しの月はすぐにやってきた。彼とは今日でお別れだ。会うのもこれで最後。悲しいよ。寂しいよ。行かないでよ。ぐるぐる巡る想い。
彼から一つのメールが来ていた。
「またいつか、な」
短いけど、想いの詰まったその一言。
「また会おうね。ぜったい、ぜったいにだよ」
私はそう返信した。返事は^_^一つだけだった。
それからも彼を度々思い出す。また会いたいな。彼を待ちながらまた1日が過ぎていく。
彼のいない1日、1人だけでいる1日。振り向く君の横顔が、私の頭を今日もよぎる。
あの雨の日のこと、君はまだ覚えてる?
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初めて小説を書かせていただきました!コメントお待ちしております!アドバイス、良かったところなどを教えてくれれば嬉しいです
よろしくお願いします! ふーみんさん(千葉・11さい)からの相談
とうこう日:2020年10月15日みんなの答え:7件
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良い話ぃー! とっても良かったよ!
小説家みたーい!
またお話書いてね! ググっちゃえば良いんじゃねさん(千葉・12さい)からの答え
とうこう日:2020年11月3日 -
すっっごい!!! すごい!ほんとに小説家さんみたい。 ここさん(千葉・11さい)からの答え
とうこう日:2020年10月24日 -
マンゴーブルーベリーでーすぅ 前に言ったように、ふーみんさんの作品、めっちゃすごくて、感心しちゃった!同じ歳なのに、私の文のセンスがぁ…(ガクッ)
で、なんか、今見返したら、前の私の投稿、めっちゃ上から目線だった。だから、ほんと後悔してる。
でも、ふーみんさんのお話、すっごい良かったけん、また読みたいなー思ったのは本当!
お願いします!(^。^)
ま、また上から目線にぃ…すみません! マンゴーブルーベリーさん(埼玉・11さい)からの答え
とうこう日:2020年10月22日 -
おおおおおおおおー!!!!! な、なんかめっちゃすごいねんけど… もしかしてどっかの新米作家さん? ちょーハイレベル…
最初見たとき、長くて文、文 、文…って感じでうわーって一人でなっとったけど、 なんかめっちゃ読めた!
ちょっと分かりにくいとこもあったけど、それ以外はバッチリ!
話の構成、情景描写、サイコー!ワンダフォー!細かいところまで書いてるぅー!
またふーみんさんのお話読みたい!次の話、期待してるぅー! マンゴーブルーベリーさん(埼玉・11さい)からの答え
とうこう日:2020年10月17日 -
ステキ! すごいなー!私より2つも年下なのに、とてもステキな作品が作れるなんて…………
めっちゃ感動しました("⌒∇⌒")
まだ中学生じゃないのに中学生のドキドキを11歳がてがけてるなんて☆才能ありますよ!これ、ホントに初投稿?!またふーみんさんの作品読みたいです! ちょべりば学校で流行ってるさん(福島・13さい)からの答え
とうこう日:2020年10月17日 -
ゆっ様です! 凄い気軽な感じでクリックさせていただきましたが、
凄い…ですね・・・!
この恋の切なさ甘酸っぱくてそういう感じの小説もいいですよねー!
これからも恋愛小説でもいろんな小説書いてください!
ではでは ゆっ様でした ゆっ様さん(埼玉・11さい)からの答え
とうこう日:2020年10月16日 -
すごい、。 こんにちは。
タイトルに惹かれて読ませていただきました。
この時間はきっとこれから
60年は生きていく (と思う)
私の人生のうちの1000分の1、
いや、10000分の1ほどになってしまうのだろう。
ここがすごく好きな表現でした!
書くの初めてでこれって、、
レベル高いです!!
全体的に私好みのテイスト、文体でした。
これからも応援してます。 健人の×××さん(東京・15さい)からの答え
とうこう日:2020年10月16日
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- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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